○鈴木(智)委員
民主党・ふじのくに県議団の鈴木智でございます。私は大きく3点につきましてお尋ねをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、説明書1ページの主要施策の実施状況及び評価と課題に、「がけ地近接危険住宅移転事業や宅地造成等規制法に基づき、宅地等の安全性の確保に努めた」とあります。しかし説明書には、このがけ地近接危険住宅移転事業が平成23年度にどれくらい行われたのか、あるいはどれくらいの予算を使ったのかという具体的な記述が、私が見た限りでは全くないんですね。施策展開表を見ますと、38ページから39ページにかけまして、昭和48年から平成23年にかけて1,284戸の危険住宅を移転したとありますが、相変わらず平成23年度についてはどうなったのか記述がないもんですから、昨年度はこの事業にどれくらいの予算を使って、どれくらい移転等をされたのか、お尋ねしたいと思います。
また聞いたところ、やはりこの事業はすごい先の長い事業のように伺っております。そこに住んでいる方にとってはもう命にかかわる問題ですので、何とかして早く知らせる必要があると思うんですが、現時点で何年ごろに終了することを目指しているのか、お尋ねしたいと思います。
また加えまして、御存じのとおり現在、第4次地震被害想定が策定されておるわけでございますが、この被害想定の中身によっては、このがけ地近接危険住宅移転事業の対象地域、あるいは対象住宅がふえることが予想されるのではないのかなと思っております。現時点で、もちろん明確な数字じゃないと思いますけれども、どのくらいかなと、もし感覚みたいなものがあれば教えていただきたいと思います。
次に同じく説明書56ページの、南アルプス高山植物保護対策事業について伺いたいと思います。
この56ページ、あるいは施策展開表60ページには、この高山植物保護対策事業について実施、設置したことに関しての説明等がありますが、具体的な数字の記述がありません。例えば平成23年度におきましては、植生状況変化調査等についての言及がありますけれども、もうちょっとどのように状況が変化しておるのか。あるいは防鹿柵、ロープ柵等を修繕したとありますが、現在どれくらいの面積において柵が設置されて、平成23年度はその面積がふえたのかどうか、具体的に教えていただきたいと思います。
あとこの植生マットについても、今どれぐらい設置されていて、これからどれくらい設置していくのか、あるいはまだ設置が必要な面積はこれぐらいとか、そういった数字的なところを教えていただきたいと思います。
3点目なんですが、ちょっと細かい話で恐縮なんですけど、説明書99ページの麻機羽高団地における工事の契約について伺いたいと思います。
これを見ますと、どちらも多分畳の入れかえ等に関する随意契約だなと思うんですが、この請負人が一方は静岡室内装備畳協同組合、もう一方は1つのある会社となっております。この違いは何なんだろうと。同じ団地で予算規模はそんなに変わらないんですが、どうして請負人が違うのか。
規定によりますと、どちらも少額な随意契約ですから、極端な話、どこでもいいということなんでしょう。ただ、それでもやはりなるべく契約あるいは発注等は公正を期すように、もちろん安過ぎは困りますけれども、なるべく安く、しかも丈夫で長もちな畳を入れていただくべきだと思うんです。と考えますと、一会社に発注するよりは、協同組合等々に発注したほうがより公正が担保されるのかなと思いますけれども、この違いについてお尋ねしたいと思います。以上です。
○松永建築安全推進課長
がけ地近接危険住宅移転事業について、お答えします。
まず1つ目ですが、平成23年度の件数と事業費ですけれども、件数は移転、除却を行った戸数として4件です。事業費は、県費として事業費の4分の1を補助するということになっておりますので、県の補助金として270万2000円、事業全体としては1080万8000円になります。
次に、何年くらいこの事業はかかるかということと、対象地域がどのくらいあるのかということについてです。平成20年度の調査でございますが、こういった危険住宅の数としては、1万83棟という数字を持っております。
それと、何年ごろに終わるのかというのがちょっと難しい話で、先ほどの対象戸数に対して、5年に1回、5カ年計画を策定しております。そういった中で、居住者の今後や撤去事業に対しての意見を聞いておるんですけれども、やはり移転の意向がないということとか、資金的な困難さがあるとか、移転先の適地がないというふうなこともございまして、かなりのお宅でとりあえず移転の予定はないというような回答を得ております。
ということで、何年か先に終わるということではなくて、大分長いこと続けなければならないと考えております。
それと、第4次地震被害想定の影響なんですけれども、今のところその震災の影響を含めまして、対象地域が拡大するというようなことは考えておりません。しかし、本年度は5カ年計画を策定するという年になっておりますので、そういった中で若干ふえたりということがあろうかと考えております。以上です。
○芝田自然保護課長
南アルプス等における保全活動の実績等の関係でございますが、県は平成14年度ぐらいから聖平におきまして保護対策をやってまいりました。その結果、効果としまして、平成18年度には数年ぶりにニッコウキスゲという高山植物が花を咲かせ、また平成23年度には結実をしました。それからまた聖平以外にも、三伏峠とか茶臼岳のほうでも実験的に防鹿柵等の設置をしてきまして、その中でもミヤマシシドウとか、今言いましたニッコウキスゲ等が少しは回復が見られるようになったということです。聖平以外にもそういった実績が上がってきましたので、茶臼岳、三伏峠におきましても本格的に県として、今年度より保護対策を実施しております。
委員から御指摘のありました防鹿柵の延長とか、あるいは土砂流出防止のための植生マットの面積的な数字につきましては、聖平で600平米、それから三伏峠で1,500平米、それから茶臼岳で400平米であります。今年度の計画としましては2,500平米ということで、その後の面積等につきましては状況を見ながらまた決定していきたいなと、このように思います。詳細なものにつきましてはまた御報告したいと思います。以上です。
○柳公営住宅課長
麻機羽高団地の畳工事についてお答えいたします。
この工事は250万円以下でありますので、随意契約ということでございますけれども、数社を指名して見積もり合わせを行っております。中小の会社にも受注の機会を与えたいということで、このような官公需適格組合についても受注機会を与えていって、仕事をしてもらうということで、指名をしているところでございます。以上です。
○鈴木(智)委員
はい、ありがとうございました。
幾つかまた再質問したいと思います。
まず、がけ地近接危険住宅移転事業につきましては、昨年度実績が4件で、対象住宅は平成20年度現在で1万軒は超えると。ですから、このペースでは正直、いつまでたっても終わらない。それで、なかなか移転が進まない理由としては、簡単に言えば、いろんな理由があって移転する予定、意思がないということでございます。
しかし、移転する意思はないけれども、万が一崖崩れがあって、財産だけならともかく、そのまま命を落としてもいいという方はいらっしゃらないはずです。何らかの対策をして、何とか一日も早く事業を完了するようにしていかなくちゃいけないと思うもんですから聞いてるんですけれども、多分これまでのやり方ではもうらちが明かないということだと思うんですね。ですから、これからまた5カ年計画を立てるということなんですが、これからどうしていくのか。これからは、これまでの事業プラスアルファで何かが必要だと思うんですけど、もし何かあればお答えいただきたいと思います。
次に、南アルプスの高山植物保護対策事業についてです。
私は先週ぐらいに聖平に行ってまいりまして、現場を見てきてその感想を含めて申しております。南アルプス高山植物保護対策事業と書くと、要は高山植物、ある特別な種類の保護だけのように聞こえるから、この予算が1000万円ちょっとぐらいしかないのかなと思っておったんですけれども、実はそうではないというのを実感しました。
というのは――課長はまだ行ったことがないらしいので、ぜひ行っていただきたいと思うんですが――もっともっと山肌が崩れているところがいっぱいあるんですね。この加害者は鹿だということなんですが、鹿による被害で何が深刻かというと、ある特殊な高山植物がなくなるだけではなくて、それがなくなることによって山肌が露出されて、それがどんどん、どんどん崩壊すること自体が問題だと思うんですね。
ですから、これをあくまでもある特定の種の保護事業と捉えるんではなくて、私は山そのものの保護事業だと捉えるべきだと思います。先ほど今年度の計画は2,500平方メートルってありましたけど、それは50メートル掛ける50メートルじゃないですか。もうほんのごくわずかなんですね。
ですから、まずは一度、全体がどういう被害状況なのか、それに対して、本当にごく一部だと思うんですけど、どこまで実施されておるのか。やっぱり予算が足らないとなれば、ここは思い切ってやっていかないと、この事業対象は山ですから。山がだめになってしまえば、その下流域にどんどん影響があるわけですね。例えば先ほどの、がけ地近接危険住宅移転事業にかかわる部分の土地があるかもしれない。あるいは、後で企業局の審査でやります工業用水、あるいは水道事業、発電事業等にもこれは大きく影響するわけです。そういったトータルの目でやっていく必要があると思いますけれども、その点につきましてお尋ねしたいと思います。
あと同じくこの施策展開表には、今後は自然植生の保護対策等を強化するとあるんですが、今の質問と重ねて、じゃあ平成25年度予算についてはさらにふやすということでよろしいのかどうか、お尋ねしたいと思います。以上です。
○松永建築安全推進課長
がけ地近接危険住宅移転事業について、今後どのような対策が必要なのかということです。
このがけ地近接危険住宅移転事業自体、除却に78万円、あと住宅の建設または購入の利子補給に対して444万円。それと敷地造成についても利子に関して58万円ということで、何だかんだで600万円近くの助成が出るような、結構個人的にはいい事業かなと思っております。
それと、対象住宅が昭和29年3月以前に建てられた、いわゆる建築基準法の規制がなかった時代に建てられた建物ということで、かれこれ50年以上たつような住宅になりますので、今後実は建てかえが進むんじゃないかと考えております。
補助金の制度がかなり優遇されているということ、それと住宅がかなりもう老朽化しているかなということからして、戸別訪問等を実施して制度の説明を詳しくする、そういった対策で極力多くの住宅の移転につなげていければと考えます。以上です。
○芝田自然保護課長
委員のおっしゃるとおり、単なる植物の食害というだけではなくて、土砂崩れといった面にも及んでいくということは認識しております。そういった状況ではございますが、なかなか地理的にも、地域的にも、土砂防止対策を講じるのは大変難しい環境とか状況にあります。
この植物保護等につきましては、静岡県だけではなくて山梨県、長野県とも連携をして、高山植物等の保護とあわせて、こういったような土砂防止のための植生マットの設置等をやっていくということにしております。また、この保護対策につきましては、なかなか単独の県で実施をするというのが難しいものですから、環境省についても、国として手を差し伸べてほしいということで、うちの県側としましては昨年度から、荒川岳のほうに防鹿柵等の設置をしてもらうようになりました。
こういったことで、単なる高山植物の保護だけでなくて、そこから伴う第二次、第三次的な影響についても対策を講じられるように、関係機関あるいはまた国にも支援等の要望等もあわせて実施していきたいと、このように思います。
○鈴木(智)委員
まず、このがけ地近接危険住宅移転事業につきましては、ぜひとも戸別訪問等をして説得していただきたいと思います。この事業は残り1万戸余ですから、1戸当たり2人としても、2万人以上の方が、常日ごろ危険を感じているかどうかはわかりませんが、危険地域に住んでいるというのは、これはゆゆしき事態だと思いますので、ここはしっかりとぜひともよろしくお願いします。これについては私、一般質問でやりたいと思っておるもんですから。
この高山植物の保護につきましてはいろいろやっていくということですが、もちろん予算に限りがありますから、なかなか倍増しろとか、10倍にしろとかいうのは難しい部分はあります。ただ工業用水、農業用水あるいは、山が痩せるということは海が痩せるということですから、多分これは漁業等にも関係してくる話です。ですから、あらゆる方面から力を集める必要があると思います。
最後に1点、この山の保全は水利用課とかなり関係がありますし、後で議論します企業局所管の工業用水、水道にも関係しているところです。そこからあるいは民間企業にも大きくかかわりますね。例えば発電であれば中部電力、そういったところからも予算というか、寄附というか、お願いするべきだと思うんですが、この点いかがでしょうか。
○芝田自然保護課長
関係するいろんなところから、そういった寄附的なお話ということですが、今のところは具体的にそのお願いをしていくというのは、考えを持っておりません。もし可能なようであれば、そういった多方面のところにも、そういう考えがあることをいろいろお話していきたいなと、そのように思います。以上です。