サイトアイコン 前静岡県議会議員すずきさとる新聞『すずしん』web版

総務委員会(危機管理部関係)議事録(平成23年7月6日)

○鈴木(智)委員
 なるべく簡潔に質問しようと思いますが、何分ふなれな新人議員なものですから多少御容赦いただければと思います。
 私は、5つのテーマに関しまして御質問したいと思います。
まず1つ目が、先ほども仁科委員が御質問されました津波監視カメラの強化についてでございます。先ほどの議論の中で300台ほどのカメラがあるというようなお話がございました。すべてが海のほうを向いていて津波を監視しているわけではないでしょうが、逆に言えば何台かは恐らく海のほうを向いていて、常に津波が発生しているのかどうか監視しているカメラだろうと思いますが。その性能といいますかそれについてお伺いしたいです。
 具体的には、海のほうを向いていて常に津波を監視しているカメラというのは、おおむね何キロ沖まで監視できているものなのか。多分水平線のところになるのでしょうが。その津波監視カメラが実際に津波をとらえたときに、その津波をとらえてそれから海岸部に襲うまで、どれくらいの時間があると予想されるのか、まずお尋ねしたいと思います。

 あと2番目、先ほど今回の補正予算の中にケーブルを危機管理センターにつなぐとかそういうお話がございましたが、ということは津波監視カメラによる監視というものは、基本的には危機管理センターにおいて24時間担当者によって行われると考えてよろしいんでしょうか。

 また先ほどの話ともつながりますが、例えば監視カメラで見た場合、その津波は映像でこれは何メートルの津波だ、しかも速度がこれくらいだから何分ごろに何メートルの津波が襲うと、どれくらいの精度で予測できるものなのかどうか教えていただきたいと思います。

 それと今回の東日本大震災におきましては、実はその第一波ではなくて25分後とか30分後に来た第二波が非常に大きな被害をもたらした可能性が高いと言われております。御承知のとおりいつか来るであろう東海地震におきましては、発生してから5分後に津波が来ると。だから5分以内に400メートル逃げろということだと思うんですが。ただ、静岡あるいは東海沖の場合では、場合によって第一波じゃなくて第二波のほうが大きい可能性もあるのかなあと思っております。ですから私が思いますのは、先ほど言った津波監視カメラだけではなく、もうちょっと中距離、長距離で監視できるシステム、これは県だけでやるべきものではないと、国の協力も得てやるべきだと思うんですが。たまたま先日新聞で、日立造船株式会社が海上に浮かべたブイを波浪計として、ふだんから浮いている物、多分その上下で測るんだと思うんですけど、人工衛星のGPSによる観測をすることで、極端な話1,000キロ沖でも津波をとらえることができるシステムを開発したという。たしか先月でしたかね、新聞に発表されていましたので県のほうも把握されていると思うんです。まだこれは実用段階ではないのかもしれませんが、そういったシステムも、これは国と共同でやるべきだと思うんですが、どのようにお考えでしょうか。

 次2番目、静岡県防災GIS情報閲覧ページについてお尋ねしたいと思います。本会議のほうで、我が会派の櫻町議員が質問したのに対しまして、この5月から新しいGISシステムの運用を開始し、こうした見える化によって、県民の方々の理解が進むと期待しているというような答弁がございました。私も実際使ってみて、ここに白黒ですけどプリントアウトしてもらいました。特に、これは海抜10メートル、5メートル、3メートル、どの範囲になるかと結構細かく出るものですから、これは非常に役立つなと思っております。ただこれを実際私使ってみたけれど、ちょっとなれないと使いづらい、あるいは速度が、わたしのコンピューターが悪いせいかもしれませんが、遅いのかなあとも思いました。特に高齢者の方は多分使いこなすのは難しいのかなと。もちろんパソコンを持っている方は実際見ていただければ結構ですが、そういった高齢者あるいはパソコンがどうしても使えない環境にある方に対しまして、プリントアウトして渡すことが必要なのかなと思うんですけど。ただこれプリントアウトしますと非常に見づらい、ましてや白黒にしたのは正直言ってコピーできる代物じゃあないもんですから、印刷することも前提においたシステムに改善をお願いしたいと思っております。
 それとあと、そもそもGISのシステムをどのように広報されているのかお尋ねしたいと思っております。

 次に、浜岡原子力発電所における使用済み核燃料プールの安全性についてお伺いしたいと思います。これも我が会派の小長井由雄議員が本会議で質問した際に2号機に保管されている1,164体の使用済み燃料の他号機への早期移動を中部電力のほうに求めている等との答弁がございました。もう少し具体的に、使用済み燃料プールの安全性について伺いたいんですが、今回、配られている先ほど説明ありました資料によれば、1号機の場合は1体だけ使用済み燃料がまだ残っているという、それがちょっとよく事情がわからないのですが、その理由というか事情をまずは御説明いただきたいと思います。

 それと、次に2番目なんですが、燃料プールは原子炉建屋の中にあるわけですから、基本的に耐震性等々はいわゆる圧力容器と一緒に考えればいいのかもしれませんが、ただプールですから、要は圧力容器よりは外に出ているわけです。放射能レベルは低いにしても放射能漏れが起きる可能性というのは、当然圧力容器に比べれば高いということで、ましてやそれがまた廃炉中の1号機、2号機に残っているわけで、当然この燃料プールの耐震性ですとか冷却システムあるいは電源等の確保についても、当然残りの3、4、5号機同様にやらなければいけないと思います。廃炉中の1号機、2号機も含めたバックアップでの燃料プールについてどうなっているのか、その他もし安全対策がとられているんであれば、その点について御説明をいただきたいと思っております。

 3番目、説明にありますように、かなりの数の使用済みあるいはこれから使う燃料棒がいわゆる燃料プールに入っているわけでございますが、その1つの大きな理由というのは、浜岡原子力発電所に限らず全国の原子力発電所にいえるわけですが、要は高レベルの廃棄物の最終処分地が決まっていない、それがやはり大きな理由だろうと思います。そこで、お答えできる範囲で結構ですが、先日の報道でアメリカの原子力の大手企業を子会社に持つ株式会社東芝が、福島第一原子力発電所の事故が起きた5月にアメリカのエネルギー省のパネマン副長官に対して以前より検討されていたモンゴルでの最終処分計画をその後も引き続き進めるよう要請していたという話がございました。モンゴルといえば、今月末、知事もそうですし県議団の方も何人か行かれるわけですけども、このモンゴルでの最終処分建設について県はどうのように考えているのか、承知している範囲でお答えいただきたいと思います。

 次に、先ほども御質問、議論がございました消防救急の広域化と消防救急無線のデジタル化についてお尋ねしたいと思います。これは先ほどの説明にありましたとおり広域化については、平成24年度まで、デジタル化については平成28年度、この平成28年度というのは使えるようにするという計画だと思うんですが。今回、あのような地震が起きたわけです。それを受けて今、いろいろ津波対策ですとか、いろいろ見直しが起きていると思うんですが、私は、消防救急の広域化あるいはこのデジタル化のタイムテーブルについても見直しをして、もし前倒しができるものについてはするべきじゃないかと思うのですが、その点について、今どのような検討あるいは見直しが行われているのかお答えいただきたいと思います。

 それと、あと地元のちょっと具体例を出したいんですが。例えば、消防の話ですけども、葵区にある追手町消防署山崎出張所あるいは私の地元でございます駿河区の石田消防署、あるいは清水区の湾岸消防署について、先ほども公共建築物の耐震化の話にございましたが、御案内のとおり耐震性のランクがⅡでございます。Ⅱというのは御案内のとおり警戒宣言が出たら入るなと、消防署なのに入っちゃいけない、本来であれば人を守るはずの建物に入っちゃいけないというのが現実でございます。これは静岡市に確認しましたら、石田消防署の場合には、静岡の消防本部も一緒にするということもありまして、そのデジタル化が終了する平成27年度末までに行うということです。ただ先ほど言いました清水区の湾岸消防署については、その後ということですが、それが平成30年になるのかよくわかりませんが、とにかく先ということでございます。これは静岡市に限らず多分ほかの地域においても同様な課題があるのかなと思います。ですから先ほどの広域化あるいはデジタル化の問題についてもそうですが、消防でしたら基本的には県の担当でなくって、市町の担当だっていうのは重々承知しておりますが、ただやはり津波ですとか地震の起きた際の救急あるいはその救命の根幹を担う消防署の建物がつぶれたりしたら、それは元も子もないわけですから、ですから県におかれましても、先ほど言った計画の見直しとともに市町と連携をして、それで助けるところは財政面も支援することでできるところはやはり前倒しをするべきだと考えますが、その点についてもお尋ねしたいと思います。

 それと、先ほど来話があります、津波対策検討会議についてお尋ねしたいと思います。4月から小林危機管理監を会長として設置されたということでございますが、当然、静岡県の課題についても話し合っていると思います。もちろん東日本大震災で何が起きたのか、何が課題になったのか、そういった議論も当然行われていると思っております。先ほど来BCPの話をしていろいろ出ていました。
 私が1つ注目したいのは、今回の東日本大震災において、現地にあった災害拠点病院にどのような被害が起きたのか、そういった検討がなされているのかというところをお尋ねしたいと思っております。というのは、例えば先ほどのGISを海抜10メートルで見てみました。それと静岡市の場合には大丈夫だったんですが、お隣の焼津市の市立総合病院は10メートルの海抜以下のところにございましたので、もちろん海抜10メートルだからといって津波が10メートルだったら襲われるということじゃないのは重々承知していますが、海抜10メートル以下のところにあるわけですから、それなりに津波対策をしていかなきゃいけないということで確認しましたら、これからするということだったんです。逆に言えば大津波が来た場合、焼津市立総合病院が使えない可能性が出てまいります。それと逆に静岡市の場合、災害拠点病院は安倍川よりも東にございますが西にございません。ですから何らかの事情で安倍川の橋が通れなくなった場合、我が駿河区の長田地区の方々は、先ほどの焼津市民病院もやられたりすると、災害拠点病院に対して、陸路でのアクセスができなくなる恐れがございます。それは長田地区の例を挙げましたが、当然他の地域におかれましてもそういった可能性が出てくるのではないかと思うんですが、そういった検討がなされているのかどうかお尋ねしたいと思います。

 最後に、同様の視点ですが、例えば津波避難ビルあるいは津波対策における警察の役割、これにつきましては、我が会派の会長の野澤委員が本会議で質問されましたけども、警察の役割あるいは津波避難ビルにつきましてどのような議論が津波対策下におかれましてされているのか、その点につきましてもお尋ねしたいと思います。
 また恐縮ですが、私の地元の話をさせていただきますと、先ほどのGISを使ってみましたところ海抜5メートル以下の地域として例えば中島とか西島の地域はそうですが、あそこには津波避難ビルが1軒だけ、中島浄化センターがございます。ただ交番がなくて、ですからそこを津波が起きた場合、ですからもちろんそれは自助・共助、自分らで逃げろということでしょうけども、いわゆる公助の部分が残念ながら今のところないということであります。警察、消防あるいは災害拠点病院、そういった総合的な対応能力強化についてこれからその津波対策会議で検討し、それを受けて強化を図っていくべきだと思うのですが、その点について御答弁いただければと思います。以上でございます。

○小川危機対策課長
 カメラのお話でございますが、今後、危機管理センターで映像を接続しますと何キロ沖まで見られるのかということでございます。今回つなごうとしているカメラは基本的に既設のカメラということでございますので、最初から何メートル、何キロ先のものをとらえてとか、そういうところを意図してやるというよりも、むしろこれから今回の補正予算の中で、調査費300万円入れてございますが、その中で既設のカメラはそれぞれどこを見ていてどういう角度で映像がとれるか、そこの調査をした上で、使える物を取り込んでいこうという流れで今考えております。したがいまして、今の時点でそういった何キロ先をとらえてというところまではちょっとお話ができません。

 それから、危機管理センターと映像をつなぐと、24時間監視体制をとるのかというお話でございますが、これにつきましてもそこまでの体制ということはありませんで、あくまで発災した場合のリアルタイムでの状況把握というのが主目的でございますので、その事前監視ということではございません。例えば、東海地震が予知されて警戒宣言が出たということで、警戒本部を設置するということになれば当然、そこで監視体制に入るわけなんですが、そうでない通常の場合でしたらば、発災のその映像で被害状況等を把握するというのが基本的な流れになるというふうに考えております。

 何分後に何メートルの津波が来るとかそういった精度的なところについても、そこまでの予測的なものを意図したカメラではないということで御理解いただきたいと思います。

○野村防災通信課長
 津波対策のカメラのことですけど、現状では国土交通省が薩埵峠に設けていますカメラ等、また熱海港に向けて熱海市が設置するカメラと、その2つは今我々がここの危機管理センターで見られます。ただそれは、あくまで海岸を見ているという感じで、遠くの津波まで向けているというわけではございません。我々はそれ以外に、割と陸地にたくさんカメラを持っています。今後ですけど、ここの資料にもございますけど、新しい防災通信ネットワークでは、いろんな中継所を置くこともでき、伝送容量がデジタル化になって多くなるですから、例えば今度は中継所を大島とか初島とかそういうところがございます。そういうところにカメラを向けて、静岡県側というか伊豆の東海岸、そういうところに向けることもできますけれど、そこら辺またちょっと研究させていただきたいと思います。以上です。

○藤原原子力安全対策課長
 浜岡原子力発電所に関する御質問についてお答えします。先に浜岡原子力発電所の1号機の使用済み燃料プールの中に燃料1体使用済みの物が保管されているこの事情についてでございます。平成21年度から廃止措置が始まっておりまして、廃止措置が始まった時点では、1号機には206体の燃料がございました。それを計画的に搬出している状況がございまして、計画を実行する上での途中経過の一段階だろうと思います。具体的に今、なぜ1体残っているのかという個別の事情については把握しておりませんが、搬出をする計画の中の一段階に今あるものと理解しております。

 それから1号機、2号機の安全対策でございます。1号機、2号機につきましても、ほかの3、4、5号機と同様にいわゆる緊急安全対策、ことしの3月30日に原子力安全・保安院から各電力事業者に対して指示をされました全交流電源の喪失あるいは冷却機能の喪失に対処するようにという緊急安全対策につきましては、1号機、2号機も行われておりまして、非常用電源いわゆる非常用の交流電源が何らかの支障が生じて使えない場合に、中部電力は災害対策用電源といっておりますが、非常用のさらに非常用の電源の確保が行われておりますし、通常の冷却水による冷却ができない場合の代替注水による冷却の対策もこうじられておりまして、福島第一原子力発電所でございましたような最悪の事態は避けられる。いわゆる使用済み燃料プールの水位が低下して露出してそこから水素が発生するような、炉心燃料の損傷、水素の発生等に対する対処はできております。これにつきましては国のほうも、5月6日に評価をしているところであります。2号機につきましては、中部電力のほうから説明を受けているところでは、仮にプールの冷却水の循環ができなくなったとしても55℃程度、もし原子炉建屋の空調設備も稼働しないとしても70℃程度までしか水温は上がらないだろうと、これは実験の結果としてこのように結果が得られているということで説明を受けておりまして、プールの中に水があれば、いわゆる100℃を超えて沸騰するということはないような状態まで2号機の燃料につきましては冷却が済んでいるものと理解しております。

 それから3点目のモンゴルに最終処分するですか、株式会社東芝のほうがどういうことをお考えになっているかは新聞報道でだけしか承知しておりませんので、これに対する県の見解というのは特に持ち合わせておりません。本来ならば青森県の六ヶ所村で中間処理をして、再処理をして燃料サイクルを構築していくというのがこれまでの考え方だと思います。最終処分場については候補地をこれから選んでいこうという時点かと思います。これまでの政府の考え方としては、国内でそういう核燃料のサイクルを構築していくということで考えていたかと思いますので、それを外国で処分するというのは、これまでの政府の考え方の中にはなかった事柄だろうなと思います。その辺また情報を収集しながら考えてまいりたいと思います。以上です。

○永江消防保安課長
 消防救急の広域化、無線のデジタル化の関係の御質問にお答えします。委員御指摘のとおりこういった大きな震災があって広域化を前倒しするときではないかということは大変よくわかります。ただ、先ほどお話ししたとおり広域化の期限、国の目標は平成24年度末ですので、基本的には今23年度ですので、今から前倒しというのも非常に難しいということであります。どこも平成24年度末の目標に頑張っているという中で静岡市消防だけがデジタル化を踏まえて平成28年度からの広域化ということです。これは委員のほうの御説明にもありましたとおり新本部の移転、それから石田消防署の移転、それから司令センターの再構築、デジタル化といろんな要素がありまして、ことし基本的な設計をやっていまして、来年度から実施設計、整備というようなスケジュールになっていると聞いております。そういう中でなかなか前倒しというのは難しい状況だとは思いますけれども、こういう御質問がありましたので、政令市並び関係市町にこういった要望があったということはお伝えをしたいと思います。

 静岡市の広域化について何かしら支援ができないかというお話ですが、庁舎の移転等については、基本的には市町が起債して財源を確保して行うということになりますけれども、デジタル化それから司令センターの整備については、県としてもできる限りの支援をしてまいりたいと思います。特にデジタル化につきましては、多額の費用がかかりますので国のほうへ財政的支援を強く求めていきたいと考えています。以上です。

○近藤危機情報課長
 まずGISにつきましてお答えいたします。なかなか高齢の方は慣れない、あるいはプリントアウトした場合に使いにくいというふうな、まさにユーザーの御意見でございますので、ちょうど今開発をしながらいろいろ直しておりますので、鈴木委員の利用法の御要望についてもこの改善の中で組み込んで検討してまいります。
 GISの広報につきまして、自主防災新聞を全戸に回覧、場所によってはお配りをしています。そちらのほうで御紹介し、また次回の号でも詳しく御紹介する予定となっております。さまざまな手段でこういうような便利なものがあるということで紹介をしていきたいと思います。

 次に、津波対策検討会議でございます。災害拠点病院についてですが、第3次津波被害想定、安政東海地震いずれの危険予想地域内でも、災害拠点病院は19病院ございますけれども、その危険予想地域内の数はゼロということでございます。ただし、救護病院については立地をしているところがございます。こういったものにつきまして東日本大震災を受けて、どういう対応が必要かというものを健康福祉部のほうで検討をしております。

 それから津波避難ビルにつきましてのどのような検討がされているかということで、私ども市町と各4カ所でそれぞれ訓練の後で検証をいたしましてその結果を聞きました。その結果、まず津波避難ビルそのものの数が非常に不足していると、それから県・民間施設の協力を求めていく必要があるなという御意見、実態というのがありました。そのほかに古い建物につきましては、耐震性や高さ、屋上の強度の不安、それから場所によっては津波避難ビルが――私どものほうは海に向かってというのは指定しないようにとお願いしていますが――場所によっては一部の避難所で浸水域を通過しなければならない地区ですとか、海岸線と平行して移動しなければならない地域というのがあると。こういったものは改善をしていく方向です。それから、津波避難ビルについての入り口のところの表示がわかりにくいと、夜間休日でセキュリティーロックがかかっているという課題があるという問題点も指摘をされております。それから場所によりましては、観光客への対応といったようなものがございます。現在、各市町でそれぞれ津波避難ビルをさらにふやすように検討し既に実施しているところもございまして、昨年度504軒ありましたのが、最近の資料では682軒と津波避難ビルそのものも数がふえております。現在各市町で改善策をとっております。
 それから、総合的な検討ということでございます。中長期的な対策も含めまして、ふじのくに津波対策アクションプログラムでこれからさらに検討されていきますけれども、ぜひ総合的な対策も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。以上です。

○池田危機政策課長
 若干ダブりますけれども、消防署の耐震性がないということについての県としての支援です。大規模地震対策等総合支援事業費補助金というものがございまして、これが市町が所有または管理します公共施設の耐震化につきまして、国庫補助があるものは国庫補助を活用してもらうわけですけども、ないものにつきましてはこの補助金を充てることになっております。そういったことで消防署にも、この補助金が充てられるということになっておりますので、こういった補助制度を活用するように働きかけてまいります。

 それから、長田地区の災害拠点病院の話ですけども、現在、静岡市は大きい病院が多いものですから、市立の清水病院それから県立病院それから赤十字病院、済生会総合病院と4つ市内に災害拠点病院がございます。全国ですと21万人に1カ所、本県ですと20万人に1カ所。これに対しまして静岡市は70万人の人口に対して4カ所ということで17万5000人ぐらいに1カ所というような形で、災害拠点病院については多いことになります。ということで長田地区につきましては、安倍川の橋の耐震化補強が最も重要ではないかと考えます。というのは長田地区にも病院があるわけですけども、非常に指定要件が厳しくて、24時間の受け入れ体制あるいはヘリポートの設置等、そういったものが病院側にとっては非常にハードルが高いものとなっております。

 それから、最後に警察が津波の避難誘導のために必要ではないかというような話がございましたけども、これにつきましては警察の所管ではございますけれども、人口割り等でほぼ等間隔に警察の交番駐在所というのは設置されておりますので、津波の避難誘導だけのために設置というわけには、なかなかいかないと考えております。以上です。

○岩田危機報道監
 1点、津波の監視のところで、海上のブイとかGPSで、より沖合で監視をするシステムについて検討してほしいということでございます。東日本の三陸地域につきましては、釜石市から1本のケーブルが海底ケーブルで延びておりまして、沖合で津波を監視する仕組みが1カ所だけできております。この東海地域については、御前崎から2本の海底ケーブルが震源域のトラフ沖のところまで、ほぼ150キロメートルから200キロメートルの範囲で延びているんです。その中で御前崎の先端に1カ所、さらにもう一本のケーブルには3カ所、それから豊橋から1本海底ケーブルが延びてその先にも1カ所、合計5カ所の津波計が沖合の震源域の中心のところに設置されております。逆にいいますと、地震が起きたと同時に海面の上昇を監視しそれを気象庁のほうから伝えるという仕組みができておりまして、そういったものと我々の情報システムといろいろあわせながら、津波の監視については迅速化を図るべく気象庁にも働きかけるというふうに考えております。

○鈴木(智)委員
 御答弁ありがとうございました。幾つか確認をしたいんですが、カメラによる津波の監視は基本的にしていないということだったんですが、今回の東日本大震災のときは、たしか津波の警報は出ていたんですね。ただ最初の津波の高さが数メートルだったということなので、それが原因で結局逃げおくれた、あるいは逃げていたんだけどそこの高さが十分じゃなくて津波に飲み込まれた等々の事例があったように伺っております。ですから、そこはもちろん100%正確というのは難しいかもしれませんが、そういった事例があったわけですから、極端な話オオカミ少年じゃありませんが、なるべく多少オーバーに出る場合でも構いませんので、やはりそこは迅速かつなるべく正確に少しでも過小評価にならないような観測システムを構築する必要があるだろうと。1つお伺いしたいのは、海底のケーブルでというのは、そこから何か電波か何か飛ばして、そこら辺どのような仕組みで津波を計測するのか教えていただきたいのと、ケーブルはあるんでしょうけど、そういった計測機器というのは多いにこしたことはないわけですから、ぜひ国、県だけでやるわけじゃないでしょうけども、先ほども言ったブイのほうも国に要望するなりして、ぜひとも何重にも及ぶ観測を構築することで、なるべく正確かつ迅速な津波の予測ができるようにしていただきたいなと思っております。

 先ほど消防署の話が出ました。ちょうど課長のほうからこの大規模地震対策等総合支援事業費が使えるよということですから、逆に言えばこれを使わない市町があるということに聞こえなくはなかったんですが。ただ、たしかきのう髙田委員も御指摘されたと思うんですが、これは多分使い勝手が悪い部分もあるのかなと。ですから先ほどの説明もございましたが、この1億2654万円が要は繰り越しされているわけですよね。多分いろいろ使えるべきところはあるんでしょうけど、何らかの事情で使えない。そういった使い勝手が悪いからこそ、この繰り越しが発生しているわけです。ここは要件を緩和するなりあるいは手続を簡略することによって、さらにそういった市町の公共施設の耐震化が進むような努力をするべきだと思うんですが、それについて、もしできましたら小林危機管理監に御答弁をお願いしたいと思います。以上でございます。

○岩田危機報道監
 まずケーブル方式による津波の観測でございますけども、海底地震計と一緒に圧力センサーが海底についております。その圧力センサーによって比較的広範囲の海面の変動を観測して、それを気象庁にリアルタイムでテレメートする。これとあわせて気象庁のほうから津波警報と同時に実際の津波、要するに海面の上昇を情報として流すとこういった仕組みになっています。
 今回、東北地方では、津波警報が最初3メートル程度であって、それが5メートルになり10メートルになってだんだん大きな津波警報になってきたということで、情報が非常に錯綜したという問題があります。そういったことを実は気象庁のほうの検討会議にて私も委員になって一緒に今議論しておりますけども、まずはやっぱり大きな津波であるとか小さい津波であるかということをまず警報として出して、その後実際の計測された値が附属して出てくると、そういった形が望ましいんじゃないかという議論をしております。東海地震につきましては幸いなことに、監視のために古くからこういった海底ケーブルが設置されておりまして、東北地方のような後追いの津波警報の形ではなくて、津波高については地震が起きたと同時に予測値ではなくて実測値として情報があるきちんとした仕組みはできておりますけれど、まず問題はやっぱりそれをきちんと住民のところへお届けする、そういったことも今後市町とも協議してやっていく必要があるかと思います。まずはやっぱり東海地震の場合には、私どもが日ごろからお願いしているのは、情報を待つまでもなく、地震を感じたらもう真っ先に自分できちんと避難をすると。情報を待っていたらこれは決して間に合わないと思いますので、そういった情報を幾ら正確に出す努力をするとしても、一方できちんと地震発生と同時に避難をするという心構えを県民の方々にお願いしたいと思います。

○池田危機政策課長
 大規模地震対策等総合支援事業費補助金でございますけども、この補助金はどちらかというと他の補助金に比べますと非常に使いやすい補助金ということを自負しております。というのは、今回の公共施設の耐震化は別としまして、ほかの事業につきましては、市町からの提案を県のほうで受けとめまして、それを審査して目的が地震対策あるいは防災関係であればこれを認めるということで、ある程度危機管理部のほうに運営を任されている補助金でございまして、そういう意味では非常に使い勝手はいいと自負しております。ただ、先ほど言いました消防署の耐震化につきまして、確かに一棟当たり限度額が2000万円という上限がございまして、そういったところで余り使われてないのかなという感じは持っております。以上です。

○小林危機管理監兼危機管理部長
 消防署への支援について、ぜひ委員に1つ承知していただきたいのは、実は今、消防関係の補助については消防庁がやっているんですが、これがいわゆる一般財源化の流れを受けましてどんどんカットされています。要するに補助金にかわって消防庁が出しているのが、90%起債を認める、そのうち50%を交付税措置しますということで、今、ほとんど消防庁の補助金というのはいわゆる真水、補助金そのものの現金を地方に出すということはやっておりません。そのために市町のお金のあるなしによって消防の施設、消防車、救急車、備品といったものが財政の優劣で格差がついてしまうんではないかということを非常に危惧しております。ですから事あるたびに国のほうへお願いしているのは、とにかくやはり消防防災というのは本来でいけば国が国策として、どこにいても国民が同じようにそのサービスを受けられるというのが基本だと思います。確かに地方分権の流れの一環としての三位一体の改革の中どんどんいわゆる補助金を一般財源化しようという流れの中できていることなのです。今消防救急の広域化に取り組んでいるのですが、磐田市で共同司令センターを整備するために実は去年30億円補助金があったのがことしは9億円に減らされました。それで、私どもとしてそれはおかしいということで、消防庁と協議しまして何とか3億円ちょっとの補助金をやっと認めてもらえた。そういうことで消防設備を含めて市町村が置かれている状況というのは大変厳しいです。
 ただ今、消防庁が唯一力を入れているのが緊急消防援助隊です。今回も東日本大震災で非常に活躍してもらいましたけども、実はそこの備品類へ回すために30億円を9億円まで減らされた。ところが全体の防災力を高めていくことが必要なのです。緊急消防援助隊というのは、静岡市とか浜松市など政令市が中心になってそこにいい装備品が置かれて、そのあおりをほかの消防本部が食ってしまうというそういう現実があるのです。その辺のところはなかなか静岡県だけで幾ら国に言っても、なかなか聞いてもらえないので、やっぱりこういったものは国会議員にもう1回ちゃんと考えていただきたい。デジタル化の問題も全く同じです。デジタル化に対する支援も、90%起債の50%交付税措置です。ですからこれも金のあるところはできるけども、金のないところはできない。非常にアンバランスになってしまうという現実があります。ですからそこら辺のところを我々は何回も訴えているんですが、なかなか残念ながら国のほうには聞いていただけないという現実がありまして、地元の議員方にも、国会議員の方にも、私はお会いしてそういった実情を訴えてお願いはしているんですが。ぜひ委員も機会があれば、そういうことをぜひ訴えていただけると、もう少し消防に対する認識が変わってくると思いますので、その点私のほうからよろしくお願いしたいと思います。

○鈴木(智)委員
 小林危機管理監兼危機管理部長、御答弁ありがとうございます。もちろん議員としてやるべきところはございますし、ましてやまだ現在のところ民主党政権でございますので、当然うちの会派はしっかりやるべきことはやらなくちゃいけない。それはもう重々承知しているつもりでございます。そこはぜひ協力してやっていきたいと思っております。

 先ほど池田危機政策課長のほうから、繰越金から出る原因の1つとして2000万円の上限があるじゃないかという話ありましたが、その2000万円の上限を上げることは可能なのか、あるいは先ほど小林危機管理監兼危機管理部長が言ったとおり、やっぱり補助金がないから2000万円の上限を上げることができないのか、その辺のところお聞かせいただきたいと思います。

○池田危機政策課長
 この補助金につきましては、各市町から大変期待の大きい補助金でございまして、そういう意味ではできるだけ均等に配分されるように、1つの市で多くの額を配分されないように、そういう意味で上限が大分厳しくなっているところでございます。これを上げるには、財政当局との折衝が必要でございまして、今後必要とあれば協議していきたいと考えております。以上です。

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