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平成26年2月議会討論 (平成26年3月19日)

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○二十四番(鈴木 智君) 私はふじのくに県議団を代表して、今定例会に提出されました全ての議案に賛成の立場から特に三つの議案に関して意見を申し上げ、討論いたします。
 まず初めに、第一号議案「平成二十六年度静岡県一般会計予算」に関して意見を申し上げます。
 平成二十六年度の一般会計予算案の総額は、前年度比三・六%増の一兆一千八百二億円で平成十四年度の当初予算一兆一千九百二十億円に次ぐ過去十年間では最大規模のものとなっています。地震・津波対策アクションプログラム二〇一三の着実な実行のために、関連事業費として前年度比で百億円増の四百四十四億円を計上、少人数教育の強化のために本年度に引き続き県単独措置として四十五人の教員を確保したり、本年度よりさらに多い百十五名の非常勤講師を配置したりするなど来月から実行される次期基本計画に基づいた富国有徳の理想郷“ふじのくに”づくりの総仕上げに不可欠な予算案と言うべきものであり、我が会派の予算要望を大いに反映した編成となっています。
 その一方で、予算案とともに示された財政の中期見通しによれば、平成二十六年度末の県債残高は、過去最多の二兆七千三百三億円に達する見込みとなっています。景気は持ち直しつつあるとはいえ県内経済の先行きは依然として不透明であると同時に、将来人口推計が示すように少なくとも今後数十年間は人口減少と高齢化が急速に進むことから、当面は厳しい財政状況が続くことを前提に県政を運営していかなければならないと考えます。
 しかしながら、そうした慎重かつ長期的な見通しに基づいて県当局が財政運営を行っているかといえば、疑問を呈さざるを得ません。なぜなら例えば前述の財政の中期見通しが必ずしも適切なものとは言えないからです。毎年度の当初予算案と同時に示される財政の中期見通しでは、その試算の前提として内閣府が試算した経済成長率を用いています。内閣府の試算では今後の経済が順調に回復、成長したいわば楽観的なシナリオとそうではない慎重なシナリオ等、二つ以上のケースを想定しています。過去の当県の財政の中期見通しでは、平成二十一年と二十二年は順調回復と底ばい継続の二つのシナリオを平成二十三年から昨年までは、内閣府の試算の中でもより慎重なシナリオを前提に置いてきました。
 ところが、ことしの財政の中期見通しでは、内閣府のより楽観的な経済再生ケースを試算の前提にし税収が大幅に伸びることを想定しています。基本的な考え方として財政の見通しを試算する場合には、より慎重で控え目な想定をするべきではないでしょうか。なぜなら楽観的な経済再生シナリオを前提に試算し計画したものの、経済再生が前提どおりに実現しなかった場合、財政再建はさらに遠のくこととなりますが、逆に慎重なケースを前提にし想定以上の成長が実現した場合には財政再建計画を前倒しすることが可能になるからです。
 ちなみに、大阪府がことし二月に示した財政状況に関する中長期試算では、内閣府のより慎重な参考ケースを用いています。またお隣の山梨県の財政の中期見通しでは、平成二十七年度の県税収入については消費税増税に伴う増額分を反映させていますが、平成二十八年度以降の県税は全くふえないという実に慎重な前提に基づいて試算を行っています。
 こうした点に加えさらに指摘すべきは、今回の中期見通しが前提としている内閣府の中長期の経済財政に関する試算そのものが極めて楽観的である点です。例えば一月二十八日の日本経済新聞のコラム大機小機は、この内閣府の試算について議論の突っ込みどころ満載の資料である、中でも前提としている経済の姿がかなり楽観的であるのが目につくと厳しく批判しています。この記事が指摘していますように県の中期見通しの前提ともなっている経済再生ケースは、客観的に実現可能な前提というよりも政府が目標としている経済成長率の達成を前提としたものです。経済再生ケースでは、平成二十五年度から三十四年度の平均の実質成長率を二・一%としていますが、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によれば、平成二十五年から三十四年の十年間で合計四百四十万人以上、約三・五%の人口減少と約三・一%の生産年齢人口の割合の低下が予想される中で、そうした高い成長率の実現は本当に現実的と言えるのでしょうか。
 ちなみに同じ日本経済新聞記事が紹介している公益社団法人日本経済研究センター。元日本銀行副総裁で現在、政府の「選択する未来」委員会の会長代理である岩田一政氏が、その理事長を務めておりますが、当センターが作成した平成三十七年度までの中期経済予測最終報告では、労働力人口の減少等も織り込んだ結果として平成二十三年から二十七年の平均の実質成長率は一・〇%、平成二十八年から……
○議長(中谷多加二君) 鈴木智君、申し上げます。簡潔に願います。
○二十四番(鈴木 智君) はい。
 三十二年は〇・九%、平成三十三年から三十七年では〇・七%となっています。県では昨年十月に独自の将来人口推計を策定しているのですから、政府の楽観的な見通しを……
○議長(中谷多加二君) 鈴木智君、もう一度申し上げます。
 発言が討論の範囲を超えているので、注意します。
○二十四番(鈴木 智君) はい。
 加えて昨年十二月議会の一般質問でも提言いたしましたが、十年以上の長期見通しについても早急に策定すべきです。例えば先ほど紹介した大阪府では、独自の財政運営基本条例に基づいて、予算審議や計画的な財政運営の参考のために平成四十六年までの二十年間を見通した中長期試算を行っています。県当局も同様の取り組みに早期に着手するよう強く要請いたします。
 次に、第百一号議案「静岡県工業用水道及び水道の使用料等に関する条例の一部を改正する条例」に関して意見を申し上げます。
 この条例改正は、中遠工業用水道の料金引き上げ等を行うものですが、全ての受水企業から同意が得られていることから我が会派は賛成をいたします。
 しかしながら、同じく料金の引き上げを検討している湖西工業用水道事業に関しては、まだ全ての受水企業から同意が得られていないことが示すように工業用水道事業そして企業局における経営改善努力は、決して十分とは言えないと考えています。(発言する者あり)
 例えば浜松市は、平成二十三年度に水道専門のサービス会社等の協力のもとで公共下水道における包括的民間委託・公共施設等運営権活用検討事業を行っています。同様に県の企業局も民間の最先端の知見を活用しながら、スケールメリットが発揮される形での包括的民間委託や指定管理者制度の導入等のコスト削減策を進めるよう強く要請をいたします。
 最後に、第百十四号議案、富士山静岡空港旅客ターミナルビル等の県有財産の取得に関連して意見を申し上げます。
 富士山静岡空港につきましては、今定例会におきましても本会議や常任委員会で活発な議論が行われました。特に先ほど委員長から報告がありましたように、空港の年間搭乗者数を次期基本計画の最終年度までに八十五万人にするという目標について、下方修正すべきという意見が企画文化観光委員会から出されました。私が所属する建設委員会でも議論しましたがこうした意見が出てくる大きな理由は、八十五万人の搭乗者を獲得するまでの道筋や政策が私たち県民とりわけ現時点では静岡空港を利用していない個人や企業の声を反映した形にはなっていないことだと考えます。二十億円以上の県税を投入してターミナルビルを取得するとともに、さらに巨額の費用をかけて行うターミナルビルの増改築の具体的な目的や設計内容そして増改築が完了するまでの今後四年間の取り組みが現在は空港を利用していない個人や企業にとっても大変魅力的でわかりやすいものになるよう県当局は、来月に新設される空港振興局を中心に一層の危機感を持って全力で取り組むべきです。
 以上、全ての議案に賛成の立場から意見を申し上げました。毎年編成する予算では少しの変化には対応が可能です。しかし毎年の予算編成で対応し切れなかった変化が積み重なれば、もはや何ともしがたい事態がいずれ到来することになってしまいます。今はちょうど卒業式シーズンです。けさも私の地元の小学校から元気な六年生が巣立っていきました。県当局におかれましては、将来人口推計に基づいた長期的かつ慎重な財政推計を行うことにより、近い将来どのような事態が起こり得るのか十分想定した上で私たちに続く世代に何とかよい形で静岡県を引き継げるように、今後の財政運営や各種の施策の推進に取り組まれることを重ねて強く要望し、賛成討論といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)

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