質疑・質問事項
1 東海地震の予知観測体制の強化について
(1) 現在の東海地震の予知観測体制の総検証
(2) 地震予知のために地殻のひずみ以外の前兆現象の研究と観測を進めることの必要性
(3) 国内外の英知を結集しての地震予知研究と観測のメッカづくり
2 ニホンジカ等による被害対策としてのオオカミ再導入について
(1) ニホンジカ等による被害が及ぼす影響
(2) ニホンジカの頭数適正化
(3) ニホンジカ等による被害対策としてのオオカミ再導入に関する調査研究
3 富士山静岡空港の国際便増加に向けた取り組みとシンガポールとの関係促進について
(1) 格安航空会社(LCC)の誘致
(2) シンガポールとの関係促進と定期便の就航の重要性
○二十四番(鈴木 智君) 民主党・ふじのくに県議団の鈴木智です。私は三つの重要課題につきまして質問いたします。
最初に、東海地震の地震予知体制の強化について、三点伺います。
まず一点目は、現在の東海地震の予知観測体制の総検証についてです。
「読者諸氏は、日本では当然のことながら地震予知のための研究が行われていると思っておられるであろう。しかし実はそうではないのである。地震予知が重要課題であることは多言を要しまい。ひとたび大地震に見舞われれば、多大の損害が生じ多くの人命が失われる。構造物やインフラの耐震強化と地震予知は地震災害軽減の二本柱だ」。これは、ことしの「中央公論」四月号に掲載された上田誠也東京大学名誉教授の論文「どうする!日本の地震予知」の冒頭部分です。上田氏の主張は地震予知の研究は実はほとんど行われておらず、唯一予知が可能とされる東海地震についても、その観測網は基本的に地震発生後の現象を測定するのに適したものであり、本来行うべき短期予知には不向きであるというものです。この四月号が発売されたのは三月十日、つまり大変皮肉にも東日本大震災の前日のことでありました。
十月、静岡市で日本地震学会の秋季大会が開かれました。大会では、今回の東日本大震災のようなマグニチュード九クラスの地震が東北沖で起きることを予見できなかったことは地震学の敗北であり、これまでの研究や予知のあり方について抜本的な見直しが必要であるという認識が専門家の間で共有されたと理解しておりますが、今回私が取り上げたいのは、東大のロバート・ゲラー教授の主張です。ゲラー氏は、「マグニチュード九クラスの地震はプレート沈み込み帯であればどこでも起こり得るものであり、東海地震説のような周期説は仮説の域を出ない根拠に乏しい理論である。東日本大震災を予知できなかったように有効な事前予知はできないのだから、地震予知の予算は他の対策に回すべきだ」と問題提起をされました。私は今こそ、このゲラー氏や上田氏の指摘について検証すべきと考えます。上田氏は、しかるべき予知研究や観測を行えば短期予知は十分可能であると言うのに対し、ゲラー氏は地震予知は人類にとって不可能な夢という正反対の主張をしておりますが、現在の観測体制には問題ありという点では一致しています。
川勝知事は、浜岡原発に関連して、県も中部電力の政策をチェックする能力を持つべきと発言されておりますが、津波対策や被害想定の見直しと同様に、東海地震の当事者として、そうした現在の予知体制の批判についても、県は国に任せきりにせず、早急に検証しながら予知体制を総点検すべきと考えますが、見解を伺います。
二点目は、地震予知のために地殻のひずみ以外の前兆現象の研究と観測を進めることの必要性についてです。
東日本大震災でも明らかなように、マグニチュード九の地震のエネルギーは莫大です。そのエネルギー量は十万人以上の命を奪った広島型原爆の三万発分よりもさらに大きいものです。私はもちろん専門家ではありませんが、地殻はガラスのように均一ではありませんから莫大なエネルギーが地殻に蓄積され、臨界点に達し、そして放出されるまでには、さまざまな形で前兆現象があらわれると考えるのが合理的だと素人ながら思います。ですから私は、上田氏らが提唱する予知研究や観測を県も総力を挙げて進めるべきと考えます。
唯一予知が可能とされる東海地震ですら、必ず予知ができるわけではなく、また予知できる可能性についてもわからないというのが気象庁の見解です。これまで地殻のひずみを検知して予知したことも、ひずみを検知したが予知は外れたことも全くありません。そもそも地殻のひずみが前兆現象として必ずあらわれるとは限らないのですから、予知できるかどうかわからないというのは全くそのとおりだと思います。加えて、地殻ひずみをとらえて予知する、つまり東海地震が近日中に発生すると判断し内閣総理大臣が警戒宣言を出すというのは極めて難しい行為だと考えます。なぜなら予知が万が一外れた際の経済的・政治的リスクは決して小さくはないからです。
県の第三次地震被害想定によれば、警戒宣言に伴う静岡県での生産減額は一日当たり約九百億円とされています。しかしこれは約十年前の想定であり、しかも県内の生産減額に限っての数字です。警戒宣言が出れば株価や為替相場等でもマイナスの影響が出ることは容易に想像できます。ましてや、東日本大震災の惨状を我々は目の当たりにしているのですから、警戒宣言発令後に果たしてどこまで冷静に行動できるのでしょうか。そして幸いに外れたとしても、外れてよかったと冷静に受けとめることが可能でしょうか。さらには一度外れた後に再び警戒宣言が発令された場合、どれだけの方が真剣に避難をするのでしょうか。
さまざまな意味で地震予知は難しいのですから、私は地殻ひずみ以外のさまざまな前兆現象についても研究や観測を進め、前兆ひずみが発生しなかった場合、あるいは発生していたがとらえられなかった場合でも、他の現象の観測により予知できるようにすべきと考えます。具体的には上田氏は、かつて科学技術庁が阪神・淡路大震災後に立ち上げた五カ年の地震総合フロンティア計画に基づいて、現在県の防災・原子力学術会議顧問を務めておられる有馬朗人東大名誉教授が理化学研究所理事長当時に推進された地電流、地磁気等の観測を中心とした予知研究を改めて進めれば、短期予知の精度を上げることは可能だとしています。東海大学海洋学部地震予知研究センターの長尾年恭教授によれば、既に収集されているがリアルタイムでは監視されていないデータを二十四時間体制で継続して監視、分析するだけでも予知精度を上げることは期待でき、それは年間五千万円程度の予算でも十分可能であるとのことです。国が取り組むべき課題と言うばかりでなく、こうした前兆現象の研究観測の推進や支援を静岡県としても総力を挙げて行うべきと考えますが、県の見解を伺います。
三点目は、国内外の英知を結集しての地震予知研究と観測のメッカづくりについてです。
政府は、平成二十四年度の地震調査研究関連予算を本年度の百三十二億円から三倍以上の四百六十四億円にまで増額する方針です。しかしこれまでの短期予知研究予算は、例えば平成二十二年度ではわずか一千七百万円程度であり、来年度についても大幅な増額は期待できそうにないようです。マグニチュード八、九クラスの地震予知は、日本どころか世界でも成功したことはありません。つまり東海地震の予知に成功すれば、それは多くの人命を救うだけでなく、人類史上大変画期的な成果となります。それだけ重大な課題なのですから、国が消極的であれば東海地震対策の最前線である静岡県が中心となって、産官学、そして他の自治体との連携はもちろんのこと、世界中の英知を結集して予知に当たるべきだと提案いたします。
実は、関西では既にこうした取り組みが行われています。関西経済同友会等の経済四団体が産官学連携体として設立している関西サイエンスフォーラムは、阪神・淡路大震災での経験をきっかけに地震の前兆現象を研究する専門部会を設置し活動してきました。そしてことしの九月から前兆現象情報を専門家や市民から収集して分析するためのサーバーシステムの運用を始めました。関西電力、NTT西日本、JR西日本等の大企業にも情報提供の協力を依頼しているとのことです。本来こうした取り組みはこれから東海地震が発生するとされる静岡県でこそ行われるべきではないでしょうか。かつては県の地震防災センター内に置かれていた静岡県防災情報研究所が、東海地震でも宏観異常現象が出現する可能性が否定できないとして情報収集を行っていました。現在しずおか防災コンソーシアムがありますが、現時点では情報交換の場にとどまっています。この防災コンソーシアムを発展させ民間企業や県内外の自治体にも参加してもらうことで、関西サイエンスフォーラムと同様の、あるいはそれを乗り越えるような取り組みを早急に推進すべきではないでしょうか。さらには予知の可能性を一層高めるためにも、国内だけでなく、世界中の研究者に最前線である静岡県で研究や観測をしてもらうべきではないでしょうか。例えば東海大学地震予知研究センターでは、JICA――国際協力機構とJST――科学技術振興機構が共同実施している地球規模課題対応国際科学技術協力プログラムを活用して、フィリピンの専門家が一名研究に当たっています。
県はJICAグローバル大学院の誘致を目指しておりますが、こうした海外の研究者を招聘する取り組みを県も全面的に支援するとともに研究成果を各国で役立ててもらえば、まさに地震対策先進県らしい国際貢献も同時にできると考えます。このような国内外の英知を結集しての地震予知研究や観測のメッカづくりの必要性について、県の見解を伺います。
次に、ニホンジカ等による被害対策としてのオオカミ再導入について伺います。
ニホンジカ等による被害は今や全国的な問題ですが、管理に成功している例はありません。現在国や自治体が講じている対策は基本的に対処療法にすぎず、特に世界文化遺産登録を目指す富士山周辺や三千メートル級の南アルプスのような地域ではおのずと無理や限界があります。やはりニホンジカ等が激増している根本的な要因、捕食動物、つまりオオカミが日本では絶滅していることを解消しない限りニホンジカ等を適正な個体数にまで減らすことはもはや不可能に近いと考えます。
そこで三点伺います。
一点目は、ニホンジカ等による被害が及ぼす影響についてです。
このままではシカ被害がますます深刻化し、南アルプスのような地域では貴重な高山植物だけでなく、高山植物を主食とするライチョウやその他の希少動物、昆虫等が絶滅し生物多様性が破壊されるおそれがあると考えますが、県はどのように認識しているのか、根拠とともに具体的な見解を伺います。
また、富士山周辺でシカ被害がさらに拡大しても、富士山の世界文化遺産登録の支障になるおそれは全くないのか。逆に言えば、これからつくられる特定鳥獣保護管理計画には被害が世界文化遺産登録の支障にならないようにすることも主要目標として具体的に設定されるのかどうか、あわせて見解を伺います。
二点目は、ニホンジカの頭数適正化についてです。本来あるべき生物多様性の維持に適正なニホンジカの個体数は一平方キロメートル当たり三頭程度と言われています。つまりその数にまで減らさない限り貴重な自然は失われ続け、その適正数になってようやく失われた自然が本格的に回復し始めるということです。静岡県においては、いつまでにそしてどのようにして適正数以下に減らすことを目指しているのか、具体的に伺います。
三点目は、ニホンジカ等による被害対策としてのオオカミ再導入に関する調査研究についてです。
以前、くらし環境委員会で、我が会派の小長井由雄議員がオオカミ再導入について二回質問しています。現在の対策が十分な効果を上げていない以上、わな等の捕獲技術の研究と同様にシカ被害対策の一つとして、日本オオカミ協会が提唱するオオカミ再導入の可能性について調査研究を行うべきであると提案いたします。既に国会議員の間でもオオカミがいるフィンランド出身のツルネン・マルテイ参議院議員や元環境大臣の川口順子参議院議員らによる超党派の勉強会ができており、私が以前仕えておりました津川祥吾衆議院議員も参加しております。また大分県豊後大野市等の自治体や長野県議会等の地方議会でもオオカミ再導入が議論されています。この十二月三日に静岡市や川根本町も参加する南アルプス世界自然遺産登録推進協議会が開催したフォーラムでは、参加者だけでなくパネリストからもオオカミ再導入への言及がありました。加えて日本高山植物保護協会の会長であり山岳写真家の白籏史朗氏、あるいはモンゴル出身の横綱白鵬関のような著名人の中にも賛同する方が出てきています。ちなみにモンゴルの代表的な歴史書「元朝秘史」の冒頭に、「チンギス・ハンの根源は上なる天神よりの命運をもって生まれた蒼い狼であった」とありますように、モンゴルはオオカミを幸運をもたらす聖なる動物として敬っている国です。ですからオオカミ再導入研究は副次的効果としてモンゴル文化の理解、そしてモンゴルとの関係促進にもつながると考えます。環境省はオオカミ再導入について否定的のようですが、今の細野豪志環境大臣はシカ被害に苦しむ伊豆地域をかつては選挙区としていました。ですから県が本気になれば国を動かすことも十分可能だと考えます。地方主権時代の今、国の対応を待つのではなく、手おくれになる前に近隣の自治体と連携して、まずは地方独自にでもオオカミ再導入に関する調査研究を行うべきと考えますが、県の見解を伺います。
最後に、富士山静岡空港の国際便増加に向けた取り組みとシンガポールとの関係促進について伺います。
大都市圏である東京、名古屋、大阪まで、新幹線や高速道路利用で十分に早く行ける位置に静岡県がある以上、静岡空港における国内便の増加はほとんど期待できず、生き残りのためには国際便の増加にかけるしかないと考えております。しかしその国際便におきましても、羽田空港が国際化し、また成田空港や関西空港等で格安航空会社の国際便を導入するなどの空港間競争が激化しており、静岡空港に残された時間は余りないと考えます。そこで、二点について伺います。
一点目は、格安航空会社――LCCの誘致についてです。
ドル箱路線と言われる国際便は、主要空港から既に多数飛んでいる以上、LCCによる国際便就航を目指すのが静岡空港にとっては現実的であると考えます。県は、これまでに本会議等でLCCについて研究中と答えていますが、静岡空港に時間は余り残されていない以上、早急に結論と結果を出すことが不可欠です。そこで現在どのような、あるいはどのLCCについて研究調査を行い、いつまでに結論や結果を出すべきと考えているのか、具体的に伺います。
二点目は、シンガポールとの関係促進と定期便の就航の重要性についてです。
現在県は、台湾や釜山との定期便の就航を目指していると理解しますが、既に就航している韓国、中国との便を含めても、英語圏との定期便がないことになります。そこでシンガポール便の就航を目指すべきであると提案いたします。英語圏であるシンガポールは、中国系、マレーシア系、インド系等の多民族が住み、太平洋戦争時には日本の占領下に置かれたにもかかわらず大変な親日国です。また、現在議論されているTPPに最初から参加する四カ国の一つであり、また同時にTPPに対抗する動きが出てきているASEANの中心国でもあります。加えて国籍や永住権を持つ人口が約三百八十万人と、静岡県とほぼ同数の小国でありながら、年間に訪れる外国人の数が一千万人以上というように、人の行き来が極めて激しく、ゆえにシンガポールのチャンギ空港は世界有数の国際ハブ空港となっており、LCC専用のターミナルビルも既にあります。そのシンガポールとの間に国際便を飛ばすことは、シンガポールや周辺国からのインバウンドの外国人観光客の獲得だけでなく、ちなみに、本日は六名のシンガポール人観光客が傍聴に来ておりますが、TPP等に関する独自の情報網等の確保等、さまざまな意味で静岡県に大きな利益をもたらすと考えます。ましてや県の東南アジア事務所はシンガポールにあるのですから、現在一名の職員しかいない東南アジア事務所の体制を強化して、シンガポールとの関係促進と国際便の就航を目指すべきと考えますが、県の見解を伺います。
以上で最初の質問を終わります。具体的な答弁をお願いいたします。(拍手)
○副議長(鈴木洋佑君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 鈴木智議員にお答えいたします。
初めに、東海地震の予知観測体制の強化についてのうち、国内外の英知を結集しての地震予知研究と観測のメッカづくりという大変前向きな御提案についてでございます。
三月十一日に発災いたしました東日本大震災は、前兆現象が観測されず、予知のないままに発生いたしました。地震予知が困難であることは今回の大震災がそれを象徴しています。一方、大規模地震を予知できた場合には多くの生命を救うことができます。そうした中で現在の科学技術では、日本で大規模地震の直前予知の可能性があるのは東海地震のみであると言われています。なぜか。一つの理由は陸域に震源域があるからです。もう一つは気象庁による常時監視体制が整っているからでございます。三百七十万人以上の県民の生命・財産を預かる県といたしましては、予知の可能性を高める必要があるであろうと考えています。
また、大規模地震発生前の電磁気学的な地震先行現象や地下水の異常など、要するに地震観測だけでなくて、地下水だとかラドンであるとか、その他さまざまな現象がございまして、そうした前兆をなすであろう異常な現象をとらえるための地震予知研究というのもあるということでございます。ただ地震との因果関係が必ずしも明確でないとも言われており、科学的な裏づけがまだ不十分であることは残念なことでありますが、したがって実用的なレベルに達してはいないということで、やはり基礎からの研究の積み上げが必要ではないかと存じます。このため地震予知の研究は、これまでのような地震観測のみならず、それも含めた幅広い分野からの英知を集めまして、長期的に、やはり腰を据えて、国家プロジェクトとして基礎から実用化を目指しつつ研究をして推進するべきであると考えます。
県といたしましては、防災先進県としてのアイデンティティーを大事にいたしまして、これまで培ってきた東海地震対策などの知見をも生かし静岡県地震防災センターを核として、現在、静岡大学など六大学と県とが一緒になって設立いたしましたしずおか防災コンソーシアムがございます。ここを拠点にして、ふじのくにの地域学の根幹をなすものとしての防災学の創出とあるいは創造というものを進めることができないかと考えます。この中で地震予知も含め、防災全般にわたる拠点として、さまざまな分野での研究や交流を発展させて防災先進県としての積極的な国内外への情報発信をしてまいりたいと考えております。
短期的には、もちろん地震予知ということがあるわけですけれども、研究者によりますと、思わぬ自分たちの生きている地域についての知見を深めることができるということで、実用化を念頭に置きつつ、実践的な学問であることを念頭に置きつつ、防災学というものを先ほどの防災予知とあわせて確立したいというふうに思っています。
議員御提案の地震予知研究と観測のメッカづくりにつきましては、議員から御紹介のありました東海大学海洋学部が行われている地磁気等の研究観測や、静岡大学が実施されている地下常時観測システム――ACROSSとも言われているようですが、英語のアキュレタリー・コントロールド・ルーチンリー・オペレーテッド・シグナル・システム(Accurately Controlled Routinely Operated Signal System)という、その英語の頭文字を取ってACROSSということで、これはなかなか興味深い研究で地下から送られてくる弾性波の速度変化を常時監視することから、地下構造の変化、想定震源域の動きを読み取って東海地震の予知につなげるという研究でございますが、そういう取り組みもございます。
こうした取り組みは、しずおか防災コンソーシアムのメンバーになっている先生方によって進められています。この先生方の御意見などを伺い地震防災センターの機能を強化してまいりながら、日本全体の地震予知に役に立つように、それも心がけながら我々としてはこの研究を進めてまいりたいというのが姿勢でございます。
次に、富士山静岡空港の国際便増加に向けた取り組みとシンガポールとの関係促進についてのうち、シンガポールとの関係促進と定期便の就航の重要性についてでございます。
シンガポールは、世界の主要貿易航路の要衝に位置することはよく知られておりますが、製造業や金融業なども大変発達しておりまして、東南アジア経済の中心に位置しております。また県内の高校や大学との交流も進んでおり、傍聴にも来ていただいているとのことで大変双方向における交流が期待される地域でございます。現在シンガポールに進出している県内企業は十二社余りではありますけれども、東南アジア全体ではタイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンなどが多うございますけれども、シンガポールのお隣のマレーシアにも出ておりまして、合計しますと二百五十社ございます。これは中国へ出ている本県の企業の数二百二十三社を超えています。ですからシンガポールは東南アジアのまさにハブとして、東南アジアと地域外交を進めていく上で極めて重要な国であると認識しています。現在、訪日者数は平成二十二年度十八万人で五年前の二倍になっています。急増と言っていいと存じます。シンガポールとの交流は経済を中心に観光や学術など、さまざまな分野で拡大の可能性があると期待されます。
本年八月に、シンガポールでシンガポールの政府国際企業庁や財界関係者と東郷対外関係補佐官に会談をしていただきました。シンガポールは地域外交の重要地域であり、積極的に交流を進めるべきだという東郷補佐官からの提言を受けたところです。こうした点を踏まえまして、今月十四日、静岡市内で県内の地域企業を対象にシンガポールを中心とした東南アジア地域との経済交流を推進するためのセミナーを開催することにしています。そして県内企業の進出を支援してまいろうと考えています。またことしの八月には富士山静岡空港から仁川国際空港経由によって、教職員の、いわゆる教育旅行調査団というのがシンガポールを訪問いたしました。参加者から非常に高い評価を得ました。県といたしましては、今後シンガポールの教育旅行の目的地としての魅力を県内の学校に紹介してまいりたいとも考えております。
今後、東南アジア地域との経済を中心とした幅広い交流を促進するという観点から、現地の外部人材を活用するなどして、駐在員事務所の機能を強化しなければならないと考えています。そしてシンガポールとの多様な分野における双方向の交流の進展を十分に見極めながら、航空会社に路線の就航を働きかけてまいりたいと存じます。
その他の御質問につきましては、関係部局長から御答弁を申し上げます。
○副議長(鈴木洋佑君) 小林危機管理監。
(危機管理監 小林佐登志君登壇)
○危機管理監(小林佐登志君) 東海地震の予知観測体制の強化についてのうち、初めに現在の東海地震の予知観測体制の総検証についてお答えをいたします。
上田誠也東京大学名誉教授、ロバート・ゲラー東京大学教授は、ともに現在の東海地震の予知観測体制では問題があるとしながらも、上田名誉教授は、しかるべき予知研究や観測を行えば予知は十分可能であると述べられております。国の地震予知連絡会における各研究機関の報告によりますと、今回東日本大震災で前兆現象が観測できなかったのは、地震の震源域が海域で陸地の観測点から遠く離れていたためであるとしております。一方、東海地域において一九四四年に発生をいたしました東南海地震では前日からゆっくり地表が傾くなど、ユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界でゆっくりずれる前兆すべりが出現したことから、東海地震におきましても前兆現象を伴う可能性が高いと考えられております。また前兆現象をとらえる観測点が東日本大震災とは異なり、想定される震源域真上の陸域に高密度に整備され、気象庁により二十四時間の特別な監視が行われていることから、国においては直前予知の可能性があるとしております。
県といたしましては、地震予知は容易ではないものの前兆現象をとらえるための観測や監視体制をより充実することによりまして、直前予知の可能性がさらに増大するものと考えております。また予知できれば人的被害が劇的に軽減されますことから、引き続き海域での観測・監視体制の整備など、東海地震の直前予知の体制強化を国に積極的に働きかけてまいります。
次に、地震予知のために地殻のひずみ以外の前兆現象の研究と観測を進めることの必要についてでございます。
地殻のひずみなど地殻変動や地震活動の観測につきましては、気象庁や静岡県などが東海地域に設置をしたひずみ計や傾斜計などの観測網のデータを気象庁が二十四時間体制で監視し、前兆現象としての地殻変動や地震活動の観測を行っております。その他の前兆現象として、地磁気、地電流、地下水などの変化については、大学等の関係機関が中心となりまして地震予知の研究を推進しておりますが、それらの兆候と地震発生を関連づけるには、事象の因果関係や科学的根拠などのさらなる究明が必要であり、まだまだ研究段階にあると伺っております。
県といたしましては、地殻ひずみ以外の地震予知に向けたこのような基礎的研究と観測につきましても、地震の直前予知の可能性を高めるために必要なことであると考えておりますことから、科学的根拠と手法を確立させ、幅広い分野で予知に取り組むためにも、本県にとどまらず国家プロジェクトとしてこのような基礎的研究を支援すべきであることを国に強く訴えかけてまいります。以上でございます。
○副議長(鈴木洋佑君) 松浦くらし・環境部長。
(くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
○くらし・環境部長(松浦敏明君) ニホンジカ等による被害対策としてのオオカミ再導入についてのうち、初めにニホンジカ等による被害が及ぼす影響についてお答えいたします。
南アルプスでは、聖平のお花畑などでニホンジカの食害や踏みつけにより、ニッコウキスゲなどの消失や衰退が見られたことから、平成十年度から全域で高山植物の実態調査を実施しております。その結果、高山植物群落の減少が確認され、ライチョウなど高山植物に依存する生物への影響も懸念されるため、現在、特に被害の目立つ聖平や三伏峠などにつきましては、ボランティアとの協働により、防鹿さくの設置や植生マット等による植生回復に努めております。また富士地域においても、樹木の皮はぎなど、ニホンジカ被害は深刻な状況ではありますが、現状では森林の消失等にまでは至っておらず、富士山の世界文化遺産登録の支障となるとは考えておりません。今後、被害が拡大して世界文化遺産を目指す富士山の展望景観の維持に支障が生じることのないよう、特定鳥獣保護管理計画を策定し個体数調整を図ってまいります。
次に、ニホンジカの頭数適正化についてであります。
ニホンジカの生息頭数の適正化を図るためには、狩猟と有害鳥獣捕獲だけで毎年生息数が減少し、適正な頭数に至る状況をつくることが必要であり、そのためには県による計画的な管理捕獲の実施が求められます。このため現在策定中の新たな特定鳥獣保護管理計画の中に、狩猟期間の延長やメスジカの捕獲規制の緩和を盛り込み狩猟による捕獲の強化を図るとともに、管理捕獲による個体数の削減を図ることとしております。
具体的には、伊豆地域においては、平成二十二年度末、約二万一千頭のニホンジカが生息しており、平成二十五年度まで狩猟と有害鳥獣捕獲により四千二百頭、管理捕獲により二千八百頭と合わせて七千頭を毎年捕獲し一万頭を目指すこととしております。富士地域においては平成二十二年度末、約一万三千頭が生息しており、来年度、狩猟、有害鳥獣捕獲、管理捕獲を合わせて二千八百頭を捕獲し、富士山ろくのなだらかな地形に適した捕獲方法を検証しながら、平成二十八年度まで段階的に捕獲頭数を三千九百頭にふやしていくこととしております。南アルプス地域においては、高山植物がえさとならないよう防鹿さくを設置し、あわせて狩猟と有害鳥獣捕獲により対応することとしております。
次に、ニホンジカ等による被害対策としてのオオカミ再導入に関する調査研究についてであります。
ニホンジカが急激に増加したのは平成に入ってからで、その主な要因として狩猟者の減少や高齢化に伴う捕獲圧の低下、温暖化の影響や乱獲の反省によるメスジカの捕獲禁止などが挙げられます。アメリカのイエローストーン国立公園では、ふえ過ぎたエルクジカの捕獲のために、かつて害獣として絶滅させたオオカミを再導入したところ、エルクジカの個体数が緩やかに減少し植生も回復しているものの、アイダホ州、モンタナ州、ワイオミング州では公園から出てきたオオカミが、牛、羊、犬を捕食したとの報告があります。また近年オオカミの生息域が拡大しているヨーロッパ各地では、猟犬を使ったオオカミの追跡猟を推奨し、人への恐怖を学ばせ人身被害を防いでいるとのことです。
オオカミ再導入につきましては、中山間地域の居住者や家畜、近年増加している登山者等への安全対策、狩猟者が減少、高齢化する中で、猟犬を使う狩猟者の確保やオオカミがふえ過ぎた場合の捕獲手段、オオカミの行動範囲が広いため県境を越えた対策など解決すべき課題が多いことから、再導入の可能性については関係者の意見を聞きながら研究してまいります。以上であります。
○副議長(鈴木洋佑君) 出野文化・観光部長。
(文化・観光部長 出野 勉君登壇)
○文化・観光部長(出野 勉君) 富士山静岡空港の国際便増加に向けた取り組みと、シンガポールとの関係促進についてのうち、格安航空会社――LCCの誘致についてお答えいたします。
近年、アジア諸国において、LCCと呼ばれる格安航空会社の台頭が目覚ましく、日本の地方空港へも韓国及び中国のLCCが乗り入れを開始したほか、日本でも大手航空会社が系列のLCCを設立したところであり、低運賃でサービスを提供するLCCの就航は、富士山静岡空港の利用促進のためにも重要な要素と考えております。このため、本年九月には庁内にローコストキャリア研究会を設置いたしまして、LCCの新たな動向や我が国に乗り入れている春秋航空やエアプサンなどの経営戦略を具体的に把握するとともに、LCCが就航している茨城空港、高松空港などの状況を調査し、こうした情報を参考として、本県に即した効果的な誘致や空港の競争力を向上させる新たな施策の検討を精力的に進めているところであります。
LCCは運航コストの軽減など厳しい就航条件を求めてくる場合もありますが、富士山静岡空港の航空ネットワークを拡大し、利便性を向上させることが重要でありますことから、より具体的な就航条件等の研究や情報収集を重ねながら必要に応じて航空会社を訪問するなど、できる限り早期に新規就航が可能となるよう今後とも粘り強く誘致を図ってまいります。以上であります。
○副議長(鈴木洋佑君) 鈴木 智君。
(二十四番 鈴木 智君登壇)
○二十四番(鈴木 智君) 御答弁ありがとうございました。再質問させていただきます。
まず、地震予知に関しては、簡単に言えば、いわゆる地磁気等の前兆現象の研究についてはまだ実用化がほど遠い、基礎研究が足らないから国家プロジェクトとしてまずは取り組むべきという趣旨だと思いますが、そのことにつきまして再質問したいと思います。
「人間は行動した後悔より、行動しなかった後悔のほうが深く残る」。これはアメリカのギロビッチ博士による行動経済学の法則です。以前CMでも紹介されましたし、皆様も経験上実感されていることと思います。私も振り返れば、特に恋愛経験の中でその法則を学んできたように思います。勇気を出して告白したものの、振られてしまったときの失望は大変大きなものです。しかし告白できなかったときの後悔はさらに大きいものです。恋愛における後悔、失敗は、時がたてば笑い話、いい思い出となりますが、しかし言うまでもありませんが、地震対策においてはそうはいきません。一生背負う後悔となっております。先ほど実用化がまだ先だから、あるいは基礎研究が足らないから国家プロジェクトでやるべきとおっしゃいましたが、じゃ、いつになったら実用化するのか。逆に私が言いたいのは、そういった基礎研究が足らないからこそ、国だけでなく静岡県も全面的に応援して、一日も早く基礎研究がなされ、そして実用化することを目指してやるべきだと私は主張しているわけでございます。
御案内のとおり、東海大学海洋学部は三保の海辺にあります。当然、津波の危険を感じながら、あるいは津波の危険を日々感じるからこそ、津波が少ないながらも予知の研究をされている長尾教授らの努力は、私は県も支援するに値すると思うんですが、その点につきましてもう一度再答弁をお願いしたいと思います。
次に、オオカミ再導入に関して再質問いたします。
先ほどの答弁で、残念ながら適正数、いわゆる一平方キロメートル当たり三頭まで減らすまでの工程、あるいは目標等が示されませんでした。簡単に言えば、一応頑張ってはみるけれども、いつまでに三頭まで減らせるかどうかわからないというのが正直なところだろうと思います。先ほど伊豆地域には二万一千頭シカがいると推測されるとおっしゃいました。これを一平方キロメートル当たりに直しますと二十七頭でございます。そして先ほどの計画によれば、一万頭にまで減らすということでございましたが、一万頭まで減らしたとしても、なお一平方キロメートル当たり十三頭程度いることになるわけですから、ひたすらまだまだ適正数にはほど遠い状況であるわけでございます。私はオオカミ再導入ですべてが解決できると言うつもりは全くございません。むしろシカ被害対策が大変困難な課題であるからこそ、エネルギー政策のようにベストミックス、つまり考えられる政策や手段を総動員することが必要であり、その対策の一つとしてオオカミ再導入の可能性を県独自にでも調査研究すべきという趣旨で質問しています。
先ほど、関係者からこれからいろいろ話を聞いて調査していくというような話でございましたが、これまで関係者といえば、恐らく環境省であったりだとか、基本的にオオカミ再導入に否定的な方の意見を聞かれているから、イエローストーンの話が出ましたが、否定的なことばかりおっしゃっていられると思うんですが、私、先日ドイツのラウジッツ地方におけるオオカミ保護の取り組みについて話を伺いました。ドイツの専門家によれば、道端に設置されているカメラに歩行者が映り、自転車が映り、自動車が映る。そこに実はオオカミが映っているということでございます。ラウジッツ地方というのは――これは調べていただければわかりますが――イエローストーンのような莫大な自然が広がっているわけではなくて、それこそ小さな森と市街地が混在している地域でございます。確かにオオカミが人を襲ってはいけないということで、先ほど言ったような、オオカミが人を襲わないようなこともされているのは事実でございますが、ただ、そういった行いをしっかりやっていけば人間とオオカミは共存できるわけでございますから、そういったところをぜひ県も直接現地を伺うなどして調査していただきたいと思っております。
例えば県では、平成二十二年から二十四年にかけて、計六千万円ほどかけてシカの技術研究を行っているわけですから、環境省ですとかそういった、いわゆる文献的な調査に限るのではなく、同様に現地調査をするなどして、オオカミ再導入についても調査研究を行うべきと考えますが、できましたら知事に答弁をお願いしたいと思います。
次に、シンガポールとの便の就航についてでございますが、できる限り早期にということでございましたが、じゃ、いつごろ、できる限りといっても、それが十年後なのか二十年後なのか。正直言って二十年後では遅過ぎるわけですから、もう少し具体的な目標を伺いたいと思います。
以上、再質問といたします。よろしくお願いいたします。
○副議長(鈴木洋佑君) 小林危機管理監。
(危機管理監 小林佐登志君登壇)
○危機管理監(小林佐登志君) 地震予知に関する再質問についてお答えをいたします。
基礎実用化前の研究だからこそ県が支援すべきと思うがどうかということですが、我々決して、基礎研究レベルだから国家プロジェクトでやるべきだと言ってるわけではなくて、やはりこの地震予知というのは、いろんな人たちの英知を集めてやってこそ新しい分野に挑戦できるものだと思っておりますので、ぜひ我々としても、そういった動きと連動しながら、うちのところには――先ほど知事の答弁にもございましたように――防災コンソーシアムという六大学が連携した組織もございますので、そしてその中では、東海大学の海洋学部、そして静岡大学でそれぞれの新しい方法で地震予知の取り組みをしています。ですからそういったものを一緒になって応援をしていきながら、それからいろいろな新しい、国内で取り組まれる、そういった地震予知に関する情報等も集めながら、今国がやっているのは、主にひずみ計を観測して、そのひずみ計の異常に基づいて地震予知をするという、そういうだけの形になっていますので、そうではなくて、もうちょっといろいろな角度から、我々も地震予知に対する取り組みというのはあっていいと思っていますので、ぜひ静岡県としても、そういう観点から、我々がそういった研究の中で支援できるものがあれば、それは積極的に支援をしていくことによって、地震予知の可能性が少しでも高まっていただければ県民の安心にもつながりますので、ぜひそういった取り組みをしてまいりたいとかように思っております。以上です。
○副議長(鈴木洋佑君) 松浦くらし・環境部長。
(くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
○くらし・環境部長(松浦敏明君) ニホンジカ等による被害対策としてのオオカミの再導入についての再質問についてお答えをいたします。
先ほど、伊豆地域におきましては一万頭を目指すということでございましたけれども、一万頭になった段階で、これは狩猟と有害鳥獣捕獲ということでもやっておりますので、それによって適正な生息密度に移っていくというのが、これが一万頭まで捕獲すれば、一万頭の段階までなれば、後はそういった狩猟方法で適正な生息密度に移っていく。そういう見込みのもとに、一万頭という目標を二十五年度までに達成するように努めてまいります。
それから、調査研究についてでございますけれども、これにつきましては関係者の意見を聞きながらということで、まずは研究を進めてまいりますけれども、関係者というのは日本オオカミ協会もございますでしょうし、それから知床国立公園でエゾシカということもありまして、知床国立公園にオオカミを導入できるかどうかという、そういったことを研究している過去の事例もございますので、そういったものも見ながら研究をしてまいりたいと思います。オオカミは移動範囲が八百キロ移動するというふうに言われています。そうしますと、静岡県、ここが日本の本州のほぼ真ん中でございますので、北は青森、西は山口ということで、これは長崎県議会でも御議論があったということは伺っていますが、単に一県だけで済む話ではないと思います。またそういった場合の、導入した場合の後の管理のコストという、そういった面についての研究はまだなされていないということも伺っておりますので、そういったことも含めながら研究というのは考えていかなければいけないというふうに考えております。以上であります。
○副議長(鈴木洋佑君) 出野文化・観光部長。
(文化・観光部長 出野 勉君登壇)
○文化・観光部長(出野 勉君) LCCに関する再質問についてお答えいたします。
現在シンガポールには、いわゆるLCCと呼ばれている会社が二つあると思うんです。ジェットスターアジアというのとタイガーエアウェイズと。日本に今就航しているのはジェットスターアジアが――カンタスグループが経営してるわけですけれども――これが二〇一〇年七月から関空と台北、シンガポールというのを行っております。
いわゆる就航先としてのシンガポールということですけれども、先ほど知事が御答弁申し上げましたように、シンガポールから日本に来るお客さんは五年前に比べると倍増しているということですけれども、二十二年度に十八万。このうち本県にお見えになっている方が大体五千六百人ぐらいというふうに推計されております。就航条件等をLCCの場合はかなり厳しい条件も出してくるということもございますし、その辺の研究をしながら、場合によっては今現在日本に就航しているジェットスターアジアにつきましては、東南アジア駐在員を通じながら状況を見ながら、就航できる余地があるのかどうか。エアラインのほうの事情として、いわゆる採算ベースに乗るかどうかというのが特にLCCの場合は重要でございますので、こういったものも研究しながら、先ほど申し上げたように、できるだけ早期にということで、いつまでというのは相手があることですのでなかなか言えないわけですけれども、非常にシンガポールというのも就航先としては重要な地域というふうに考えておりますので、できるだけ早期に詰めていきたいというふうに考えております。以上であります。
○副議長(鈴木洋佑君) 鈴木 智君。
(二十四番 鈴木 智君登壇)
○二十四番(鈴木 智君) では手短に再々質問をさせていただきます。
先ほど危機管理監のほうから、応援はすると、支援できることは支援するとおっしゃっていただきましたが、かけ声では応援にはならないわけですから、具体的なことを幾つかお尋ねしたいんですが、例えばですよ、応援できることは応援するということですから、先ほど来質問しています長尾教授によれば、年間五千万円もあればかなり進むと言っているわけですから、それが本当に不可能なのかどうか。あるいは、先ほど地震防災センターを強化するとありましたが、強化の中に例えば前兆ひずみ以外の前兆を研究する研究員を一人とか二人とか置いておくことは可能なのかどうかお尋ねします。
それから、シカにつきましては、関係者から、しかもオオカミ協会の方からもお話を聞いていただけるということでしたが、やはり人を呼んで聞くだけじゃ、なかなか実態はわからないと思います。先ほど来イエローストーンの話が出てきましたが、もう一度、できればイエローストーンにも行っていただいて、そして私が先ほど紹介しましたドイツのラウジッツ地方にも行っていただくなど、まずは自分たちの目で確認していただきたいと思いますが、その点につきまして御答弁をお願いいたします。
○副議長(鈴木洋佑君) 小林危機管理監。
(危機管理監 小林佐登志君登壇)
○危機管理監(小林佐登志君) 地震予知の関係の再々質問についてお答えをいたします。
長尾先生の研究への助成はどうなのかというお話がございましたが、そういった個別のものはまた全体を考える中で検討していくことになると思います。
地震防災センターの強化につきましては、これから地震防災センターの機能そのものを見直していきたいという考え方を持っていまして、今、内部的に検討を始めておりますので、そういった中で、今、実は地震学会そのものが、もう予知そのものについても、今回の東日本大震災を予想できなかったということで大変ショック状態にありますので、こういったものが、だんだんまた普通になっていって、またもう一度チャレンジしようということになってくれば、予知についても、また新たなそういった動きも出てくるかもしれませんので、そういうようなアンテナを高くして、できればそういったものを、静岡県の東海地震だけが日本の中で唯一予知できる地震だと言われておりますので、ですから、そういったものにちゃんと沿った形で、いろいろなチャレンジができるように検討してまいりたい、かように思っております。以上です。
○副議長(鈴木洋佑君) 松浦くらし・環境部長。
(くらし・環境部長 松浦敏明君登壇)
○くらし・環境部長(松浦敏明君) オオカミの再導入についての再々質問についてお答えいたします。
先ほど出ましたイエローストーンの国立公園では、このオオカミの導入によって当初のもくろみでは、五%から三〇%ぐらいのシカが減るということを想定しての導入のようでございますが、文献によりますと、そこのところはまだ効果がよくわかっていないというのが今の研究のようでございますので、議員御指摘がありましたように、現場を見るというのも大変重要でございますので、機会が得られれば現地まで出かけてみたいと思います。以上であります。