前静岡県議会議員すずきさとる新聞『すずしん』web版

企画文化観光委員会(企画広報部関係)議事録(平成24年10月3日)

○鈴木(智)委員
 民主党・ふじのくに県議団の鈴木智です。
 私は大きく4つのテーマについて、最初が6月の委員会に続く話ですが、将来の人口推計と人口減少についての戦略について。それと2つ目が、内陸フロンティアについて。そして3つ目が地域外交について。最後にふじのくに戦略物流ビジョンについてお伺いしますので、よろしくお願いいたします。
 まず最初の、将来の人口推計と人口減少を見据えた選択について、これは6月に議論させていただきました。これは従来の私の主張なんですが、具体的な推計想定に基づいた戦略の必要性についてお伺いしたいと思います。6月議会で、出野知事戦略監が最後にこのようにお答えになりました。「17万人の減がどこまで食いとめられるかは、現時点では何ともわかりませんけれども、出生率2.0と合わせて、社会増。ふじのくにの魅力を全国に発信する、あるいは世界に発信することによって、社会増をふやしていくという中で、何とか食いとめていきたいというふうに考えておるというふうに御理解をいただければと思います」とおっしゃっております。
 簡単に言えば17万人というのは、平成17年から平成32年までの間に379万人から362万人で、17万人減るという推計に対してこのようにおっしゃってるんですが、私は、これはあくまでも希望的観測の思いだけしか聞こえてこないのです。例えば先日公表されました南海トラフ巨大地震の被害想定に基づいて、これから県のほうでは第4次被害想定を策定するということだと思うんですが、人口の問題につきましても静岡県としても既にある将来設計をもとにして独自の将来人口推計を策定して、それに基づいた対策戦略をこれから練っていく必要があると考えておりますが、御答弁をお願いしたいと思います。
 
 次に、同じテーマで9月29日――先週の土曜日ですね――伊藤元重教授の主張というか論壇が静岡新聞に載りました。多分ごらんになっているのかなと思いまして、これはさすがに著名な伊藤教授でありますので、私が言いたいことを非常にうまく言われてるのかなと思いまして、御紹介させていただきます。
 タイトルが「地域内の人口移動で活性化」で、人の取り合いは無意味等々おっしゃっています。簡単に言えば、当分は日本の人口減少を食いとめることは難しい。人の取り合いは無意味、静岡県全体での人口をふやすことは難しいという前提に立った上で人口減少の起こす問題の対応策を考えたほうが現実的というふうに前段でおっしゃっておるんですが、そうした伊藤元重教授の主張についてどのようにお考えか、さっきの質問ともかかわってくるんですが、お答えいただきたいと思います。

 次に、内陸フロンティアについてお尋ねいたします。ただいま御説明がありましたが、私はこの構想には大きな視点が欠けてると思うんですね。それは今申しました人口減少時代への対応という視点でございます。伊藤元重教授は、同じ記事の中で「都市に流入、自然の現象」と題して、後半の部分なんですが、「県全体の人口は増えないとしても、都市部と農村部の人口の移動はある。人口が全体として都市部に移動し、都市では人口が増え、農村部では人口が減少する。これが全国のどこでも起きていることであり、この流れの中に地域活性化の鍵がある」とおっしゃっておるんですけども、内陸フロンティアには少しは入ってると思うんですが、この視点と津波対策を合わせることが必要だと思っております。
 今回の本会議でも落合愼悟議員が同様な趣旨でおっしゃってます。質問要旨を述べますと、南海トラフ巨大地震の津波被害想定地域では、宅地としてその価値を見出せなくなっていると。簡単に言えば沿岸部で津波が怖いから移転したいという人がいたとしても、なかなか実際には自分の土地も売れないし、買うところの土地を担保してお金を借りて移転することもできないということなんですが、つまりは今伊藤教授がおっしゃった、農村部から都市部への移動というのは、これから人口減少が進むにつれてますます顕著になるのかなと思っております。
 ただ全員が全員勝手に動けるのであればいいんですけども、やはり特に山間部のほうは、なかなか都市部に土地が買えないという方は当然いっぱいいらっしゃると思います。また、私の地元もそうですが、津波が怖いからといって内陸部に移りたい、ただ残念ながら特に駿河区の沿岸部はほかの地域もそうだと思うんですが、あのような被害想定が出てますからなかなか買っていただけないと。そういった状況があるわけですけども、私が申したいのはそういった部分の対応も含めた内陸フロンティアを進めるべきだと考えておるんですが、その点につきましてお答えいただきたいと思います。

 次に、地域外交についてですが、まず最初に東南アジアの県駐在員事務所の充実についてお尋ねしたいと思います。先般の本会議で我が会派の田口議員の質問に対して、川勝知事は東南アジア地域で事業展開している、あるいはこれから事業展開する県内企業の支援のために東南アジアの県駐在事務所を充実していくという趣旨の答弁をされたと思います。
 本年度から、ガン氏、テン氏の2名が対外関係推進員に委嘱され、活躍を私も大いに期待しておるわけでございます。このお二方は大変著名な方で、人脈のある方でいらっしゃいますが、基本的に非常勤の方でございますので、田口議員が指摘したような現地企業の要望や相談に対応するには、現在長谷川駐在員しかいらっしゃらないわけです。現場に常駐の駐在員をふやすことが私は必要だと思いますが、この点につきましてどうお考えか伺いたいと思います。

 次に、きのうも議論したんですが、日本ASEAN交流40周年に向けた取り組みについて伺いたいと思います。来年は日本とASEANが交流を始めて40周年になります。私もシンガポールで伺ったんですけども、国交省では予算を大幅にふやして東南アジア地域からの観光客誘致等に力を入れるということでございます。
 先ほども和田委員から指摘がございましたが、昨今中国、韓国、台湾との関係が悪化しておるわけですから、そこをカバーするという意味でも、県としてはこれまで以上に東南アジアとの地域外交に力を入れるべきと。ましてや来年は40周年で国としてはかなり予算をつぎ込んでやっていくというわけでございますから、それを機に県としてもやるべきと考えます。先ほどの東南アジア事務所の充実とも関係してくると思うんですが、御見解を伺いたいと思います。
 ガン氏は、先日いらっしゃって知事と会談されましたが、その際知事がシンガポールへのチャーター便の実現に向けて努力したいという趣旨の発言をされました。東南アジアとの関係を強化するには、現在定期便あるいはチャーター便はほとんどないわけですが、できればシンガポールに限らず東南アジア地域とのチャーター便、そしていずれは定期便を就航されることが大変有効だと考えます。先ほどの知事の発言を受けて、地域外交局としては東南アジアとのチャーター便あるいは定期便の就航についてこれから特に、しかも来年の日本ASEAN交流40周年に向けて取り組むお考えなのかお伺いしたいと思います。

 今の話とも関係してくるんですが、東南アジア諸国との教育旅行、留学生増加に向けた取り組みについてお尋ねします。毎月配られる海外駐在員トピックスを、私は毎回必ず読んでおります。ここには8月20日から24日、遠藤副委員長の地元の三島南高校がシンガポールにいらっしゃって、長谷川駐在員からシンガポールの情報提供があったり、あるいはシンガポールで働いてる静岡県出身の方を交えていろいろ意見交換をしたとあります。実は私もちょうどそのときシンガポールにいたものですから、同席させていただいて、簡単な説明等もさせていただいたんですが、こういった取り組みは大変重要だと思うんです。シンガポールにこだわって申しわけないんですけども、中国、韓国、台湾とは今の状況ですからこうした地域に中学・高校の学生を静岡から送り込むということも、少なくともここしばらくは難しいのかなと思っている中、シンガポールというのは大変魅力的な場所かなと思っております。
 この海外駐在員トピックスの中でも、長谷川駐在員はおっしゃってます。教育旅行の訪問先としてのシンガポールの魅力は、1公用語が英語である。2治安がよくて自由行動も可能である。3多民族からなる都市国家のため、マレー、中華、インド、アラブなどの異文化体験も大変短時間でコンパクトにできると。それと単なる観光にとどまらず、教育の観点から訪問できる場所、施設がたくさんあると。長谷川駐在員がいらっしゃいますので、いろんなアポイントもとりやすい等々の話をされております。
 それで教育旅行、留学生の増加の重要性というのは、例えば地域外交基本方針の中にも多様な価値観を理解するグローバル人材が育つ地域に静岡県をしたいということでございますが、これは当然県の職員の方だけではなくて、そういった留学生、あるいはできれば中学生、高校生のころから海外に行く機会を得れば、いずれは海外で留学して仕事をしたいと。
 となればわざわざ地域外交局がああだこうだしなくても、自分たちでどんどん海外に進出するようなことも期待できるわけですから、私は大いにこういった高校生の教育旅行も含めて促進すべきであると。残念ながら中国、韓国、台湾はこのような状況ですから、これからは特に東南アジア地域に対して力を入れるべきだと考えておりますので、そうした点について、さっきの質問と重なりますが、どのような教育旅行、留学生増加に向けた取り組みを考えておるのか、お尋ねしたいと思います。

 最後に、ふじのくに物流戦略ビジョンについてお尋ねします。ビジョンの1ページですね、物流産業の立地により地域の雇用を創出する、効率的な流通により生活の質が向上するとあります。確かにそのとおりだと思いますが、物流産業というのはまだまだ労働集約型産業であります。そしてその労働環境というのは決してよいとは言えません。たびたび超過勤務ですとか非正規雇用ですとか、長距離輸送の問題が報道されたりしております。
 実は私も学生のころ、宅配便の集配施設で働いたことがあります。宅配便と言いますと普通に家から送ったり届けられるものと、私もそれを想像して行ったんですが、実はいろんなものを配達してるわけです。例えばタイヤですとか鉄板ですとか、私もそれを何とか運んだのですが、これは体がもたないなと思いまして1日でやめた経験がございました。20年以上前の話ですから、現在はそういったことは改善されてるとは思うんですが、やはりまだまだ労働集約型であるという事実、状況は変わっていないと思います。
 知事はこのビジョンの中で、物流の視点から新たな産業の創出と地域経済の活性化に取り組み、物心ともに豊かな地域づくりを目指してふじのくに戦略物流ビジョンを策定したとありますが、そうしたビジョンが先ほど言ったような劣悪な労働環境、あるいはそういった場所で働く労働者の犠牲によって成り立つようなことはあってはならないと思っております。もちろんこういった労働環境や物流あるいは農業という意味では、経済産業部かもしれませんが、そういったところを統括するのが知事戦略監だと思います。知事戦略監が中心になってこういったビジョンをまとめられたわけでありましょうから、労働者の犠牲の上にこういったビジョンが成り立たないよう、各担当あるいは現場で働きかけていくことが必要だと思いますが、御見解を伺いたいと思います。

 また、このビジョンは私も改めて読ませていただきましたが、これは大変多岐にわたるということで、わかりにくい部分もあるのかなと思っております。もう既に関係企業、物流取引、製造業等に説明されてると思うんですが、できましたらそういった労働組合等の現場で働く方々にもわかりやすく説明していくことが、このビジョンの理解と達成に欠かせないと思っております。もしまだやれていないのであれば、関係企業――大企業だけではなくて中小企業あるいは労働組合を初めとしたそうした実際に現場で働く方々に対して、セミナーですとかフォーラムですとか、意見交換あるいは情報提供の場を設けていくことが必要だと思いますが、御答弁いただきたいと思います。

 最後に、これもきのう質問したんですが、静岡空港での貨物便取り扱い量をふやすための取り組みについてお尋ねしたいと思います。この戦略ビジョンについても空港で扱う量をふやしていきたいという方針が書かれております。
 民間が取り扱う貨物便で、特に国際便は成田空港に8割が行っているということで、貨物を扱う施設ですとか、あるいは貨物専用便を何とか拡充することができれば十分に貨物量をふやすことは可能だと思います。ましてや知事が静岡空港を基幹的広域防災拠点にしたいとおっしゃっていますが、そういった観点、つまりは東海地震等の緊急時にたくさんの貨物便ですとか、あるいは物資が倍来たとしても、もちろん緊急時には一々そんな細かい手続とかは省くんでしょうけども、ふだんからたくさんの貨物量を取り扱うための施設があれば、非常時には当然機能がさらに発揮されるわけでございますから、ここは企画広報部が中心となって貨物便の拡充、貨物便の量をふやすための取り組みを進めるべきだと思います。
 というのは、きのうの話を聞いていましても空港の利用政策については文化・観光部、空港施設やその他については交通基盤部、物流については経済産業部と、担当が多岐にわたっているものですから、お互い遠慮してなかなかリーダーシップが見えてこないものですから、ここはやはり戦略物流ビジョンをまとめられている企画広報部がリーダーシップをとって取り組みを進めるべきだと思いますが、御見解を伺いたいと思います。とりあえず以上です。

○佐藤企画課長
 私のほうから人口の関係についてお答えしたいと思います。大きく2点あったかと思います。
 まず最初の人口推計の関係でございます。現総合計画の策定当時、国の社会保障・人口問題研究所の推計がございまして、先ほど17万人というお話がありましたけど、平成22年には377万1000人であったものが、おおむね10年後――これは平成32年になりますが――このときは362万3000人と、この10年間でやはり14万8000人減少するという分析がございました。
 この推計を受けまして、県としましては女性や高齢者を初め多様な人材が活躍できる環境整備、県外への進学や就職による若者の流出を抑えるとともに、地域の魅力を磨き、国内外から専門知識や高度な技術、技能を備えた人材の確保と育成に努める必要があるということを課題として認識しました。おおむね10年後の目標値としまして、この6月にも申し上げましたけれども、合計特殊出生率を2.0に、そして人口の社会移動を転入超過するということで、日本全体がやはり人口減少下にありましても、本県人口を少なくとも維持していきたいということを目指して計画をつくったものであります。
 委員が御指摘のように、10年間のそれぞれの経年の推計がございませんけれども、やはり10年後の最終目標に向けて毎年度総合計画の進捗状況の評価を行っております。その結果を適切に次年度の戦略に織り込んで予算、組織に反映することで、政策の実現を目指し、最終的には本県人口維持を目指して進めていきたいと考えております。

 また、もう1つありました、人の取り合いは無意味という記事等に関してでございますけれども、やはり今の総合計画をつくった経緯から言いまして、県といたしましては各種いろいろな施策を導入いたしまして本県の活力を維持するために、人口維持について目指していきたいと考えております。以上でございます。

○長澤地域政策課長
 内陸フロンティアの関係とふじのくに戦略物流ビジョンの関係についてお答えいたします。
 まず内陸フロンティアの関係でございますけども、個人の住宅の移転等に関しての考え方ということでございます。個人の住宅の移転等につきましては、沿岸地域の住民の皆様が移転を検討する施策としまして、従来の制度としましては国の防災集団移転促進事業というのがございます。これにつきましては、地域全体での移動ということになりますし、移動した後の地域については利用を制限されるといったものがございます。
 個人への移転についての考え方ということでございますけれども、これについてはやはり個人への資産の形成への支援という形になってまいりますので、こういった補助制度、支援制度を検討する場合につきましては、対象となります地域ですとか、ほかの災害リスクを備えた地域のバランス、こういったものを考えていく必要があるんだろうと考えております。
 こういった中で、当然災害のリスクということについての不安というものは十分理解していかなければならないと思いますけれども、補助制度を創設する場合につきましては当然法的な支援ということになりますので、一定の補正減といいますか、条件づけというものは必要になってくるだろうと考えております。また、それぞれの事情で移転がかなわないという皆様もいらっしゃるということでございますので、そういった皆様を含めた形で全体の住民の生命、財産を守るための支援策につきまして、ハード整備によります津波対策、こういったものを含めて総合的に研究していく必要があると考えております。

 それから、戦略物流ビジョンの関係でございますけれども、物流の現場で働いている人の声ということでございます。戦略物流ビジョンについては先進的な、物流の視点からも新たな産業の創出と地域経済の活性化を目的としまして策定したところでございます。策定に当たりましては一応企業の皆様等を訪問しまして、企業の意見を取り入れて作成しているということでございます。先進的な物流を担う人材育成ということも戦略の中には掲げてございますので、そういった広い意味での人材育成という形の観点は盛り込んでいると考えております。
 委員がおっしゃるとおり、物流産業は労働集約型の産業ということでございまして、この物流産業以外につきましてもそういった産業についての労使関係等につきましては、これは経済産業部のほうで策定している静岡県経済産業ビジョンというのがございます。その中には労使関係の安定と適正な労働条件の確保という視点での施策も盛り込まれているということでございますので、我々もその物流業界の方々とも話を伺いながら、必要があれば経済産業部とも連携をとりながら進めてまいりたいと考えております。

 それから、現場の皆様への説明ということでございますけれども、昨年度3月に支援ネットビジョンをつくりまして、今年度は3地域においてフォーラムを開催しております。これについては広く県民の皆様も含めて呼びかけをしているところでございますけれども、今後また必要に応じてこちらから出向いて中小企業の皆様も含めて説明にまいりたいと考えております。

 それから、静岡空港の貨物便の増等の関係でございますけれども、この戦略物流ビジョンの推進に当たりましては、静岡県戦略物流推進本部というものを庁内の横断的な組織として設けております。我々企画広報部が所管するのですけれども、それ以外にくらし・環境部、文化・観光部、経済産業部、交通基盤部も入った中でこの戦略物流ビジョンの推進について検討しているということでございますので、静岡空港の貨物便の増加策等についてもこの中で議論して、よりよい方向になるように努力してまいりたいと思います。以上でございます。

○若梅県理事(地域外交担当)
 東南アジアとの交流で幾つか御質問をいただいてる中で、まず駐在員事務所の充実強化の関係でございますが、御案内のとおり東南アジア全体では今249社の企業が出ておりまして、これは中国よりも多い数になっております。実態としましてはタイ、ベトナム、インドネシアが多いわけですが、駐在員が必要の都度出かけていきまして対応を図っているという状況の中で、なかなか十分な企業支援ができていないという声も聞かれております。
 そのような中で、最近静岡銀行がタイのカシコン銀行と業務提携いたしまして、民間レベルでの現地企業の支援も始まっております。ここにはうちの駐在員も行きまして、例えば行政関係ですとか連携を図りながら対応を進めているところでありますが、やはりそれでもまだなかなかという状況でございますので、先般の経済産業部長の答弁にもありましたとおり、充実の方策についてこれから連携して検討してまいりたいと考えております。また、駐在員の増員というお話もございましたが、定数削減等実施している中でなかなか今の時点では厳しいのかなと考えております。

 チャーター便等の活用といいますか、取り組みというお話がございましたが、これも先ほどのテン・ダー氏等に御尽力いただきながら、駐在員のほうで航空会社等を回りながら情報収集に努めている現状でございます。なかなか日本へ飛んでくるというのも厳しいものがあるという中で、文化・観光部と連携しながらトランジット便――今仁川と台北と上海に県の国際便が飛んでおりますので、東南アジアからその就航先を経由したツアーの造成に取り組んでおります。ですからまずはそのチャーター便等へつながるような形で需要を見せていくことが大事かなと考えておりますので、その辺の取り組みからしていきたいと考えております。
 東南アジアに力を入れるべきだというお話をいただいております。戦略展開の中でも、やはりその経済発展が著しい東南アジアの活力を取り込むという視点で、東南アジアとの交流を強化していきたいというふうに考えております。そこには先ほどのテン・ダー氏ですとか、ガン氏ですとか、対外関係推進員の方の御尽力、協力、ネットワークを目いっぱい活用しながらビジネスチャンスの拡大ですとか、就航先との定期便化への流れですとか、将来的な流れも含めて交流の強化を図っていきたいと考えております。以上です。

○深谷地域外交局長
 日本とASEANとの交流40周年という中での今後の取り組みについてでございます。理事の説明にもございましたように、本県といたしましては地域外交基本方針の中で東南アジアを重点地域と位置づけてございます。そういう中で、企業進出の活性化、それから地域の所得水準が上がってきております。観光誘客の面、それから文化交流の面で期待ができる地域に変わってきております。そういったことも踏まえ、この東南アジア地域と経済、観光、文化、教育の幅広い分野で交流を通して本県の活力に取り込むということに向けて、関係部局と連携して一層の取り組みを進めていきたいと考えております。以上です。

○後藤地域外交課長
 県内の高校生、大学生について、シンガポールを中心とした東南アジアへの留学、それから教育旅行をふやすということについての考えでございます。これにつきましては、静岡県だけではなくて日本全体で大学生の留学生が減っていると。若者の内向き志向を反映しているというようなことが言われております。若いうちに異文化を体験する、身をもって体験するというのは委員御指摘のとおり、地域外交基本方針の中にもあります、グローバル人材が育つ地域を実現していく上でも非常に大事なことだと考えております。
 細かい資料は今手元にございませんけれども、地域外交課としまして県教育委員会、大学課、私学振興課、県内大学でもって構成する大学ネットワーク、こういった機関と連携して留学生の増に向けて働きかけをしていきたいと考えております。以上です。

○鈴木(智)委員
 御答弁ありがとうございました。幾つか再質問したいと思います。
 将来の人口推計の話なんですが、相変わらず何とか人口維持に努めたいとおっしゃっているんですが、例えばその具体的な数字は出てこないんですね。人口維持というのは、いつの人口なんですか。例えば先ほど平成32年に、362万3000人になるということですが、362万人の人口を維持するという意味なのか、あるいはもっと後、平成47年は324万人ですからもう50万人以上減ってしまうんですが、この時点の人口を維持するのか、その辺のところが全然見えてこないんですね。ですから私はさんざん具体的な推計ですとかデータに基づいた戦略対策が必要だと申しておるんですが、その辺のところをもう1度確認したいと思います。

 何とか社会増もふやしてやっていきたいということだと思うのですが、伊藤教授は同じ記事でこうもおっしゃっています。「なんとか自分の地域の人口をふやしたいと考えても、それが難しい話であることがわかる。日本全体の人口が減少している中で、かりにどこかの地域の人口が増えたとすれば、それは別の地域から人口を奪っているにすぎないからだ。あちこちの地域で人口を引きつけるための政策を行っているとすれば、それは経済学者がゼロサムゲームとか囚人のジレンマと呼ぶ状況になっている。人の取り合いになって、成果が上がらないまま、無駄な政策費用だけをかけることになりかねないからだ」と、いったことをこれからやっていこうとこれまで説明されてるわけですね。それじゃいけないと思うものですから、さんざん繰り返し言っておるんですけども、こういった指摘に対してどのように御検討されるのか、お答えいただきたいと思います。

 それと、内陸フロンティアにつきましては、確かに個人の資産の形成につながるような補助はできないということでございますが、これも考え方を変える必要があるかと思います。
 例えば、「TOUKAI―0」。所管でないのは重々承知してますが、これは個人が家を耐震化することに対して、市町と一緒になって補助金を出すわけですね。私が言ってる個人移転というのは、防災対策ですよ。沿岸部から内陸部に移れば、基本的に考えれば大体今回想定されてる震源域というのは海岸、海のほうですから、震源域から遠くなる。そうなれば震度も基本的には低くなりますし、ましてや津波に襲われる可能性が減ってくると。買うことはもちろん資産の形成にはなりますが、考え方を変えればそういったところに補助するということは防災対策ですから、「TOUKAI―0」と同じような目的で支援ができるのではないかと思うものですから、改めて提案させていただいています。
 それと人口減少の問題も考えますと、これから山間部でもいわゆる限界集落というのが出現すると思いますし、沿岸部についても、私はゴーストタウンができてしまうのではないかとおそれております。お金のある方は沿岸部から内陸部に行くわけでございますが、私の駿河区もそうですけれど、賃貸だったら簡単に移動はできますが、長年働いてためたお金で買った家を手放すということの難しい方のほうがむしろ多いんだろうと思います。沿岸部もそうです。最近空き家がふえてきてますが、そうは言ってもなかなか動けない方がいっぱいいらっしゃいますし、ただ津波対策だけであればそれでもいいんですが、それに人口減が重なってくると、沿岸部においてもゴーストタウンが発生してしまう。そうなると伊藤教授もおっしゃってましたが、静岡の経済自体がますます疲弊してしまうということにつながると考えるものですから聞いております。先ほど言った「TOUKAI―0」的な考え方も必要ではないかと思うんですが、この件につきまして再答弁をお願いしたいと思います。

 それと、東南アジア駐在員事務所については、私は去年の本会議からさんざん言っておるんですが、先ほど若梅県理事は県全体で職員減に努めている中、なかなか難しいとおっしゃってます。それは重々わかるんですが、この際、私はパラダイムシフトでと言うと大げさな話なんですが、発想の転換をすることが必要なのかなと思っております。
 というのは、御案内のとおり企業はどんどん海外展開を進めてます。日本国内は人口減になりますからマーケットはどんどん小さくなると。日本で生産したところでもう売れる物が減っているわけですから、いろいろな意味で海外展開せざるを得ないと考えますと、静岡県自体が私は思い切りがらっと変えて、海外に展開する必要があるのではないかと思っております。
 例えば地域外交局というのはある意味外務省的なものですよね。外務省というのは、例えばある地域と新たに外交関係を結ぶ場合には、外務省の方が率先して行かれるわけですね。もちろん地域外交局の職員はほんのわずかですから、なかなかそうはいかないにしても、今の状況ですと、海外に多くの企業が行ってから静岡県が後押ししてるような感じだと思うのです。これからミャンマー等々と関係が深くなってくると思いますが、そうでなくても企業に率先して展開していくと、そういったことが必要なのかなと思うんですが、東南アジア駐在員事務所の充実についてもう一度御答弁をいただきたいと思います。

 それと、ASEANの取り組みについてはぜひやっていただきたいと思うんですが、今回ガン氏、テン氏が相次いで静岡に来られました。テン氏のほうはシンガポールをゲートウエーとしたアジアへの企業展開、ガン氏については来年富士登山を目玉に多くのシンガポール人と一緒に静岡に来たいと、それを受けて知事のほうはチャーター便等々の話をされたと思うんですが、こういったお二方がせっかく熱を入れてくださっているわけですし、ましてや来年は40周年でございます。もっと具体的に取り組みを進めていくべき、つまりこれまでとは違った取り組みをしていくべきだと思いますが、改めて御回答いただきたいと思います。

 それと、東南アジア諸国との教育旅行につきましては、そのとおりでございますが、県立大学にグローバル地域センターがこれから大々的に設立されるということでございますが、これの英語名がグローバルセンター・フォー・エイジアン・アンド・リージョナル・リサーチなんですね。エイジアンと入ってるわけですから、これから特にアジアの関係について調査をしていくということでございます。
 ですからなおさら、ここしばらくは中国、韓国、あるいは台湾との調査の提携ということが難しいわけですから、駐在員がシンガポールにおりますし、例えばテン氏、ガン氏につきましては私がシンガポールでお会いした際、ガン氏の紹介でシンガポール国立大学にイースト・エイジアン・インスティテュートという東アジアについて調査研究する機関があるんですが、そこの研究員の方ともお会いしました。そういった人脈が今回できたわけですから、そういったところを生かして特に東南アジア諸国との教育旅行、留学生増加に向けた取り組みをしていく必要があると思うんですが、改めて御答弁いただきたいと思います。

 それと、戦略物流ビジョンについては承知いたしました。特に現場で働く方からやはりよくわからないという声をいただきますので、そこは細かく丁寧に説明等をしていただきたいと思いますし、また貨物につきましては、繰り返しになりますが、やはり危機の場合に役立つものでもありますので、知事戦略監がリーダーシップをとってやっていただきたいと思います。これは要望で結構でございます。以上です。

○篠原政策企画局長
 人口推計の県の考え方についてお答えいたします。
 総合計画上、人口推計につきましては、過去20世紀までは、基本計画をつくる上では目標年度の人口推計や経済成長の見込み等の基本フレームをまず想定いたしまして、そしてそれに対する行政サービス、供給をどういうふうにしていくかという計画、基本的に大きな枠組みとしてはそういう計画づくりをしておりました。
 その中で、人口推計について県独自ということで、かなりのお金を使って推計をしておったわけですけども、推計に用いるいろいろな条件によって推計が変わるということ。それから国が社会保障・人口問題研究所で出している数値と基本的に余り変わらないというような反省といいますか、過去の考え方がございました。そういうものを踏まえております。
 総合計画につきましては、平成13年度に策定した計画から目的志向型の行政運営ということで、先に需要を想定してそれに供給をどのようにするかというような計画ではなくて、行政として県民の方々にどういうサービス、あるいはどういうものを目指していくかという目標を設定してやっていくという考え方にしております。
 その結果、現在の総合計画では、人口に関しましては出生率2の目標、それから、社会移動については転入増ということで記載をさせていただいております。
 ただ、そうはいっても社会福祉施設とか学校とか、あるいはその他人口の動向に大きく左右される行政分野がございます。その分野につきましては、それぞれの行政分野でいろんな計画をつくる、あるいは行政を執行していく上で、当然人口推計についてはその分野にあったものをやっていきたいということで、基本的に現在の行政を推進していくということでございます。以上でございます。

○長澤地域政策課長
 内陸のフロンティアに関連しまして、「TOUKAI―0」と同様に、防災対策の観点から住宅の移転等についての支援措置が考えられないかという御質問でございます。
 「TOUKAI―0」につきましては、文字どおり建物の倒壊を防ぐということで、倒壊により避難がおくれたり、あるいは避難路が塞がれたりします。そういったものも防いでいくということでございまして、住まわれている住居の耐震性を確保するということについては、「TOUKAI―0」で耐震性を備えるということが他に代替手段がないものであろうと考えております。
 移転に対する支援措置につきましては、先ほども申し上げましたとおり、防災の観点から有効だということは考えられますけれども、そこの対象地域ですとか、ほかの災害リスク等のバランス等を考慮していく必要があるだろうと考えておりますので、そういったものを研究しながら、なおかつハード整備によります津波対策、避難を前提としました津波対策を総合的に勘案して研究していく必要があると考えております。以上でございます。

○若梅県理事(地域外交担当)
 東南アジア駐在員の増員の関係での再質問でございますが、やはり東南アジアとの交流を強化していくために、例えば、正規職員を増員するのがいいのか、ネーティブ職員を採用しての活用がいいのか、または先ほど来から出ております、テン氏、ガン氏等外部人材の活用を図っていくのがいいのか、どういう方法で進めるのが一番いいのかというのを中長期的な視点も含めまして、経済産業部ですとか経営管理部等とも相談をしながら総合的に検討してまいりたいと考えております。以上です。

○深谷地域外交局長
 ASEANとの具体的な取り組みの推進についてでございます。
 今年度から実施をいたしました対外関係推進員テン氏、ガン氏からも幾つかの具体的な提案をいただいております。ガン氏からは、ガン氏が会長をしておりますシンガポール日本文化協会、来年が50周年ということで、その記念行事の中で静岡県と連携した静岡県のシンガポールでのPRや、県産品219品目をガン氏のコネクションの中でシンガポール中華総商会などに情報提供していくという御提案をいただいております。またテン氏からはシンガポールの政府系関係機関との連携の中で県内企業、シンガポール企業との情報交換、連携などの御提案をいただいております。
 こういった御提案なども踏まえてASEAN地域との交流の取り組みについて今後検討していきたいと思っております。よろしくお願いします。

○後藤地域外交課長
 東南アジアへの高校生、大学生の教育旅行、あるいは留学生というものに、グローバル地域センターの人脈の活用というような御提言をいただきましたものですから、委員の趣旨を踏まえまして検討してまいりたいと考えております。以上です。

○鈴木(智)委員
 御答弁ありがとうございました。
 引き続き、この人口推計の話をしたいのですが、以前は推計したけどお金がかかるし、実際やってみたら国立社会保障・人口問題研究所の推計とはそんなに変わらないと。現在やっているのは、目標志向型ということで、何年までの人口をどれぐらいにするとかそういう数字を出さないということだと思うんですが、それだと非常に見方が短期的にならないですか。
 この推計をもとにして考えるのであれば、例えば、平成47年ですからあと20年ちょっとですよね。ましてやこれに高齢化がかかってくるわけですから、例えば大学に進学する学生は大幅に減るわけですね。そうなると場合によっては静岡文化芸術大学と県立大学を統合するという方策も考える必要が出てくるかなと思うんですね。先ほどのとおり、いつまでたっても人口維持を目指すだけで、長期のことはよくわかりませんから短期的なことだけ需要と供給を見てやっていくということになると、そういった必要が全く抜けてしまいます。となると、大学側はそれぞれ自分の大学を維持するけれどもふたをあけてみて50年後になったら教室はがらがらですというふうになってしまうのではないかと思うのですが、そのあたりはいかがでしょうか。

 それと先ほど出生率の話がありました。これをちょっと今から議論したいんですけど。
 まず初めに御紹介したいのが、東京の自治のあり方研究会。御存じですか。メンバーに大学の先生方が何人かと、東京都総務局行政部長、都の知事本局の方、特別区の部長、町村会事務局長等が入っている研究会で、ことしの4月に推計を出しております。静岡新聞に載っていましたので見た方がいらっしゃるのかなと思うんですけれども、東京の区町村ごとの男女別、年齢、階級別の常住人口、転入出人口及び世帯累計別の世帯数を独自に推計したもので、2100年まで5年ごとに推計しております。
 その中身というのは簡単に言えば、東京都の総人口は、2020年に1335万人をピークに加速度的に減少し、2100年には713万人に減少云々とありまして、ただこれに対してはどういうシナリオが考えられるかということで、出生率が上昇したシナリオと、それとは別に外国人のふえた増加シナリオの2つを掲げています。ですから、人口維持、維持と言いますけど、社会増をふやす、ふやすと言ってますけど、伊藤教授が言ってるとおり、それはまず無理な話なんですよね、長期的に見れば。ただ先ほど言ったような言い方ですと、その数年しか見てないもんだから、まだまだまだ頑張る、頑張るという話になってしまうので問題があるかと思うのですが。
 この東京の自治のあり方研究会の中で先ほど言った出生率が上がった場合のシナリオの数字として、フランスの出生率の数字を用いています。どういうことかというと、フランスというのはよく少子化対策の先進地として言われてますけど、フランスの場合は、さまざまな少子化対策を1990年代前半に行った結果、1994年の合計特殊出生率が1.66だったのが、2006年に2.00。つまりは1994年から2006年ですから、12年間に1.66から2.00になりましたから、0.34出生率が上がったということなんですね。ですから、年平均すると0.028になるんです。
 ただ静岡県の場合、去年1.49ですね。総合計画ですと、10年後の平成33年に2.00ということですから、単純に言えば、10年間で0.51です。フランスはさっき言いましたけど、年平均0.028なんですが、静岡県の場合、10年後に2.0を達成するにはそのフランスの倍近くの0.05出生率を上げていかないと2.0には達成しないということになります。それは本当に可能なんですか。そういう数字がないがために2.0を目指しますといっても私には客観性を持った数字には全然見えないわけなんですね。その点について、今のフランスの数字を見ながら御答弁をいただきたいと思います。

 次に、東南アジアの駐在員事務所については、これからいろんな方法について検討していくということなんですが、なぜこんなことを申しましたかと申しますと、前回6月の委員会で後藤地域外交課長が、6つの国と地域のうち東南アジアについてなぜ国を指定しなかったのかといった質問に対して、東南アジア地域に関しましては非常に経済成長が著しく、本県としても簡単にはまだ詰め切れてないというような話だったのです。ただ予算を見ますと、東南アジアの地域外交を推進する体制というのは非常に貧弱な構成になってるのかなと思ったわけですね。というのは、駐在員事務所には長谷川駐在員1人と現地の職員の方もいらっしゃいますが、基本的に1人で頑張ってる。ただ今回、テン氏、ガン氏にお手伝いしていただくことになりましたが、あくまでも非常勤ということでございます。
 それと本庁の体制は、確か山口さんがお1人でやられてるというふうに伺ってます。ですから、現地1人、本庁1人の2人だけではその人口が6億人で、10カ国ある東南アジアの中で、そもそも絞り込むにも絞り込めない体制になってるのではないかという問題意識を持ったわけです。ですから、せっかくそういった東南アジア地域に重点を置くというわけですから、来年は国が率先してやると言ってるわけですから、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

 それと、留学についてはすぐにできる話ではございませんので、しっかりガン氏、テン氏の人脈も使いながら頑張っていただきたいと思いますので、これは要望で結構です。以上です。

○篠原政策企画局長
 人口推計の関係でございます。御質問の趣旨が、総合計画に人口の目標といいますか、そういう具体的な数値を折り込めというような御趣旨だというふうに受けとったわけですけども、先ほど東京の例もありましたように、どういう条件を設定するか、出生率をどうするか、転入状況をどうするかなどの要因をどういうふうに考えるかということが基本的に目標設定には必要になると考えております。
 今の私の説明にもありましたように、そういう中で出生率の問題、あるいは社会増の問題、具体的にはそういうものをどういう形で目標を設定するかということが実際に行政を運営していく上では重要になると考えております。
 ただ、やはり県民にわかりやすい状況で県の将来像をどうするか、全体の人口の目標をどういうふうに置くかということは一つの大きなテーマでございますので、いろいろな部分でそれについては研究していきたいと考えてます。以上です。

○若梅県理事(地域外交担当)
 まず、東南アジアとの交流の関係ですが、基本方針の中では東南アジアという大きいくくりでくくっているわけでございますが、例えば、タイですとかベトナムですとか、これから交流が頻繁になって友好交流の方向ですとか、定期便が就航するですとか、そういう中長期的な視点を踏まえながらトータルで考えていく必要があるかと思います。そういうことでどういう手法で強化に対する対応をしていくのかというのも含め、そこは総合的に検討してまいりたいと考えております。以上です。

○鈴木(智)委員
 ちょっとお答えがいただけてないんですが、先ほど言った出生率2.0についてお答えいただきたいんですけど、目標志向とおっしゃってますけれど、この2.0というのは実現できるかどうかわからないけど、人口を維持するためには2.0以上なきゃいけないから2.0というふうに設定しただけであって、具体的にどうこうやっていく根拠はないということでよろしいんですか。そういうふうにしか聞こえないんですけども。
 あとまだ御答弁をいただいてないんですが、伊藤元重教授は社会増を云々ですとか、少子化対策をやるなと言ってるつもりはなく、少子化対策あるいは人口の社会増だけではもう無理ということを伊藤教授は言っているのであって、そればかりに執着するのではなく人口減に合わせたシステムをつくっていかないとだめだよっていうことをおっしゃってるんですけど、その点についてはいかがですか。
 それと、改めて確認したいんですけど、企画広報部の行動指針というものがございます。当然頭の中に入ってると思うんですが、幾つかありますね。「私たちは、つねに、時代の変化に対応して県の仕事をつくります」「私たちは、つねに、広い視野に立ち、データを重視した仕事をします」「私たち企画広報部職員は、つねに、大胆な発想と細やかな心配りを持って切磋琢磨することを約束します」こういった指針があるんですが、さっきの話は全然データに基づいた仕事じゃないと思うんです。単なる勢いであって、あとは頑張る、頑張ると言ってるだけで、こういった言い方は失礼な言い方ですが、将来のための具体的なデータに裏づけた戦略、見通しが曖昧なまま戦争に突入したかつての日本のような感じがしてならないんですけど、その点いかがでしょうか。もう一度御答弁お願いします。

○篠原政策企画局長
 目標の設定については、データを重視して当然そういう推計も含めてやっていく必要があるというふうに考えております。
 出生率2.0の問題については、目標として設定をしております。それが実現するかどうかについては、それぞれの場面での評価、あるいは議会での御審査、そういうものを受けて実際に行っている担当部局での施策が妥当か有効性があるか、県民にも御説明をしていく必要があると考えております。基本的にはデータ、客観的な事実、そういうものは当然重視して、それに基づいて目標も設定しておりますし、その目標の設定についてまたいろいろな御意見があることについても承知をしています。そういうことで、目標の設定についてはできるだけいいものを設定していきたいということで、今後ともしっかり研究していきたいと思います。以上です。

○鈴木(智)委員
 目標は当然いいものとしなきゃ困るんですが、ただ目標が余りにも現実とかけ離れてては意味がないというか、かえって過ちを生む原因になると思うんですね。
 繰り返しになりますけど、先ほどのフランスの例からすれば、10年後に出生率2.0というのは普通に考えれば無理な、少子化対策先進地と言われるフランス以上のペースで、しかも静岡県独自で、もちろん国の政策もかかわってくると思いますけど、静岡県だけそれ以上やるということは、それなりの予算なりいろんなものをつぎ込まなくちゃいけないということになると思うんですけど、その2.0の実現性についてはどうなるかということを先ほど御答弁いただかなかったんですが、人口維持というのはいつの人口をもって維持というのか。下がり続けたら、いつまで人口維持、人口維持、人口維持と言い続けるのか。何万人になれば人口維持が達成するというのか、その辺のところもう一回確認をしたいと思います。

○篠原政策企画局長
 出生率2.0の問題ですけども、今非常に厳しいということは私も承知をしております。
 それは日本のいろんな社会の構造、あるいはいろんな現在の状況からして厳しいということは承知をしておりますけども、やはり女性が産んで男女で一緒に育てていくという社会をつくっていくと、そういうことを目標にして行政としてはやっておりますので、それをフランスに合わせて出生率1.6とか、どこかの国に合わせて1.4というよりも、この総合計画では2.0ということを目標として掲げて、それに向かって一生懸命やっていくと、県庁全体で一生懸命やっていくということで御理解をいただきたいと思います。
 それから、人口につきましては、370万人強、380万人前後でピークのときがございました。その数字を一応維持したいということで施策を打っていくということで総合計画上には掲げております。以上です。

○鈴木(智)委員
 最後にもう1点だけ確認したいんですけど、379万人を維持したいということなんですが、残念ながら実際の人口は将来推計人口にほぼ合った形で今減っておるんですね。
 例えば、総合計画の54ページにもありますが、平成17年に379万人、その当時の推計ですと、平成22年に377万人になるということだったんですが、実際には平成22年10月に376万5000人。ですから、この平成19年の推計よりもむしろ減少が進んでおると。そしてこの推計ですと、静岡県は平成27年に371万人になるんですが、実施のところは、ことし8月現在で373万8000人です。もちろんまだ平成27年になってませんから、その数字までいってないんですが、このままのペースで言いますと、年間で約1万人ずつ減ってる計算になります。ですから、3年後にはこの数字になる可能性が非常に高いということを考えますと、少なくともこの推計どおりに人口が減っておると。
 ですから、このままいきますと平成32年、繰り返しになりますが、362万人と17万人減ということで17万人とは非常に大きな数字だと思うのですね。磐田市の人口より多い数字ですから。島田市、三島市や伊豆市、御殿場市よりも多い数字になります。それが続いてしまいますと、さっきの平成47年は324万人ですから55万人減ですね。55万人というのはさっき言った4市を足した数よりも多い数字になります。
 ですから、現在のところ全く推計どおりいってるということは、逆に言えばいろんな要因がありますけど、県のほうでやってる施策は全く効果を上げていないということになりますね。そこを大幅に見直していかないと、ずるずるいってしまうことになります。ですから、さっきの出生率2.0という、そういう非現実的な目標を掲げるんではなくて、もっと現実的な目標を掲げてなおかつ投入できる資源も限られてるわけですから、そこは選択と集中じゃないですけど、しっかりと資源を配置していかないと、あれもだめこれもだめで結局これ推計どおりになってしまうんじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。最後、御答弁お願いします。

○篠原政策企画局長
 先ほどちょっと話をしましたように、具体的に県としてその目標に向かってどういう形の戦術といいますか、事業あるいは仕事をやってるかということについては、それぞれその場その場、あるいは総合計画審議会を初めとして、その場で御審査をいただくということで進めていくと。厳しい御意見が出ることは当然我々としても理解して、それを真摯に受けて新しい事業を組んでいくという方針で進めてまいりたいと考えております。以上です。

○鈴木(智)委員
 よろしくお願いします。ありがとうございました。

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