○鈴木(智)委員
おはようございます。民主党・ふじのくに県議団の鈴木智でございます。
私からは、4点ほどお尋ねしたいと思います。
まず1点目は、ただいま知事戦略監から御説明いただいたこの平成23年度の説明書の全体的な内容について伺いたいと思います。
今からの指摘は、今週の月曜日、10月29日のくらし・環境部の決算の議論におきまして、我が会派の大池委員から指摘のあった点と重なる点なんですが、先ほど御説明いただいた、この説明書においても、東日本大震災に関する記述が極めて少ないと。ですから、平成23年度の事業の内容をしっかりと説明しているかどうか疑問を感じておるものですから、指摘をしたいと思います。
企画広報部の事業も若干記載はありましたけれども、東日本大震災や、その後の福島第一原発の事故の発生によって大きく影響を受けたはずです。数えましたけれど、震災あるいは原発の記述しかなかったと思いますが、多分10カ所も出ていないと思います。
具体的に言えば、1ページから5ページの主要施策の総括の中には、東日本大震災のひの字も、しの字も出てきていないんですね。新エネルギーの導入についてもただいま御説明ありましたが、これは東日本大震災、福島第一原発事故、そしてその後の浜岡原発の停止等を受け、倍増プランの大幅な前倒し等をわざわざ補正予算を組んでやったわけですけれども、説明書46ページの説明では若干ありますが、「東日本大震災以降、新エネルギーの重要性が高まっていることから」と、非常にあっさりと書いておるわけですね。
次の47ページでも、「従来の一極集中依存型から分散自立型のエネルギー体系への転換によるエネルギーの地産地消を目指す」と、これは従来からそういった方針があったかもしれませんが、それが全面的に出てきたのは、やはり福島第一原発の事故、あるいは浜岡原発の停止を受けてだったと、私は記憶しております。ただそれが何かあっさりと、震災の記述も言及もなく書かれておるものですから、いかがなものかなと思います。
加えて、震災や原発事故発生以後、地域外交課、あるいは多文化共生課等もさまざまな対応に四苦八苦されたと私は記憶をしておりますが、その記述もほとんど見当たりません。これは大池委員も指摘されておりましたが、この説明書は後世に残されて、後輩職員等にとって貴重な参考書となるものだと思っております。果たしてこうした内容でいいのかどうか。大変な作業になってしまいますが、私は加筆修正が必要ではないかと思うんですが、御答弁をいただきたいと思います。
続きまして、海外駐在員事務所の相談件数について伺いたいと思います。
説明書25ページに相談件数の推移が掲載されておりますが、平成23年度は4,192件と例年になく多い件数ですね。しかも平成25年度の目標3,400件を大きく上回る件数となっておりますが、その要因は何なのか、幾つかあると思うんですがお尋ねしたいと思います。
また、私の理解では海外駐在員というのは、上海事務所の2名、ソウルの事務所の2名、そしてシンガポールの事務所の1名、計5名だと理解しておりますが、それで年間、平成23年度は4,192件受けたということは、これは1人当たり年間800件以上受けておりますね。中にはその場で答えられるものもあると思いますが、場合によっては本庁に問い合わせしたりだとか、当然、いろいろなところに問い合わせしている、その場では解決できないものがむしろ多いのかなと思いますから、1人で800件といいますのは、これは大変多い件数なのかなと思います。その辺、どう総括されて、本年度あるいは来年度に生かされているのか。単純にこの件数だけ見ますと、これは従来私も主張していることですが、海外駐在事務所の体制を強化すべきと思いますが、そういった総括がされておるのかどうか、確認をしたいと思います。
次に、同じく地域外交課について伺いたいと思いますが、こちらは施策展開表の14ページですね。今後の方向性として、一番下段に「国や地域による文化の違いを理解して、友好的互恵・互助の精神に基づき、重点国・地域を中心に、引き続き相互にメリットのある地域外交を展開していく」というのが今後の方向性、つまりアクションということであるわけですが、この記述はアクションというよりは改善点ですよね。この中身はあくまでも地域外交を進める上での基本姿勢というものであって、これはどんな年にかかわらず、どんな総括にかかわらず、当然していく基本的な姿勢だと思うものですから、アクション、改善点という記述としては、ちょっとふさわしくないのかなと。
その上に、Cのところがあります。Cについては、各地域ごとの評価と課題があるわけですが、各地域によって課題あるいは改善点は変わってくるはずですから、そういった記述にするべきなのかなと思うんです。実際に現場では、平成23年度はこうだったからこれからこうしようというアクションは当然あったと思うんですが、その点について伺いたいと思います。
最後に、新エネルギー等の率先導入について伺いたいと思います。
44ページに説明がありますが、率先導入とうたっている割にはここにあるのは、執行額720万円余の維持事業ですよね。この維持事業も、要は15年以上も前に設置された太陽光発電、風力発電等の維持、修繕事業しか載っていないわけですが、果たしてこれだけなのかなと思って施策展開表を見ましたら、確かに30ページには県有施設の8カ所に太陽光発電を率先導入したとあります。具体的には、その予算規模等と執行予算の額とか書かれていないものですから、この説明書だけ見た場合、新エネルギーの導入倍増を目指す静岡県の率先導入の事業としては、大変寂しい。施策展開表を見れば、ああほかにもやっているんだなとわかるので確認したいと思います。
まず、平成23年度には先ほどの導入事業も含めて全体ですね、率先導入のための予算がどれくらい執行されたのか。多分数千万円あるんだと思いますけれど、その総括がどのようにされて、本年度、来年度に生かされているのか、具体的に説明していただきたいと思います。以上です。
○滝浪総務課長
委員のただいまの質問の1番でございますけれども、東日本大震災と原発事故の発生以降、実はエネルギー部門が県庁の環境局とかいろいろなところにまたがってありましたのが、一元化して、うちのところにエネルギー政策課という形で、ことしの4月に持ってきたばかりでございます。
主要施策成果説明書の中に、今年度のエネルギー政策課という形で入れています。企画広報部としましては、震災対応とか原発の問題の対応をここで入れておりますので、他部は別冊でつくった経緯があるんですけれども、うちは別冊ではつくらずに、本来業務ということで入れさせていただいております。
それと平成23年度でございますけれども、これはエネルギー政策課の成果説明の記載のとおりであります。それ以外に昨年の5月補正におきまして、海外のシンガポール等で風評被害がありましたとき、正確な情報を伝えるために、広報費として1800万円を計上してあります。
また、それ以外には昨年6月に臨時の県民だよりを出しまして、こういった被災地の状況や今後の県民生活や企業活動を支援する広報をしていこうということで、これは当初予算の差金のうち1260万円を執行しております。以上でございます。
○後藤地域外交課長
説明書の25ページの海外駐在員事務所の相談件数が平成23年度にふえている要因というお尋ねに対してお答えしたいと思います。
平成23年度につきましては、表示のとおり各事務所とも相談件数がふえております。この件数というのは、もろもろの相談以外に商談でありますとか、調査、手配、訪問、随行、こういったものが含まれております。平成22年度から平成23年度にかけてふえている主な要因としましては、例えば中国の駐在員事務所におきましては、今年度も浙江省との30周年記念事業に関する調査でありますとか、それから訪問の随行とか、そういったものがふえていると捉えています。
それからもう1つは、浙江省の簫山区というところに静岡県が工業団地を造成したということでありましたけれども、そこの地区が浙江省側の意向により、工業地区から商業地区になるということで、ここに進出している本県の企業数社が移転を求められているという問題がございます。それについて中国の駐在員事務所が、個々の詳しい内容については立ち入らないものの、簫山区と企業との間のいろいろ情報のやりとりを仲介したというようなこともあって、中国事務所につきましては件数が伸びております。
東南アジアの事務所につきましては、県内企業等の進出意欲も盛んな地域でありまして、これから非常に有望ということで、平成23年度につきましては、ミャンマーでありますとか、インドネシアに経済ミッション等も派遣しておりますので、その現地との調整でありますとか、随行業務等がふえたと認識をしております。
それから、韓国につきましては、東日本大震災の影響もありまして、非常に観光客も落ち込んだということで、積極的に風評被害の払拭というような現地での活動を、商談会でありますとか、観光セールスをやったということで、それに応じて駐在員の活動もふえたと捉えております。
それから、次の施策展開表の14ページの今後の方向性の記載ということについての御質問でございましたけれども、その上の取り組みの主な実績、それからこれに対する評価と課題、そういったところから導き出される今後の方向性としましては、この6つの重点国・地域を定めましたものですから、ここを中心にそれぞれの課題に基づいて地域外交を展開していくというような、総括的な記載になりましたけれども、課題の部分が記載が足りないということであれば、今後、各国別に記載をしてまいりたいというふうに考えております。以上です。
○増田エネルギー政策課長
新エネルギーの率先導入の関係についてお答えいたします。
調書に記載してございますのは、エネルギー政策課が直接管理している施設でございまして、それ以外にも県を挙げて率先導入をしているところでございます。
具体的に申し上げますと、平成22年当時は、実績としまして2施設に太陽光発電25キロワットの導入をしたところでございますが、三・一一の状況を踏まえまして予算を倍増いたしまして、平成23年度はエコパを初め計8施設に69.4キロワットの太陽光発電を入れているところでございます。ちなみに、本年度は13施設、110キロワットを入れまして、トータルで371キロワットぐらいになるという状況でございます。以上でございます。
○深谷地域外交局長
先ほどの御質問の中の東日本大震災にかかわる地域外交関係、それから多文化共生関係、この辺の記述が少ない、見られないというお話がございました。
これにつきましては、実際のところ、もちろん大きな影響がございまして、特に農産物等の風評被害対策、そういったものについては、地域外交課、それから駐在員等を使いまして、国内の大使館など、現在の風評被害対策、風評被害の状況を十分に説明に回るなど取り組みをしたところでございます。
また、多文化共生に関しても、震災を受けて、県内の外国人の皆さんが国外に一部お帰りになるなど、そういった影響が出てきます。そういう中で、外国語ボランティアの数が減るなどの影響が出ているわけでございます。今回、具体的な記述ということでは書いてございませんけれども、いろいろな対策をとってきているところでございます。よろしくお願いいたします。
○鈴木(智)委員
ありがとうございました。
幾つか再質問したいんですが、まず今も地域外交局長から御説明があった全体的な部分なんですが、今、滝浪課長からも御説明ございました。確かに組織の再編等々があったものだから、そこの部分が抜けているのは理解できないわけでもないんですが、例えばエネルギーの部分については、説明書の3ページですね。(4)のア平成23年3月に策定した導入倍増プランに掲げる目標を早期に達成するためとありますが、この早期に達成というところは、私が理解する範囲ではやはり東日本大震災、福島第一原発の事故を受け、知事の御意向もあって前倒し前倒しとやった部分だと思います。そこについては当然言及してしかるべきではないのかなと思うんですが、お尋ねしたいと思います。
多文化共生の部分については、静岡県にいらっしゃる日系ブラジル人の方等とか、場合によっては混乱もされ、パニックになり、本国に帰られた方もいらっしゃると思います。なかなかふだんはない事象でございますので、それについては当然言及してもいいのかなと思うんですけれど、改めてお尋ねしたいと思います。
海外駐在員事務所の相談件数がふえた理由については理解いたしました。平成24年度は24年度でまた状況が変わっていますから、平成23年度の総括を来年度にどこまで生かせるかというと、なかなか難しい部分もあるのかなと思います。ことしはことしで恐らくまた相談件数がふえているのかなと。実際浙江省との友好提携30周年もいろいろあるわけでございます。
ただ、この年間800件というのは非常に多い件数なのかなと。普通に考えれば、随行とかあるいは我々議員の要望も入っているかなと思うんですが。やっぱり本当に800件に十分応えるだけのマンパワーがあるのかどうかというのは、しっかりと総括して生かしていかないと、もしかすると相談したけどなかなかいい回答が得られていないと思っている現地の企業の方もいらっしゃるかもしれないので、その点について、もう一度お尋ねしたいと思います。
それと、この施策展開表のAの部分ですが、ではどこが改善点なのか、もう一度確認したいと思います。以上です。
○滝浪総務課長
今、委員から御指摘いただきました、例えばエネルギーの関係だと早期の達成という記載でございますけれども、この辺の表記の仕方につきましては、全庁的に東日本大震災をどういうふうに表記していくかという問題もありますので、そこは検討させていただきたいと思います。以上でございます。
○後藤地域外交課長
海外駐在員事務所のマンパワーの話でございますけれども、これにつきましては、職員である駐在員とそれから現地のスタッフもおりますので、うまく役割分担をして対応しているということで、特に関係の皆さんから苦情等は聞かれておりません。
それから、施策展開表のどこが改善点なのかというような御質問でございますけれども、その年度年度でもって事業を進めている中で、そういった個々に改善点というのは出てくるものでございます。今、この場で具体的にそれぞれの国ごとというようなことではお答えをすることはできませんけれども、今後しっかりその点も把握しながら、記載をしてまいりたいと考えております。以上です。
○深谷地域外交局長
今、御質問ございました多文化共生における東日本大震災での影響につきましては、確かに特に在住の外国人の皆様方がいろいろ不安を感じたりする中で、フェイスブックを使ったり市町村等と協力して、いろいろな情報提供を行ってきたところでございます。
こういったことの手続につきましては、施策展開表等への記述など、今後検討していきたいと考えております。以上です。
○鈴木(智)委員
ありがとうございました。
まず、説明書の全体的な内容については御検討いただくということで、お願いしたいと思います。
それと、海外駐在員に関しては、確かに県から派遣されている職員だけではなくて、現地職員の方もいらっしゃるというのは、重々私も把握しておりますし、少なくともシンガポール事務所については、現地職員の方ともお話をしたことがございます。ただやはり現地――ほかの上海、ソウルの事務所の現地の方がどのような方なのかよく把握はしておりませんが――少なくともシンガポールにいらっしゃる方は確かに片言の日本語はできますけれども、基本的には受け付け業務、あるいは事務所員のスケジュール管理等々をされている方だと思いますので、実際、判断されるのはやはり所長の長谷川さんだと思います。
ですから、800件というのはやはり多いのかなと思うんですが、多いのか少ないのか、このマンパワーで十分やっていけるところなのか、平成23年度はどう総括したのか、改めて聞きたいと思います。
それと、改善点についてはこれから検討していくということですが、多文化共生については、やはり風評被害対策というのも先ほど話がありました。日本にいる方が多分本国に対して電話あるいはメール等で大震災の直後にいろいろ発信されたと思うんですね。ですから、何が言いたいかというと、そういう方へのいろいろな説明等が、県あるいは市町がしっかりできていれば、もしかすると風評被害、日本は危険だとか日本に行くなとか、そういった部分で防げた部分もあるのかなと。
ですから、静岡県にいらっしゃる在日外国人への対応というのは、風評被害を防ぐという意味でも大変重要だったと思うし、またそうならないように努力されたと思います。その辺のところはどういうところを気をつけてやられたのかしっかりと記述すべきだと思うんですが、もう一回確認したいと思います。
○後藤地域外交課長
駐在員事務所の相談件数の件ですけれども、これにつきましては、かなり多いと思います。ここに載っている件数というのは、1件の相談が完結するまで1件というカウントではなくて、その1件の相談があるとしますと、これが何回かやりとりをするということの、いわゆる従事回数といいますか、そういったカウントになっているものですから、純粋な件数で800件ということではないということは御理解いただきたいと思います。以上です。
○河森多文化共生課長
東日本大震災後の日本に住んでおられる外国人の方への情報提供につきましては、震災のあった当日から、私どもの課に配属されております国際交流員がさまざまな情報を英語とポルトガル語に翻訳いたしまして、関係機関、市町等へ配信いたしました。
それから、ポルトガル語、特に日系ブラジル人の方にはポルトガル語での情報提供が重要なものですから、インターネットラジオというものがございまして――これはポルトガル語で情報提供をするものなんですけれども――そちらで情報提供もいたしまして、外国人の方に情報がきちんと届くような工夫をしたところであります。
その後の福島の原発事故にかかわります風評被害についても、非常にこれは深刻な問題だったものですから、危機管理部と協力いたしまして、危機管理部が発信いたします情報――これは外国人、日本人に限らず発信していた情報なんですけれども――それを私どものほうで、やはり翻訳をいたしまして、これもさまざまな機関に流すというようなことをいたしました。
情報提供というのは、非常に難しい面がございまして、確実に外国人の方に情報を届ける手段というので大変悩みました。そこで、昨年、年度途中から費用のかからない方法といたしまして、フェイスブックを立ち上げまして、これも英語とポルトガル語で情報提供をしております。
フェイスブックは通常はさまざまな県のイベントの情報ですとか、例えば納税のお願いなどを発信しているわけですけれども、それを日ごろから見ていただくことによりまして、災害時にも情報を確実につかんでいただけることを目指しまして取り組んでおります。
実際にそういったことをやってまいったのでありますが、それにつきましては、今回の資料には特段詳しい内容は記載しておりませんでした。これからこういった資料をつくる際に、きちんと記載していくようにしてまいりたいと思います。以上でございます。
○鈴木(智)委員
では、これで終わりにしますが、そういうところは説明を聞けばわかりますけど、やはり平成23年度の対応というのは、現在、あるいはこれからにもかかわってきている部分なのかなと思いますので、そこはしっかりと記述をお願いしたいと思います。あと1点、地域外交課の部分ですね、今後の方向性、これはともすると毎年毎年使える記述であるわけですから、来年度はこのような記述にならないようにお願いして終わりたいと思います。ありがとうございました。