前静岡県議会議員すずきさとる新聞『すずしん』web版

平成29年2月議会討論(平成29年3月16日)

○二十番(鈴木 智君) 私はふじのくに県民クラブを代表して、二月議会に提出されました全ての議案に賛成の立場から、その理由と若干の意見を申し上げ討論いたします。
 まず初めに、第一号議案「平成二十九年度静岡県一般会計予算」に関して賛成理由を申し上げます。
 ふじのくに県民クラブでは、予算編成に先立ち私たちが掲げる政策理念「命」「豊」「人」「礎」の四つの柱から成る重点政策提言を川勝知事に対し行いました。第一号議案として示された予算案は高齢化の進展に伴い社会保障関係費等の義務的経費の増加が引き続き見込まれる状況にある一方、税制改正の影響等により県税が本年度に比べ百四十億円ほど減収することが予想されるため、その歳出総額は本年度より三百五十一億円少ない一兆二千五十八億円となっています。大変厳しい財政環境の中で編成された予算案ですが、川勝県政二期目を締めくくるにふさわしい後期アクションプランの総仕上げに向けて積極果敢に編成された内容になっていると私たちは評価しています。
 例えば、私たちは政策理念の一つとして「人」を掲げています。今後少なくとも数十年にわたり人口減少や高齢化が国全体で進行する以上、将来を担う子供たちや若者に対する投資は最優先で行うべきと考え繰り返し提言してきました。その結果の一つとして来年度から三年間かけて静岡式三十五人学級編制における二十五人の下限を撤廃することを川勝知事は決断し、それに必要な県単独措置の教員四十人を配置するための予算を計上しました。この四月一日から市立の小・中・特別支援学校等の教職員の定数決定と給与負担の権限が財源とともに県から政令市に移管されます。この新制度移行に間に合う形で二十五人下限を撤廃したことは大変意義深いと考えます。
 私の二人の娘は、静岡市立の小学校、中学校に通っていますが、川勝知事や県教育委員会の少人数教育の充実にかける熱意が今回の決断により静岡市や浜松市にもしっかり引き継がれるものと大いに期待しています。
 また、現在国会では所管する学校に学校運営協議会を設置すること、つまりコミュニティスクールとして指定することを教育委員会の努力義務とするための法律改正案が議論されています。コミュニティスクールのような社会総がかりの教育の推進は、会派としての政策提言に加え私も一般質問で提案をしています。二十九年度予算案ではコミュニティスクールディレクター増員のための事業費等が計上されており、国の動きを先取りした取り組みが県内全市町で進むことを心から期待するばかりです。
 時間の関係上この二点にとどめておきますが、二十九年度予算案は全体としてもふじのくに県民クラブの政策提言を大いに反映した編成となっており賛成することを重ねて表明いたします。
 次に、第三十三号議案「静岡県障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例」に関して賛成理由を申し上げます。
 昨年十二月に発表された県内の民間企業による平成二十八年六月一日時点での障害者実雇用率は、前年比〇・〇四ポイント増の一・九〇%で四年連続で過去最高を更新しました。また法定雇用率の二%を達成した県内企業の割合も前年比で二・〇ポイント増の五一・四%でした。しかし他の都道府県との比較では実雇用率で全国三十四位、法定雇用率の企業達成割合では三十八位と低迷しています。こうした状況を改善するには本条例案の前文で掲げられているように障害の有無によって分け隔てられることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、企業だけでなく全県民が努力することが不可欠です。本条例の制定はそうした取り組みが促進されるきっかけとなるものであり、私たちも一県民として努力する決意も込めて賛成いたします。
 次に、意見を三点申し上げます。
 最初に、来年度予算案に計上されました県立磐田学園改築整備事業費に関連して申し上げます。
 先日、私たちも磐田学園を視察し建てかえの必要性を痛感いたしました。しかし建てかえられるのは磐田学園の施設のみであり併設の浜松特別支援学校磐田分校校舎はもうしばらく使用を続けるとのことです。両施設の同時建てかえのほうが結果的にコスト縮減できる可能性があるとともに、両施設の児童と教職員の皆さんが建てかえ工事に伴う騒音や不便さ等に煩わされる期間もより短くなるのではないでしょうか。今後も老朽化した施設の更新が次々と必要になってきます。限られた予算の中で適切に老朽化対策が行われるよう、コスト縮減の取り組みを部局の枠を超えてさらに推進されることを強く要請いたします。
 次に、同じく来年度予算案に計上されている東静岡周辺地区「文化力の拠点」の形成検討事業費に関して申し上げます。
 教育委員会で同時に進んでいる図書館機能増設の検討も含め有識者による議論が既に積み重ねられていることは理解いたします。しかしかなり大規模の施設整備事業が構想されているにもかかわらず具体的な事業費の見込みについてはいまだ示されていません。また民間資金の導入が不可欠であるにもかかわらず、そのための調査検討も不十分のようです。パブリックコメント等の次の段階に進む前に財政的な裏づけのある議論を十分に行うよう要請いたします。
 最後に、来年度予算案の執行責任について申し上げます。
 私たち県議会議員も提案された予算案を可決する以上は相当の責任を有します。可決後も予算が適切に執行されるよう本会議や委員会での議論を通じて確認し提言することは、県議会議員としての責任を果たす上で不可欠です。また決算についても審査し承認する以上、予算の執行結果においても一定の責任を県議会議員は有しています。もちろん予算執行に当たっての最大の責任者は予算案の提案者であり県執行部の頂点に立つ川勝知事です。来年三月三十一日まで適切に執行されるよう最大限努力することは川勝知事の当然の責務です。
 しかしながら、川勝知事の現在の任期はことしの七月四日までです。そのため七月五日以降誰が知事として予算を執行すべきか考えを明らかにすることも予算案提案者としての県民に対する川勝知事の責任であると考えます。
 既に公表していますように、ふじのくに県民クラブでは今期三年八カ月における川勝知事の業績を五点満点で三・七点と高く評価しており、これまでの二期八年の川勝県政を引き継ぐのはやはり川勝知事であるべきと考えています。県民に対する責任として、川勝知事御自身の意思を一日も早く示されることを改めて強く要請し賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

 

※この討論の内容の一部が当日のSBSニュースで取り上げられました。

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