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平成27年9月議会代表質問(平成27年9月28日)

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質疑・質問事項
1 静岡県版総合戦略及び長期人口ビジョンについて  
(1) 会派提言の総合戦略への反映  
(2) 長期人口ビジョンに基づくグランドデザイン  
2 洪水災害対策について  
3 二〇二〇年を見据えた観光情報発信力の強化について
(1)観光情報発信力の強化
(2) 観光案内所の魅力向上策
4 県の魅力を高めるグローバル教育の強化について
(1) 県立大学におけるグローバル教育カリキュラムの導入
(2) 県立高校における国際バカロレア認定に向けた取り組み
5 自死対策について
(1) 自死への偏見をなくす取り組み
(2) 薬物によらない治療、対応
6 いじめ対策について
(1) 社会総がかりで行ういじめ対策
(2) スマートフォンの危険性を全県で教える取り組み
7 給食を通しての食育の強化について
8 UIJターン就職促進について
9 世界遺産富士山に関する情報提供戦略について
10 ユニバーサルデザインに配慮した道路整備について
11 県職員におけるワーク・ライフ・バランスの推進について
12 暴力団の資金源を断つ取り組みの強化について

○十九番(鈴木 智君) ふじのくに県議団の鈴木智です。
 まず、質問に入ります前に先日の台風十八号の影響により浜松市を中心に冠水、浸水等の被害に遭われた方々、そして鬼怒川等の堤防決壊により被災された方々に対し心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復旧をお祈り申し上げます。
 それでは、会派を代表し県が直面している重要課題につきまして分割質問方式にて御質問いたします。
 最初に、静岡県版総合戦略及び長期人口ビジョンについてのうち、会派提言の総合戦略への反映について伺います。
 我が会派は六月議会で示された総合戦略素案について、総合計画後期アクションプランの焼き直しの印象が強く、合計特殊出生率二、転入超過を実現するための覚悟が不十分ということから抜本的な見直しを去る七月十三日に要請しました。具体的には合計特殊出生率を現在の一・五から倍の三・〇にするくらいの政策を実施しないと二・〇七には到達しない。周産期前後の環境整備だけでなく保育料や子供が独立するまでの養育費、住宅など子育て世帯の経済的負担を軽減するための直接的な財政支援等を検討し導入すること。二〇二〇年に二・〇七については現実的な年次目標とすること。市町総合戦略の策定を支援し県の総合戦略との整合を図ること等を提言いたしました。
 このたび改めて示された総合戦略案では、こうした我々の提言はどのように反映され、どのように抜本的な見直しが行われたのでしょうか。具体的な説明をお願いいたします。
 次に、長期人口ビジョンに基づくグランドデザインについて伺います。
 総合戦略案とともに示された長期人口ビジョン案は、本県が目指す将来の姿として二〇六〇年に三百万人程度の人口を確保し二〇九〇年以降は二百九十万人程度の安定した人口水準を維持することを掲げています。言いかえれば仮に二〇二〇年に出生率が二・〇七まで上昇し社会的転出入がゼロとなりその後維持されたとしても、県の人口は今後少なくとも八十万人――三割近く減少することは避けられないというのが現在の県の認識だということです。そこで肝心なのは例えば二百九十万人まで減った県民が安全・安心に暮らすにはどのような形の静岡県を築けばいいのか、つまりはあるべき二〇九〇年の静岡県を実現するためのグランドデザインを考え、必要な政策を実行することです。
 人口が三割近く減り生産年齢人口も当面は減り続けるということは大幅な税収減も覚悟しなければなりません。一方、高齢化の進行に伴い社会保障費の大幅な増加が懸念されています。また今後も南海トラフ巨大地震に備えたハード整備等を続ける必要がある一方、当面はインフラの老朽化対策に必要なコストが増大します。
 人口や税収が減る以上、行政サービスのコスト削減も避けられません。また人口が全体で三割も減るということは市街地、住宅地の集約をある程度は図っていかなければ、にぎわいが失われ存続ができない集落や地域が県内各地に出現することになります。例えば昨年七月に国土交通省が発表した国土のグランドデザイン二〇五〇における試算によれば、このまま推移した場合、静岡県においては二〇五〇年までに居住地の一二%が無人化し三三%の地域で二〇一〇年より五〇%以上人口が減少することが予想されています。
 こうした状況の中で安心・安全な暮らしができる静岡県を築いていくには、例えばスマートシュリンクのような政策がどうしても必要になります。つまり市街地等を賢く凝集――スマートシュリンクさせることによりインフラ等の維持管理コストの軽減を図るとともに、地域のにぎわいを維持しようというものです。平成二十五年十月に策定された静岡県都市計画区域マスタープラン方針でも出てくる考え方です。
 とはいえ、道路や市街地等を整備拡大することが基本だった従来の都市計画からの大転換であり、各市町や地域住民の同意を得るのは容易ではないでしょう。だからこそどのように静岡県を、県全体をスマートシュリンクさせるか今から検討を開始し、具体的なグランドデザインを描き各市町や県民と議論し合意形成を図っていくことが不可欠と考えます。
 静岡県版総合戦略及び長期人口ビジョンは今議会での議論を経て十月末までに国に示すこととなっていますが、これで終わりではなく、今後の県民会議等で県民にとってわかりやすい長期人口ビジョンに基づくグランドデザインの策定を進めるべきと考えますが、今後の方針について伺います。
 次に、洪水災害対策について伺います。
 このたびの台風十八号の影響に伴う豪雨により堤防が決壊した鬼怒川の洪水の模様は、まさに東日本大震災での津波災害を思い起こさせるものでした。こうした洪水災害を防ぐ対策として河川の堤防の強化が急がれますが、現実問題として堤防強化は膨大な経費と時間を要するものです。また津波と同様に洪水を完全に防ぐことは不可能であり、ハード面だけでなくソフト面の対策も重要であることは今回の洪水災害でも改めて認識させられました。
 この十一日に開催された県の有識者会議で、津波災害特別警戒区域――オレンジゾーンの指定基準案がまとまりました。今回の洪水を受け、洪水災害についても同様の洪水警戒区域を設定すべきという意見が専門家から出ています。
 県におきましては、今回の鬼怒川等での堤防決壊や洪水災害を教訓に効果的かつ現実的で人口減少、超高齢社会の到来を見据えた洪水災害対策を改めて確認し、国や市町と連携して進めることが急務だと考えますが、県の方針を伺います。
 次に、二〇二〇年を見据えた観光情報発信力の強化についてのうち、観光情報発信力の強化について伺います。
 私たちふじのくに県議団の提案により、昨年十月に静岡県観光振興条例が成立しました。国内はもとより海外からより多くの観光客を引きつけることができる観光立県を目指すことは、我が県にとってこれからの人口減少、超高齢社会を乗り越えるために欠かせない戦略だと考えます。特に二〇二〇年に日本で開催されるオリンピック・パラリンピックは静岡県を世界に売り込む絶好のチャンスです。内閣官房地域活性化伝道師である木下斉氏は、地方の観光地が変わるには地元関係者だけでなくいわゆるよそ者の関与が欠かせないと言われています。静岡県の魅力が客観的にわかるよそ者、つまり他県や他国出身の県内在住者の協力を得てインターネット等で情報発信していくことは大変効果的であると考えます。ある商品を買ったりお店に行ったりする際にインターネット等のいわゆる口コミを参考にする方は大変多いと思いますが、そうした口コミは第三者による、より客観的な評価だからこそ信頼性があるわけです。同様によそ者による口コミ的な情報発信を静岡県の観光についても行うべきと考えます。
 また、妻が外国人ということもあり外国人の方を案内することが私は多いのですが、実は本日も四名のシンガポール人観光客を連れてきておりますが、インターネット等で提供されている外国語の観光案内には毎年変わる行事の日時や場所等、詳細でタイムリーな情報がほとんどありません。そして日本人による外国語情報には外国人にとって不自然な表現に聞こえる場合も少なくないようです。現在外国人観光客が急増していますが、今後は団体客よりも個人旅行者がふえるとも言われています。
 前述のように、留学生等の県内在住外国人の皆さんの協力を得ながら多言語によるタイムリーな情報発信を行うことも重要と考えますが、今後の観光情報発信力の強化方針について伺います。
 次に、観光案内所の魅力向上策について伺います。
 観光振興条例に基づいてこの六月に報告されたふじのくに観光躍進基本計画の実施状況の中で、観光案内所機能の充実が掲げられています。観光案内所はたまたま通りかかった人でも立ち寄りたくなる場所であるべきと考えますが、東京観光案内所は果たしてそうなっているでしょうか。実際、東京観光案内所がある東京交通会館地下一階には富山県と和歌山県の観光案内所とサテライトショップがありますが、富山県の昨年度の年間利用者数は四十九万一千三百八十四人、和歌山県が十三万六千五百十九人です。対して東京観光案内所は一日平均五十一人、年間一万八千人ほどしか利用者はありません。また東京観光案内所の英語名はグリーンティープラザとなっていますが、この名称ではお茶に関心がない外国人には敬遠される可能性があるのではないでしょうか。
 二〇二〇年を見据え観光案内所の抜本的な機能強化も図るべきと考えますが、今後の観光案内所の魅力向上策について伺います。
 次に、県の魅力を高めるグローバル教育の強化についてのうち、県立大学におけるグローバル教育カリキュラムの導入について伺います。
 経営の悪化により閉校となったミネソタ州立大学秋田校の旧校舎等を活用して、秋田県は平成十六年に国際教養大学を開校しました。それから十年ほどしかたっていないにもかかわらずそのユニークなグローバル教育カリキュラムは極めて高い評価を受けており、入試の難易度は東大、京大レベルとも言われています。また既に四十六の国や地域の百七十四大学と交流提携していることが証明するように海外からも高評価を得ています。世界で通用する優秀な若者を県内で育成するために県立大学においても同様のグローバル教育カリキュラムの導入を図るべきと考えます。
 また、先週二十三日の静岡新聞で、ある金融機関の支店長が、静岡県の競争力向上には留学生の受け入れ増強が必要だが、本県の人口当たりの高等教育機関における外国人受け入れ数は全国で三十二位と芳しい水準にないというコラムを書かれていました。私も全く同感でございまして、県立大におけるグローバル教育カリキュラムの導入は外国人留学生に英語と日本語の両方で学ぶ機会を提供することにもなり、県内留学生の増加にも貢献するはずです。県の今後の方針を伺います。
 次に、県立高校における国際バカロレア認定に向けた取り組みについて伺います。
 国は、まち・ひと・しごと創生総合戦略において国際バカロレア認定校等を平成二十六年の三十三校から平成三十二年までに二百校以上にふやすことを目指しています。県内では現在、東部の一私立校が認定されていますが、経済事情にかかわらず国際バカロレアカリキュラムに挑戦できる環境を県内に整えることは教育レベルや県の魅力の向上そして経済活性化に不可欠と考えます。
 先日、国内唯一の公立の国際バカロレア認定高校である都立国際高校を視察しましたが、都知事肝いりのこの事業でも準備から認定まで丸二年を要しています。特にバカロレアのカリキュラムで教えることができる教員の養成、確保は時間を要するものであり、今から導入の検討を始めたとしても実現までに三、四年はかかるのではないでしょうか。
 バカロレア導入については昨年度の県議会特別委員会でも提言しています。ことしの二月議会で当時の安倍教育長はバカロレア導入について、現場本位のニーズであるかどうかと答弁をされましたが、ニーズがなければ整備の必要がないというのは余りにも受け身であり、そうした姿勢では若者や若者を抱える家庭はさらに県外に流出してしまうと考えます。木苗教育長の決意を伺います。
 以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 鈴木智議員にお答えいたします。
 静岡県版総合戦略及び長期人口ビジョンについてのうち、貴会派御提言の総合戦略への反映についてであります。
 静岡県は総合計画後期アクションプランを今進めておりますけれども、その基本理念には富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりをすると。そしてポスト東京時代を開くというこの理念を掲げております。それは現在国がお進めになっている地方創生と全く趣旨が同じであるということであります。人口減少社会への挑戦など、この後期アクションプランに基づきまして今回の総合戦略の原案は国に先駆けて取り組んできた先進的な施策にさらに各界各層の県民の皆様の御意見、ふじのくに県議団の皆様から頂戴しました御提言を反映させて、その中身を国のガイドラインに沿って整理し直したものであります。ガイドラインをいただいてから施策をまとめているような地方自治体もたくさんございますけれども本県は課題を共有しておりましたので、国が持っている課題をこの本県における課題に落とし込みましてそれで総合計画をつくってきたという経緯がございます。後期アクションプランがあるわけですから前期もございます。前期アクションプランも前倒しで実現してまいりました。後期アクションプランについても同じでありまして、国の先駆けとして、また日本のために何か貢献できる、そういう流れの中で現在の計画を、戦略を作成しまた実行しようとしているわけでございます。
 さて、後期アクションプランに掲げる合計特殊出生率二というのはいろいろ御意見もございましょうけれども、国のほうはこのたび安倍総理のほうは一・八を掲げられました。しかしながら裾野市あるいは長泉町ではもう一・八二を達成しているわけでございます。そしてかつ若い青年たちが二、三人は欲しいというふうに一様に言っているわけでございますので、この希望をかなえてさしあげたいということでこの数字を掲げているということで、オール静岡で何としても実現しなければならないという覚悟を持った目標でございます。その実現に向けて施策を充実すべきとの御提言を踏まえまして、結婚、出産、子育ての各ステージにおける地域の実情に応じた効果的な施策の推進や子育て家庭の保育料、教育費、医療費などの経済的御負担の軽減を図る施策の推進を総合戦略に位置づけまして、市町や民間企業等と連携をいたしまして総力を挙げて取り組んでいこうと思っております。
 また、地方創生の成否の鍵を握る市町の総合戦略の策定の支援につきましては、五つの地域圏――伊豆、東部、この中部、そして志太榛原・中東遠並びに西部。この五つの地域圏ごとの地域会議や県と市町との連絡調整会議の場での協議等を通じまして各地域圏の目指す姿や施策の方向性を共有化してまいりたいと。伊豆半島が目指すべき地域圏と富士山の麓である東部とはそれはまた違います。伊豆半島は恐らく環相模湾ということのほうが意味のある位置づけになりましょうし、東部ですと富士山を囲むという意味におきまして環富士山構想ということになるでしょう。この地域におきましては葵区などを中心にして環南アルプス圏ということを構想することができます。そして志太榛原・中東遠は世界クラスのお茶畑がございます。世界農業遺産がございますからそれを日本の玄関口にするというような構想がございます。西部は言うまでもなく三遠南信でやっているわけです。こうした地域圏の特性をその地域の市町の方々と御共有をさせていただきまして県と市町とが同じ視点を持って総合戦略を策定、推進していくことが大事で、そのことに努めてきたところでございます。
 さらに、直接的な効果が期待される具体的手法を重点目標に設定すべきであるとの御指摘をいただきました。そこで転入超過の実現に向けて県外からの企業立地件数や県外人材の正規雇用者数など新しい指標を設定いたしました。そして適切な進捗管理ができるように改善いたしまして、いただいた御提言を真摯に受けとめ今議会で御審議いただく原案に反映させていただきました。
 私どもといたしましては、人々を引きつけ憧れを呼ぶ日本の理想郷をつくるべく、合計特殊出生率二と転入超過等の達成に向け、県民の皆様の御意見を承りながらPDCAサイクルを徹底いたしまして――プラン・ドゥー・チェック・アクションとこのサイクルを徹底いたしましてより一層効果的な施策の充実に努めてまいりますので、引き続き御支援と御協力を賜りますようにお願いを申し上げます。
 次に、長期人口ビジョンに基づくグランドデザインについてであります。
 いつもながら人口にかかわる御見識には感服しております。長期人口ビジョンを踏まえていかに静岡県全体をスマートシュリンク、スマートに縮小していくか、賢く縮小させていくかというそのグランドデザインを描くべきであるという御提言、または御質問でもございますけれども、本格的な人口減少社会を迎えた日本はこれまでの社会システムを大胆に見直すべき岐路に立っています。人口減少下での経済成長をどう確保するか。また生活サービス機能あるいはインフラの維持、社会保障などさまざまな課題に対しまして新しい発想による社会システムの創造を検討すべき時期に来ております。その意味でやりがいがある時期に我々はこうした仕事を預かっているということも言えると存じます。
 このことにつきましては、国に先駆けて私どもは有識者会議を設けまして既に御提言も賜ったわけでございます。長期人口ビジョンの基本姿勢としては人口減少社会に対応した新しい社会システムを創造する発想と実践を掲げまして、現在は存在しない社会の仕組みや技術の進展など未来への想像力を持ちながら人口減少のプラスの側面にも目を向けまして、人口が減少しても快適で安全な社会を創造するいわゆる適応戦略を進める方針を示しております。
 国が求める地方版総合戦略の計画期間は五年間でございます。本県の総合戦略は二〇六〇年に向けた将来の方向を示す中長期的な視点を加えておりまして、これは本県ならではの計画と言えましょう。長期的な展望に立ちコンパクトなまちづくりの推進や集落ネットワークの形成促進、インフラ資産の長寿命化の推進、公共施設の総量適正化など今から取り組むべき適応戦略の推進を掲げております。
 鈴木議員から御指摘のございました二〇九〇年、今から七十五年先の静岡県のグランドデザインを描くべきであるという御指摘につきましては、これからの七十五年間で鈴木議員はまだ御健在だと存じますが私は無理でございます。地球レベルでの社会環境の変化や科学技術の目覚ましい進展などが想定されますことから、これは私どもが決めるという形だけではなくてむしろ次代を担う若い世代が描いていくという視点を持ちたいと考えます。
 そのため、教育の地方創生や次世代育成に社会総がかりで取り組むとともに、仮称でございますけれども、次代を担う若者たちによる県民会議を立ち上げることといたしました。将来どのような社会を目指していくのか、どのような社会を理想とするのか、どのような社会に夢を持っているのか。こうしたことを未来の主役である若者たちによって議論を深めてまいりたいと考えております。
 ちなみに、これから七十五年後というのは二〇九〇年ですが今から七十五年前というのは一九四〇年であります。一九四〇年の時に人口は八千万人に満ちません。その時にまさかその五年後には未曽有の敗戦を喫し三百二十万人もの日本人の命が失われるということを誰が想定したでしょうか。また一九七〇年代には一億を超えると。さらには一億二千万を超えるというようなことを誰が想定したでしょうか。そのような不確定要素というのが七十五年間というのにあります。さらに一九四〇年から七十五年をさかのぼりますれば何年になるんですかね。一八六五年ですか、なりますね。幕末です。人口三千万です。それが七十五年間で二倍以上の人口になると誰が想定したでしょうか。さらにその七十五年前ということになりますれば十八世紀の末ですが、その時の人口は明治維新の時と同じです。ですからそうした事柄というのは長期ビジョンだけで新しい社会のビジョンを描くということの限界をあわせて示しているのではないかというふうに思います。
 一九四〇年、東京オリンピックが本来開かれる年でした。しかし日独伊軍事同盟を結びましたためにそれができなくなって、結果的には一九六四年にそれが実現したということもございました。そうした長期ビジョンを描く場合にはしっかりとさまざまな観点、総合的に歴史を、あるいは日本のことを知るということが大事です。
 ちなみに、人ごとのように言っておりますけれども私自身はそのような問題意識を鈴木議員と同じように共有しておりまして、例えば日本はアジア圏で最初の産業国家になりました。どうしてかと。今それは世界の文化遺産になりましたけれども、明治日本の産業革命というのは江戸時代に培われたたくみのわざ、文化の力によるということが世界的に共有されたわけです。そのことを「日本文明と近代西洋」という処女出版の本で書いたわけですね。日本は一方で海洋アジアであると。大陸アジアとは異なるアイデンティティーを持っていると。海洋アジアの生きざまというのは西太平洋にあるということもそこで「文明の海洋史観」で論じました。そしてまた日本のこれからの未来は富国強兵ではなくて、富は大切だけれどもこれを人づくりのために使うという徳のある人をつくるべきだというそういう「富国有徳論」も二十世紀の末に書き、それが小渕さんの目にとまり、かつまた石川知事のお目にとまり富国有徳というのが一つの理念として機能しております。
 そしてまた、二十一世紀になりまして一九九五年の阪神・淡路大震災を踏まえいかなる国をつくるべきかと。やはり美しく安全でなくてはならんということで「『美の国』日本をつくる」、「『美の文明』をつくる」、あるいは「文化力」。こうした三部作を著しましてそれは一部は安倍さんが取り入れたような気がしております。
 そして知事になりまして、私は日本の理想はふじのくに。富士山に恥ずかしくないような地域づくり、国づくりをしていくことができるということで「日本の理想ふじのくに」という書物を著し、みずからの考えは常に内外に透明に公表しているわけでございます。
 いずれにしましても、長期のビジョンを描くときには振り返れば未来ということがございます。みずからの過去を反省して将来にビジョンを描くということがあるように、それはみずからの個人の過去だけじゃなくて日本民族の過去というものを我が事として受け入れて、そしてそのためにどのようなことができるかということをやっぱり考えるべき。我々はそういう仕事をしているのだと。したがってこれは公人としての仕事であって、文学者とは違ってこれは人々の生命、財産、将来世代の生命にかかわることでございますので、よほどよく勉強して長期ビジョンというものを掲げないといけないというふうにも思っております。
 次に、二〇二〇年を見据えた観光情報発信力の強化についてのうち、観光情報発信力の強化についてであります。
 県では、中国、韓国、台湾等の主要市場における団体ツアーを誘致するために、主としてその旅行を企画、催す現地旅行会社に向けまして観光展への出展やプロモーション活動を通した本県観光の情報発信に取り組んでおります。こうした中二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることが決まり、増加が予想される個人観光客を本県に誘客し周遊、滞在していただくよう、議員御指摘のとおり本県の魅力をよそ様の目で吟味してもらって具体的な情報を効果的に発信していくことが大変重要であるという認識を共有しております。このため海外の有名なブロガーやメディアを県内取材に誘致しまして観光地の周遊、滞在を通じてみずからが体感されたことをブログ等で紹介してもらうほか、海外駐在員事務所の現地スタッフによるSNSを活用した情報発信等の取り組みをこれからも継続して実施いたします。
 さらに本年度は、県の観光情報ホームページの外国語サイトを外国人の視点を活用しより関心を持ってもらえる素材やデザインに内容を刷新いたしまして、今後は県内在住の外国人の御協力を得てフェイスブック等のSNSを活用した本県の旬の魅力をPRするなど、具体的でタイムリーに多言語で発信していくことによって国内外からの観光交流人口の拡大を図ってまいります。以上でございます。
○副議長(杉山盛雄君) 野知交通基盤部長。
(交通基盤部長 野知泰裕君登壇)
○交通基盤部長(野知泰裕君) 洪水災害対策についてお答えいたします。
 県では、局地的な豪雨などによる浸水被害の軽減を図るため河川の拡幅や遊水地の整備などのハード対策に加え、主要河川の浸水想定区域の指定やサイポスレーダーによる雨量、水位等の防災情報の提供などのソフト対策に取り組んでおります。
 今後は引き続き河川整備を着実に進めるとともに、公園などを利用した雨水貯留浸透施設の設置などの流域対策や適正な土地利用の誘導などを組み合わせた総合的な治水対策を実施してまいります。また出前講座等を利用した住民の皆様への危険性の周知などに取り組んでまいります。
 さらに、本年七月に施行された水防法改正に基づく最大規模の洪水を想定した浸水想定区域の指定を進めるとともに、この区域指定を踏まえたハザードマップの見直しや災害時を想定した事前防災行動計画いわゆるタイムラインの策定などの取り組みに関係市町等と連携して着手してまいります。
 県といたしましては、今回の鬼怒川等の災害について国等により行われる原因分析等を注視するとともに、本県に生かすべき対策を検討し想定し得る最大規模の洪水にも対応できる防災体制の充実強化を進め、命を守り災害に強い地域づくりに努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 西田文化・観光部長。
(文化・観光部長 西田郁夫君登壇)
○文化・観光部長(西田郁夫君) 二〇二〇年を見据えた観光情報発信力の強化についてのうち、観光案内所の魅力向上策についてお答えいたします。
 首都圏は、本県に来訪する観光客の約四割を占める主要マーケットであり各種メディア等が数多く存在していることから、東京観光案内所は一般の来場者への観光案内とともに新聞、テレビ、旅行会社等への観光情報の提供を重要な業務とし、首都圏における情報発信拠点のかなめと位置づけております。
 こうした中、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックを契機に多くの外国人旅行者が東京を訪れることが予想されることから、こうした方々に本県を訪れていただくために東京観光案内所を活用して本県の観光情報を発信していくことが必要不可欠と考えております。
 このため、年内に無料のWiFiスポットを所内に設置するとともに、英語が話せる職員の常駐体制を検討するほか都内の丸の内や成田、羽田の空港などにある外国人向けツーリストインフォメーションセンターと連携し、各センターを訪れた外国人旅行者に本県の魅力をPRするなど、観光情報の発信機能の強化を進めてまいります。
 さらに、東京観光案内所の特徴であります静岡茶の呈茶は昨年度は毎月平均二百六十人の利用者があり、外国人の関心も高くお見えになる方々に大変喜ばれておりますのでこれを最大限にPRするほか、東京観光案内所で実施するイベントの種類や回数の増加を検討するとともに、その情報を県や海外駐在員事務所のSNSを活用して発信するなど案内所の認知度向上に積極的に努めてまいります。
 次に、県の魅力を高めるグローバル教育の強化についてのうち、県立大学におけるグローバル教育カリキュラムの導入についてであります。
 国際化や情報化の進展など社会情勢が大きく変化する中、大学など高等教育機関には高い教養と国際的な感覚を兼ね備え社会の諸課題を解決する実践力を有した人材の育成が求められております。
 このため、静岡県立大学においてはアジアだけでなくヨーロッパなど海外の提携校への留学支援に取り組むほか、英語による授業を一部の専門教育科目に加え生命科学、経営学や日本語学などの教養科目においても導入してきております。
 また、本年四月に外部の有識者から成る県立大学のあり方懇談会からいただいた教養教育の重視や英語力の強化などの御意見も踏まえ、特色ある教育研究の実現に向け国際関係学部・研究科のあり方について現在学内での議論を進めているところであります。
 一方、静岡文化芸術大学におきましては英語・中国語教育の強化を図るため平成二十五年度に専任教員を配置した英語・中国語教育センターを設置するとともに、ビジネス中国語講座や英語で世界の社会、文化と芸術等を学ぶ講座などを開設したほか、教養科目として芸術とデザインを設けるなど語学教育や教養教育等の充実を図っております。
 県といたしましては、県立大学が世界の多様な文化の理解を深める幅広い教養教育や英語を初めとした外国語教育などグローバル教育のさらなる充実に取り組み、地球規模で活躍できる人材を育成する魅力ある大学となるよう努めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
(教育長 木苗直秀君登壇)
○教育長(木苗直秀君) ただいま鈴木県議のほうから御質問いただきましたので、お答えしたいと思います。
 県の魅力を高めるグローバル教育の強化についてのうち、県立高校における国際バカロレア認定に向けた取り組みについてですが、これにつきましてはバカロレア自体が一九六八年に既に機構として設立していまして、現在国際的な教育プログラムそれから大学入学資格取得に利用されております。世界的にはこの平成二十七年九月一日現在ですけれども、世界では百四十カ国、四千三百二十九校、日本では三十五校ということで、先ほど東部のほうのお話がありましたけれども本県では東部のほうに一校ございます。こちらのほうは教育委員会でも少し見学に行っております。
 さて、県の教育委員会では高校生の海外渡航の促進や三島北高校における国際人材を育成するスーパーグローバルハイスクール指定事業の実施など新しいグローバル教育を進めておりますが、国際バカロレア認定校による教育も国際社会で活躍できる人材を育成する手法として本県でも今後検討すべき課題と考えております。
 この制度につきましては政府も全国的に推進する方針を示しておりますが、国際バカロレアによる教育を導入するには生徒の負担もできるだけ少なくする。そしてまた学習指導要領に基づく学習や大学入学制度などの現行の教育内容との整合を図る必要がございます。また議員御指摘のとおり全て外国語で指導できる教員の確保や人材育成には時間や費用がかかることから、国においてもこうした課題の解決に向けた検討を進めているところでございます。
 今後、県の教育委員会といたしましては国の動向も注視しながらも、将来的な国際バカロレア教育の導入を見据えて本県の高校教育の体系への影響、認定に必要となる教員の育成あるいは確保。こういうようなものを含めて教育環境の整備などについて研究を積極的に進めてまいりたいとこのように考えております。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) 鈴木 智君。
(十九番 鈴木 智君登壇)
○十九番(鈴木 智君) 御答弁ありがとうございました。三点について再質問させていただきます。
 まず初めに、総合戦略に関してでございますが細かい議論は各委員会での議論に委ねるとして、ここでは一点だけお尋ねしたいと思います。
 先ほど知事もおっしゃいましたし、我々も市町が策定する総合戦略との整合性を図るよう提言させていただきました。ただ結構難しい部分があるかなと思っていまして、例えば中部地域つまり静岡市の目指す姿として他地域と同様に平成三十一年に出生率を二にするとしておりますが、静岡市が先月示した総合戦略中間案では平成五十二年に出生率を二・〇七にすることを目指すとしております。こういった違いは他の地域においてもあるようでございますが、国への提出までの時間があまりない中でどのようにこれから整合性を図っていくのかお尋ねしたいと思います。
 次に、グランドデザインについてでございます。
 先ほど、次の世代を担う若者による県民会議を立ち上げるということでこれは大変すばらしいアイデアだと思っております。その一方で確かに二〇九〇年といいますと七十五年後、私、何とか頑張って生きたいと思いますが、なかなか難しい課題でございますが、確かに先のことでございますので正確に予測することは難しいと思いますが、ただ私にも子供がおりますので親の責任として私たちのできる範囲でしっかりとしたビジョンを残していくことは当然必要だろうと思っています。
 それに加えて、若者の意見を加えさせていただいてそれで時代を重ねていった中で修正すべきところは修正すればいいわけですから、何とか早いうちにまずは私たちそして若者と一緒にグランドデザインをつくっていく必要があると思いますし、実際今回の長期人口ビジョンの中にもこのような言葉がございます。「未来を予測する上で最も良い方法は、未来を創り出してしまうことだ」。この言葉が長期人口ビジョンにも入っておりますし、これは鬼頭先生が中心になってまとめられた人口減少問題に関する有識者会議の提言の中にも入っております。ですから確かに不確定要素はたくさんありますが、どのような地域をつくるか。それをこれから若者と一緒につくり出すことが大事だと考えておりますし、そして先ほど知事、さまざまな見識、御披露していただきましたがぜひ知事にも先導役を担っていただきたいと思っています。
 ちょうどことしの「文藝春秋」九月号に慶応大学名誉教授の速水融先生が「日本の人口減少ちっとも怖くない」という簡単な論文を書かれているんですが、その中でこのようにおっしゃっています。「必要なのは、人口減少をきっかけに、GDPを増大しさえすれば豊かになるという価値観から脱却し、文化を成熟させる方向に社会やお金の回し方を変えていくリーダーの存在です」と。ぜひ知事に私はその存在になっていただきたいと思いますから、ぜひ知事には積極的にかかわっていただきたいと思いますし、先ほどおっしゃっていただいた次世代を担う若者による県民会議。いつごろからどのような形でやっていくのか、もう少し具体的なお話を聞ければと思います。
 三つ目、バカロレアの件でございますが、二月の安倍教育長の答弁よりは前向きな御答弁をいただきましたけれども、ただこれやはり急ぐことも必要なのかなと思っています。というのは政府が先ほど言いましたとおり平成三十二年までに二百校以上目指すということですから、単純に人口比で考えれば静岡県内には既に一校ありますからこれから四つや五つバカロレア校ができてもおかしくないという計算に一応なります。そんな中ですからぜひ県立高校、もちろん検討した結果できないという判断もあるかもしれませんが、まずはやはりひとつ目指していかないと、このままですと首都圏ですとか名古屋圏、近畿圏にますますおくれをとることになりまして、その結果若者の流出がさらに加速してしまうんじゃないかと思うものですから、もう少し前向きな答弁をいただきたいと思います。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 白井企画広報部長。
○企画広報部長(白井 滿君) 静岡県版総合戦略及び長期人口ビジョンについての再質問にお答えをいたします。
 静岡市におきましても地方創生のための会議を立ち上げておりまして、県におきましては五つの地域圏の中での地域会議の一つとして中部圏の会議と位置づけ、私もその会議に参加をさせていただいております。静岡市におきましては長期ビジョンに対する今中間案の対策として、二〇四〇年に合計特殊出生率を二・〇七に持っていく。さらに社会移動につきましては年間千二百人ほどのプラス、これを目指していくというような形の中間案がまとめられております。
 県におきましては二〇二〇年に合計特殊出生率二・〇七、社会移動プラスマイナスゼロの均衡、これを対策として打ち出しておりますが、県全体を見渡しての県としての平均的な数字として私ども総合戦略の中に打ち出しておりますが、五つの地域圏ごと、地域会議におきましてはそれぞれの地域の特性もございます。静岡市におきましては合計特殊出生率の達成は県より若干おくれるものの社会移動をプラスに持っていくという大きな野望的な目標を掲げておりますのでその推移がしっかり確保できるよう、社会減対策について県としても今後ともあらゆる施策で県と市共同しながら進めていくという体制で総合戦略の方向性、整合性を図ってまいりたいというふうに考えております。
 二点目の長期人口ビジョンのグランドデザインについてでございます。
 二〇九〇年の人口二百九十万人での安定した状況のグランドデザインにつきましては、今回総合戦略を定めるに当たっての長期ビジョンでお示しをしたことでございますので、本来私どもがしっかりと明確な形、姿をお見せすべきものであるというふうには考えておりますが、先ほど知事のほうからも答弁申し上げましたとおり未来を担う若い人たちの御意見をしっかりと参考にしつつ、それに私どもの今までのさまざま検討してきました考え方さらには新しい社会システムを切り開いていく、つくっていく、そういう発想と実践。この思想を持って両者かみ合わせながら将来のグランドデザインを今後検討していきたいと考えております。
 御答弁いたしました次代を担う若者たちによる県民会議――仮称でございますけれども――これにつきましては座長を県立大学の鬼頭宏先生を想定をしておりまして、そのほか有識者アドバイザーとして有識者の方に御参加いただくとともに、大学生を中心として若者二十名程度で会議を発足いたしまして来年一月から将来の姿について検討を始めたいと考えております。以上でございます。よろしくお願いします。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) 鈴木議員からいただきましたように、バカロレアについては前向きにということで我々も検討しております。特に東部の私学のほうでは中学生、高校生を対象にしていろいろやっているというのも聞いておりますし、その辺も十分に考えて静岡県に合ったといいますか、いろいろな諸条件も整備できる状況になるように前向きに考えていきたいとこのように思っております。ありがとうございました。
○副議長(杉山盛雄君) 鈴木 智君。
○十九番(鈴木 智君) 一点だけ要望させていただきます。
 総合戦略につきまして、そもそも静岡県の場合には先行して有識者会議とかございましたので割と早目にできたのかなと思っておるんですが、これはそもそもまち・ひと・しごと創生法が成立してから一年もたたない中で都道府県ですとか各市町に総合戦略と長期ビジョンをつくれということですから、これは大変時間が短いものだとは思っております。ですから県と市町となかなか整合性がとれない部分はある程度はやむを得ないかと思いますが、ですから繰り返し申し上げますけれども、先ほども知事がおっしゃってましたがぜひPDCAをしっかりしていただいて、そしてまた意思疎通をしっかりしていただいて、県と市町が一体となって総合戦略、進めていただくようお願いをしたいと思います。
 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 自死対策についてのうち、自死への偏見をなくす取り組みについて伺います。
 国内の年間自死者数は、平成十五年三万四千四百二十七人をピークに減少しており、昨年は二万五千四百二十七人とピーク時から九千人の減少となりました。静岡県におきましても一昨年の七百五十九人から昨年は六百七十四人に減少しました。しかし日本の自死率はOECD国では韓国に次ぐ第二位となっています。また十五歳から三十九歳までの死因の一位が実は自死となっております。大きく報道されておりませんが県内ではことしも七月までに既に中学生一名、高校生三名を含めた計十一名もの未成年の若者が自死されています。さらに昨年の国内の交通事故死者数四千百十三名と比べてもいまだに極めて深刻な状況であり、抜本的な自死対策が引き続き求められていると思います。
 ある推計によれば、自死遺族の数は日本国内に三百万人とも言われており、交通事故死者数との比較から考えても自死の問題は残念ながら身近な問題であるはずです。しかし遺族の方が自死について積極的に話したりすることは決して多くはありません。そうした背景には社会に横たわる自死への偏見があると考えます。自死は遺族にとって当然ながらつらく悲しいことですが、遺族のつらさはそれだけは終わりません。周囲から自死した本人だけでなく遺族までもが反社会的な罪を犯したかのように見られるだけでなく、自死現場となった賃貸物件の巨額の家賃補償を請求されるなどの経済的負担が重くのしかかる場合も決して少なくはありません。
 そうした偏見や差別をなくすための取り組みとして、みずからを殺すと書き故意による身勝手な死という反社会的なイメージにつながってしまっている自殺ではなく、追い込まれた末の死という意味である自死という言葉を原則として用いるよう提案いたします。既に鳥取県、島根県、宮城県等で同様の取り組みが行われており、用語の変更は自死・自殺の問題を県全体で考え直すきっかけともなっております。同様に静岡県でも、自死と呼ぶことを契機として自死遺族の置かれた状況や偏見にさらされる苦しみについて県民の間で理解が広がり自死ヘの偏見がなくなるよう、そして例えば後ほど取り上げますがいじめによる自死の防止等に向けた議論が堂々と行われるようになるよう啓発活動を展開すべきと考えますが、自死への偏見をなくす取り組みについて伺います。
 次に、薬物によらない治療、対応について伺います。
 県がかつて推進していた自死対策である富士モデルに対する批判の一つに、鬱への対応としての薬物治療への偏重がございます。薬物治療は基本的に対症療法にすぎず、また薬物の副作用によってかえって自死が助長されている問題も多くの専門家から指摘されています。例えば自死者遺族の集まりである全国自死遺族連絡会が約三年かけて行った自死遺族への聞き取り調査によれば、千一名の自死者のうち九百二名、九割もの方が精神科の治療を受けていました。つまり精神科治療が十分な効果を上げていない。さらにはむしろ自死の原因となってしまった可能性があるということになります。
 先ほども紹介した宮城県では、鬱や自死に至る理由、背景を改善するための取り組みとして弁護士、中小企業診断士、司法書士、心理カウンセラー、僧侶、牧師、自死遺族等のさまざまな分野の専門家がネットワークをつくり電話での相談や対応に応じる取り組みを行っています。電話相談そのものは決して珍しくはありませんが、このみやぎの萩ネットワークでは二十四時間三百六十五日電話を受けるようになっており、電話に出られなかった場合でも必ず速やかに折り返しの電話をするという徹底ぶりです。
 静岡県におきましても、民間の各分野の専門家の力を活用した鬱や自死につながりかねないさまざまな要因を取り除くことに焦点を当てた取り組みや薬物によらない対応を積極的に推進すべきと考えますが、県の方針を伺います。
 次に、いじめ対策についてのうち、社会総がかりで行ういじめ対策について伺います。
 去る七月五日に発生した岩手県矢巾町の中学生、村松亮君のいじめを苦にした自死は、SOS信号が早い段階から出されていたにもかかわらず自死を防げなかった事例として私たちに大きな衝撃を与えました。矢巾町教育委員会の報告書によれば、当該中学校の最近のいじめ件数はゼロと報告されていました。教育委員会の方針としていじめゼロを掲げたことがかえっていじめを認知することのハードルを上げ担任が抱え込んでしまうことにつながり、そのため村松君の自死を防止できなかった可能性があると指摘されています。また仙台市のある中学生がいじめを苦に昨年自死した事実が遺族への配慮の結果、他の生徒や県教育委員会等に一年近く報告されていなかったことがこの八月に明らかとなりました。
 こうした事態を受け、文部科学省は八月十七日に通達を出し、都道府県別のいじめ認知件数に大きなばらつきがあるため昨年度の認知件数について再調査、報告するよう異例の要請を行いました。文部科学省の平成二十五年度調査によれば、国公私立小中高特別支援学校において生徒千人当たりのいじめ認知件数が最も多いのは京都府九十九・八件です。全国平均は十三・四件で静岡県は平均以下の十・九件、京都府の約一割となっています。ちなみに小学校のみの認知件数ではさらにばらつきが大きくなり、京都府が百七十・三件であるのに対し静岡県は十二・四件と京都府のほうが十三・七倍も多くなっております。
 一方、認知件数が多い県ほどいじめ発見のきっかけが、学校の教職員等による発見の割合が多い傾向にあります。全国平均六八・一%に対し京都府は八八・五%であり、静岡県は平均以下の四八・五%となっています。さらにいじめの認知件数の高い県ではいじめが解消されている割合も高い傾向にあり、全国平均は八八・一%で京都府は九三・七%であるのに対し静岡県は平均を下回る七四・四%となっています。
 県においては、文部科学省の要請に基づく再調査だけでなく京都府等のいじめ認知件数の多い府県との違いはどこから来るのか、いじめ防止対策法第二十条が定めるような調査研究を徹底的に行うべきと考えます。そして前述の文部科学省の通達が述べているようにどの学校においても一定数のいじめが認知されるのが自然であることを認識、前提として、どんなささいないじめでもより積極的に認知し学校内外で情報共有する体制を確立するためにいじめ対策の総点検を行うべきです。
 例えば、平成二十五年の静岡県のいじめ認知件数が四千五百二十九件であるのに対し警察本部が把握しているいじめ事案件数は平成二十四年二十二件、二十五年三十八件、二十六年四十五件でそのうち学校から連絡を受けたものは一桁しかありません。果たしてそれで十分な連携と言えるのかどうか、改めて確認すべきではないでしょうか。
 また、いじめによる自死が発生してしまった場合、遺族への配慮は当然ながら最大限行われるべきだとは思いますが、いじめの問題はいじめを受けた子供たちだけの問題ではないことから必ず県教育委員会等の関係機関に報告されるべきと考えます。先ほど述べました仙台市教育委員会のような対応が県内ではこれまでなかったかどうかあわせて確認をするべきではないでしょうか。
 さらに、矢巾町教育委員会の報告書でも明らかなことはいじめは先生等の大人の目がないところ、例えば休み時間、給食の準備の間、放課後等で発生しているということです。現在県では社会総がかりの教育の実現を目指してコミュニティスクール等の推進を図っています。既に多忙な教職員だけに任せるのではなく、より多くの地域の方々が日ごろから学校に出入りし休み時間や放課後等の時間に校内で子供たちと触れ合うようになれば、より多くの大人の目によりいじめが抑止されることにつながると考えます。
 こうした社会総がかりによるいじめ対策も同時に進めるべきと考えますが、教育長の決意を伺います。
 次に、スマートフォンの危険性を全県で教える取り組みについて伺います。
 今や小学校低学年でもスマートフォンを持つ子供たちがふえつつあります。一方スマートフォンがいじめや犯罪の入り口になるケースもふえているように思います。例えば今月一日、奈良県橿原市で二年前に女子中学生が自死したのはいじめが原因だったとして遺族が裁判を起こしました。この事件に関する報告書によれば、無料通信アプリLINE上で複数の同級生が悪口を言ったり仲間外れを行ったりしていました。また先月大阪府で二人の中学生が殺害された事件におきましては、スマートフォンやLINEで友達や家族と常につながっているという安心感から二人の中学生は日常的に深夜の外出や外泊を繰り返していたと言われています。
 麻薬や危険ドラッグとは違い、スマートフォンを利用すること自体はもちろん犯罪でも何でもありません。だからこそ子供たちには早い段階からの指導が不可欠だと考えます。ある中学校の先生から、昔と違い今の子供たちはLINE等で二十四時間互いにつながっているため学校生活と家庭生活の切りかえが難しくなっているという話を聞き、中学生の娘を持つ父親として深く考えさせられました。私もそうですが今の教職員の方々が子供のころにはスマートフォンはありませんでした。ですから私たち大人の想像を超えたことが子供たちのスマートフォンでは行われていると常に認識するべきだと考えます。
 そのため、まずは岡山県のように全県の小中学校でスマートフォンの利用実態について調査することが必要だと考えます。そして既に行われている薬学講座のようにスマートフォンを持つことの意味や危険性について教え考える講座を全県で実施し、どうしても必要な子供たちがルールや危険性等を十分に理解した上でスマートフォンを利用するという状況に変えていくべきと考えますが、教育長の決意を伺います。
 次に、給食を通しての食育の強化について伺います。
 今月十六日に文部科学省が公表した調査によれば、小学生の暴力件数が前年よりも約五%増加し過去最多の一万千四百六十八件となりました。最近の子供たちがキレやすくなっている原因の一つとして多くの専門家が食生活の乱れによるミネラル不足や孤食を挙げています。また子供たちの貧困の問題が深刻化していますが、子供たちにとって給食が唯一の栄養豊富な食事であるという家庭も決して少なくないようです。給食が果たすべき役割はますます大きくなっていると考えます。
 私は先日給食改革の先進地として長野県上田市、東京都足立区そして三島市を訪問し調査してきました。いずれの給食改革においても鍵となるのは学校栄養職員、栄養教諭の役割でした。単に学校給食実施基準に基づいて献立をつくり調理すればいい、給食を残すのは子供たちの問題というのではなく、給食や食事がいかに重要か子供たちにじかに接して伝えていく役割が求められていると視察を通じて痛感しました。また子供たちが給食を食べる様子に栄養職員の方たちが日ごろから触れることはよりおいしい献立づくりにもつながると伺いました。
 県内では、県費負担の栄養職員に加え各市町負担の職員も配置されており総数では義務標準法が定める定数を上回っていますが、食物アレルギーへの対応等もあり他の教職員と同様に栄養職員も多忙で食育指導が思うようにできていないというのが実態です。
 そこで、給食を通しての食育を強化するためにも栄養職員、栄養教諭の数をさらにふやすべきと考えますが、教育長に今後の方針を伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 自死対策についてのうち、自死への偏見をなくす取り組みについてお答えいたします。
 自殺は、その多くがさまざまな悩みが原因で心理的に追い込まれた結果であり個人の自由な意思や選択によるものではないことを理解していただくなど、自殺に伴う偏見をなくす啓発を進めることは非常に重要であると考えております。
 このため県では、自殺を身近な問題として受けとめていただくための街頭キャンペーンや講演会を行うほか、自死遺族の悲しみや思いを理解し伝えていくゲートキーパーの養成を通じまして自殺に対する偏見の解消に努めております。
 自死という言葉を用いることも偏見をなくす一つの手法と考えられております。NPO法人全国自死遺族総合支援センターが作成しました「自死・自殺」の表現に関するガイドラインでは、全てを言いかえるものではなく使い分けることを提言しており、本県におきましても残された人への支援につきましては自死の表現を用いております。
 今後とも、関係団体や遺族の方々の意見も伺い、自死という言葉の用い方の検討も含め自殺への偏見をなくすための啓発や自死遺族への理解の促進に積極的に取り組んでまいります。
 次に、自死対策についてのうち、薬物によらない治療、対応についてであります。
 県では、自殺対策といたしまして適切な薬物治療だけではなくいのちの電話や法テラスなどと連携した専門的な相談支援を行っております。また自殺の危険のある方や悩みを抱えている方に気づき支援するゲートキーパーを養成し、身近に寄り添って自殺に至る悩みや背景を改善する相談を受けられるように取り組んでおります。その結果、自殺者数は十七年ぶりに七百人を下回るなど取り組みの効果があらわれているところでございます。
 また、依然として若年層の死因の上位を自殺が占めていることから、若者こころの悩み相談窓口の設置や相談に携わる担当者を対象とした研修を実施するなど若者の悩みについてきめ細かな相談を行い、みずからが悩みの解決に向け一歩を踏み出せるように支援をしているところでございます。
 今後とも、自殺のさまざまな要因を取り除くため、精神疾患への薬物治療だけに頼るのではなく法律や労働等の専門家が参画する地域自殺対策ネットワーク会議を引き続き開催し、各分野における専門相談や支援を一層充実するなど地域における支え合いの輪を広げ、誰もが自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指してまいります。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) それでは、いじめ対策についてのうち社会総がかりで行ういじめ対策についてお答えいたします。
 議員御指摘の文部科学省による児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査については、都道府県ごとのばらつきが大きく調査自体の精度に問題があることが指摘されています。県教育委員会といたしましては調査結果の全国平均との差にとらわれるのではなく、いじめはどの学校にもどの学級にもどの子供にも起こり得る問題であると認識いたしまして個々の事案に丁寧に対応するよう指導してまいりました。その結果、各学校では表面的な謝罪でいじめが解消したと判断せずその後も継続的に各事案を見守る姿勢が定着しており、このことによりいじめが解消されている割合が全国平均を下回っているものと考えております。
 県教育委員会では、これまでも静岡県いじめ対応マニュアルを活用した研修の実施やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーと連携した組織的ないじめの防止対策に取り組んでまいりました。また平成二十五年九月に成立したいじめ防止対策推進法に基づき、基本方針の作成、いじめ問題対策連絡協議会やいじめ問題対策本部の設置などの体制の整備を進めていきます。さらに、いじめを含む生徒指導上の問題については迅速な対応をとることができるようどんな小さな事案であっても各学校や市町教育委員会から報告を受けており、情報の共有にも取り組んでいるところであります。
 いじめを抑止していくためには、議員御指摘のとおりどんなささいないじめでもより積極的に、より正確に認知し学校外の関係者ともしっかりと情報共有をしていくことが重要です。県教育委員会といたしましては今後、学校、市町教育委員会だけでなく家庭や地域との一層の連携を深めるためコミュニティスクールや学校支援地域本部等の取り組みを推進し、社会総がかりで子供を育て見守る体制づくりに努めてまいります。
 次に、スマートフォンの危険性を全県で教える取り組みについてであります。
 今日の情報社会においては、スマートフォン等の情報機器の利便性も享受しつつその危険性を理解し適切に活用していく力が必要であります。その力を子供たちに身につけさせることは学校及び教育委員会の責務であると考えております。
 児童生徒のスマートフォンの保有の状況等については毎年調査を行っており、平成二十六年度の保有率は小学五年生が三七・三%、中学二年生が四八・五%、高校二年生が九八・五%と年々増加する傾向にあります。さらに本年度は小中高校生を対象に利用方法や利用時間、情報モラル等の実態について詳細に調査を行う予定であります。
 また、全ての小中学校各教科の授業、道徳、学級活動における情報モラルの学習や長期休業前の学校集会等でスマートフォン等の適切な使用について指導を行うとともに、警察や携帯電話会社と連携した出前講座を行うなど児童生徒や保護者に対して指導、啓発を行っております。
 今後も、児童生徒がトラブルの被害者や加害者にならないようにスマートフォンの危険性や適切な使用のためのルールを児童生徒や保護者に十分御理解していただくよう努めてまいります。
 次に、給食を通しての食育の強化についてであります。
 本県の食育は食を通して人を育むことを目指しております。すなわち食を知る、食をつくる、食を楽しむことを通して生涯にわたり望ましい食生活を実践する力を身につけ、健全な体と心を培い豊かな人間性を養うことであります。
 学校では給食の時間や授業等において食育を行っており、給食の時間には授業等で取り上げられた食品に関する学習内容及び献立を通して食材の産地や栄養的な特徴の確認並びに食事のマナー等を指導しております。
 また、県教育委員会では食育啓発リーフレットの配布と活用、親子でつくる学校給食メニューコンクールの開催とメニュー集の配布等を継続的に行っております。さらに先ほどもお話がありましたように栄養教諭及び学校栄養職員の資質、実践力を向上させることを目的として経験段階別の研修会の実施や食育の講習会等も開催してまいりました。これは今後ともさらに継続していく予定です。
 学校栄養職員については平成二十二年度から二十七年度までに十七人増員いたしました。栄養教諭については国の加配に加え平成二十二年から学校栄養職員からの任用切りかえによる配置を進めた結果、この五年間で二十七人から百三十四人へと大幅な増員が図られています。このことにより学級担任と栄養教諭や学校栄養職員とのチームティーチングによる食に関する授業の実施率が平成二十二年の調査に比べ五八・五%から七四・〇%へと大きく上昇しました。学校からは子供たちの食べ物に感謝する心が育ち食に関する正しい知識や望ましい食習慣が身についたという声も寄せられ、食育指導の確かな成果を実感しているところであります。
 県教育委員会といたしましては、子供たちを取り巻く食環境、食行動などを通しまして将来の日本の食形態に移行していくことを念頭に、今後も国に対して学校栄養職員の定数改善も要望していくとともに、栄養教諭への任用がえを計画的に実施し本県のさらなる食育の強化に努めてまいりたいと思っています。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) 鈴木 智君。
(十九番 鈴木 智君登壇)
○十九番(鈴木 智君) まず、一点要望させていただきます。
 自死への偏見をなくす取り組みにつきまして、自死の用語の言いかえにつきましては今後検討していただくということでございますが、これはやはり人の死そして遺族の苦しみに関する問題でございまして、これは非常に根の深いことだと思っております。早急に結論を出していただいて効果的な活動を展開するようまずお願いをしたいと思います。
 二点につきまして再質問させていただきます。
 まず、薬物によらない治療、対応について再質問させていただきますけれども、実は私この自死の問題につきましては当選一年目から委員会で何回も取り上げてまいりました。ちょうど四年前の総務委員会でその年に交通基盤部の方が一名自死されたことについて伺ったのが最初でございます。県のほうからいただいた資料によりますと、平成二十二年から二十六年の五年間で十二名もの県の職員の方が自死をされておりまして、特に昨年度は五名、職員十万人当たりの自死率では八四・八となっておりまして、二十五年度の都道府県、政令指定都市職員の平均自死率十八・三の何と四・六三倍もの値となっております。そして今年度も既に八月までの五カ月の間に三名の職員の方が自死されたと伺っています。
 先ほど富士モデルについて薬物治療への偏重に対して批判があると申しましたが、現在はゲートキーパー養成等の政策を行っているとはいえ、県の自殺総合対策行動計画等を見ましても鬱の方に対しましては基本的に対症療法であります精神科への受診を勧めることにいまだに主眼が置かれております。そうした薬物治療への偏重がもしかすると県職員の自死を防止できないことにつながっているのではないかという、私は疑問がございます。薬物治療偏重の問題点につきましては先ほど申し上げましたけれども、例えば知事もよく御存じの野田正彰先生等の精神科医の方も数多く指摘をされております。薬物によらない治療、対応の推進についてもっとしっかり進めるべきだと思いますが、改めて見解をお願いしたいと思います。
 次に、いじめ対策についてでございます。
 先ほどの教育長の答弁を伺いますと、一言で言えばこれまでの取り組みを続ければ大丈夫というふうにどうしても聞こえてしまうんですが、それはそれで先ほど申し上げました京都府が静岡県に比べて格段に認知件数が多かったりするわけですからその違いをまずしっかり確認していいただいた上で、それで静岡県の教育委員会の取り組みがいいのであればそうしていただきたいと思うんですが、まずその京都府等との差についてどのように認識されているのか改めて伺いたいと思いますし、また先ほど仙台市で昨年発生した中学生の自死について触れましたけれども、この仙台市のある宮城県の平成二十五年度のいじめ認知件数は子供千人当たり六十九・二件ということで全国で実は四番目、静岡県の六倍以上でございます。地元の河北新報の報道によれば同じ中学校では一九九八年にも生徒の自死が発生しておりまして、その時の教訓が生かされていないと地元では報道されているようであります。積極的にいじめを認知してきた宮城県でもそうした問題が生じているわけですから、静岡県においても今の対応で大丈夫というのではなくいじめ対策や体制について不断の点検、見直しをするべきだと思いますが、改めて教育長の見解を伺いたいと思います。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 再質問についてお答えいたします。
 富士モデルの事業の目的は、鬱病を早期に発見し専門的な医療機関による治療に結びつけるということでございます。その中で、精神科を受診した方々の中では全て薬物によるものではなく適切な治療を受けていると考えております。
 また、先ほども言いましたようにこの自殺の対策につきましては決して精神疾患者への薬物治療だけに頼るのではなく、各保健所の圏域単位でやっています地域自殺対策ネットワークの会議をやりまして地域で自殺のおそれのある方々をしっかり支えるという仕組みもやっていますし、またゲートキーパーをやりまして身近に寄り添っていただきまして適切なアドバイス等もできるという形で進めております。決して薬物対策だけに全てをやっているというような施策ではございません。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) ただいまいじめ問題についてお話しいただきました。決して今の状況が静岡県がいいとは思っておりません。それから京都含めて新聞紙上でもかなり出ておりますのでそういうところも十分に把握しておりまして、静岡県の状況がどうかということについても私、教育長になってまだ四カ月ですので細かくはわからないところもありますが、少なくとも私が教育長になってからは全てのものを私のほうに出してもらいました。ですから地域でとまっているということはないんですね。そういうことで私も教育歴五十年近くありますので十分に把握しております。
 ですから、そういう中で静岡でもいろいろな形があると思いますので、たとえ小さなものでもそこで十分に把握してそれなりの対応をするというようなことで、もちろん各学校で校長先生、教頭先生、そして学年主任の方、そういう方もおりますのでいろんな形で。それから先生方がやっぱり多忙であると。なかなかそこまで見られないという部分もありますのでもうちょっと広くいじめ問題というのを考えてやっていきたいなと。
 今そういう戦略的にその辺をやろうと思って今いろいろと検討しているところです。近いうちに多分、形として皆さんに報告できると思います。以上です。
○副議長(杉山盛雄君) 鈴木 智君。
(十九番 鈴木 智君登壇)
○十九番(鈴木 智君) ありがとうございました。自死につきましてもいじめにつきましても人の命がかかった大変重要な問題でございますので、積極的な取り組みをお願いしまして次の質問に移りたいと思います。
 UIJターン就職促進について伺います。
 本県の人口転出超過、特に若者の転出超過対策が喫緊の課題となっている中、県では首都圏におけるU・Iターン支援の拠点として昨年七月に静岡U・Iターン就職サポートセンターを設置しました。また県外に進学した本県出身学生のUターン就職のさらなる促進を図るため、県は今月十八日に本県初となる就職支援協定を立命館大学と締結したところであり、今後も首都圏等の大学との協定締結が促進されることを強く期待しております。
 御案内のように、若者の転出超過だけでなくそもそも日本全体で生産年齢人口の減少がしばらく続くことが明らかになっており、このままでは特に県内の中小企業にとって有能な人材を確保することがますます厳しくなってしまいます。そのため中小企業の人材確保支援として首都圏等に在住する社会人や学生のUIJターン就職をさらに促進することが不可欠と考えますが、今後の取り組みについて伺います。
 次に、世界遺産富士山に関する情報提供戦略について伺います。
 富士山の包括的な保存管理や情報提供を行う拠点として、県は仮称富士山世界遺産センターの整備を進めています。先ほども議論がありましたけれども先日の入札不調によりセンターの完成のおくれは避けられない状況にございます。現在費用の圧縮に向けて検討中とのことですが、新国立競技場の設計見直しをめぐる混乱のようなことがないよう納税者であり利用者である県民そして早期完成を特に待ち望んでいる地元の皆様に十分御理解いただける見直し案の策定を強く要請いたします。
 センターのハード整備と同様に重要なことはセンターが行う事業の中身です。富士山を見に来る利用者の視点に立てば事業の内容のほうがより重要であると言っても過言ではないと考えます。来年二月一日までに提出予定の保全状況報告書に記載する必要がある情報提供戦略の中では、センターを中心に調査研究の推進及びその成果の反映、そして顕著な普遍的価値の伝達及び適切な情報提供の実施が方向性として明示されています。情報提供戦略を着実に進めるため、センターで実施予定の事業のうち準備が整ったものについては積極的に展開していくべきと考えますが、県の考えを伺います。
 次に、ユニバーサルデザインに配慮した道路整備について伺います。
 この六月から道路交通法が改正され、自転車の通行に関するルールや取り締まりが強化されました。それに伴い自転車が通行可能な歩道つまり自転車歩行者道であることを示す表示の数もふえてきてはいますが、実感としてまだまだ不十分だと認識しています。また道路の左側通行が原則とはいうものの自転車が安全に通れる路側帯が整備されている道路はごく一部にすぎません。
 本県は、日本競輪学校や伊豆ベロドロームを有するなど自転車競技と大変ゆかりの深い土地柄です。またイタリアのフリウリ・ベネチア・ジュリア州と自転車競技を通じたスポーツ交流をこれから進めるところでもございます。そのため最も優先されるべき歩行者に加え自転車利用者も安全・安心に通行可能なユニバーサルデザインに配慮した道路整備を進めることは、超高齢社会を迎えるに当たっての重要課題の一つであるだけでなくロードレース等の自転車競技の招致、開催による県経済の活性化にもつながると考えます。
 そこで、自転車走行可能な歩道表示の明確化等、歩行者や自転車が安心して通行できる自転車通行空間の整備について、県の方針を伺います。
 次に、県職員におけるワーク・ライフ・バランスの推進について伺います。
 県職員の定数削減が進む一方で県職員の時間外勤務は増加傾向にあります。昨年度の一人当たりの部局別年間時間外数は対前年比で一〇・三%増の百八十九・一時間、年間一千時間を超えた職員数は対前年比で十三人増の二十五人で最高時間は千四百二時間だったということです。不断の行財政改革の努力は当然必要ですが、定数削減が実現しても職員の仕事効率が悪化しては削減はむしろ逆効果となってしまいます。無駄もしくは不要な事業、業務の廃止や作業の効率化を進めるとともに、残業時間平準化を目指した部局の職員定員の弾力的な見直し、再任用職員のさらなる活用そして職員削減計画の再点検などにより民間企業の模範となるよう県職員のワーク・ライフ・バランスの推進、実現を図るべきと考えますが、県の今後の方針を伺います。
 最後に、暴力団の資金源を断つ取り組みの強化について伺います。
 警察や民間団体の取り組みにより暴力団構成員等の数は減少傾向にあり、昨年度末現在の数は暴力団対策法施行後最少になりました。しかし最近では資金集めのためにオレオレ詐欺等の特殊詐欺に暴力団が直接関与し一般住民が被害者となるケースがふえていると伺っております。
 先月末ごろから国内最大の指定暴力団山口組のいわゆる分裂騒動が発生しています。県内にも山口組系の暴力団が複数存在しており、警察本部には山口組分裂騒動に県民が巻き込まれることがないよう警戒や取り締まりに全力を挙げることをまずは強く要請いたします。
 同時に、一連の分裂騒動は暴力団のさらなる弱体化を目指す好機でもあり、日ごろの県民の不安を取り除き新たな特殊詐欺等の被害者を防ぐためにも暴力団の資金源を断つ取り組みもさらに強化すべきと考えますが、警察本部の今後の方針を伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(杉山盛雄君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) UIJターン就職促進についてお答えいたします。
 本県経済の持続的な発展のためには県内企業の人材確保が重要な課題であります。県内における求職者の地元での就職を進めるとともに首都圏からのUIJターン就職の促進が必要です。学卒者と社会人とに分けて御答弁申し上げます。
 まず、学卒者につきまして県は昨年七月に静岡U・Iターン就職サポートセンターを都内の山手線JR目黒駅近くに設けまして、首都圏の新規学卒者を中心に個別相談や就職面接会などにより就職活動を支援いたしまして、昨年度は三十八人の県内就職に結びつけることができました。本年度につきましては相談件数や面接会の参加者も大きく増加しておりまして、県内就職者が昨年度を大幅に上回るものと期待しているところであります。
 また、県議御指摘のとおり今月十八日に立命館大学と本県初めての就職協定を締結いたしまして、県内企業やU・Iターン就職イベントの情報提供、インターンシップ受け入れ支援などで連携協力することといたしました。今後他の大学との協定締結も積極的に進めます。京都で立命館と言えばもう一つは同志社でございます。同志社も射程に入れると。また女子大もいい女子大がございます。さらに現在金沢工業大学が静岡県御出身の先生が学長を務められているということもあります。お隣の山梨県にもふさわしい大学がございますし首都圏にもスポーツの強い関東学院大学とかさらには本県ゆかりの東海大学というのもございますので、そうしたところを具体的にはターゲットとして就職協定を結んでいきたいというふうに思っているところであります。
 一方、社会人についてですけれども首都圏等から社会人の県内への就職支援につきましては、本議会でお諮りしております事業により有楽町の静岡県移住相談センターに就職相談員を置きましてワンストップで就職から移住までの相談に対応しております。また県内での二カ月程度のチャレンジ就労を支援いたしまして本県企業での正規採用につなげ、移住・定住を促進してまいります。
 さらに、県内中小企業の経営強化に即戦力として期待できる高度人材を首都圏から本県に引き込むためにプロフェッショナル人材戦略拠点を設置いたします。このプロフェッショナル人材戦略拠点には常勤のマネジャーを配置いたしまして企業への個別相談を行い、経営革新に必要な人材ニーズを掘り起こし県内中小企業への就職を促進してまいります。
 本県は、世界文化遺産の富士山を初め世界水準の場の力に恵まれており、何といいましても健康寿命日本一いや世界一の地域でございます。就職、移住先として選択していただけるものと考えています。
 県といたしましては、引き続き地域の魅力を高めるとともに、市町、大学を初め関係の皆様と連携して本県へのUIJターンの就職を一層促進してまいります。
 次に、世界遺産富士山に関する情報提供戦略についてであります。
 まずは富士山全体を一つの文化的景観として捉えるということを前提にいたしまして、昨年の富士山世界文化遺産協議会において採択した情報提供戦略では点在する二十五の構成資産を一まとまりの資産として捉え、そしてこの二十五の構成資産間の関係をわかりやすく来訪者に御理解をいただけるよう調査研究の推進及びその成果の反映並びに顕著な普遍的価値の伝達及び適切な情報提供の実施。これら二点を施策の柱として事業を推進していくこととしております。
 まず、調査研究の推進及びその成果の反映につきましては本年度までに日本史、美術史、考古学を専門とする三名の研究員を採用いたしました。須走口登山道における巡礼路の調査や古文書のデータ化などを進めているところです。こうした調査結果の成果を幅広く社会に還元するために、小学生、中学生、高校生や一般県民などを対象に実施している出前講座に加えまして今月は静岡市内で第一回富士山世界遺産セミナーを開催するなど、さまざまな手法を用いてその成果を積極的に発信しているところです。
 顕著な普遍的価値の伝達及び適切な情報提供の実施につきましては、昨年、静岡県世界遺産富士山公式サイトを開設いたしました。そこで構成資産の紹介や登山マナーなどの情報提供を行っております。また昨年度までに構成資産の案内などができる世界遺産ガイドを百九十人養成したところでございます。今後は関係市町と連携し、案内の機会をふやすなどガイドの御活躍の場をふやしていく取り組みを進めます。
 何といいましても富士山は日本の国土の中心であり、国土統合のシンボルであります。それが世界共通の、人類の共通の財産になったわけでございますので、その情報提供戦略の拠点となる富士山世界遺産センター――仮称でございますが――このセンターのできる限り早期の完成を目指すとともに、調査研究や適切な情報提供などに積極的に取り組んでまいります。以上でございます。
○副議長(杉山盛雄君) 野知交通基盤部長。
○交通基盤部長(野知泰裕君) ユニバーサルデザインに配慮した道路整備についてお答えいたします。
 近年、自転車と歩行者との接触事故が増加しており、誰もが安全で安心して通行できる道路の形成には混在している自転車と歩行者の通行空間の区分を明確にすることが必要になってきております。
 このため、県では平成二十四年度に国が策定した安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインを踏まえて整備方針を見直し、自転車と歩行者の分離や連続した自転車通行空間の整備を進めているところであります。これまでに早期に整備が必要な学校や駅周辺を中心に十八路線二十三カ所において自転車専用道や自転車通行位置の明示などの整備を実施しており、今年度は沼津市内における国道四百十四号の自転車歩行者道や富士市内における県道鷹岡富士停車場線の路肩のカラー舗装化などの整備を行ってまいります。
 県といたしましては、公安委員会や市町等関係機関と連携し自転車ネットワーク計画の策定に努めるとともに、自転車通行空間の整備を進めるなど誰もが安全に安心して道路を利用できるようユニバーサルデザインに配慮した道路整備に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 伊藤経営管理部長。
○経営管理部長(伊藤篤志君) 県職員におけるワーク・ライフ・バランスの推進についてお答えいたします。
 高度化、複雑化する行政課題に効率的かつ効果的に対応するためには、適正な人員配置と職員の意欲・能力を十分に発揮できる職場環境づくりが重要であります。このため定員管理に当たりましては単に職員数を削減するのではなく、権限移譲や業務の委託化による減員のほか事務事業の進め方を見直すことにより効率化を図るとともに、各部局の業務量の増減や職員の時間外勤務の状況を勘案し職員の負担にも配慮した上で柔軟な人員配置に努めてきたところであります。
 また、職員のワーク・ライフ・バランスを推進するため早出遅出勤務制度やこの夏試行した朝型勤務制度など多様な勤務形態を導入するとともに、県庁内一時預かり保育施設ふじさんっこクラブを開設するなど仕事と家庭生活の両立支援に取り組んでまいりました。
 今後は管理職員のマネジメント能力向上や、「やめる・へらす・かえる」運動等の実施により業務効率の向上を図り時間外勤務を縮減するとともに、テレワークを初めとした働く時間と場所を柔軟にする取り組みなど働き方の思い切った見直しやワーク・ライフ・バランスへの取り組みの管理職員の人事評価への反映など働き方に対する従来の価値観や意識の変革に努め、職員一人一人がやりがいを持って仕事に取り組む環境整備を進めてまいります。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 西川警察本部長。
○警察本部長(西川直哉君) 暴力団の資金源を断つ取り組みの強化についてお答え申し上げます。
 県内の暴力団構成員及び準構成員の総数は、平成二十六年末現在約一千三百三十人でありまして平成二十三年から四年連続減少いたしました。平成四年の暴力団対策法施行後、最少を記録しております。県内には山口組の二次組織が六組織あります。県内暴力団構成員等の七割弱を占めておりまして山口組への一極集中の状況が顕著となっております。
 議員御指摘のとおり、九月上旬この山口組が分裂をしたところでありますが、県内の六つの山口組二次組織は現在のところ山口組に残っております。一方県内には今回の騒動で新組織を形成したと言われる山健組系の二次組織、三次組織もございますので対立抗争事件の発生も懸念されますことから、県民の安全確保を第一とし情報収集、警戒活動と取り締まりを強化しているところでございます。
 従来の暴力団は主として賭博、恐喝あるいは薬物犯罪など暴力団組織の名前等を前面に出して得た収益を活動資金とすることが多かったわけでありますが、近年では企業活動に介入するなど資金源活動を多様化させておりまして、特に最近では一般市民が被害者となる特殊詐欺にも関与しておるようでございます。県警においても山口組系の幹部等による社債販売名下の特殊詐欺事件を検挙したところであります。また暴力団組織を利用して利益を得ようとするいわゆる共生者等とともに資金獲得活動を行うなどますますその活動を不透明化、巧妙化させておりまして、中枢組織は依然として強固な人的・経済的基盤を維持しておるようでございます。
 そこで、県警察といたしましてはこれまでの取り締まりに加えまして部門の枠組みにとらわれず暴力団の実態に関する情報を的確に収集し、これを分析して構成員や共生者等の活動実態及び資金獲得活動等の実態等を解明した上で、それらに基づきます取り締まりあるいは暴力団排除活動等の諸活動を有機的に連携させ、その根幹を支える資金源の剥奪、遮断に努め暴力団の壊滅を図ってまいる所存でございます。以上であります。
○副議長(杉山盛雄君) 鈴木 智君。
(十九番 鈴木 智君登壇)
○十九番(鈴木 智君) 一点だけ再質問させていただきます。
 自転車通行空間の整備についてでございますが、先ほど冒頭の質問のところで次世代の若者による県民会議がこれから設置されるということでございますが、ぜひその中で取り上げていただきたいのがこれからの自転車通行空間の整備についてでございます。
 と申しますのも、先ほど来お話しさせていただきましたがこれから人口が減少する、つまりは車の通行量も減っていくわけですからこれからむしろ歩行者、自転車優先の道路づくりがスタートすることだと思っているからでございますし、また総務省の資料によりますと平成二十五年の全交通事故死者数四千三百七十三人のうち自転車乗車中の死者が六百人。全死者数の一三・七%を占めておりましてこれはG7各国の中では最も高い水準だということでございます。ですから自転車事故も減っているようではございますが他国に比べるとまだ高い水準にある。ですからそういった意味でもあるいはこれからの人口減少戦略におきましても二つの意味で私は自転車通行空間の整備をさらに進めていただきたいと思いますし、また報道によりますと先日知事のところに静岡市出身の自転車レースの王者の佐野淳哉さんが川勝知事を表敬した時に、知事もこれから自転車通行空間の整備を促進したいというふうにおっしゃっておるようでございますからさらに積極的に自転車通行空間を整備するべきと考えますが、再び答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○副議長(杉山盛雄君) 野知交通基盤部長。
○交通基盤部長(野知泰裕君) 自転車通行空間の整備についての再質問にお答えいたします。
 御指摘のように、自転車通行につきましては快適で安全な空間整備が必要だということで、歩行者と車との接触事故等がないような形での連続した形での自転車通行空間の、できればネットワークの整備が今後必要だと思っております。
 しかしながら、実際の整備についてはやはり既存の道路の沿道の状況ですとかあるいは限られた幅員の中で整備していかなければならないということがございまして、まずはこれまで整備されてきたストックを活用する中で進めてまいりたいと思います。そのためにどのような形がよいのか、安全な走行空間とするにはどういう形がいいのかということが重要でございますことから、県といたしましては国や政令市あるいは県警等と連携する形で自転車空間整備の設計の仕様書をつくりまして統一した形での整備をやっていこうということで取り組んでいるところでございます。
 今後も、それぞれの道路管理者間で連携をとりながら積極的な整備を進めてまいりたいというふうに思っております。以上でございます。
○副議長(杉山盛雄君) これで鈴木智君の質問は終わりました。(拍手)

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