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平成26年6月議会一般質問(平成26年6月27日)

質疑・質問事項
1 「明るい人口減少・高齢化社会」実現のための取り組みについて
(1) 慎重かつ長期的な財政見通しの策定
(2) 「明るい人口減少・高齢化社会」の実現を目指した長期ビジョンの策定
(3) 北海道夕張市への職員派遣
2 県産木材の利用拡大と大型木造建築の普及につながるCLT(直交集成板)の導入促進について
3 草薙総合運動場新体育館における長期利用を見据えた取り組みについて
4 公共の福祉を守るための脱法ドラッグ規制強化策について

○二十四番(鈴木 智君) ふじのくに県議団の鈴木智です。分割方式で質問いたします。
 最初に、明るい人口減少・高齢化社会実現のための取り組みについてのうち、慎重かつ長期的な財政見通しの策定について伺います。
 県の当初予算案とともに示される財政の中期見通しは、前提として内閣府が試算した経済成長率を用いています。これまで内閣府の試算では、今後の経済が順調に回復、成長した楽観的なシナリオとそうではない慎重なシナリオなど二つ以上のケースを想定しています。過去の県の中期見通しでは平成二十一年と二十二年は順調回復と底ばい継続の二つのシナリオを、二十三年から二十五年までは内閣府のシナリオの中でもより慎重なシナリオを前提にしてきました。ところがことしの中期見通しでは、内閣府のより楽観的な経済再生ケースを試算の前提にしています。基本的な考え方として、財政の見通しを試算する際にはより慎重な想定をすべきではないでしょうか。例えば人口がほとんど減少していない大阪府はことしの中長期試算では内閣府のより慎重な参考ケースを用いています。
 既に急激な人口減が始まっている静岡県はどうして大阪府よりも楽観的なのでしょうか。さらに問題なのは、ことしの中期見通しが前提としている経済再生ケースは実現可能な前提というよりも政府が目標としている経済成長率の達成を前提とした楽観的なものである点です。経済再生ケースでは平成二十五年度から三十四年度の平均の実質成長率を二・一%としていますが、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によれば平成二十五年から三十四年の十年間で合計四百四十万人以上、約三・五%の人口減少と約三・一%の生産年齢人口の割合の低下が予想される中で、そうした高い成長率の実現は実に困難であると考えます。ちなみに元日本銀行副総裁で現在内閣府の「選択する未来」委員会の会長代理である岩田一政氏が理事長を務める公益社団法人日本経済研究センターが作成した中期経済予測最終報告では、労働力人口の減少等も反映した結果、平成二十三年から二十七年の平均の実質成長率は一・〇%、二十八年から三十二年は〇・九%、三十三年から三十七年では〇・七%となっています。
 県には独自の将来人口推計があるのですから、政府の楽観的な見通しをうのみにするのではなく、もう一つの参考ケースや民間の予測も取り入れながら、人口減少や高齢化の影響も加味した慎重かつ現実的な中期見通しを来年度の予算編成に当たっては策定すべきと考えますが、今後の方針を伺います。
 加えて、昨年の一般質問でも述べましたが十年以上の長期見通しも早急に策定すべきです。例えば大阪府では独自の財政運営基本条例に基づいて二十年間の中長期試算を行っています。また欧米諸国は五十年から七十五年程度の長期財政推計を定期的に公表しているのに対し、我が国はこれまでそうした取り組みを行ってきませんでした。しかし今年の四月二十八日、財務省の財政制度等審議会が平成七十二年度までの長期財政推計を公表しました。五年間の中期見通しであれば楽観的ケースと慎重ケースでも大差がないかもしれませんが、十年、二十年ともなれば大きな差が出てきます。将来人口推計はまさにそうです。中期見通しだけでは将来予想される問題から目をそらし抜本的な対策の先延ばしにつながりかねません。今後の厳しい財政状況を乗り切るには行政サービスの縮減や増税等が避けられませんが、それには県民や企業の理解を今から得ていくことが重要です。そのためにも長期の財政見通しを早急に策定すべきと考えますが、今後の取り組みを伺います。
 次に、明るい人口減少・高齢化社会の実現を目指した長期ビジョンの策定について伺います。
 県の有識者会議の委員になる予定の増田寛也氏が座長の日本創成会議は、先月五月八日に公表した提言の中で次のように述べています。「人口減少問題には、長期的かつ総合的な対応が不可欠である。このため、例えば二十年間程度を視野に置いた『長期ビジョン』を策定し、それに基づき、子育て支援だけでなく、産業・雇用、国土形成、住宅、地方制度など総合的な取り組みを内容とする『総合戦略』を推進していくことが適当である」。長期ビジョンは、まずは国が策定すべきものです。しかし日本創成会議は、地域によって人口をめぐる状況は大きく異なり、施策の内容も変わってくる。地域の問題は地域で決めるという考え方のもとで、地域みずからも長期ビジョンを早急に策定すべきとも述べています。国の長期ビジョンを待っていてはさらに対応がおくれます。一昨年の一般質問で紹介した大阪府の人口減少社会白書は、そうした長期ビジョンの策定につながる取り組みです。
 また、次に紹介する北海道夕張市では全国で初めて二十年後に人口が半減することを前提とした夕張市まちづくりマスタープランを市民と協働して策定しています。静岡県も、前述の長期財政見通しの策定と同時並行で他のモデルとなるような長期ビジョンの検討を直ちに始めるべきです。
 さらに、長期ビジョンの策定に当たっては三つのメッセージを明確に打ち出すことが不可欠と考えます。一つは将来人口推計が示すように少なくとも今後数十年間は人口減少は決してとまらないという現実です。二つ目は関連しますが、数十年間は人口が減少し続ける以上、現在の人口もしくはそれに近い人口の実現を近い将来の目標として目指すことは非現実的だという現実です。そして三つ目は人口減少や高齢化が進むと大変だ。だから何とかとめようという夢のないメッセージではなく、人口減少や高齢化が進んでも社会の仕組みや価値観を変えていけば明るい人口減少・高齢化社会は実現できるという積極的なメッセージです。なぜなら一昨年の一般質問でも述べましたが、人口減少社会の到来は決して負の影響ばかりではなく我が国が戦後経済的には豊かになる一方で失ったものを取り戻す大きなチャンスにもなり得るからです。また人口減少問題は国内的な議論に終始しがちですが、世界に目を転じれば既に人口は七十億人を超え、今なお四・五日ごとに百万人の割合で増加しています。米国のジャーナリスト、アラン・ワイズマン氏は、著書「滅亡へのカウントダウン」の中で、人口爆発に直面する現代において、知的で教育水準の高い日本は、限界を超えない範囲で、安全かつ賢明に暮らすことへの転換へと世界を導く最初の国になると述べています。人口減少・高齢化社会の現実や変革の必要性とともに、人口減少は多くの健全な利点や本当の豊かさをもたらし得ることを説明し、夢のあるメッセージを打ち出すことができれば、静岡県の将来に希望を持ち静岡県で結婚して子供を産み育てようという若者がむしろふえるのではないでしょうか。
 県は既に部局長から成る人口減少問題対策会議を設置し、来月二十二日には人口減少対策に関する有識者会議を立ち上げます。そうした会議で以上の三つのメッセージを込めた明るい人口減少・高齢化社会の実現を目指すための長期ビジョンを策定すべきと考えますが、今後の方針を伺います。
 次に、北海道夕張市への職員派遣について伺います。
 明るい人口減少・高齢化社会を静岡県に実現するための取り組みとして、県の優秀な職員を夕張市に派遣することを提案いたします。なぜなら前述のように人口減少を前提としたまちづくりプランを策定し、明るい人口減少・高齢化社会の実現を目指している対策先進地がまさに夕張市だからです。夕張市は日本で唯一の財政再生団体です。企業でいえば倒産し現在再建中の自治体です。そんな夕張市を政府はこの五月、地域活性化モデルケースに選定しました。一度倒産した夕張市は今では最先端の取り組みを進めているのです。
 夕張市が倒産した大きな原因は、まず急激な人口減です。炭鉱で栄えたピーク時の昭和三十五年には約十一万七千人が夕張市に住んでいましたが、それから半世紀で一割以下の九千七百人ほどにまで減ってしまいました。一方で炭鉱から観光の町への転換等のために多額の財政支出を行った結果、膨大な借金を抱えてしまったのです。人口減と借金増という点では全国の自治体や国も同様の問題を抱えています。つまり夕張の現実は静岡そして日本のあしたなのです。そうした課題先進地である夕張市に職員を派遣することは、夕張市の支援とともに県にとっても財政再生団体の現実や今後の取り組みについて学ぶことにつながります。まさに岩手県への職員派遣が現地の支援だけでなく、県の今後の防災にも大いに役立つことと同じです。
 県内では既に浜松市と裾野市が夕張市に職員を派遣してきました。県も来年度から派遣すべきと考えますが見解を伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(多家一彦君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 鈴木智議員にお答えいたします。
 明るい人口減少・高齢化社会の実現を目指した長期ビジョンの策定についてであります。
 人口減少対策は、複合的な要因の分析を行いあらゆる分野の施策を総動員して取り組む必要があると考えております。このため来月二十二日に、先ほど御指摘のとおり上智大学の鬼頭宏先生を座長にいたしまして、また日本創成会議、このたび御報告をなさいました責任者の元総務大臣の増田寛也さんにも御参加いただきまして有識者会議を立ち上げます。そこで地域別や男女別の人口動態と要因分析の結果などを多角的に検証していただいた上で御提言をいただくことになっているわけです。その提言を踏まえて我々も別の会議、産業成長戦略会議における議論も踏まえて短期、中長期の両面からのビジョンを策定しようというふうに考えています。
 ただ、そういう御提言がどのようなものになるにせよ、やるべきことはあります。例えば安心して子供を産み育てられる環境を整備する、経済の活性化を図り雇用を創出する、高等教育機能を充実させる、安全・安心な県土づくりをするなどのことです。また人口減少はここ数十年は避けられないということでございますので、それへの適応戦略として減少下においても持続的な成長ができる社会の生産性の向上を始めなければなりませんし、社会の生産性の向上というのは組織も含めての効率化を図るということでございますが、少子高齢化の進行に対応した高齢社会になっても健康寿命を享受できるといったライフスタイルの提言。またそうした地域のあるべき姿の提言。人口減少社会に適応した行政システムの構築など、こうしたことはやらねばならないことでございます。
 議員は、人口が減少していく中で静岡県の人口は私は三百七十七万六千人がふじのくにとしてふさわしいと思っているんですけれども、そうした目標を立てることは非現実的だということでございました。しかし一方で、合計特殊出生率についての目標は明確に二・〇と掲げているわけでございます。それは若い人たちが二、三人は子供が欲しいという、そういう御希望のもとで社会に巣立たれていくと。その目標をかなえてさしあげたいということから、たとえ絶対人口が減るにしても家庭を営み二、三人の子供に恵まれると。そういう目標として二・〇というのを掲げているわけでございます。
 どのような提言が出るか、あるいはどのような検証結果が出るかということでございますけれども、はっきりしているのは合計特殊出生率が一番低いのは東京だということです。東京は一・〇余りです。日本全体の人口減少の足を引っ張っているのは東京ではありませんか。したがって東京的なライフスタイルというものと決別する必要があるというふうに考えております。東京というのは学歴も高い人が多くて男女共同参画が最も進んでいるかと存じますけれども、そうした中で、例えばその検証結果の中でなぜ男の子が草食系になるのかと。先生のようにたくましいように育たないのかということなのでありますけれども、その一つの原因は思春期、十五、六歳から二十前後までの時期に女性のほうが早く成熟するという、これは生理学的な生物学的な現実があって、それが実際上学校の成績などにあらわれるわけでございます。そうしますと同年齢の男の子より自分のほうが成績が高いわけですから、およそ男の子を尊敬するというふうなことがなかなかできにくい。また少子化の中で親御さんが、特に母親が男の子を甘やかすということで、なかなかたくましい智先生のような青年に育たないということがありますので、ひょっとすると思春期における男女共学は一度やめてみてはどうかと。男の子は男の子、女の子は女の子で大学に入って初めて一緒にするとなれば、その思春期における夢や憧れを誘う、お互いの尊敬、憧れという念が深まるということもあろうかと存じます。また母親の方々が男の子にべたぼれすると、べたぼれというかべたべたして大学の入学式にまであるいは卒業式にまでついてこられるという、一人前になかなかなれないようなそういう家庭スタイルについても、おじいちゃん、おばあちゃんがもっとしっかりと母親に対して、孫の男の子をしっかりと鍛えなくちゃいけない。ますらおぶりが今必要とされているのではないかと。こうした検証結果が出る可能性もあります。
 私は総じて、これはもうポスト東京時代を開くということで、静岡県ならばそれができ得ると。例えばこのたび宝塚で花組のトップになった明日海りおさんは、この雙葉の女子の学校の出身者なのであります。ですから女子高、女子中学、また男子中高といったものの特性も改めて見直すときが来ているのではないかと。今、小中学校、中高の一貫教育ばかりが言われていますけれども、男女の関係をもっと大事にするためにどういうふうにすれば思春期を男の子らしく、女の子らしく、しかも両方がその特長を生かして社会に出ていけるかということも考える。そういうライフスタイルも考えるべき時期に来ているというふうに思っているわけでございます。
 県民誰もが明るい展望を描くことのできる戦略ビジョンを全国に先駆けて、この点に特段の御関心と戦略をお持ちの鈴木智先生のお知恵も借りながらつくり上げてまいりたいということで、全力で取り組んでまいりますのでよろしくお願いいたします。以上であります。
○議長(多家一彦君) 下山経営管理部長。
(経営管理部長 下山晃司君登壇)
○経営管理部長(下山晃司君) 明るい人口減少・高齢化社会実現のための取り組みについてのうち、慎重かつ長期的な財政見通しの策定についてお答えいたします。
 当初予算編成にあわせて毎年度試算する財政の中期見通しの経済成長率については、ここ数年は内閣府の試算で示された複数の経済に関するシナリオのうち、より慎重なシナリオを採用してまいりました。ことしの内閣府の試算は、経済に関するシナリオとして三本の矢の効果が着実に発現する経済再生ケースが示され、より緩やかな成長経路となるケースについては今回は参考にとどめられました。このため二月に公表した平成三十年度までの中期見通しでは経済再生ケースの成長率を採用いたしましたが、これは総合計画の後期アクションプランを積極的に推進し、産業の再生や活性化を図る本県の平成二十六年度当初予算の考え方と一致するものであります。来年度の中期見通しにつきましては経済成長率は従来どおり内閣府の試算を採用するといたしましても、議員から御指摘のありました、緩やかな成長でより厳しい財政状況を見込むケースも含め、試算方法について検討いたします。なお長期の財政見通しにつきましては、県の歳入の根幹であります県税や地方交付税が国の税制改正、地方財政対策の動向により大きな影響を受けますことから、五年程度を期間として推計することが妥当であろうかと考えております。
 今後も、将来にわたり健全な財政運営を図るため、人口の減少や高齢化の進展の加速など社会構造の変化を踏まえた適切な中期見通しの策定に努めてまいります。
 次に、北海道夕張市への職員派遣についてであります。
 時代の変化に即応しより質の高い行政を推進していくためには、行財政運営に精通し幅広い視野から判断ができる人材の育成が極めて重要であります。このため厳しい定員管理の中にあっても、研修目的や内容を精査した上で県の職場では得がたい経験ができる団体を選定し積極的に職員を派遣することを基本方針として、国や民間企業等への派遣を行っております。例えば国の省庁では全国レベルの幅広い視野や政策立案のノウハウを、大学院等では高度な専門的知識を、民間企業では効率的な業務運営手法をそれぞれ習得し、他県や県内市町では行政と住民の多様なかかわり方を実地で体験しております。
 全国で唯一の財政再生団体である夕張市は地域再生と財政再建の両立を目指した市民との協働による新しいまちづりに取り組んでおり、厳しい財政状況下での知恵と工夫を結集した住民参加型の施策は学ぶべきところがございます。職員の資質向上や施策の推進に資する研修先は多種多様でありますので定員管理上可能な範囲内で優先順位をつけざるを得ませんが、夕張市などの先駆的な取り組みを進める団体への派遣につきましても派遣方針に基づき検討してまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 二十四番 鈴木智君。
(二十四番 鈴木 智君登壇)
○二十四番(鈴木 智君) 御答弁ありがとうございました。
 夕張市への職員派遣について一点要望と、あと慎重かつ総合的な財政見通しの策定及び長期ビジョンについて再質問させていただきます。
 まず、夕張市への派遣については、これは前向きに検討していただけるということでありました。御承知のとおり、今市長をしております鈴木直道さんはもともとは東京都の職員でございましたので、その点も含めて御検討いただきたいと思います。
 では再質問いたしますが長期見通しは必要ないと。五年間で十分ということでございましたが、ことしの一月に公表された方針ファシリティマネジメントの実施に向けての二十六ページに、県有施設の総量適正化、人口減少社会に対応した適正な施設総量へという文言がありますが、どれくらいが適正な総量と判断するには、まず需要がどれくらい減るか。つまり人口がどれくらい減るのか知る必要があり、また人口減少においてどれくらい財源が減るのか。一方どれくらいの支出がこれから必要になるのか等を推計する必要が当然あるはずです。またこの三月に策定されました行財政改革大綱の四十ページには、将来にわたって安心な財政運営の堅持とありますが、五年先の財政見通ししかないのにどうやって将来にわたって安心と言えるのでしょうか。同じく三月に公表されました社会資本整備重点計画でも、五ページで人口減少と少子高齢化が進行するから大変だという趣旨のことが書かれておりますが、例えば財政的にはどのように大変なのかは全く示されておりません。やはり大阪府のような長期見通しが必要だと考えておりますが、この点について御答弁いただきたいと思います。
 次に、長期ビジョンにつきまして知事のほうから御答弁いただきました。私も東京が足を引っ張っている、あるいは東京のライフスタイルと決別すべきという考え方には全く同感でございますが、ただよく考えますと人口が多いほうがいい、多いほうが効率的だという考え方の象徴が私は東京への一極集中ではないかと思っております。私、いつもこのように考えております。人口減少が続くと大変だから何とかとめようという議論は、例えばこのまま体重が減り続けると服がだぶだぶになるから、何とか体重をふやそう、つまり体型を服に合わせようとすることと私は同じじゃないかと考えております。その体重が理想的で健康的ならいいんですが、今の日本の人口を体重に例えれば、ちょうど私のように少し太り過ぎだと言えると思っております。一見健康に見えるかもしれませんが、私も腰痛があったり体脂肪率が高かったりといろんな問題を抱えております。少し痩せたほうがより健康的になるのですから、少し痩せた上でその体型に合わせた服を着るようにすべきと思いますし、日本や静岡の人口もそのように考えてもいいのではないかと思いますが、知事の再答弁をよろしくお願いします。以上、答弁を求めます。
○議長(多家一彦君) 下山経営管理部長。
○経営管理部長(下山晃司君) 再質問にお答えをいたします。
 財政を預かる立場において、より長期的な見通しを持った運営がなされるべきであるという御指摘かと思います。まさにそのとおりだと思いますが、一方で五年程度の見通しに用いました算式をそのまま十年に置きかえて見通すということでは信頼のできる見通し、あるいは説得力のある見通しとも言えないかと思います。いかにして信頼のできる見通しを試算するのか、またそれをいかにして活用するのか手法と活用の両面において研究が必要かと思います。今後研究してまいりたいと思います。以上であります。
○議長(多家一彦君) 白井企画広報部長。
○企画広報部長(白井 滿君) 明るい人口減少・高齢化社会の実現を目指した長期ビジョンの策定についての再質問にお答えいたします。
 今月二十二日から立ち上げる有識者会議におきましては本県の人口の減少、さらには将来推計等についてもお示しをした上で明るい展望の開けるビジョンを検討していただくことになります。その際には本県における過去の経済成長の状況等も照らし合わせながら適正人口についての御議論もあるかと思いますので、そういう議論を見きわめながら県としてのビジョン策定に反映をさせてまいりたいと考えております。以上です。
○議長(多家一彦君) 二十四番 鈴木智君。
(二十四番 鈴木 智君登壇)
○二十四番(鈴木 智君) 長期的な財政見通しの策定について再々質問をいたします。
 端的にお尋ねしますが、では大阪府の二十年間の中長期の試算は、これは全く当てにならないものとお考えなのかお尋ねしたいと思います。
○議長(多家一彦君) 下山経営管理部長。
○経営管理部長(下山晃司君) 私としては他県のことについてそのようには思ってはおりませんが、本県に置きかえたときにそういった長期的な見通しを立てるには相当な研究が必要だという意味でございます。議員から御指摘のありました今後の厳しい財政状況を乗り切るためには、県民や企業の理解を今から得ておく必要があると。重要であると。そういった観点に基づきまして中期的見通しを策定してまいりたいと考えております。以上であります。
○議長(多家一彦君) 二十四番 鈴木智君。
(二十四番 鈴木 智君登壇)
○二十四番(鈴木 智君) 次に、県産木材の利用拡大と大型木造建築の普及につながるCLT――直交集成板の導入促進について伺います。
 国が平成二十八年度の早い段階での基準の策定を目指しているCLT工法は、既に海外では十階建ての大型木造建築を可能にするなどこれまで原則として三階建てまでしか木造建築を認めてこなかった建築基準法のあり方を大きく変え得るものです。既に高知県はそうしたCLTの普及を見越して、市町や森林組合と協力して岡山県に本社がある企業の製材工場を誘致するなどの取り組みを進めています。またその岡山県は真庭市や企業、大学等と共同でCLTパネルを使用した全国初の市営住宅をことしじゅうに建設する予定です。CLTの大きな利点の一つは、構造材としては使いにくかった国産杉の使用を可能にしながらも十分な耐震性、耐火性、断熱性、遮音性を確保できることです。外国産木材が中心のツーバイフォー工法等とは異なり、CLTは木材の産出、加工、使用、そしてリサイクルまでの流れを静岡県内で完結させる、つまり地域内でお金が循環することを可能にします。またCLTパネルはプレハブのように短期間での組み立てが可能なため、後で建てかえる必要がない緊急時の災害住宅への活用も大いに期待できるはずです。こうした理由から県もCLTの導入に向けた取り組みを市町や企業等と連携して進めるべきと考えますが、今後の取り組みを伺います。
 次に、草薙総合運動場新体育館における長期利用を見据えた取り組みについて三点伺います。
 先日建設中の新体育館を視察しました。屋根を支える二百五十六本の天竜杉集成材の柱は実に力強くて美しい芸術品でしたが、完成後は一般の方は直接触れることができないと伺いました。県産木材の利用促進のためにも天竜杉集成材のすばらしさを直接感じてもらうことは重要なはずです。完成後も見本ではなく実際の柱を直接さわれることができる区画を常設すべきと考えますが、今後の取り組みを伺います。
 次に、東日本大震災では天井の耐震性が問題となり昨年七月には県の富士水泳場で天井材が落下する事故も発生しました。そこで、県産木材を多く使用した斬新なデザインの新体育館における天井等の耐震性や耐火性を長期間確保するための取り組みについて具体的に伺います。
 また、今後さらに厳しい財政が予想される以上、新体育館においても極力低コストの維持管理や補修によってより長く安全に使用することが不可欠です。現在グランシップでは外壁の落下に伴う改修工事が八億五千八百万円もかけて行われていますが、その高所作業費だけでも一億円以上かかっています。新体育館も斬新なデザインであるがゆえに、特に外壁の維持管理や補修はかなり大かがりな作業になるのではと危惧しています。
 そこで提案ですが、外壁のチェックや補修を容易にするために、例えば可動式のラダーを今から取りつけてはいかがでしょうか。グランシップでの失敗の教訓を踏まえた今後の新体育館の維持管理の簡易化やライフサイクルコスト低減化の取り組みについて具体的に伺います。以上について答弁を求めます。
○議長(多家一彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 県産木材の利用拡大と大型木造建築の普及につながる、いわゆるCLT材の導入促進についてお答えを申し上げます。
 静岡県の杉、ヒノキ人工林は毎年百万立米以上の成長がございまして、年々その資源量は増加しております。従来二十八万立米だったのを四十五万立米という目標を立てましたけれども、今はそれを超えまして五十万立米以上の受け入れ体制が整う見込みとなりました。県ではこの豊富な森林資源を活用するため、県産材の需要と供給の一体的な創造に取り組み、この成果として需要側の加工施設で真っすぐなA材と曲がりのあるB、C材を合わせて五十万立米の丸太の受け入れ体制が整う見込みとなりました。この秋には、さる大きな会社が年間十万立米以上の丸太から製品をつくるという体制も整っております。こうしたことを受け、まずは地域に精通した農林事務所と森林組合などの林業事業体の連携により森林施業の集約化や路網の整備を進めるなど、丸太を安定的に供給する体制を早急に確立いたします。議員御提案のひき板を直角に数枚重ねてつくる直交集成材、いわゆるCLTは耐震性、強度等非常にすぐれているということでございますので、中高層建築にも使用できるということでございますから、これまで進んでいなかった商業施設や集合住宅での利用が期待できるものであります。
 このため、平成二十五年度に静岡大学や県内外の製材工場と連携いたしまして県産材による試作と性能試験を実施して、県産材直交集成材――CLTが日本農林規格に定める強度基準などを満たしているということが検証されました。CLTは本県の森林資源をさらに活用する有望な方法でありますので、今後建築基準法などの整備状況や効果的な使用事例などの情報収集を行い、A材の需要の確保とあわせて県内生産の可能性を検討いたします。以上でございます。
○議長(多家一彦君) 野知交通基盤部長。
○交通基盤部長(野知泰裕君) 草薙総合運動場新体育館における長期利用を見据えた取り組みについてお答えいたします。
 草薙総合運動場新体育館は、県民スポーツの拠点にふさわしく周辺環境と調和したデザインで県産木材を可能な限り活用することをコンセプトに整備を進めております。県産木材の利用促進につきましては、屋根の主要部材となる集成材のほかスタンドやフロア等の内装材に約七千本の天竜杉を使用していることから、この木材を直接手に触れることのできる場を提供するなど県民の皆様に県産木材の利用促進を積極的に広報してまいります。また耐震性や耐火性につきましては屋根を支える部分に免震装置を設置するほか、屋根部を集成材と鉄骨との組み合わせ構造にすることによりまして、地震時に屋根が受ける力を木材だけでなく鉄骨に分散させ耐震性を確保しております。天井は屋根に直接固定することによりまして落下を防止し、木材への延焼防止対策としてコンクリート造の防火用ひさしを設け耐火性を確保しております。さらにライフサイクルコストの低減化につきましては外壁にメンテナンスの容易な亜鉛合金板を使用し、天井部には点検用通路を、また外壁部には点検補修用の命綱をつることが可能なパイプを設けることで維持管理の容易化を図っております。
 県といたしましては、県民の皆様に末永く親しまれる体育館を目指し来年春の完成に向け全力で取り組んでまいります。以上でございます。
○議長(多家一彦君) 二十四番 鈴木智君。
(二十四番 鈴木 智君登壇)
○二十四番(鈴木 智君) 新体育館につきまして再質問いたします。
 先日視察した際、資材の高騰や工期の二カ月延長により当初の予定より余分に費用がかかるということを伺いました。既に余計な経費がかかることになってしまったのですから、しっかりライフサイクルコストの低減化の視点を今から反映させないといけないと思っております。先ほどのラダーを取りつけていただくというのはそのための提案でございますが、知事もぜひ一度建設中の新体育館をごらんいただきたく存じますが、ぜひ知事のお考えもお聞かせいただければと思います。よろしくお願いします。
○議長(多家一彦君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 草薙の体育館についての再質問ありがとうございました。
 これは、今のグランシップの屋根が落ちてくるということから常に修繕ができないといけないということで、今回の体育館につきましては屋根の部分の周りにパイプが引かれまして、そしてそこに命綱をかけながら常に修繕等ができるということのようでございます。したがってこの点の御懸念は同じ方式ではありません。すなわちラダーをつけるというのはお台場のどこかのテレビ局のところにございますけれども、それとは異なる方法で修繕ができるように、後に何と言いますか、足組みをして大きな費用がかかるということのないことが考えられているので御休心賜りたいと存じます。以上であります。私は見に参ります。
○議長(多家一彦君) 二十四番 鈴木智君。
(二十四番 鈴木 智君登壇)
○二十四番(鈴木 智君) では最後に、公共の福祉を守るための脱法ドラッグ規制強化策について伺います。
 私の地元でことしの二月から脱法ドラッグ店が営業を始めました。この店は昨年まで同じ駿河区内の別の場所にありましたが、近隣住民から販売自粛を求められその後現在地に移転してきました。地元では自治会役員の皆様が立ち上がって署名を集め、四月五日には脱法ドラッグ店に販売自粛を要請、私も同行いたしました。しかし同店は現在も販売を続けています。私の地元の取り組みは、先月五月二十八日にNHK番組「あさイチ」が放映した脱法ドラッグ特集でも紹介されました。危険な脱法ドラッグをなくしていくには、まずは地域の取り組みが不可欠です。しかしながら脱法ドラッグ店が別の地から移転してきたことからも明らかなように、行政による積極的な規制もなければ地域の取り組みも十分な効果を上げにくいと考えます。
 そこで、和歌山県独自の知事監視製品制度のような規制を静岡県も行うよう強く要請いたします。
 和歌山県では知事の強いリーダーシップのもとで薬物の濫用防止に関する条例を平成二十四年十二月に施行し、独自の知事監視製品制度を実施しています。全てが条例の効果ではありませんが、条例制定前に和歌山県内に二軒あった脱法ドラッグ店は現在ではゼロとなっています。和歌山県の担当者によれば、知事監視製品制度を導入する際に苦労したのは違法ではない脱法ドラッグを規制することは、憲法が保障する経済活動の自由を侵害する可能性があるという原則論との調整でした。同様の議論は静岡県でもあるでしょう。確かに経済活動の自由は保障されなければなりません。しかしあくまでも公共の福祉に反しない範囲内であるべきです。次々と新製品が登場するために指定薬物の指定が追いつかず違法となっていないのが脱法ドラッグですが、逆に安全であると化学的に証明されているわけではもちろんありません。むしろ覚醒剤よりも強力で危険なのが最近の脱法ドラッグです。
 例えば、お酒は飲み方を誤れば健康を害し周囲に多大な迷惑をかけることから法律で規制されていますが、ほとんどの方は安全に楽しくお酒を飲んでいます。一方お香、ハーブなどと称して売られている脱法ドラッグは、実際には直接吸引など危険な方法で使用されています。その結果、使用した本人がむしばまれるだけでなく偶然近くにいた人たちが、場合によっては子供たちが幻覚等の中毒症状による交通事故や殺傷事件に巻き込まれる危険があるのです。事実、けさも大きく報道されていましたが、三日前の二十四日、脱法ドラッグを吸った男が車で歩道に突っ込み直前まで友人と食事を楽しんでいた三十歳の女性が死亡、七人が重軽傷を負う大変痛ましい事件が池袋駅前で起きました。またその前日の二十三日には、静岡駅構内の喫茶店で脱法ドラッグを吸ったと思われる男が突然奇声を上げ他の客に対し椅子を振り回す事件も発生しています。
 この五月に厚生労働省が公表した全国調査結果によれば、〇・四%の人が脱法ドラッグの経験があるということです。つまり静岡県内でも一万五千人近い脱法ドラッグ経験者がいる可能性があります。また昨年三月に同じく厚生労働省が公表した中学生対象の全国調査によれば〇・二%の生徒が脱法ドラッグ経験者です。つまり静岡県内では二百人もの中学生が既に脱法ドラッグを経験している可能性があるのです。地元の駿河区には二軒の脱法ドラッグ店がありますが、どちらも小学校から直線距離で二百メートルほどしか離れていません。危険は子供たちのすぐ隣にあるのです。
 池袋での事件のような悲劇が県内で起きてからでは遅すぎます。公共の福祉を害する脱法ドラッグをなくすために、地域との連携強化に加え和歌山県型の条例を早期に導入すべきと考えますが、今後の脱法ドラッグ規制強化策について県の本気の答弁を求めます。以上よろしくお願いします。
○議長(多家一彦君) 宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長(宮城島好史君) 公共の福祉を守るための脱法ドラッグ規制強化策についてお答えいたします。
 県では、全国に先駆けて昭和五十一年度から行っております小中高校の全校を対象とした薬学講座に昨年度から脱法ドラッグに関する項目も加え薬物の有害性について啓発を徹底してきたところです。今年度からは県薬物乱用対策推進本部委員会において脱法ドラッグ対策を重点項目とする方針を決定し、脱法ドラッグ販売店に対して頻繁な県警との合同立入調査による取り締まり強化や脱法ドラッグ製品の抜き取り検査による違法性の確認などを行っております。脱法ドラッグを規制する条例につきましては全国で六都府県が制定しておりまして、薬物の指定や販売を規制するなどのさまざまな手法で規制しております。これらの先行条例の効果と課題を検証し、条例制定については引き続き検討することとしております。
 地域との連携につきましては、静岡市内の自治会に御協力をいただき薬物乱用防止の「ダメ。ゼッタイ。」ののぼりの掲示やチラシの全戸配布などを実施することとしております。また不動産業界には脱法ドラッグ販売店と判明した場合に契約解除できる条項の導入を検討していただくなど、地域における新たな対策を行い脱法ドラッグ販売店の廃絶に向けて取り組んでまいります。
 今後とも、県警や教育委員会だけでなく地域や各種団体とも連携して脱法ドラッグ対策の強化に全力で取り組み、薬物乱用防止に向けて県全体が一丸となって厳しい姿勢で臨んでまいります。以上であります。
○議長(多家一彦君) 二十四番 鈴木智君。
(二十四番 鈴木 智君登壇)
○二十四番(鈴木 智君) 再質問いたします。
 報道によれば、池袋で事件を起こした男は直前に近くの店で購入し吸引したとのことです。私の地元にある脱法ドラッグ店も静岡駅からわずか一キロメートルぐらいしか離れていません。そして店前に路駐して購入する人を見かけますが、以前、岡山県ナンバーの大型トラックがとまっていたことも見たことがあります。つまり静岡駅等でもいつか同様な事件が起こる可能性があるということです。また、今回の池袋の事件でも、使用された脱法ドラッグから指定薬物が検出されなければ売った店は全く罪を問われません。昨日の記者会見で国家公安委員長が、脱法ドラッグという名称を変更したいと言われたということでございます。つまりは国でも何らかの新たな規制が検討されるかもしれませんが、県には早急な要請をお願いしたいと思います。
 あすには同じく駿河区の佐地議員も脱法ドラッグについて質問すると伺っておりますが、それだけ私たちの地元は大変危機感を持っております。十分な検討は必要ですが、既に和歌山県の例があるのですから大いに参考にしてスピード感を持って検討すべきと考えますが、いつごろをめどにと考えているのでしょうか、答弁をお願いします。
○議長(多家一彦君) 宮城島健康福祉部長。
○健康福祉部長(宮城島好史君) 条例の制定については、条例が実効性のあるものであることが大変必要でございます。そのためにも実際に実効性があるような条例ができるかどうか、県警のほう、また関係方面とよく相談しなければ実効性のある条例はつくれないものと考えております。議員おっしゃるように脱法ドラッグ対策は大変に重要なことと考えております。我々といたしますと、脱法ドラッグ店のほとんどが賃貸によって移転を繰り返しているというふうなことを考えますと、当面は不動産業界等に協力を得ながら脱法ドラッグ店には店を貸さないようにするような対策が大変効果的ではないかと考えております。
 条例については先ほど申し上げましたとおり関係者とよく相談しながら、実効性のある条例が制定できるかどうかについての検討を進めてまいりたいと考えております。以上でございます。
○議長(多家一彦君) これで鈴木智君の質問は終わりました。

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