○増田エネルギー政策課長
昨日の8番委員からの御質問の中で、地球深部探査船「ちきゅう」の母港化への静岡市への取り組みに県も応援すべきという御質問に対しまして、県では、港湾局が中心になりましていろいろと取り組みを進めているところでございます。私のほうで事実関係を十分把握していない部分がございましたので、ここで訂正をさせていただきます。
改めて母港というものを調べてみますと、母港は法律で定められているわけではなく、使用者が自由に決めることができるということでございまして、昨日、御答弁申し上げました和歌山県の新宮港も母港と言える存在であるということで、県が積極的にPRをしているところでございます。
ちなみに、本籍地ともいえます船籍港を定めることが法律で定められておりまして、「ちきゅう」の船籍港は横須賀港ということでございます。
なお、昨年10月に「ちきゅう」を所有する独立行政法人海洋研究開発機構の堀田理事等が、県庁に訪れまして、知事と面談をしております。
知事は、国際日本文化研究センター教授時代に、「ちきゅう」の船名選考委員を務めたということでございます。
この面談の中では、堀田理事から、清水港は頻繁に使っている、母港と呼んでいただきたい、地元で愛してほしいという発言がございました。県港湾局では、早速ホームページの中に清水港は「ちきゅう」の母港であるというPRをアップしまして、これまで平成17年9月に初入港して以来、14回にわたる寄港の歴史であるとか、これまでのかかわりといったことを紹介しながらPRを既にしているところでございます。
また、昨年12月には、県港湾局長が静岡市の幹部職員とともに、海洋研究開発機構を訪問いたしまして、清水港を母港として広くPRしていくことを確認するとともに、「ちきゅう」の一般公開やシンポジウムの開催を打診しているところでございます。
県港湾局では、今後とも静岡市に協力いたしまして、清水港を「ちきゅう」の母港としてPRしていくとともに、清水港のにぎわいづくりに積極的に取り組んでいくということとしておりますので、エネルギーの観点からも、そうした認識を持って連携してまいりたいと考えております。以上でございます。
○鈴木(智)委員
それでは、昨日の質問に続き、幾つか再質問したいと思います。
まず、初めに自然学習資料センターです。建物以外は教育委員会で管理されるということですが、教育委員会も常駐されるということでよろしいのか。というのは、地元の方がいろいろな行事、あるいは非常時の目的で使用したりするということがあると思うのですが、その場合、例えば一々どこかへ電話しないとやりとりできないというのであれば、使い勝手がいいとはいえないと思います。地元の方がグラウンドとかテニスコートを使う場合には、どういうふうな手続をすればいいのか。教育委員会はどうやって管理されるのか、常駐してやるのか、遠隔操作ではないですけれど、どうやっていくのか確認をしたいと思います。
要望ですけれども、きのうまだまだ県民への周知が足らないという話がありました。
まずは地元だけではなくて、静岡県全体で広報し、その中身についてもぜひとも地元の方が自慢できるような施設にしていただきたいと思います。先ほどの点については御答弁をいただきたいと思います。
「ちきゅう」について、細かい答弁をありがとうございました。これも不思議な縁と言えば縁ですけれども、川勝知事はある意味名づけ親の1人と言えるわけです。それは今初めて知りましたけれども、多分皆さんが知らないということは、そういった事実を川勝知事も言われていないかもしれません。この間の静岡市議会の答弁を細かく読んだわけではないですが、大ざっぱに見た限りでは県の話は全く出ていなかったように思えるものですから、そこはぜひとも知事は名づけ親だということでアピールしていただきたい。既にホームページにアップされているということですけれども、広報課の方がいらっしゃいますから、県民だよりのほうにも載せていただいて、静岡市あるいは地元の大学とも連携してという話もしていただけるとよいと思います。「ちきゅう」は観光の目玉とか、理科や科学へ興味を持っていただくことや、南海トラフの調査もされているわけですから地震とは何ぞやという話もできるのかなと思いますので、最大限活用してだきたいと思うのですが、広報の方の御答弁をお願いしたいと思います。
次に、東南アジア駐在員事務所についてです。ぜひ、すばらしい、優秀な方を確保していただいて、さらなる活動につなげていただきたいと思います。テンさんとガンさんの机の配置の話は委員会の質疑にはふさわしいものではないかもしれません。念のため言っておきますが、御本人たちに頼まれたわけでも何でもないのですが、非常にわずかなお手当てで期待以上のことをしていただいております。
何よりも日本の大学にいた経験のある方ですから、日本を大変愛していらっしゃいます。そうした方がさらに働きたくなるような環境を整備してほしいという趣旨で言いましたので、そこはぜひともやっていただきたいと思います。
静岡県の人口についてです。ことし中に社会保障・人口問題研究所から都道府県別の将来人口推計が出るだろうという話ですが、出たものをうのみにするのではなくて、本当にそうなのかというところを県独自で分析する必要があると思います。
それはまさに、これから出る第4次地震被害想定と同じだと思います。というのは、国のほうで南海トラフ巨大地震の想定はされているわけですから、それをうのみにすることも当然できたと思うのです。しかし、そこには細かい事情ですとかデータとか入っていないわけですから、それを酌んで独自に分析して6月までに出すと思うのです。
だから人口も同じで、国が出してくるのであれば、それをしっかり分析していただく。一番いいのは各市町の方でやっていただくのがいいのかなと思いますけれど、それができないのであれば、県のほうで、ぜひ細かい市町ごとの分析をしていただき、我々が分析したらこうなりますよ、だからしっかり対策をやられたほうがいいですよと市町へ伝えるべきだと思います。
その点について、再度、確認したいと思います。
それから、内陸フロンティアです。所管外だとは思いますが、大規模地震対策特別委員会の提言については、すぐに回答が出ないとは思いますが、検討していないと一蹴するのはいかがなものかなと思いますので、そこはぜひ改善をお願いしたいと思います。
沼津市内浦重須地区についても、住民の同意が取れた後、県のほうでも支援していただくような話がありましたが、難しいのは住民の同意を得るることです。直接的には沼津市の管轄かもしれませんが、そこは県のほうでもバックアップをしてやっていただきたい。というのは、去年11月の新聞記事ですけども、内浦重須地区が利用しようとしている防災集団移転促進事業というのは、もともとは、昭和40年代に過疎の山村の人々が平地へ集団移転するための制度ですね。過疎ですから5戸とか10戸とか20戸といった少ない集落を対象とした制度だったわけです。新聞記事によりますと、昭和47年に集中豪雨で秋田県の集落が被災したのを機に防災目的になったということですが、その集落は多分そんなに大きくないのでしょう。ですから、何百戸もあるような町が、しかも予防的に移転するということは想定していなかったと思うのです。この記事にもありますが、想定していなかった移転を無理やりこの制度を使ってやろうとしているのが、東北地方や内浦重須地区だと思うのです。
まずは、合意を得ることが非常に大変なわけですから、そこはしっかり何らかの形でバックアップするべきだと思います。移転というのは一気にやるものだと思うのですけれど、5年ごとにやっていくといった長期的な移転も認めるような仕組みがあれば、もしかすると内浦重須地区も移転が容易になるかなと思います。そこをぜひ検討すべきだと思うのですが、御答弁をいただきたいと思います。
最後に、事前復興計画のお話をさせていただきました。計画の目的は地震があったときに、なるべく速やかに地震から復興するということであります。特に、南海トラフ巨大地震の場合には、余りにも規模が大きく事前に計画を立てることはなかなか難しいかなとは思います。ただ、きのうも言いましたとおり、2万人弱の方が亡くなられ、多くの方が被災されたのに、2年たっても集団移転について着工されているのは、わずか1割というわけです。南海トラフ巨大地震が万が一発生した場合には、政府がバックアップするのにも大変になるわけですから、事前復興計画を考えていく。つまりは、県庁も企業もBCPを策定していると思うのですけれども、それの県全体版です。
なるべく速やかに復興を果たしていく、そういった企画を立てる必要があると思うのですけれど、もう一度、御答弁をいただきたいと思います。以上です。
○佐藤企画課長
鈴木委員にお答えいたします。
まず、自然学習資料センターの教育委員会の常駐の関係でございます。最終的には教育委員会の判断になると思いますけれども、学校の統合という形になりますので、その場合、通常ですと教育委員会は常駐しないことが多いように聞いております。
それから、人口の関係でございます。国立社会保障・人口問題研究所の数字が出ると思いますので、しっかりと検証分析いたしまして、将来の人口動向について、私たちとしても研究に取り組んでいきたいと考えております。
この前講演した鬼頭先生も、人口問題を考える上で、当該数字をまず検証することが始まりだよとおっしゃっておりますので、しっかり検証したいと思っております。
また、市町の人口推計でございますけれども、今までのパターンだと、恐らく都道府県よりおくれて発表になろうかと思います。そちらについても出てみないと、ということがございますけれども、推計が出たところで、しっかり検証していきたいと考えております。以上です。
○高木広報課長兼県民のこえ室長
地球深部探査船「ちきゅう」の県広報での取り扱いの御要望でございます。港湾局またはエネルギー政策課と話をしながら、県の事業と関連づけながら、県民だよりになるかはわかりませんけども、広報についての検討をしたいと思います。以上です。
○増田エネルギー政策課長
地球深部探査船「ちきゅう」の関係で観光の目玉とかPRなど、いろいろを工夫してやるようにという御指摘でございます。前回一般公開し、シンポジウムを開催したときには、8,000人ぐらいの人が集まったところでございます。
県港湾局では静岡市と連携をしまして、一般公開、シンポジウムの開催を打診しているところでございます。委員の意見を港湾局にもお伝えしまして、清水港のにぎわいづくりにも寄与するように工夫しながら、広報に努めていきたいと考えております。以上でございます。
○伊藤県理事(政策企画担当)
事前復興計画の御質問がございました。
まさに内陸のフロンティアを拓く取り組みというのは、事前に防災・減災を図っていく地域づくりの計画でございます。
委員御指摘のように、南海トラフ巨大地震の場合、東日本大震災と比較して被害はもっと広域にわたりますし、なおかつ本県の場合、非常に経済活動が盛んな沿岸域の活動がとまることとなります。あらかじめ対策を打つという考えは非常に大切と考えておりまして、具体的には、例えば総合特区の中では、仮設住宅をすぐにつくろうと思ってもなかなかできない。そういったものに対応するために、平時は企業の敷地なり公園として使い、いざというときには住宅として活用できる用地を確保する。また物流についても滞ると生活に直接影響しますので、平時においては物流拠点でありますが有事には物資の供給拠点になるように確保するといったこともございます。地域づくりの主体は市町ですので、市町ともいろいろ相談しながら盛り込んでいるところです。本県には505キロメートルの海岸線がありますので、特区に掲げている場所だけではなくて、全県域に広めていくという視点が重要かなと思います。
内陸のフロンティアを拓く取り組みを実行段階に向けていろいろ進化させてまいりたいと考えておりますので、またいろいろ御意見をいただければと考えております。
住民の集団移転の問題についてでございますが、生活を守る、命を守るという点で、重要な視点になってくると思います。
一方で、沿岸域の防災対策というのは、喫緊の課題になっております。総合的に選択と集中を行わないといけないという現状がございます。そういったものも踏まえながら、総合的に検討させていただきたいなと考えております。以上です。
○鈴木(智)委員
ありがとうございました。
2点確認したいのですが、まず、人口についてです。これから分析していくことですが、先般の本会議で企業局長が、老朽化した水道施設の改修、更新のマスタープランをつくる際には、将来の需要も勘案するという趣旨の答弁がありました。需要をはかる大きな物差しは、人口がどのくらいになるのかということです。
きめ細かな推計がより正確な需要予測にもつながってくるはずです。かつての空港ではないですけれど、大げさな需要予想ではなく、もちろん正確な推計はなかなか難しいかもしれません。より的確な需要予測をするためにもぜひ独自の推計を実施し、公開していただきたいと思います。これは、要望で結構です。
事前復興計画のことです。出野知事戦略監は本年度で御退職されるということでございますので、ぜひ、最後に一言いただきたいと思います。管轄外であることは重々承知しておりますが、これから、第4次地震被害想定が出てきます。ただ第3次地震被害想定と第4次地震被害想定とは、全然性格が違うと思うのです。単に被害の規模が大きくなるだけではないと思っています。
というのは、改めて第3次地震被害想定を確認しましたけど、ほとんど津波の被害がないということになっています。
例えば、津波による建物被害想定ですが、大破2,240棟です。それとこの津波被害による人的被害で死者は227人です。今回出てくる数字は、この数十倍にならざるを得ないと。ですから、まったく新たな考え方を追加して対応していかなくてはならない。当然、内陸フロンティアの構想にもふじのくに防災減災・地域成長モデルですから、当然取り入れていなくてはいけないと思うのです。
残念ながら津波でほとんど建物が倒壊する可能性が高い地区となると津波が起きてしまったら残念ながら建築禁止区域にならざるを得ないと。そういった場合には、ここに移転する必要がありますよという事前復興計画をつくる必要があると思うのです。本当に静岡の場合にどうなるのかと考えると、正直恐ろしくなりますので、そこはぜひやっていただきたいと思います。きのう紹介した富士常葉大学の池田先生がおっしゃるには事前復興計画の究極の目的は、事前に被災を前提とした復興を真剣に考えることであり、災害の発生を待つことなく、今からできることを始めようといったように、日常の防災やまちづくりが促進されるということです。
ですから、あらかじめ具体的にここは残念ながら津波に襲われそうだ。だから、ここは襲われた場合には、そのまま再生することはできないので、現時点ではこういった地域に移転が必要になると考えておりますということを示すことによって、壊れるのを待つのではなくて、あらかじめやろうという方が当然出てくると思います。
そこを県がバックアップしていけば、新たな移転促進制度がなくても、みずからやっていく方がふえていく可能性があると思うのです。
もちろん強制はできませんけれども、引っ越すときには、あるいは新たに家を建てるときには、なるべく高台のほうに引っ越したほうがいいですよと。それを言われると、沿岸部に不動産を持っている方からは文句が出てきそうな感じはしますが、それを裏づけるものとして事前復興計画があると。こういうふうになってしまったら、ここに移転せざるを得ないですよ、だからしょうがないじゃないですか、ということを言っていけば、御理解いただけるかなと思うものですから、ぜひ知事戦略監、よろしくお願いいたします。
○出野知事戦略監兼企画広報部長
事前復興計画に関してのお話でございます。8番委員御指摘のとおり、第3次地震被害想定では津波被害について、ほとんど考えていない状態の中で、倒壊をどう防ぐかということで、「TOUKAI-0」等の施策を打ってきたわけです。
2年前の三・一一の状況を見て、やはり津波被害というのは非常に大きいと。特に沿岸部においては非常に厳しい結果が出てしまったということで、当然のことながら、第4次地震被害想定では、津波被害をどう除去するかということが大事になってくると考えております。
まず、ハード面でいかに津波の浸水を防ぐかという問題がございます。その上で浸水してあるいは住宅等が流された場合にどうしていくかということが、まさ副題にございます防災減災・地域成長モデルというとおり、内陸フロンティアを構想する当時から、東日本大震災の復興モデルになるということで進めてきております。
被災した後の復興に比べれば、事前にやることでかなり資金的には安くすむということもございます。第4次地震被害想定の状況を見ながら、総合的に検討していくというのは、先ほど伊藤県理事から申し上げたとおりでございます。
まず命を守る、財産を守るというのが、県政の与えられた使命でございます。県民の安全・安心を守るというのは、当たり前のことでございまして、そのために何ができるかというのを、いろんな角度からやっていると。どこの部でやるからここは関係ないという話ではございません。
きのうの御質問にございました大規模地震対策特別委員会の報告書については、私もきのう承知していなかったもので申しわけなかったのですけれども、提言では、津波対策への支援制度の整備については明確に提言されているわけでございます。それについて、所管部局が決まらず、検討しないという表現になったようでございます。そういうことを言っている状況ではないものですから、企画広報部というのは、全庁の調整を取りながら県政を進めていくという部局でございますので、企画広報部が中心となって、内陸フロンティアの企画、取り組みと絡めながら津波の事前復興計画を市町と一緒になりながら、県民のために考えていきたいと考えております。以上です。
○鈴木(智)委員
最後に1点、御要望させていただきます。
知事戦略監、ありがとうございました。
内陸フロンティアの全体構想には確かに事前の復興について13ページに書いてありますが、2つ柱があるわけですね。企業や住民等の避難地や移転先の確保支援と総合特区等の活用による先導的モデルの創出です。その2本の柱の1本が、だんだん東日本大震災の記憶が薄れているというか、住民の方からもういいじゃないか、という声が出ているというわけです。
ですから、内浦重須地区がもしうまくいかなければ、多分、簡単にいくところはほかに出てこないだろうと思いますので、ここはぜひ、繰り返しになりますが、住民の合意が得られるのを待つのではなく、その前からしっかりと積極的に関与していただきたいと思います。以上です。ありがとうございました。