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平成30年2月議会代表質問(平成30年2月26日)

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質疑・質問事項
1 平成三十年度当初予算編成について                
2 人口減少・超高齢社会に適応するための次期総合計画について 
(1)県民とともにつくる県土利用に関する長期ビジョン
(2)防災型土地利用規制による防災力向上              
(3)総合的な子育て支援の推進                   
(4)超高齢社会適応策の推進                         
3 公文書管理・保存の強化について                 
4 情報公開の強化について                     
(1)知事部局における取り組みの推進                
(2)警察本部における取り組みの推進                
5 持続可能な水産業の振興について                 
6 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック文化プログラムの推推進について
7 自転車活用推進法への対応について                
8 公契約条例の早期制定について                 
9 ICT教育の推進について                    
10 新県立中央図書館整備のあり方について    

○二十九番(鈴木 智君) ふじのくに県民クラブの鈴木智です。私は会派を代表して静岡県政の重要課題について分割方式で質問いたします。
 初めに、平成三十年度当初予算編成について伺います。
 ふじのくに県民クラブは、来年度予算編成に関して県民の命を守る危機管理体制の充実、地域経済対策と雇用の創出、未来への投資としての教育環境の充実、将来を見据えた行財政改革の推進など七項目を知事に提言いたしました。また最大三百七十九万人を超えた県人口が既に三百六十六万人余りまで減少し、さらに少なくとも今後数十年間は人口減少と高齢化が進む一方、引き続き強化が求められる地震防災対策や高齢化に伴う社会保障費の増加など財政需要が一層増大する傾向にあることを踏まえ人口減少・超高齢社会適応策推進のためにあれもこれもではなくあれかこれか、ビルド・アンド・スクラップの考えに基づいて予算を編成するようあわせて要請いたしました。
 そこで、次期総合計画の初年度となる来年度予算編成に当たりビルド・アンド・スクラップの推進や七項目から成る政策提言等我が会派からの要請をどのように反映したのか具体的に伺います。
次に、人口減少・超高齢社会に適応するための次期総合計画についてのうち、県民とともにつくる県土利用に関する長期ビジョンについて伺います。
 このたびの次期総合計画策定に当たり、会派の政策調査会長として次の二点を特に痛感いたしました。
 人口減少・超高齢社会の本格的な到来に対応するには、予想される将来を起点に今後生じ得る問題を洗い出し克服するために今から何をすべきか、課題を議論し実行するバックキャスティングの観点からフューチャーデザインを示すことが不可欠です。しかし県人口が数十年後には二百万人台に突入すると推計される将来の人口減少・超高齢社会に適応するための方策が次期総合計画案で十分示されているとは言えません。
 昨年九月の県民アイデア募集では六人で九件、パブリックコメントでは五人で十二件の意見というように次期総合計画策定における県民参加はごくわずかでした。しかしながら新知事の選出ごとに策定するという性格上、これらを総合計画で実現するにも限界があります。
 そこで、検討の段階から県民とともに県土利用に関する長期ビジョンを策定することを提言いたします。
 本格的な人口減少にもかかわらず住宅地はいまだに拡大しています。昨年三月に県が策定した国土利用計画では、県人口を三百五十九万人と想定した平成三十八年まで住宅地面積を平成二十六年時の三百六十九平方キロメートルで維持することを目標にしています。しかし平成二十七年に既に三百七十一平方キロメートルにふえており、平成十七年と比べても掛川市の人口よりも多い十二万人もの人口減少にもかかわらず二十五平方キロメートル、つまり長泉町よりも若干狭い面積分もふえています。
 東洋大学の野澤千絵教授の言葉をかりれば、日本は「将来世代への深刻な影響を見過ごし、居住地を焼畑的に広げながら、住宅を大量につくり続ける社会」、つまり住宅過剰社会であり、静岡県も例外ではありません。こうした住宅過剰社会を是正するには、将来世代のためにも長期的な視点に立って土地利用の方向性を定めることが不可欠なはずです。
 その先進事例に、米国オレゴン州ポートランドを中心とした広域政府メトロが五十年後を見据えて一九九五年に策定した長期ビジョン「二〇四〇 Growth Concept」があります。これは一九七九年に導入された都市成長境界線――UGB制度を中心に自動車に過度に依存しないコンパクトなまちづくり、豊かな自然環境や農地の保護等を長期的に推進するための計画です。その結果ポートランドは住みたい都市全米ランキングトップテンの常連となっています。
 本年度、県議会に設置された社会資本・まちづくり特別委員会の報告書でも提言していますが、県はこうした取り組みを大いに参考にすべきです。
 伊東市のメガソーラー問題が象徴するように、人口増加を前提とした日本の土地利用規制は欧米諸国に比べ極めて緩いものです。国土利用計画法上の土地利用基本計画も形骸化しており、調整機能をほとんど果たしていません。そのため全国市長会は昨年六月に土地利用行政のあり方に関する特別提言を取りまとめ、都市と農山漁村を包含した一元的な土地利用行政の確立、計画なくして開発なしの仕組みの構築等、人口減少・超高齢社会に適応した制度への転換を要請しています。県土利用に関する長期ビジョンの策定は国の制度改正を待つことなくできる広域調整の取り組みとして県民や自治体とともに進めるべきです。
二十年以上前に策定された「二〇四〇 Growth Concept」は、今なお実効性ある計画です。作成に四年近い歳月をかけ、広域政府内の五十万世帯以上の住民全てにアンケート用紙を送り住民との対話集会を各地で何度も行う等の努力の結果、住民の意見を大いに反映したビジョンとなっていることが実効性を維持できる理由だと考えます。こうした姿勢についても県は手本にすべきです。
 そこで、川勝知事の残りの任期中に県民を巻き込んだ議論を十分に時間をかけて展開し、四つの圏域をもう少し細分化した広域的エリアを設定するなど県として長期的かつ効率的な県土利用のあり方についてのビジョンを県民と共有し協働して課題解決を進めるべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、防災型土地利用規制による防災力向上について伺います。
 コンパクトなまちづくりを目指す施策として立地適正化計画制度があります。しかし立地適正化計画により中心部の再開発を行う一方、市街化を本来抑制すべき市街化調整区域での開発を認める規制緩和も人口増加策として進める自治体は少なくありません。そのため住宅地の拡大と既存地域がすかすかになるスポンジ化が同時進行しています。
 そこで、社会資本・まちづくり特別委員会の報告書も提言していますが、無秩序な開発の抑制にもなる防災型土地利用規制を強化すべきです。
 防災型土地利用規制の代表例は土砂災害特別警戒区域――レッドゾーン指定による規制です。昨年三月末時点で三十三万一千四百六十六区域が全国でレッドゾーンに指定されています。しかし他の事例としては徳島県の南海トラフ巨大地震等にかかわる震災に強い社会づくり条例に基づく特定活断層調査区域の指定等に限られますが、最近新たな取り組みが進んでいます。その一つが当時の嘉田由紀子滋賀県知事が主導して制定した全国初の流域治水条例です。昨年六月に初めて、条例に基づく浸水警戒区域が米原市村居田地区で指定されました。
 県内でも全国初の取り組みがあります。それは県が来月中に伊豆市土肥地区で指定予定の津波災害特別警戒区域――オレンジゾーンです。伊豆市の担当者によれば、地域住民と議論を重ねていく中で住民側からオレンジゾーン指定を目指す提案があったそうです。またマイナスイメージになりかねない区域指定をプラスに転換させるために指定区域の愛称の選定を地域全体で進めるなど、住民主体の大変すばらしい取り組みとなっています。
 伊豆市の試みが防災力向上とともに地域の宣伝にもつながれば新たに指定を目指す地区があらわれるでしょう。逆に今回の指定が風評被害を招くなど失敗した場合、地域の努力が無駄になるばかりか区域指定の仕組み自体が破綻するのではないでしょうか。そうならないよう県は国とともに今後も伊豆市を全面的に支援し、防災型土地利用規制の推進に努めるべきです。
 このように、伊豆市でのオレンジゾーン指定等の防災型土地利用規制について今後より実効性ある取り組みを積極的に推進すべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、総合的な子育て支援の推進について伺います。
 県が二年前に作成した少子化突破戦略の羅針盤は、昨年総務大臣賞を受賞するなど大変画期的な取り組みですが、出生率向上の要因についてはさらなる分析が必要と考えます。なぜならコーホート分析をしてみますと出生率の高い長泉町等には二十代後半から三十代前半の結婚、出産適齢期の若者が数多く転入していることがわかります。つまり結婚して子供を産みたいともともと考えている若者が転入した結果、出生率が大幅に上昇している可能性があります。長泉町等に以前から住む若者が行政の政策によって結婚や出産、子育てに目覚めたのであれば、それを他の自治体も実行することは県全体の出生率上昇につながるはずですが、先ほどの仮説が正しい場合他の市や町が長泉町等と同様の政策を進めたとしても県内の若者の移動がとまるだけで県全体の出生率は上昇しないことになります。つまり現在の少子化対策の効果の有無は、実は結婚や出産を望む若者の自治体間での取り合いというゼロサムゲームの勝ち負けであると言ってもおよそ間違いではない可能性があるのです。
 少子化対策は出生率の向上が目的であるのに対し、子育て支援は生活環境にかかわらず子育てがしやすくなることを目的とする点で異なります。例えば夫婦が一人の子供を育て上げた場合夫婦が受けた支援策は少子化対策としては効果不十分だったことになるでしょう。しかし一人の子育てを満足に行えたのなら子育て支援としては十分効果があったことになります。数を重視しゼロサムゲームになりかねない少子化対策ではなく、周産期から大学進学までの教育施策や子供の貧困対策等も含めた質の向上を重視する総合的な子育て支援を重点政策に位置づけるべきです。総合的な子育て支援の充実の結果として出生率が上昇する可能性は大いにありますが、出生率はそうした政策の効果をあらわし得るあくまでも参考指標の一つとして見るべきではないでしょうか。
 そこで、目標としての出生率の向上にとらわれない、子供の貧困対策や教育環境の整備等を含めた総合的な子育て支援のあり方について県の考えを伺います。
 次に、超高齢社会適応策の推進について伺います。
 会派では、来年度予算提言の中でさらなる高齢化や多死社会の到来に真正面から向き合い、在宅医療・介護の促進、フレイル予防等持続可能な地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを進め健康寿命の延伸を図ることを要請しました。この観点から伺います。
 静岡県はかつて健康寿命全国一位でしたが、その座を取り戻す以外にも課題があります。例えば平均寿命と健康寿命の差は男性で八歳、女性で十一歳ほどですが、平均寿命、健康寿命ともに伸ばすだけでなくその差をさらに小さくしなければ健やかに長生きできる静岡県とはなりません。
 知事は、二月議会初日に社会健康医学の推進について述べましたが、健康寿命の延伸に向け科学的知見に基づいた研究や施策の推進は大変重要だと考えます。また高齢者人口は二〇四〇年代前半ごろまで増加すると推計されており、少なくともそれまでは医療費や介護給付費の増加も必至です。加えて介護人材不足も深刻化しています。
 こうした課題の解決のためには、全世代に対して健康増進や予防医学の施策を進めるとともに在宅医療・介護へのシフトや地域全体で高齢者を支える仕組みづくり、つまり地域包括ケアシステムを確立する必要があります。そして以前紹介しましたようにシェア金沢で有名な社会福祉法人佛子園が住民や行政と連携して進めているごちゃまぜの地域づくり、つまり子育て支援、障害者支援、貧困対策、高齢者対策等を縦割りではなくごちゃまぜというキーワードが象徴するように地域づくりの中で包括的な人口減少・超高齢社会適応策として進めるべきです。
 そこで、県は超高齢社会の到来について現状をどのように認識し今後どのように超高齢社会適応策を進めていくのか伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 川勝知事。
(知事 川勝平太君登壇)
○知事(川勝平太君) 鈴木智議員にお答えいたします。
 平成三十年度当初予算編成についてであります。
 平成三十年度を迎えるに当たり、静岡県の新ビジョン富国有徳の美しい“ふじのくに”人づくり・富づくりを一気呵成に展開し世界の静岡を力強くスタートするためビジョンに定める八つの政策の実現に積極的に取り組む予算を編成いたしました。予算編成に当たりましてはふじのくに県民クラブの皆様からいただきました七つの重点要望項目に十分お応えいたしました。
 第一の要望項目でございます県民の命を守る危機管理体制の充実への対応でありますが、地震・津波対策アクションプログラム二〇一三を着実に進めるため静岡モデルの防潮堤の整備を促進するほか、市町が計画的に実施する地震・津波対策を引き続き支援してまいります。
 第二の御要望項目、誰もが安心して暮らせる社会の実現についてでありますが、これに対する対応といたしまして市町と連携し本年十月からこども医療費助成の対象年齢の上限を十五歳から十八歳に拡大いたします。また認知症疾患医療センターが認知症が疑われる方に対して出張相談などを実施するアウトリーチ機能を強化し、地域全体で認知症の方を支える体制づくりを進めてまいります。
 第三の御要望項目は地域経済対策と雇用の創出であります。これに対応いたしまして世界的に進む自動車のEV――電気自動車シフトに対応するため浜松イノベーション推進機構内に次世代自動車センターを設置いたしまして、県内自動車産業を支援してまいります。また有効求人倍率が一・六倍と高い水準にありますことから、業界団体が行う人材確保につながる取り組みへの支援を継続し県内企業の人材不足の解消を図り地域経済を活性化してまいります。
 第四の御要望項目、文化・観光戦略の強化と魅力的な空港づくりの推進に対しましては、平成三十一年度のデスティネーションキャンペーンに向けて本県の世界水準の魅力を発信し誘客につなげてまいります。さらに本年十月の完成を目指し富士山静岡空港旅客ターミナルの増改築工事を着実に進め、本県の空の玄関口として競争力の高い魅力ある空港づくりを進めます。
 第五の御要望項目でございます未来への投資としての教育環境の充実に対しましては、静岡式三十五人学級編制の下限撤廃を小学校六年生まで進めます。また多忙な教員にかわり事務作業等を行うスクールサポートスタッフを小中学校に配置し教員が児童生徒と向き合う時間を確保してまいります。
 第六の要望項目でございます次世代人材育成の推進に対しましては、高校生の海外インターンシップや海外留学の支援などを行い国内外で活躍できるグローバル人材の育成を図ります。またスポーツ王国しずおかの復活、国体八位以内を目指し競技用具の整備への助成など競技団体やアスリートへの支援を強化いたします。
 第七の重点要望項目の将来を見据えた行財政改革の推進に対しましては、新ビジョンを推進するための事業を積極的に予算化する一方、持続可能な財政運営を行うため事業のビルド・アンド・スクラップや選択と集中といった考えのもとで課題解決に直結する事業手法への転換や事業の減量、効率化など徹底した事業の見直しを行い財源の確保に努めたところでございます。
御要望いただきました七つの項目の趣旨を十分に踏まえまして、総力を挙げて新ビジョンを推進し静岡県を誰もが努力をすれば人生の夢を実現でき幸せを実感できる地域、ドリームズ カム トゥルー イン ジャパンの拠点とするために全力を尽くしてまいる所存であります。
 次に、人口減少・超高齢社会に適応するための次期総合計画についてのうち、県民とともにつくる県土利用に関する長期ビジョンについてであります。
 本格的な人口減少・超高齢社会を迎えております。そうした中、空き家や荒廃農地の増加など土地利用におけるさまざまな課題が顕在化してまいりました。このため長期的な視点に立って地域の望ましい将来ビジョンを描き、その上で県土利用の最適化を図っていくことが重要であります。
 県では昨年度、十年後を見据えた県土利用の将来像を示す第五次国土利用計画を策定いたしました。この計画では持続可能な社会づくりに向け、都市機能の中心部等への誘導によるコンパクトなまちづくりの推進と地域間のネットワークの充実等により自然と都市機能が調和した誰もが豊かさを実感できる都市圏を形成することとしております。その実現に向けてコンパクトシティーを目指す市町の立地適正化計画の策定を支援いたしますとともに、“ふじのくに”のフロンティアを拓く取り組みなどにより多様な個性を有する地域づくりや都市と農山漁村など各地域間の交流の促進に市町と連携して取り組んでいるところであります。
 もちろん、まちづくりの主体は住民に最も身近な基礎自治体であります。人口減少や超高齢化が進む大きな変革の時代にありましては、一方でより広域的かつ長期的な視点から将来を展望することも重要です。また具体的な土地利用の将来像を描くにはそこに暮らす住民の皆様が魅力あるライフスタイルの実現の場となる地域の将来の姿をみずからお考えになり、議論し、共通認識を形成していくことも不可欠です。
 県では、現在策定を進めております次期総合計画におきまして四つの地域区分に基づく地域の目指す姿を提示したところであります。今後はこれを踏まえつつ、県民の皆様や市町の職員がより身近な地域の具体的土地利用について十分に議論を深めることができるよう将来推計人口を初めとする各種データを御提供申し上げるとともに、複数の市町を単位とする勉強会を開催するなど地域の将来像に関する共通認識の醸成を図ってまいります。
 今後とも、将来の望ましい県土の利用のあり方について市町や県民の皆様と方向性を共有し、協働による課題解決に努めることによりまして人口減少・超高齢社会にあっても誰もが努力をすれば人生の夢がかない幸せを実感しながら暮らすことのできる、そのような富国有徳の美しい“ふじのくに”づくりに邁進してまいります。以上でございます。
○副議長(山田 誠君) 吉林副知事。
(副知事 吉林章仁君登壇)
○副知事(吉林章仁君) 人口減少・超高齢社会に適応するための次期総合計画についてのうち、総合的な子育て支援の推進についてお答えをいたします。
 県では、次期総合計画の主要な政策として子供が健やかに学び育つ社会の形成を掲げまして、多様な主体や地域間の連携を図り総合的に質の高い子育て支援を推進し地域の中で安心して子供を産み大切に育てることができる社会の実現を図ることとしております。そのため全ての子供が生まれ育った環境により将来が左右されることのないように、子供の貧困対策計画に基づき生活困窮世帯への総合的な支援を行い貧困の連鎖の防止に取り組んでおります。
 具体的には、教育現場へのスクールソーシャルワーカーの配置による安定した教育を受けるための支援や子供たちの合宿による生活習慣の改善指導や学習意欲の向上などを行い、将来における自立する力を育むこととしております。また対象となる世帯には相談支援員による自立に向けた支援プランの作成やひとり親世帯への資格取得支援などを行い就労による経済的な安定を促すなど、きめ細かな生活支援を行うことで子供が経済的に不安のない生活を送り健やかに成長できるように努めております。
 安心して出産し子育てができるための支援といたしましては、保育所等の受け入れ枠の拡大や保育士確保による待機児童の解消に加えまして、放課後児童クラブの充実などを行い就労のために保育サービスを必要とする全ての方が安心して働きながら子育てができる環境の整備に取り組んでまいります。また経済的負担を軽減するためのこども医療費助成の拡充や育児経験者による子育て家庭への声かけなど、住民に寄り添ったさまざまな支援を行いまして子育て家庭の負担感や孤立の解消を図り、次世代を担う子供たちが健やかに育ちますように地域全体で子育て家庭を応援することとしております。
 県といたしましては、二人から三人の子供を持ちたいという県民の皆様の希望がかなえられ全ての子供が地域の中で大切にされる社会づくりに向けまして、合計特殊出生率のみにとらわれない妊娠期から子育て期まで切れ目のない多種にわたる総合的な子育て支援を推進いたしまして、社会全体で「生んでよし 育ててよし」のふじのくにを実現してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 鈴木交通基盤部長。
(交通基盤部長 鈴木克英君登壇)
○交通基盤部長(鈴木克英君) 人口減少・超高齢社会に適応するための次期総合計画についてのうち、防災型土地利用規制による防災力向上についてお答えいたします。
 県では、津波災害に強い地域づくりを推進するため市町と連携して津波災害警戒区域等の指定に取り組んでおります。特に津波災害特別警戒区域は高齢者や障害者等が利用する施設を設置する場合に建物の中にいても津波を避けることができるよう床面の高さの確保や壁の構造強化を求めること等により安全性が高まる一方で、一定の建築物や開発行為に制限がかかることになりまちづくりと密接に関係することから各市町の意向を尊重して指定を進めることとしております。
 こうした中、伊豆市は津波災害リスクと共存する観光、環境、防災のバランスのとれたまちづくりを目指し区域指定を前向きに捉えて地域住民や観光関係者等と指定に係る議論を丁寧に進めてまいりました。そして先般伊豆市長が津波災害警戒区域及び津波災害特別警戒区域の同時指定を表明したところであり、県は現在指定のための法手続を進めているところであります。
 県では、この伊豆市の全国に先駆けた取り組みが津波防災地域づくりのモデルケースとなるよう引き続き啓発活動や推進計画づくりの支援に取り組むとともに、区域指定することによって地域の防災力がさらに向上するよう伊豆市津波防災地域づくり推進協議会などで出た意見をもとに国と連携し新たな支援制度を検討してまいります。
 また、沿岸二十一市町から成る津波防災地域づくり推進連絡会において伊豆市の取り組みから得られた経験やノウハウを共有し、県内の他の市町においても津波災害警戒区域等の指定により将来にわたって県民の皆様が安心・安全に暮らすことができる津波災害に強い地域づくりを推進してまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 山口健康福祉部長。
(健康福祉部長 山口重則君登壇)
○健康福祉部長(山口重則君) 人口減少・超高齢社会に適応するための次期総合計画についてのうち、超高齢社会適応策の推進についてお答えいたします。
 本県では、平成十九年四月に高齢化率二一・一%となり県民の約五人に一人以上が高齢者となる超高齢社会を迎えひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯が増加を続けております。超高齢社会では在宅での生活を継続するため日常的なさまざまな支援を必要とする高齢の方々がいつまでも健康でいられ、安心して暮らせる地域づくりが重要であります。
 県では、次期総合計画の中で安心医療の確保・充実と健康寿命の延伸と地域で支え合う長寿社会づくりを掲げ、在宅医療の提供体制の整備や健康づくり施策の充実を図るほか地域包括ケアシステムを推進するなど超高齢社会に適応した施策を推進することとしております。
安心医療の確保・充実と健康寿命の延伸につきましては、医療機能の分化と連携などを推進し地域において質の高い在宅医療の持続的な提供を可能とし高齢者が安心して暮らせるようにしてまいります。また生涯を通じた健康施策の推進のほか、本県の健康寿命を延伸させ平均寿命との差を縮めるため新たに社会健康医学の研究に取り組み、県民がいつまでも介護を必要としない健やかな暮らしができる社会づくりを進めることとしております。
 地域で支え合う長寿社会づくりにつきましては、医療・介護との連携による認知症に優しい地域づくりを進めるほか、必要な介護人材の確保や高齢者の生活支援の要望に対応できる担い手の養成などに努め高齢の方々が一人でも地域で安心して生活できる体制づくりを進めてまいります。
今後も、全ての県民が生まれ育った場所で生涯を通じて尊厳を持って健康で安心して暮らし続けることができるように県民総ぐるみの健康づくりを進めるとともに、医療、介護、生活支援サービスなどが一体的に提供される地域包括ケアシステムを推進することにより地域で支え合う長寿社会の実現に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 鈴木 智君。
(二十九番 鈴木 智君登壇)
○二十九番(鈴木 智君) 御答弁ありがとうございました。
 それでは、一点要請と二点について再質問したいと思います。
 まず要請でございますが、防災型土地利用規制についてでございます。
先ほども御紹介しましたが、伊豆市での今回のオレンジゾーン指定の取り組みはまさに画期的な全国最初の取り組みでございますので繰り返しになりますがぜひとも全面的に引き続き応援していただくとともに、先ほど部長のほうからもまちづくりとの関係がありましたが、この防災型土地利用規制オレンジゾーンに限らず先ほど申し上げました土地利用計画と連動してぜひとも他の分野についても進めていただきたいと思いますので、その取り組みをお願いしたいと思います。
 では再質問ですが、まず県土利用に関する長期ビジョンについてお伺いしたいと思います。
勉強会等々を通じて市町との課題の共有化等々に努めるという御答弁だったと思いますが、そこでぜひ御参考にしていただきたいのが、繰り返して申しわけないんですがポートランドについてでございます。ただ私が言っているだけではなかなかポートランドのすばらしさは伝わらないかと思いますので幾つか例を紹介したいと思います。
 例えばですね、和歌山県有田川町というところがございます。そちらは先ほど紹介したようなポートランドのまちづくりに注目しておりまして、実際にポートランド市から職員を招待して職員だけでなく住民等も対象にした講演会ですとかワークショップを開催をして自分たちのまちづくりに生かす取り組みを進めています。また私が今回ポートランドを紹介したのは昨年二回ポートランドに行く機会があったからでございますが、そのうちの一回、昨年八月に参加したものはポートランドの中心部にございますポートランド州立大学のパブリックサービス研究実践センターが主催のまちづくり人材育成プログラムという一週間ほどのコースでございます。このコースには実は愛知県東浦町の町長と職員、そして富士市や札幌市の職員の方々等も参加をしておりました。このプログラムはもともと二〇〇四年から二〇一六年までは東京財団と提携をして日本の地方公務員を対象に実施をされておりましたけれども、昨年からはポートランド州立大学単独での実施となったため私のような地方議員ですとか、あるいは民間の方の参加も可能となったわけでございます。このコースはことしの夏にも開催される予定でございますので、ぜひ勉強会を開く前に、あるいはその後でも結構でございますが県庁職員の方にも御参加していただきたいと思いますがその点いかがでございましょうか。
 あともう一点御提案申し上げたいのが、昨年の二月に私の提案を受けて次代を担う若者たちによる県民会議のメンバーが千葉大学の倉阪教授による未来シミュレーターを用いてのワークショップに参加されました。この未来シミュレーター、実は現在全国全ての基礎自治体についてもシミュレーションができるようになっております。県土利用に関する長期ビジョン、まだ策定するかはこれから検討だと思いますが、この未来シミュレーター大変に有効な手法かと思いますので改めて研究をしていただきたいと思いますが答弁を改めて求めたいと思います。
 次に、総合的な子育て支援の推進についてでございますが、出生率について特に言及がなかったものですから改めて伺いたいと思います。
 今回の次期総合計画案におきましては、二〇二〇年に出生率二・〇を達成するという目標を取り下げるというふうに理解しております。つまりはこれまでその目標を前提にしてきた県の将来人口推計も見直すということになろうかと思いますが、そこでぜひ参考にしていただきたいのが香川県三木町の取り組みでございます。実はこの取り組みについては先日、千葉県の我孫子市長や消費者庁長官も務めたことがある福嶋浩彦中央学院大学教授から伺いました。この福嶋先生は以前この静岡県の事業仕分けにも参加したことがある方でございますので、ぜひ知事と皆様方にも福嶋先生からお話を伺っていただきたいなと思うんですが、その先生が三木町の人口長期ビジョン策定にかかわったということでいろいろお話を伺ったんですが、この三木町、実は出生率は大変低いところでございます。一・三一。ただその背景としまして何があるかというと既婚率が非常に低いということでございます。あと人口流入はあるわけでございますが、実は他市町からの人口流入の中心が出産後の子育て世代ということで、ですからなかなか出生率が上がらないと。ですからその傾向はこれからも続くかなということで、この三木町の人口ビジョンにおきましては出生率を一・三一そのままに置いております。これはなかなか大胆な分析かなと思いますが、こういったところも含めてぜひ私は研究していただいてこれからの総合的な子育て支援推進に当たっていただきたいと思いますが、ぜひ出生率も踏まえたことにつきまして答弁をいただきたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 佐藤静岡県理事。
○静岡県理事(佐藤典生君) 県民とともにつくる県土利用に関する長期ビジョンについての再質問についてお答えいたします。
 まず一点目でございます。ポートランドにつきましては議員から今御紹介いただきました。我々もですね、ポートランドの先進的な取り組みについて現在情報収集を行っております。そういった中でメトロ行政府評議会会長デビッド・ブラグトン氏の講演内容等々についても入手をさせていただきまして日々勉強しているところでございます。今後とも議員から御提案がありました職員の派遣などを含めまして取り組みの詳細を調査研究し、参考としていきたいというふうに考えております。
 また、二点目の未来シミュレーターでございます。昨年、我々が若者県民会議の中でこちらの取り組みを進めておりました。我々としましても若者県民会議から非常にいい提案をいただいております。そのためのもととなりました未来シミュレーターについても我々として今後の検討の参考にしていきたいというふうに考えております。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 山口健康福祉部長。
○健康福祉部長(山口重則君) 合計特殊出生率を踏まえた子育て支援についてお答えいたします。
これまで、総合計画におきまして合計特殊出生率二というものを掲げておりましたが、これは県民の二人から三人の子供を持ちたいと、そういう希望に応えられる社会をあらわしたものでございます。私たち静岡県といたしましては子供が産み育てられる環境というものはどのようなものかというものを十分分析した上、子供が産み育てやすい環境をしっかりと捉えましてそれに伴う総合的な支援策、そういうものを展開いたしまして合計特殊出生率も十分上げていきまして、県民が望んでおります二人から三人の子供を持ちたいと、そういったような環境を整備してまいりたいと考えております。以上です。
○副議長(山田 誠君) 鈴木 智君。
(二十九番 鈴木 智君登壇)
○二十九番(鈴木 智君) では、次の質問に移りたいと思います。
 まず、公文書管理・保存の強化について伺います。
 以前にも指摘しましたように、本県における公文書管理の取り組みは先進地である神奈川県、鳥取県、熊本県、福岡県と比べかなりおくれています。
 例えば、公文書管理法や先進県の条例は行政の説明責任を果たすために国民、県民共有の知的財産として公文書を作成しなければならないと公文書作成を義務化しています。一方本県の文書管理規則では、公文書作成は事務及び事業の適正な処理のために作成するものとするという弱い義務であるなど不十分な規定となっています。
 そこで、先進県のように公文書作成を完全義務化しその保存期間を原則一年以上とすること、公文書の破棄においてはその記録の作成とともに第三者によるチェックを義務づけること、特に鳥取県の歴史公文書等保存条例が定めているように平時はもとより非常時における公文書管理について市町との連携を強化すること等を規定した公文書管理条例を早急に制定すべきです。
 熊本県は、平成二十三年三月に公文書管理条例を制定しましたが、その起点となったのが公文書の適正な管理は民主主義の基本であるという蒲島郁夫知事の政治姿勢でした。そして蒲島知事の意向を受けて設置された行政文書等管理のあり方検討委員会は提言書の中で、公文書の適正な管理という県政上の重要な課題の解決に向けた施政方針を明確化する必要があること、県民の共有財産である公文書の管理にかかわる規程は行政と県民との間の法的な約束事であることの二点を条例を制定すべき理由に挙げ早期制定を目指すよう提言いたしました。
 静岡県においても、県民には効力が及ばない文書管理規程で済ませるのではなく同様の理由から条例制定を目指すべきです。また同じく以前にも指摘しましたように、浸水のおそれがある安倍川隣接地域に建つ田町文庫は公文書を長期間保存するための施設としては明らかに不適当です。県立中央図書館整備の検討に関する有識者会議でも公文書館機能を求める意見が出ており、恒久的に公文書を保存するのに適した公文書館整備の検討も早急に始めるべきです。
 管理体制が充実している米国の国立公文書館本館正面に立つ彫像には、過去の遺産は将来の実りをもたらす種子であるという言葉が刻まれているそうです。県の歴史的事実の記録でもある公文書の適切な管理は将来世代に対する私たち現役世代の責任であるはずです。
 そこで、田町文庫の是非を含め今後の公文書管理・保存の強化に対する県の所見を伺います。
 次に、情報公開の強化についてのうち、知事部局における取り組みの推進について伺います。
情報公開に消極的な状況がいまだ散見されます。例えば総合計画審議会等の審議会情報は県のトップページからは容易にたどりつけず、一般の検索サイトどころか県ホームページのサイト内検索でも探し出すことができません。こうした状況では県民が次期総合計画案について知ることは難しく、ゆえに前述のように県民から意見がほとんど出されない結果になったと言わざるを得ません。県はこうした受動的、消極的な姿勢を改めより能動的、積極的な県民本位の情報公開を進めるべきです。
 参考になるのがソウル市の取り組みです。ソウル市の担当者によれば、二〇一一年十一月にソウル市長に就任した朴元淳氏は情報の受動的公開から能動的公開というパラダイムシフト的な改革を進めました。課長クラス以上の決裁文書、政策形成過程の研究資料、会議情報も含め公開可能な全ての行政情報を公開請求を待たずに開示するようにしたのです。現在公開されている情報件数は一千万件以上の決裁文書を含む一千三百万件以上にもなります。このように徹底した情報公開を可能にしたのは市職員の意識改革です。文書作成者である職員中心の考えから情報の利用者である市民本位の公開へと変化いたしました。また情報公開の効率化、迅速化と関係職員による恣意的な判断の余地の最小化のため、新たに作成された文書が個人情報等のマスキングを経て翌日には自動的に公開されるシステムが構築されています。
県においても、現在のような受動的な情報公開だけでなく必要な行政情報を県民が迅速かつ容易に取得できるよう情報公開請求を待つことなく能動的に提供する仕組みづくりを進めるべきと考えますが、今後の情報公開のあり方に対する県の所見を伺います。
 次に、警察本部における取り組みの推進について伺います。
昨年四月、朝日新聞の情報公開請求で平成二十八年の一年間に警察官、職員の不祥事を理由に県警が出した懲戒や訓戒、注意の処分が計三十四件あったことが明らかになりました。そのうちの五件は重い懲戒処分ですが報道発表されていたのは二件だけでした。残り二十九件の内訳は懲戒に至らない訓戒処分が十四件、注意処分が十五件でしたが処分理由を示した訓戒処分書や注意処分書については写しは保存していないとして公開されませんでした。
 知事部局や教育委員会では懲戒処分は全て公表が原則ですが、県警は平成十六年四月に警察庁が示した懲戒処分の発表の指針に基づき私的な行為にかかわる懲戒処分で公表が求められているのは停職以上の処分だとして、セクハラ等の事案だったにもかかわらず三件の懲戒処分は公表していませんでした。前述の警察庁の指針は国民の信頼確保のため発表が適当であると認められる懲戒処分についても公表すべきとしています。県警は運営指針として県民の期待と信頼に応える警察を目指すことを掲げていますが、その実現のためには情報公開を積極的、能動的に行い県民に対する説明責任を果たすことが不可欠ではないでしょうか。
 そこで、警察官、職員による不祥事については知事部局と同じ基準で情報公開請求を待つことなく能動的に公表することや埼玉県警や北海道警のように訓戒処分書や注意処分書の写しを保存し情報公開できるようにすること等の取り組みを進めるべきと考えますが、警察本部における今後の情報公開のあり方に対する所見を伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 伊藤経営管理部長。
○経営管理部長(伊藤篤志君) 公文書の管理・保存の強化についてお答えいたします。
本県では、公文書管理に関する規則を制定して公文書の作成や保存の取り扱いを定めるとともに、保存ルールを徹底するための職員研修や各所属への調査指導を定期的に行うことで公文書管理の適正な実施を図っております。
 こうした中、昨年十二月内閣府は行政文書の管理に関するガイドラインを改正し、省庁における意思決定過程等を正確に検証できるようにすることを目的として公文書の保存期間を原則一年以上といたしました。また例外的に一年未満とすることができる文書については、管理者が恣意的な取り扱いを行わないようその範囲を類型化したところであります。そのほか議員が御指摘になったような幾つかの課題もございます。
 こうしたことを踏まえまして、本県におきましても公文書管理に関する諸規程を点検、見直しを行い規則を改正し同様の規程を設けるなど速やかに対応を図ってまいります。御提案のありました公文書の管理に関する条例の制定につきましては今後の課題として検討してまいります。
また、田町文庫につきましては平成二十八年五月国土交通省から観測史上最大の降雨の一・五倍の雨量で立地地区の浸水が想定されることが公表されました。当面文書の配置を見直して書棚の最下段の利用を控えるなど少しでも浸水被害を軽減する対策を講ずるとともに、公文書全体の保存のあり方を中長期的な課題として検討を進めてまいります。県の施策の意思決定や事業実施等の記録である公文書は、県民の共有の財産でありますことから、引き続き適正な管理と適切な保存に努めてまいります。
 次に、情報公開の強化についてのうち、知事部局における取り組みの推進についてであります。
 現在策定中の次期総合計画では、現場に立脚した施策の構築、推進のため積極的に行政情報を開示、提供し県政への関心と信頼性の向上を図ることを目標としています。
本県では、これまでも公文書開示制度を適正に運用するとともに、審議会等の会議録などの政策形成過程や職員出張旅費を初めとした執行の透明性が求められる情報などについて開示請求を待つことなく積極的に提供するなど施策の推進に努めてきたところであります。しかしながら議員御指摘のとおり、現在の取り組みや対応には情報の利用者である県民の皆様からの視点に欠け不十分な点がございました。
 今後は、御紹介のありましたソウル市の取り組みも参考にしながら戦略的な情報発信を図るため、データ公開を前提とした情報システムの開発、改修などにより公共データの自由な利活用を促進するとともに、県民目線による能動的な情報公開に対する職員の意識改革を進めてまいります。
 また、ホームページ上で公表している情報に容易にアクセスできないという問題につきましては情報公開関係のページへのリンクを県ホームページのトップページに設け速やかに改善を図ってまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 筋警察本部長。
○警察本部長(筋 伊知朗君) 情報公開の強化についてのうち、警察本部における取り組みの推進についてお答えします。
 県警察における、いわゆる非違事案についての職員に対する措置といたしましては、地方公務員法上の懲戒処分のほか任命権者または指揮監督権を有する上級の職員が職員の以後の職務履行の改善向上を図るために行う訓戒、注意といった監督上の措置があります。
 懲戒処分の公表につきましては、人事院の基準を踏まえて警察庁が策定した懲戒処分の発表の指針を参考に懲戒処分の公表を判断しているところであります。同指針では原則として職務執行上の行為及びこれに関連する行為に係る懲戒処分、私的な行為に係る懲戒処分のうち停職以上の処分は全て公表することとしているほか、これに該当しない懲戒処分であっても行為の態様、行為の公務内外に及ぼす影響、職員の職責等を勘案し国民の信頼を確保するため発表することが適当であると認められる懲戒処分についても公表することとしているものであります。
 他方で、これらに該当する懲戒処分であっても被害者その他関係者のプライバシーその他の権利利益を保護するためやむを得ない場合は発表を行わないこととされております。
 一方、懲戒処分以外の訓戒や注意といった監督上の措置につきましては懲戒処分に至らない行為に対する措置であり職員や関係者のプライバシーの保護等を勘案すると原則として公表することは適当でないと考えておりますが、県民の信頼を確保するため発表することが適当であると認められるときは公表しているところであります。
 次に、訓戒処分書や注意処分書の写しの保存についてでありますが、他県警察のことはコメントすべき立場にありませんがこれらの文書がなくても他の書面により措置内容等の把握が可能であることから、これらの写しを保存していないところであります。
 県警察といたしましては、今後とも懲戒処分等を適切に公表し警察に対する県民の信頼確保に努めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 鈴木 智君。
(二十九番 鈴木 智君登壇)
○二十九番(鈴木 智君) 御答弁ありがとうございました。
 一件要請と、二件再質問させていただきたいと思います。
 まず、情報公開の強化につきまして特にその知事部局における取り組みにつきましてはソウル市の取り組みを参考にしていただけるということでございました。幸い静岡県の場合にはソウル市に県事務所があるわけでございますので、ぜひ県事務所の方、直接その担当者にコンタクトをとっていただいてまずは勉強していただいて、そしてできるところから積極的に始めていただきたいと思います。
 次に再質問でございますが、まず公文書管理・保存の強化についてでございます。
 昨年も、一昨年ですか同様の質問をしました。そのときに比べれば若干前向きな答弁だったように思いますが、ただ基本的には規則の改定だけとは言っていませんでしたけれども、それで何か済ませるような印象がございます。ただ御案内のとおり、公文書というのは一度なくなってしまいますと取り戻すことはできませんので早急にぜひ積極的な取り組みを進めていただきたいと思います。
 ただ、公文書管理、なかなか取り組めないというのもわからんでもないんですね。というのは公文書管理にお金をかけたとしても税収がすぐにふえるわけでもありません。あるいは人口減少がとまるわけでもありませんけれども、改めて先ほども紹介しましたが蒲島知事がおっしゃっているとおり公文書の適正な管理は民主主義の根幹でございますし、言うまでもなく民主主義というものは手間や暇、お金がかかるものでございます。
 そして先進県としましては、例えば鳥取県、人口六十万人にも満たない県でございます。また先ほど御紹介した熊本県も人口が半分でございます。そうした静岡県よりも小さな県がこれだけのことをやっているわけですから静岡県でできないはずがありませんので、ぜひもう一歩踏み込んだ取り組みについて御答弁いただきたいと思います。
 それから、警察本部における取り組みの推進についてでございます。
 御丁寧に御説明いただきましたが結局私、文教警察委員会でもこの議論をさせていただきましたが基本的に変わっていないように思いますので、改めて私の質問の趣旨を紹介したいと思います。
 私の思いとしましては、正義感や使命感を持って警察官になられたはずの方々が一部ではありながらしばらくすると不祥事を起こしてしまうということが毎年繰り返される背景には、不祥事を起こした個人の問題では片づけられない組織的なゆがみや問題があり、私はそれを一言で言えば警察における多忙化かなと考えておりますが、その解決にはまず積極的に情報公開をして県民に実態を明らかにすることが必要だと思っています。まずその点を御理解いただきたいと思います。
 また、私ごとで恐縮ですが一つエピソードを紹介したいと思います。それこそ天野進吾先輩が静岡市長時代に始めた大道芸ワールドカップ、私も大変すばらしいイベントと思っていまして、そこで一度内側から見てみようと昨年十一月ボランティアスタッフとして三日半大道芸の運営に携わりました。それこそ駿府城公園ですとか青葉公園の会場にずっといました。その間数多くの県職員の皆さんをお見かけしましたが、その中で唯一声をかけてくださったのが筋本部長でございました。私はスーツ姿ではなく青いスタッフジャンパーを着ていましたので、他の県職員の方は私から声をかけるまで気づかなかったと思います。ただ筋本部長だけは違いました。本部長は御夫婦で大道芸を見に来たとおっしゃっておりましたが、非番にもかかわらずそこはやはり警察本部長ですから大規模なイベントである大道芸の警備体制等に問題がないか事細かにスタッフの動き等をチェックしていたからこそ多分私の動きもチェックされていたのかなと思うのですが、私に気づいたのだと思います。
 このようにですね、県警の皆さんが日々頑張っておられることを私は重々承知しておるからこそ、不祥事に関して情報公開が消極的なのは大変残念に思っていることから繰り返し質問をしているわけでございます。警察本部の方にしてみれば警察庁の指示に忠実に従っているだけということなんだろうと思いますが、先ほど申し上げました知事部局や教育委員会との対応の違いを見ればですね、県警は不祥事を隠していると思われてもやむを得ないと思います。私も実際支援者の方に聞きましたがそういう感覚でございました。それがやはり私は一般の県民感覚だろうと思いますので、つまりは県警の対応、残念ながら一般県民の感覚とずれているところがあるかと思います。そのずれの解消にも積極的な情報公開を進めるべきと考えますが、改めて本部長の答弁を求めます。以上について答弁をお願いします。
○副議長(山田 誠君) 伊藤経営管理部長。
○経営管理部長(伊藤篤志君) 公文書管理・保存の強化についての再質問にお答えいたします。
 議員から御紹介がありました鳥取県、それから熊本県等の取り組みはいずれも平成二十三年に条例が制定されたものと存じています。これはさかのぼるところその二年前に、国におきまして平成二十一年に国の公文書等の管理に関する法律というものができましてこれに倣った形でできたものと存じております。国におきましては、当時消えた年金問題等によりまして国民が支払った年金等の記録がなかったことによりましてきちっと年金の資格を証明できないという問題がございまして、しっかりと公文書を保存することが国民に対する義務である、そういった動きを反映してできた法律だと思っております。鳥取であるとか熊本県のそうした考え方を見習う中で県と住民との間の約束事という形で条例をつくったものと存じております。
 本県の場合はもう少しさかのぼること平成十二年でございますが、情報公開条例を受けた公文書の開示という形で規則をつくっておりまして、したがいましてできた生い立ちが違った結果として現在の規則の中ではですね、例えばその対象としている公文書が現用公文書、いわゆる組織として使っているものしか扱っていない、結果としては議員から御質問がございました例えば歴史的公文書等の管理に関しては規則に載っていないというような大きな課題があると思っています。そうした課題等にしっかりと向き合いまして、全体を点検し直しまして必要な規則の改正を早急に行ってまいりたいと考えております。
それから、公文書の保存に関しまして特に歴史的公文書に関しましては先ほど保存規程がしっかりと規範である規則なり条例でないということが大きな欠点でございますので、これらもしっかりと規則等でうたうことによりましてしっかりとした保存を県民に対する約束事として表明できるような形で対応してまいりたいと思います。以上でございます。
○副議長(山田 誠君) 筋警察本部長。
○警察本部長(筋 伊知朗君) 情報公開の強化についてのうち、警察本部における取り組みの推進についての再質問にお答えいたします。
 懲戒処分の公表につきましては、人事院の基準を踏まえて警察庁が策定した懲戒処分の発表の指針を参考に懲戒処分の公表を判断しております。また監督上の措置につきましてはこれは懲戒処分に至らない行為に対する措置であり、職員や関係者のプライバシーの保護等を勘案すると原則として公表することは適当でないと考えておりますが、県民の信頼を確保するため発表することが適当であると認められるときは公表しているところであります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 鈴木 智君。
(二十九番 鈴木 智君登壇)
○二十九番(鈴木 智君) では、二点意見を申し上げたいと思います。
 公文書管理・保存の強化についてはあともう一歩かなと思いますので、ぜひさらなる取り組みを進めていただきたいことだけお願いをしたいと思います。
 あと、筋本部長から再び御答弁いただきましたが結果的には同じ答弁だったと思います。これ以上質問しても堂々めぐりになるかと思いますので、このたびの筋本部長の答弁の是非については今回の私の質疑の様子を見てくださっている県民の皆さん、そしてマスコミの皆さんの判断に委ねたいと思います。
 次の質問に移ります。
 まず、持続可能な水産業の振興について伺います。
 静岡県の貴重な水産ブランドが危機に瀕しています。例えば田子の浦シラスは昨年六月に農林水産省の地理的表示――GI保護制度に登録されたものの昨年は記録的な不漁となりました。また駿河湾産サクラエビの漁獲量も減少傾向にあり、供給が安定し価格が安い台湾産に市場を奪われつつあります。
一方、世界の魚需要は人口増加や生活水準の向上により急増しています。しかし一九八〇年代後半以降漁船漁業の生産量は既に頭打ちであり、最近ではクロマグロやニホンウナギ等の資源不足が深刻化しています。そのため積極的な資源管理が不可欠となっています。
 こうした漁船漁業に対し世界的な需要拡大を賄ってきたのは養殖業であり、世界生産量は既に漁船漁業を上回っています。しかし養殖に適した水域は限られており、養殖生産量の拡大にも限界があります。
そこで陸上養殖が注目されています。県内でも浜松のアワビやフグ、三保のカワハギ等の小規模な事例があります。水の入れかえを不要にするろ過設備による低コスト化、季節、天候や病原菌の蔓延等に左右されない安定供給、空き地の活用など陸上養殖の利点や可能性は非常に大きいものがあります。実際総合商社の三井物産は完全閉鎖循環式の陸上養殖技術を開発したベンチャー企業と連携し、専ら外国産であるサーモンを国内で陸上養殖し数年以内に市場流通させることを目指しています。こうした新しい水産業に関する技術開発、調査研究や財政支援等に県は積極的に取り組むべきです。
 そこで、以上のような適切な資源管理や陸上養殖などの新産業への支援等、今後の持続可能な水産業の振興のために県はどのように取り組んでいくのか伺います。
 次に、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック文化プログラムの推進について伺います。
オリンピック・パラリンピックはスポーツの祭典であると同時に文化の祭典でもあります。開催が間近に迫る中、文化プログラムについてもその意義等を県民に広く周知し盛り上げていくことが必要です。本県ならではの文化プログラムの推進には大きなイベントの実施だけでなく各地のさまざまな文化資源の活用や企業、地域住民など幅広い方々の参加等が不可欠です。
 加えて、先日知事からSPACの宮城聰総監督を総合プロデューサーとすることなどが発表されましたが、宮城監督個人の力に頼るだけでなく文化プログラム推進のための人的そして財政的に強力な体制づくりも必要です。
 そこで、県は二〇二〇年に向け文化プログラムを今後どのように県民に周知し展開していくのか伺います。
 次に、自転車活用推進法への対応について伺います。
 昨年五月の自転車活用推進法施行に伴い、国は現在自転車活用推進計画の策定を進めています。同様の計画策定は地方自治体には努力義務ですが県は策定する方針です。前述のように、いまだに郊外の開発は進み中心部のにぎわいの衰退を加速させています。その背景には自動車中心のまちづくりが進んだ結果日本は自動車に過度に依存した社会となっていることがあると考えます。そのため自動車に過度に依存しなくて済む、歩行者や自転車に優しいまちづくりの推進が不可欠です。
 さきに紹介したポートランドは自転車にも優しいまちです。市内には約五百キロメートルもの自転車専用道や専用レーンがあり、市内を走るLRTやバスでは利用者は自転車を折り畳まずに簡単に乗せることができます。そのためポートランドでの自転車通勤率は約七%にもなっています。そしてポートランドを含む欧米の自転車にも優しいまちで大きな役割を担っているのがシェア自転車です。県は伊豆半島南部でシェア自転車の社会実験を現在実施中です。
 また、ソフトバンクが全国に広がる携帯電話ネットワークを活用しコンビニストアと提携してシェア自転車事業を進めるなど民間の動きが本格化しています。駅前等に駐輪場や庁舎等を有する自治体がそうした民間事業と連携すれば低コストかつ短期間でのシェア自転車の普及が可能です。昨年七月に自転車を活用したまちづくり条例を施行した千葉市が現在進めている実証実験はその一例です。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの自転車競技会場として、伊豆べロドロームに加え先日富士スピードウエイが正式決定するなど自転車利用促進に絶好の機会が到来しています。
 そこで、自転車活用推進計画策定に当たり国内外の先進事例を参考にしながら人口減少社会を見据えた自転車活用型の社会形成に向けソフト・ハードの両面から計画的な整備を進めていくための指針となるような計画とすべきと考えますが、県の所見を伺います。
 次に、公契約条例の早期制定について伺います。
 私たちの会派では、平成二十六年九月議会で林議員が、昨年の六月議会で小長井議員が同じ趣旨で質問しています。また連合静岡も毎年県に要請しており、私も出席した今年度の協議では事務レベルから県庁全体への検討会設置に進む方針が示されましたが、その後の進展が見えないことから改めて伺います。
全国では、既に奈良県、岩手県、長野県、岐阜県、愛知県を含む三十以上の自治体で公契約条例が制定されています。そして早期に条例を制定した市では賃金等の労働条件の改善や公共サービスの質の向上、地域経済の活性化等の効果が出ていると聞いています。さらに公契約条例は土木や建設業での人材不足解消に向けて県が進める静岡どぼくらぶや建設産業担い手確保・生産性向上支援事業費等の取り組みの強力な後押しにもなるはずです。
 そこで、他の自治体の公契約条例に関する調査状況や条例制定に当たっての課題、県の条例制定に関する考え方や検討状況、そして今後の取り組み方針について伺います。
 次に、ICT教育の推進について伺います。
 平成二十八年十二月、国の中央教育審議会は二〇二〇年改訂の学習指導要領に関する答申を出しました。答申は「予測困難な時代に、一人一人が未来の創り手となる」と述べながら変化の激しい社会を生きるために必要な力である生きる力の育成の重要性を強調しています。
 そこで答申では、生きる力の育成のために主体的・対話的で深い学び、いわゆるアクティブラーニングの視点に立った学習課程の改善が必要であり、その方法としてICTを効果的に活用した学習活動が行われるよう必要な環境整備と授業の充実等に努めることを打ち出しています。
 また答申では、予測困難な時代の背景として第四次産業革命の進行を挙げ、今後十年から二十年程度で半数近くの仕事が自動化される可能性がある、二〇四五年には人工知能の能力が人類を超えるシンギュラリティー――技術的特異点に到達する等の諸説を紹介しています。人工知能等のコンピューターとの関係や仕事のあり方自体が大きく変わり得る近未来の中心を担う子供たちに自身の人生に影響する問題として今から認識してもらう意味からもICT教育の推進は重要なはずです。
 先月、文教警察委員会で視察した佐賀県ではICT教育推進のために既に数十億円を投じています。また国の調査によれば授業中にICTを活用して指導できる教員の割合は佐賀県が全国一位の九二・四%であり、六九・五%である本県とは整備規模だけでなく活用能力でも大きな開きがあります。
 そこで、今後のICT教育の推進に向けその環境整備や授業改善等にどのように取り組んでいくのか教育長に伺います。
 最後に、新県立中央図書館整備のあり方について伺います。
 新県立中央図書館の基本構想は来月中に完成の予定ですが、県民を巻き込んでの議論がいまだ不十分です。例えば東部や西部の県民が利用したくなる県立図書館とは何か、県立図書館と市町立図書館の役割の違いは何かという論点についてです。
 現在の利用者の多くは静岡市民であり、中央図書館の場所や存在すら知らない県民は決して少なくありません。東静岡駅南口に新設されれば、その至便さから近隣住民を中心に新たな利用者の急増が予想されます。一方そうした利用者が望む機能や蔵書の追求により市立図書館との違いが不明確になり、東部や西部の県民の方がわざわざ利用したくなる県立図書館ではなくなるおそれがあります。
 本年七月に開館予定のオーテピア高知図書館は、県立図書館と市立図書館本館を合築した全国初の図書館です。その基本構想では歴史的価値のある図書、専門的な図書がそろい調べ事に集中できる静かな図書館として存在感を発揮してきた県立図書館と市民の図書館として気軽に利用でき相談しやすい図書館として親しまれ頼りにされてきた市民図書館の合築により役割分担の明確化と共通業務の一体化を目指すとしています。二重行政を避け効率化を図る姿勢は静岡県も手本にすべきです。
 また、人口減少時代における財政的にも持続可能な図書館とは何か、葵文庫のような保管に特化した機能を引き続き設置すべきかという論点についてです。
 年に二万冊余りの蔵書が増加した場合、三十五年ほどで現在の倍の保管場所が必要になる一方、人口は大幅に減少します。そうした中長期の将来を見据えてどれほどの書庫を駅前の一等地に確保すべきかは大きな課題です。
 川勝知事は、先月五日の朝日新聞の記事の中で現図書館のある駿河区谷田地区に研究図書館機能を設置する可能性に触れています。また午前中の答弁でも文教関連施設の設置の可能性について述べられたと思いますが、そうした施設に例えば葵文庫や利用がほとんどない古い書籍等の保管機能、そしてさきに質問した公文書館機能等を導入することも大いに検討すべきと考えます。
 こうした課題についての議論を中央図書館の認知度向上のためにも県民を巻き込んでさらに深めるべきと考えますが、新県立中央図書館整備のあり方についての教育委員会の所見を伺います。以上について答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 川勝知事。
○知事(川勝平太君) 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック文化プログラムの推進についてお答えいたします。
 本県では、オリンピック・パラリンピックに向け文化プログラムを推進することにしております。他県に先駆けて平成二十八年五月、市町や文化団体を初め観光、産業、教育、福祉などオール静岡の体制による推進委員会を立ち上げました。そして「地域とアートが共鳴する」をテーマに文化プログラムを実施してまいりました。本年度は地域における文化活動の発掘や担い手の育成を目的に住民参加による現代アートプロジェクト、あるいは障害のある方々が参加するアートイベントなど県内の団体からの御提案に基づくプログラム、すなわち提案プログラムの展開を進めてまいりました。昨年十月には提案プログラムの一つとして実施されたのがかけがわ茶エンナーレでございます。これは成功裏に終わりました。またオリンピック・パラリンピック一千日前フォーラムも開催いたしました。こうしたことを通じまして、文化プログラムの意義等の周知と県民の皆様の関心を高めてまいったところであります。
 このように、これまでは提案プログラムを中心に展開してまいりましたが、来年度からは提案プログラムに加え、お祭りなど既に地域に根差して長年続いている文化活動の活用による地域密着型のプログラムから県内全域の伝統芸能を紹介するイベント、SPACの舞台芸術活動や県立美術館の企画展示など県域レベルのプログラムまでを本県の文化プログラムのメニューとして多彩な事業を重層的に展開していくこととしております。
 このような多彩かつ重層的な本県の文化プログラムを統一的かつ効果的に推進するため、この道のプロであるSPACの宮城聰芸術総監督に総合プロデューサーとして御就任いただきました。しかしそれとともに推進委員会の執行体制や多様な人々との協働体制を強化し、多くの方々が文化プログラムに参加していただけるように取り組んでまいります。
 また、市町との連携を強化しオリンピック・パラリンピックに向け県内各地域で取り組まれる文化活動を静岡県文化プログラムとして認証いたしますとともに、認証したプログラムを推進委員会のウエブサイト等に掲載するなどいたしまして国内外に対し積極的に情報を提供してまいります。
今後も引き続き、観光や産業など他分野の協力も得ながら地域のさまざまな文化資源を活用し県内津々浦々で文化プログラムが展開されることで県の文化的魅力を高め、それを体験、体感するために国内外から多くの方々に本県を訪れていただけるように努めてまいります。
 次に、自転車活用推進法への対応についてであります。
 県では、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックの自転車競技開催を契機に国内外から多くのサイクリストが訪れ交流する地域を実現するとともに、安全・快適な環境の中で県民みずからが自転車利用の増進を図ることができるよう来年度自転車活用推進法に基づく自転車活用推進計画の策定を予定しております。計画の策定に当たりましてはサイクルツーリズムや日常生活の中での自転車利用の推進、交通安全にかかわるルールやマナーの浸透、走行環境の改善や自転車と公共交通機関との連携など自転車活用型の社会形成の施策を初め自転車競技の振興施策も加えた本県にふさわしい総合的なものにすることを想定しています。
 現在県では、自転車活用型の社会形成のため自転車の走行位置を示し自動車のドライバーに自転車走行に注意を促す矢羽根型路面表示の設置を進めているところです。また地域の新たな移動手段としてのシェアサイクルの実証実験、またサイクルトレインなどの自転車と公共交通機関との連携の取り組みを推進しておりまして、県内各地でさまざまな主体による取り組みも開始されているところであります。
国におきましても、市町が策定する自転車ネットワーク計画に位置づけられた事故の多い自転車通学経路における自転車通行空間の整備等について重点的に支援していく方針を示されております。
県としましては、こうした動きや議員御紹介のポートランドのほか国内外の先進事例を踏まえまして地域の特性を生かした本県にふさわしい自転車活用推進計画を策定してまいります。そして県民の皆様の御理解と協力を得まして自転車を活用した国内外との交流と県民の自転車利用の拡大の双方を実現するサイクルスポーツの聖地ふじのくにの創造に向け官民一体の取り組みを積極的に推進してまいる所存であります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 吉田農林水産戦略監。
○農林水産戦略監(吉田 茂君) 持続可能な水産業の振興についてお答えいたします。
 本県水産業については、サクラエビやキンメダイ、シラスウナギ等の生産量が長期減少傾向にあるなど天然資源の厳しい状況が続いていることから、漁獲期間の制限を設けるなどの資源管理を適切に行うとともに、あわせて資源の増殖に向けた人工的な取り組みの推進や養殖業の振興が重要であると認識しております。
 このため県では、資源の増殖に向け県温水利用研究センターで生産、育成した種苗を放流するほか県内各地で行われているウナギやニジマス等の流水式の陸上養殖、マアジ等の海面養殖などつくり育てる漁業を推進しているところであります。特に陸上養殖では、成長が早く低コストで生産が期待できる大型ニジマスの新品種開発や天然種苗に依存しないウナギの完全養殖を可能とするシラスウナギの人工生産技術開発など新たな技術開発に取り組んでおります。
 一方、議員御指摘の海水を利用した陸上養殖につきましては、近年民間において飼育水の交換をほとんど行わない閉鎖循環式によるサーモンの陸上養殖が普及し始めるなど新たな取り組みも出てきているところであります。
 県といたしましては、今後マリンバイオテクノロジーなどを活用した先端的な研究開発の可能性を検討していくこととしており、このような海水を利用した陸上養殖も含め新たな技術の開発や導入などにより持続可能な水産業の振興に努めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 杉山出納局長。
○出納局長(杉山行由君) 公契約条例の早期制定についてお答えいたします。
県では、去る六月県議会で御質問をいただいた以降条例を制定した奈良県ほか四県を訪問し施行状況等を調査してまいりました。
 各県の条例の特徴は、契約従事者への最低賃金以上の支払いや社会保険の加入などの義務の遵守を受注者に求め労働環境の整備を図ること、もう一つは受注者選定に当たり仕事と家庭の両立支援や障害者雇用など事業者の社会的な価値の向上に資する取り組みを積極的に評価することであります。
各県に伺った課題としては、条例制定に際し事業者や関係団体との調整を丁寧に行う必要があること、また事業者の事務負担軽減のため賃金の支払状況等の確認は一定の金額以上の契約に絞るなど事業者のコストと労働環境の整備を目指す条例の効果とのバランスをいかに図るかについて今後十分な検証が必要であると聞いております。
 本県でも、労働力人口の減少が見込まれる中本県産業を担う人材を確保するため働く人々が活躍しやすい環境を整備することが求められております。国におきましても長時間労働の是正を初めとする働き方改革を進めておりますことから、本県の公契約に従事する方々の労働環境についても積極的に改善する必要があり、これらを通じて公共サービスの質の向上が図られるものと考えております。
こうした認識のもと、庁内の関係課長で構成する検討会において本県の契約制度と条例制定県の制度を比較しながら課題や今後取り組むべき点の整理を進めております。その上で県議会を初め事業者や関係団体の皆様から意見を丁寧に伺いながら事業者、労働者双方にとってよりよい公契約となるようそのあり方や条例も含めた実現手段について鋭意検討を進めてまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) ICT教育の推進についてお答えいたします。
 AIなど情報化技術が急速に進歩し予測が困難と言われている時代にあっても、子供たちに生き抜く力を身につけさせることは教育の使命と考えております。新学習指導要領でうたわれている主体的・対話的で深い学びはまさにその力を養うために必要であり、この学びの実現にはICT教育の実践は不可欠であります。
 県教育委員会では、平成二十八年度から一部のモデル校にタブレット端末等のICT機器を導入し授業改善や効果を検証してきており、導入前と比べて児童生徒の理解度が向上し授業に活用できた教員からは必須のものであるとの意見が出ております。
 しかしながら、ICT教育を実施する環境や教員の活用指導力はまだ十分とは言えず、機器の整備をさらに進めるとともにモデル校での授業改善の取り組みや総合教育センターでの研究成果を県立学校全体に展開していく必要があると考えております。
 このため、来年度全ての県立学校に無線LAN環境を整備するとともに今後四年以内にタブレット端末等のICT機器を計画的に導入してまいります。また総合教育センターにおいてICTの活用事例や教材などをデータベース化し多くの教員が共有し活用できる環境を整備するとともに、ICT研修を受講した教員が各学校で他の教員に研修を行い県全体のICT活用指導力の向上を図ってまいります。
県教育委員会といたしましては、これからの時代に求められる資質、能力を兼ね備えた人材を育成するため新学習指導要領の主体的・対話的で深い学びの実現に向けICT環境のハードとソフトの両面の充実を図ってまいります。
 次に、新県立中央図書館整備のあり方についてであります。
県立中央図書館につきましては、昨年六月に現施設にひび割れが確認され継続使用に大きな課題があることが判明しましたことから、東静岡文化力の拠点に全館移転の方針としたところであります。
この方針を踏まえまして、県教育委員会では新県立中央図書館の基本構想の策定に取り組んでおり、策定に当たりましては図書館学の専門家や市立図書館の館長などで構成する有識者会議の御意見を伺っております。また公募した県民の皆様とワークショップ形式での意見交換会を県内三カ所で行ったほか、市町立図書館の職員の方々からの御意見や近年整備した県外図書館の先進事例など幅広い意見、情報の収集に努めているところであります。いただいた御意見等を踏まえ策定中の基本構想案では求められる機能として県民の生涯学習、読書活動の拠点となることや静岡県の地域資料を網羅し専門性の高い蔵書構築を図ること、市町立図書館を支援して県全体の図書館サービスを向上させることに加えて人の交流を育み、新しい文化を創造する場となることを挙げております。
 来年度は図書館の基本計画を策定することとしておりますが、県教育委員会といたしましては、今後も利用者団体との意見交換や県図書館協議会の場などさまざまな機会を捉え多くの方々から御意見をいただきながら県民の期待に応える新県立中央図書館となるよう積極的に取り組んでまいります。以上であります。
○副議長(山田 誠君) 鈴木 智君。
(二十九番 鈴木 智君登壇)
○二十九番(鈴木 智君) 御答弁ありがとうございました。
 一点要請と二点再質問したいと思います。
 まず一点目、文化プログラムについてでございますが、先ほど知事のほうから来年度以降対象となるプログラムを拡大するというお話でございました。ただその方針変更によって既に二〇二〇年に向けて取り組みを進めている民間団体の間で混乱や戸惑いが生じているというふうに私伺っております。ですのでそうした点をぜひ改善していただくとともに、この文化プログラムの推進に当たるための予算は決して巨額ではありませんので、人的、財政的にも十分な体制で二〇二〇年に向けて文化プログラムの成功に向けて取り組まれるよう重ねて要請したいと思います。
 次に、再質問でございます。
 公契約条例について済みません、正直どこまで進んだのかよくわからない答弁だったんですが、そこでどぼくらぶを進めている交通基盤部長にお尋ねしたいんですが、ちょっと出納局の取り組み遅いと思うんですね。ぜひ御答弁をお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、中央図書館についてでございますが、県内三カ所で一般県民から意見を伺う等の取り組みをしているのは私も重々承知をしております。私も中部地区での意見交換会を傍聴しました。そして来年度以降も利用者団体等々の意見交換を進めるという話でございましたが、ただ私重要なのはもちろん利用団体の方との意見交換は重要でございますが、ただそれ以上に重要なのは私はむしろこれまで図書館を利用したことがない、あるいは利用する予定もない方のまさに納税者としての意見を聞くことが必要なのではないかと思っています。ですからぜひ来年度のそういった意見交換会を実施するに当たっては、例えば無作為抽出等でそれこそ図書館に正直余り興味がないような方をあえて呼んで財政的にどうなのかというような意見を聞くことこそが私は冷静なこれからの中央図書館のあり方について議論を進めるのに当たって必要かと思いますがその点についてお尋ねしたいと思います。以上、答弁を求めます。
○副議長(山田 誠君) 杉山出納局長。
○出納局長(杉山行由君) 公契約条例の再質問についてお答えさせてもらいます。
 検討のスピードが遅いとお叱りを受けましたけれども、我々としては各県の状況等をつぶさに調査してまいりました。公契約条例を手段としたその業界の働き方の改革というのは一定の効果があるというふうには認識しております。ただしこれについてはですね、業界全体の生産性の向上、あるいはその発注側の問題としての工事発注の平準化もしくは週休二日制工事の導入、これらの発注制度全体の改革と整合をとった形で進めていかなければ結果として規制だけを強化しても事業現場にゆがみを生ずるだけだというふうに考えております。
 既に、発注者側の件はいわゆる品確法に基づいて担い手確保や人材育成、あるいは生産性向上のための支援に取り組み始めております。我々としてはこうした取り組みとも整合性をとりながら公契約のあるべきルールづくりについて前向きに検討してまいります。以上です。
○副議長(山田 誠君) 木苗教育長。
○教育長(木苗直秀君) それでは、再質問にお答えします。
 先ほどお話がありましたように、今まで図書館を余り利用していなかった方々からも積極的に意見を聞くようにということをおっしゃられました。私も確かにそのように思っておりますし現実には各市町の図書館にも伺って、あるいはそういうところの図書館長さんにも御意見を伺っておりますので相当の御意見をいただいているとは思いますが、まだまだ必ずしも十分かと言われるとその点がはっきりしませんのでこの辺も含めて議員御指摘のとおり、できるだけ一人でも多くの御意見をいただきながら県民に開かれたといいますか全ての県民の図書館であると、そういうような発想でまとめていきたいと思っています。ありがとうございました。
○副議長(山田 誠君) 鈴木 智君。
(二十九番 鈴木 智君登壇)
○二十九番(鈴木 智君) 済みません、一点だけ確認させてください。
 公契約の件ですが、最後一点だけ。事務レベルから県庁全体への検討会設置に進むことは間違いないですね。それだけ答弁をお願いします。
○副議長(山田 誠君) 杉山出納局長。
○出納局長(杉山行由君) 答弁で申し上げましたとおり、庁内の関係課長で構成する検討会を既にスタートし検討を始めているところでございます。以上です。
○副議長(山田 誠君) これで鈴木智君の質問は終わりました。

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