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建設委員会議事録(平成25年7月30日)

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○鈴木(智)委員
 民主党・ふじのくに県議団の鈴木でございます。
 私も一問一答方式で、主に災害対策をテーマに幾つかお尋ねしたいと思います。
 まず初めに、今回の委員会説明資料の61から63ページにございます春野町の地すべり対策について、幾つかお尋ねします。
 私、残念ながらまだ現地を視察していないものですから、事前に若干資料をいただきました。今回の委員会資料にも書いてございますが、これはかなり対策に費用がかかるものでございます。河川災害復旧事業で3億4500万円、そして災害関連緊急地すべり対策事業で10億3500万円と。これはまだあくまでも地すべりの上の部分でございまして、いただいた資料によりますと、平成26年以降、要は地すべりの真ん中から下の部分、崩壊堆積土砂対策はこれから事業を行うということです。多分ここが一番大変なのかなと思います。膨大な費用を要すると思うんですが、既に提案されている14億円弱の部分と平成26年度以降に行う事業費を合わせて、トータルでどれくらいかかると見込んでいるのか、まずお尋ねします。

○八木砂防課長
 門島の地すべりの全体的な予定でございます。
 現場がまだ安全を図れていない、特に中腹部につきましては立ち入りが非常に危険だということで、地質的な検討がちょっとまだ進められてない状況でございます。
 過去に静岡の奥のほうで実施した工法等を参考に、とりあえず概算として考えられておりますのは、全体で20億円ぐらいではないかと想定しております。今後、地質調査、あるいはその状況に応じて工法等を検討させていただいて、全体的な事業として把握したいと考えております。以上でございます。

○鈴木(智)委員
 済みません。その数字の部分がよくわからなかったんですが、その20億円というのは、14億円を含めた20億円なのか、あるいは平成26年以降に行う部分が20億円なのか確認したいと思います。

○八木砂防課長
 10億3500万円を含んでおります。河川災害復旧事業費については除いております。ですので、地すべり対策として対応する金額として20億円という形になります。以上です。

○鈴木(智)委員
 それでは、河川も含めると約24億円ぐらいというふうに理解いたしましたが、いずれにせよこれは膨大な額がかかるわけです。ただ、これは既に起こったことですから、当然必要な部分にはかけなくてはいけないというのは重々承知をしておりますが、ただ先ほど小長井委員も土砂対策で言われていましたが、これから発想の転換が必要かなと思っております。
 その視点から幾つかお尋ねしたいんですが、今回の地すべりでは6世帯24名の方が避難されたということでありますが、この方たちがもし希望すれば、がけ地近接等危険住宅移転事業の対象になるのかどうか、お尋ねします。

○八木砂防課長
 現地の門島の地すべり地区につきましては、まだ土砂災害警戒区域の対象として指定しておりません。先ほど申し上げましたけれども、今後は平成29年度までにここの箇所も含めて指定を進めていきたいと考えております。
 なお、がけ近と呼ばれるがけ地近接事業でございますが、この対象になりますのは、土砂災害警戒区域ではなくて特別警戒区域と呼ばれる範囲になりまして、そのためにはかなり地質調査等を行わないといけないものですから、今回の対象については、そういったのを含めてお答えできればと思います。今のところ、避難していた方々6世帯については全て入るとは考えておりません。以上でございます。

○鈴木(智)委員
 先ほど発想の転換が必要だと申しましたのは、繰り返しになりますが、今回この春野町の地すべりだけで、河川も含めると24億円かかるというわけですね。これからもこういった被害が出てくるおそれがあるのかなと思います。ですから、昨年12月定例会の一般質問でも指摘をしたんですが、先ほどがけ地近接等危険住宅移転事業について述べたのは、これまでは人がいるからインフラをつくる、災害が発生しそうだからインフラをつくるという発想でしたけれども、これからはもう災害の発生しそうなところはなるべく移転してもらうというふうにやっていかないと、なかなか追いつかないのかなと思っております。
 例えば、今回24億円ということでございますが、避難されたのが6世帯ということでありますから、もちろんその24億円を使えば効果はその6世帯以外にも波及するとは思いますが、その後指定になった場合、例えば1世帯当たり1億円を使って移転していただいたとしても、十分おつりがくるわけですね。
 先ほど、小長井委員も指摘をされておりましたが、この資料の58ページにありますけれども、土砂災害対策は莫大な費用と時間がかかるわけですね。例えば、平成24年度から25年度で30.1%から順調にいけば30.6%と、0.5%進捗率が上がるわけですが、まだ7割残っているわけですから、1年で0.5%ということは、単純に言えば、あと70%引き上げるのに140年前後かかるというわけですね。それプラス、先ほど小長井委員がおっしゃっていましたとおり、1万カ所近くは指定されていない、事業の対象になっていないわけですから、140年かけてやったとしてもまだ残り9,000カ所は残っているわけです。ここはやはり、津波対策に比べれば対象地域の方々の人口は少ないのかもしれませんが、先ほど小長井委員もおっしゃっていましたように、さまざまな副次的な被害も予想されるわけであります。
 私は12月定例会の一般質問でも質問させていただきましたが、先ほど言ったがけ地近接等危険住宅移転事業――これは国から補助が出るわけです――に加えて、岩手県ではがけ崩れ危険住宅移転促進事業という補助をして、要は移転を促進すると。これはなぜかと言うと、確かに災害対策にもなりますが、岩手県の当時の増田知事は、災害対策と同時に人口減少対策をやらなきゃいかんということで、この事業を導入されたわけでございます。繰り返しになりますけれども、人口減少対策にもなるし災害対策にもなる、ましてやコスト削減にもなるという、こういった移転事業を県としてもさらに考えていく必要があるかと思いますが、もしできましたら部長の見解をよろしくお願いします。

○長島交通基盤部長
 先ほどの発想の転換ということでございます。
 今、春野町の現場につきましては、崖の上にまだ茶畑もありますし、そこには賞をもらうような優秀な方がやっている茶畑もありまして、その上にまた住宅もあるということで、今のまま置いておけば、またどんどん崩れる可能性がある。今残っている資産も崩れる可能性がある。また、それがもし下流のほうに崩れますと、下の河川――杉川という一級河川が流れてございます――その河川が閉塞して、天然ダムと言いますか、水がたまって、それがまた大雨時に一気に下流に決壊して大きな災害を起こす可能性もある中で、今回の工法を選んでいるわけです。
 ただ、場所に応じて委員の提案のあった発想の転換ということも、今後考えていかなければならないことだと思ってございます。以上でございます。

○鈴木(智)委員
 この問題につきましては、私もぜひ現場を見させていただいて、これからまた引き続き議論していきたいと思いますので、その新たな方法も御検討をよろしくお願いします。

 では次に、資料の55から56ページに載っております浜松市沿岸域の防潮堤と、あと先ほど同じく小長井委員も言及されておりましたが、三保松原の周辺の津波対策についてもお尋ねします。
 これにつきましても若干資料をいただきました。これから浜松市沿岸域に整備される防潮堤はCSG堤という構造を採用すると。そしていただいた資料によれば、抵抗性松等で保安林を再生することで、保安林機能の維持向上を図るとともに、景観、環境への影響を最低限に抑えることが可能であるということです。抵抗性松等で保安林を再生とあるんですが、これについては若干疑問があるものですから、ちょっと1つ記事を紹介しながら質問します。御承知だと思いますが、映画「武士の家計簿」の原作者でも有名な静岡文化芸術大学の磯田道史准教授が、ことしの4月27日の朝日新聞のbeというところで――「磯田道史の備える歴史学」ということで毎週土曜日に連載をされておるんですけれども――その4月27日の記事で「津波に弱いマツ林」というタイトルで書かれております。長島部長もしくは防潮堤担当の方で読まれた方がいらっしゃったら、御感想をまずお聞かせください。

○青島森林保全課長
 今、委員がおっしゃいました静岡文化芸術大学の磯田准教授のコメント――朝日新聞の記事なんですけれども、私どももあの記事は承知しております。松によって大きな被害になったというようなコメントでした。国が東日本大震災の被害状況を詳細に調査した結果がございまして、その中で、松だから被害が拡大したということではなくて、東北地域の海岸に生えている樹木が、地下水位が高いところ、いわゆる盛り土の状態ではないような地域に生えていた松が多かったということです。津波の威力で松が流されたというようなことだったので、そういうところばかりではないというようなことを磯田先生には直接お伝えさせていただいております。以上です。

○鈴木(智)委員
 では、今の御答弁を要約すれば、東北の松と違って静岡の松は大丈夫だということでよろしいんですか。

○青島森林保全課長
 静岡の松と言うよりも、地下水位が高いところにつきましては、やはり根が張れないということがございまして、非常に健全な森林の育成がされないということです。静岡県におきましては、地盤が低いところもあるんですけれども、比較的高いところ、いわゆる盛り土構造の上に松を植栽しているというところが多いと認識しております。以上です。

○鈴木(智)委員
 逆に言えば、盛り土のところはこれから盛り土をして、松等とありますから松だけではないと思うんですが、植栽するということだと思うんです。抵抗性松ですから、いわゆる松くい虫等には強いということだと思うんですが、ただ同じものを植え続けると、結局また新たな病害虫にやられる可能性もありますし、要は同じような力を受ければ、ばたばたといく可能性は当然出るわけですね。
 それに対して例えば、有名なのが宮脇昭横浜国立大学名誉教授等が、命を守る森というのをおっしゃっていますし、また以前くらし・環境部にいた増田理事はよく御存じの方だと思うんですが、静岡大学防災総合センターの増澤武弘客員教授が、現在伊豆西海岸等に生えている樹齢数百年の広葉樹林が、実は過去数百年、あるいはもっと長いかもしれませんが、天然の防潮堤として大きな津波に耐えてきたのではないかということで、今調査を行っていると伺っております。そうしたものについても取り入れて、松だけに限らずやっていくべきだと思うんですが、その点、松にこだわる理由と、松等とありますから松だけではなくてさまざまないろんなものを混ぜ合わせるほうが、例えばこの木はだめだったからこの木は生き残るというふうになっていくと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

○青島森林保全課長
 海岸防災林内に松を植栽する理由なんですけれども、海岸地域というのは極めて自然条件が厳しいということで、乾燥とか潮をかぶったり、あるいは砂が舞ってきたりということで、過去の先人の皆さんが500年以上前から、そういった場所で唯一育つものとして松を植えてきて、それが現在実証されているということで、極めて実績があって、樹木として海岸地域の環境に適合しているということで松を選定しております。
 しかし、松によってということもありますけれども、内陸側で風が弱くなったり、あるいは潮のかぶり方が変わってきたりというような自然環境が少し緩和されているようなところもございますので、そういった箇所については、生物多様性の問題なども含めて、高木性の広葉樹なども植栽できるような考え方で、今植栽計画を進めているところであります。以上です。

○鈴木(智)委員
 磯田准教授もこの同じ記事の中で紹介しておるんですけれども、千葉県の場合は、砂浜に常緑広葉樹の混交林と。詳しくは調べていませんが、常緑広葉樹ですから、多分松はほとんど植えずに、いわゆる広葉樹ですから、葉っぱの広い、しかも常緑ですから落ちない葉の森を砂浜に整備するということなんですが、この静岡県と千葉県の違いはどういうところにあるんでしょうか。

○青島森林保全課長
 私は千葉県の房総半島の状況を詳しくは存じないんですけれども、千葉県におきましては、静岡県の遠州灘に比べますと砂浜の状況とか風とか、そういった環境が少し違うと認識しております。遠州灘のほうはかなり強風で、年間を通じた風の力とか、そういったものが違うということで、自然環境が大きく違うということが1つの原因ではないかなと思います。
 それと、千葉県は、今回の東日本大震災の影響で海岸林が少し被災をしているということを聞いております。被災をする中で、新しい取り組みと言いましょうか、海岸防災林の中の砂丘の部分をかさ上げするということも聞いておりますので、そういう中で工法を選定していると認識しております。以上です。

○鈴木(智)委員
 もちろん場所が変われば環境も変わりますから、全国全く同じ方法がとれるとは私も考えませんが、ただ、今、言及されておる千葉県は、この間の東日本大震災で津波被害を受けておるわけであります。もちろん違う部分もありますが、共通する部分も恐らくあろうかと思いますので、千葉県の状況をよく承知していないということでございますから、ぜひとも千葉県の状況もよく研究していただいて、取り入れるべきところは取り入れていただきたいと思います。

 そして、最後に三保松原についてお尋ねしたいんですが、磯田准教授はこの三保松原についても言及されております。ちょっと引用させていただきますと、「以前、宝永津波の痕跡を探して、静岡市清水区の三保半島を歩いたが、羽衣の松などの老いた松があるのは、標高10メートルを超える半島のつけ根の一角だけであった。三保半島の先端は津波にやられたらしく、若い松ばかりでぞっとしたのを思い出す」ということでございます。私も当然、同じ静岡市内でございますので、行ったことがございますが、確かにおっしゃるとおりなんですね。ちょっと歩くともう小さい松の苗木が植わっているような状況でございます。もう世界遺産として三保松原が登録されたわけですから、その松を保全するのは、これはもう当たり前と言えば当たり前なんですけれども、例えばそれよりも内陸の部分だとか、あるいは先ほど小長井委員が質問したとおり、護岸ブロックみたいなものはこれから撤去というか新たな方策をしていくだろうと思います。三保松原の半島部分は、私が知る限りでは盛り土をされるとか、そういった方策は今のところないと思うんです。そのかわりと言っては何ですけれども、もちろん三保松原を残すのは大前提ですが、例えばそれよりも内陸の部分だとか、あるいは違った部分については、広葉樹等々を植えていくことが地域の方のための備え方としては有効ではないかと思います。済みません、ここは県の担当かどうかわかりませんが、質問したいと思います。

○青島森林保全課長
 三保松原の松の管理につきましては、地元の静岡市が中心になって、地元の方々が入った協議会があると聞いております。
 そういう中で、三保の松は松くい虫による被害等もございますので、そうした管理を今後どのようにしていくかというのは、静岡市が中心になって進めていくと聞いておりますので、県もそれに参画した上で、支援をしていきたいと思っております。以上です。

○鈴木(智)委員
 ぜひとも先入観にとらわれず、各地域の、あるいは東日本大震災で受けた教訓をしっかり勉強して、これからの津波対策に導入していただきたいと思います。

 それでは次に、資料51ページから54ページにも載っておりますが、地震・津波対策アクションプログラム2013についてお尋ねしたいと思います。
 今回、10年間で4200億円、これには国費部分も入っているということでございますが、平成34年度まで4200億円をかけてアクションプログラムをやっていくということでございます。まずここでお尋ねしたいのは、10年間でレベルワンの人的被害を8割減少させるとありますが、この10年間でレベルワンの人的被害を8割減少させるという目標を設定した根拠、なぜ10割でなくて8割なのか、その根拠と、あと4200億円の積み上がった根拠ですね。そこをまず教えてください。

○杉保河川企画課長
 それでは私から、アクションプログラムに計上いたしました規模、その根拠についてお答え申し上げます。
 レベルワンの津波に対しまして施設整備をしようとしますと、県下全域で約4000億円かかります。4000億円を10年間で投資することは年間400億円になりますので、今の県の実情から言って非常に難しいということがありました。
 ということで、県の予算を可能な範囲で積み上げましたところ、その半分の約2000億円を使って10年間で整備する、これを基本としてやることが合理的だということになりまして、その2000億円をどう有効活用するかということで整備箇所を選定しました。これは、人的被害が大きいところから効果を上げるということで箇所を選定したんですが、効果的にやることで全体の8割をカバーすることができるということから、10年間においては2000億円で8割の効果を上げる、これを県の方針として県民にメッセージを送ったところでございます。以上でございます。

○鈴木(智)委員
 確認しますが、もちろん災害対策ですから1日も早く10割を目指したいということですが、ただやはり財政的な制約を考えると、この2000億円というのはあくまでも県費ですよね。ですから、4200億円で残りの2200億円は国費という理解でいいのかなと思うんですが、まずは財源的な制約から、頑張っても県費で負担できるのは2000億円だと。そこから逆算したら8割だったということでよろしいんですか。

○杉保河川企画課長
 私が今申し上げましたのは、津波のハード対策に特化した数字を申し上げましたので、10年間で2000億円というのは、県費、国費、いろんなことを含めた全体の事業費でございます。残りの2000億円は、そのほか避難施設だとか道路の緊急整備などの全体の額です。津波に関するものを特化して今申し上げましたので、2000億円というのは津波のハード整備の金額でございます。以上です。

○鈴木(智)委員
 もちろんここは交通基盤部ですから、ほかの部のところについてはお答えできないかなと思うんですが、ただこの4200億円というのはほとんどが交通基盤部だと思います。じゃあその残りの津波の2000億円と、この2200億円はほとんど交通基盤部だと思いますから、その積算根拠もお願いします。

○大場経理監
 アクションプログラムの事業費について御説明を申し上げます。
 まず、委員がおっしゃるように、4200億円のうち交通基盤部が所管している部分で3700億円になります。3700億円のうち、今河川企画課長が申しましたように津波対策で2000億円と言っていますけれども、正確に言いますと残りの1500億円――3700億円から2200億円を引きますと1500億円になりますが――残りの1500億円が緊急輸送路の整備とか県管理橋梁の耐震対策とか、津波対策以外の地震対策の経費となります。以上でございます。

○鈴木(智)委員
 わかりました。レベルワンの人的被害を8割減少ということは、この資料によりますと、今の第4次地震被害想定ですと、駿河トラフ、南海トラフの場合にはレベルワンの津波のところに9,000人の被害が想定されているわけですから、8割減ということは2割になるということですね。ですから、このアクションプログラムの10年間が完成すれば、1,800人程度になるということで理解しているんですが、例えば、レベルワンのものを強化すれば、当然レベルツーの部分についても効果が発揮されると思うんですが、レベルツーについてはどう推計されておるのかお答えください。

○杉保河川企画課長
 レベルワンの施設整備によりまして、レベルツーの津波にどういう効果があるかにつきましては、浸水面積の減少という形で評価をしております。南海トラフ側のケースについて、これまでに検討を行っておりまして、全体では、レベルワンの施設整備前にレベルツーの津波が襲ったときには157.6平方キロの浸水が想定されますけれども、レベルワンの施設整備を行うと40%減少の効果がございまして、91.9平方キロに減少できるという効果を示してございます。人的にどのくらい守れるかにつきましては試算をしてございません。以上です。

○鈴木(智)委員
 今説明されたのは、先週金曜日にホームページで公開された部分ですよね。それまではレベルワンの減災効果については公表されておりましたけれども、レベルツーについては計算が終了したということで、先週の金曜日に県のホームページで公開されて、それが翌日新聞にも出ておりましたので私も承知をしております。若干無責任かなと思われるのは、あくまでもアクションプログラムが100%になったらということですよね。ただ、あくまでも今後10年間では、人的被害が8割減ですから、全体の進捗状況というのは多分8割以下ですかね。逆に言えば、レベルツーになった場合は浸水域が157.6平方キロから91.9平方キロに減るということでございますが、この効果が発揮されるまでにどれくらいの時間と費用がかかるとお考えなのか。津波対策のところをどのように計算しているのか、お願いします。

○杉保河川企画課長
 その想定は、レベルワンに必要な施設整備が全て終わるということを前提としておりますので、先ほど申し上げましたように、10年間でこれから約2200億円をかけて半分強を整備しますので、同じペースでいけばもう10年、トータル20年ぐらいかかれば全ての施設整備が終わって、この効果が発現できると考えております。以上です。

○鈴木(智)委員
 少なくとも、このアクションプログラムの津波対策の部分については、20年で100%になるということでございますが、単純に言えば今回の10年間で、これは津波対策に限らず全部を含めてですが、国費を含めて4500億円ということですから、単純にもう10年で9000億円かければ、津波対策も残りの緊急輸送路等々についても、あるいは先ほどおっしゃった土砂災害防止設備等の整備も全て終わるだろうということでよろしいんですかね。

○大場経理監
 津波対策に関しましては5割の整備ということですので、もう10年あれば全て完了することになるんですが、アクションプログラムの中の個別の事業によっては、この10年で100%というものも多々あります。100%のものにつきましては、この10年で完了ということになりますので、その後また10年必要かというとそうではなくて、10年でできるものはできるということでございます。

○早川委員長
 ここでしばらく休憩いたします。
 再開は13時15分といたします。
( 休 憩 )
 それでは、休憩前に引き続いて委員会を再開いたします。
 質問等を継続いたします。
 では、発言願います。

○鈴木(智)委員
 午前中に引き続き質問をしたいと思います。1回整理をさせていただきたいんですけれども、津波対策に絞りますが、アクションプログラムの今後ですが、午前中の答弁ですと、10年で5割終わるから、そのペースでいけば残り10年で全部終わると。ですから、今はアクションプログラム2013ですから、次のプログラムは2023なんですかね。そこから10年間やると、もちろんそのときの状況によりますが、同じペースであれば、少なくとも津波対策については完了するという理解でいいのかなと思います。ということは、このアクションプログラムのところの――手元にあると思いますが――17ページに、津波を防ぐ施設の整備ということで数値目標がございます。これは10年間で達成する目標ということで、例えばナンバー19のレベルワン津波に対する海岸の整備だと60%、ナンバー20のレベルワン津波に対する河川の整備だと55%。ということは、仮称にしますけれどもアクションプログラム2023で立てる目標というのは、津波については全部100%になるという理解でいいのか、確認をお願いします。

○杉保河川企画課長
 ただいまの質問に御答弁申し上げます。
 これから10年間のアクションプログラムについては、この形でお見せいたしておりますけれども、その後の10年間につきましては、今、委員から御指摘がございましたように、いろんな状況が変わりますので、あと10年できっちりと残り半分の箇所が完了できるかという見通しは、今の時点で持てません。仮に同じように投資が可能であれば、もう10年、合計20年かけまして、全体の施設整備を行っていくことが可能だということになります。以上です。

○鈴木(智)委員
 なぜそのようなことを聞くかというと、先ほども触れましたが、先週金曜日にホームページで、このレベルワン津波対策の施設整備による減災効果が、レベルツーについても公表されましたよね。これは今、手元にございますけれども、レベルワン津波対策施設の整備前と整備後においてと書いてございます。ただその整備後というのは、いつになるかわからないということですよね。これこそまさに惑わすというか、一般の県民の方にしてみれば、まず今どうなのか、もちろんこれからやるわけですから、あした、あさってにできるわけじゃないのは当然承知していると思いますが、もし完了がわからないのであれば、例えばこの地震・津波アクションプログラム2013が完了すればここまで効果が出ますよと、そういうふうに伝えるのが県民にとって親切な、効果の公表の仕方だと思うんですけれども、これはやっぱり変えるべきなんじゃないんですか。結局いつできるかわからない効果を書いても、これは逆に不親切だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○杉保河川企画課長
 レベルワンの整備の効果の見せ方につきましては、いろいろ当局のほうで議論をしていまして、こういう形で出そうということで決めたわけですけれども、確かにこの10年で整備をしたときの効果を出すことも考えました。しかし、少し長い期間になりますが、レベルワンを整備したときに、いつ起こるかわからないレベルツーに対してもこれだけの効果を出すということが、県民にとってある面で非常にいい情報だということで判断いたしまして、こういう形で出すことにいたしましたので、御理解いただきたいと思います。以上です。

○鈴木(智)委員
 20年後は多分難しいということだと思いますし、30年後、40年後になるかわからないということですよね、簡単に言えば。ですから、我々もそうですけれども、今すぐできないのは当然わかると思いますから、5年後、10年後ぐらいどうなるかというのがまずわかっていかないと。逆にこれだけ見ると、多分細かく見る県民の方ってそうはいないと思いますから、私もよく見ないとよくわからない部分はありますけれども、ああ、じゃあこれだけやるんだから大丈夫だと、かえって余計な安心という言い方がいいかどうかわかりませんが、不必要な安心まで与えてしまう可能性があると思いますが、その点、もう1回確認をお願いします。

○杉保河川企画課長
 この公表に当たりましては、委員御指摘のような心配もあったものですから、各市町を回りまして想定の条件についてもしっかりと説明をして、市町から県民に説明をする際には、しっかりとその条件や取り扱いについて説明できるようにお願いをしたところであります。また、これから我々は県民に対して、この効果をもとにいろいろ話をしていきますけれども、この条件や効果の示すところをしっかりと伝えて、目的に合った活用ができるように啓発に努めてまいります。以上です。

○鈴木(智)委員
 そこはなるべく丁寧に、しかも明確に県民の方に説明していただきたいと思います。
 あともう1つ私が不安に思うのは、10年間で交通基盤部が3700億円程度、その分ハードが上乗せされるわけですね。どういうことを言いたいかと言いますと、御案内のとおり、この静岡県でも既に老朽化対策が深刻になっています。それに加えて、静岡県の場合は特に津波対策、もちろん地震対策もありますが、ハードのものをこれから10年間でさらに3000億円とか4000億円とか上乗せしていくわけですね。しかも、10年後の終わりにはまだ津波対策は5割程度と。そのまた先に、さらにやっていこうとなるわけですけれども、先に長引けば長引くほど、今度はその前につくったものが老朽化していくわけですね。この財源部分については、どこまで裏づけがとれているのか、そこら辺を確認したいと思います。

○大場経理監
 津波対策、このアクションプログラムの財源ですけれども、ほとんどが国庫補助事業でやることを想定しています。ですから、国の予算がまだ来年度以降も保証されているわけではありませんので、今後も国の予算を確保するように努力して、達成に向けて頑張っていきたいと思っています。以上です。

○鈴木(智)委員
 新規の予算についてはそうなんですが、私が危惧するのは、交通基盤部のほうでいわゆるアセットマネジメントというのをやられていると思うんですが、先ほど申し上げましたけれども、古いものはこれからどんどん維持改修が必要になってきます。新たに地震・津波対策をやることによって、その必要性がまた上積みされることになるわけですけれども、その点についてはどのようにお考えなんでしょうか。

○大場経理監
 先ほども申しましたように、地震・津波対策につきましては国庫補助事業ですから、今後も確保に努力していくと。維持管理の面につきましては、国庫補助事業対象のものは国庫補助事業で確保できるように頑張っていきますし、国庫補助対象とならないような県単独事業につきましては、財政当局と当初予算のときに調整していきます。こちらの必要な額について主張して、できる限りの予算を確保できるように努力していきたいと思っております。以上でございます。

○鈴木(智)委員
 国庫からの補助を期待しているということなんですが、これは今、与党のほうで提出されている南海トラフ特措法の関係ですかね。ここを見込んだ事業になっていると思うんですが、この南海トラフ特措法というのは御案内のとおり、先ほども若干申し上げましたが、集団移転を促進する内容にもなっておりますね。先ほど土砂災害対策でも触れましたが、これは人口減少対策にもなるわけです。南海トラフ特措法の成立に合わせて――多分次の臨時国会で成立するんだろうと思いますが――繰り返しになって申しわけないんですが、集団移転について国では、県あるいは基本的には市町が行う集団移転を促進していこうという法案を既に用意されているわけですから、静岡県におきましてもそれに向けた準備を進めるべきだと思いますが、その点についてお答えをお願いします。

○植松市街地整備課長
 集団移転ですけれども、現在、県内では沼津市の重須地区で検討が進められております。ほかの地域では、今のところそのような希望は聞いておりません。
 まだ、具体的に集団移転をどうするかは、その特措法の状況を見ながらということを考えております。以上です。

○鈴木(智)委員
 この移転の問題は、実は御案内のとおり、平成23年度の大規模地震対策特別委員会でも提言をされております。ここではどちらかというと個人の移転になるかもしれませんが、その提言の中で、例えば提言1の2のところに、想定津波浸水区域の居住者に対して、優先的に高台の安全な土地を提供していく優遇措置などを検討していくとともにとございます。続けて1の3のところでは、津波対策として効果を上げるため、想定津波浸水区域を限定した上で、個人住宅において高台移転や津波に強い住宅への建てかえなどに対して新たな支援制度を検討していく必要があると提言をしております。ただ、これに対しては、私、昨年度の委員会で質問したんですけれども、当局側は検討していないというような答弁というか、報告書を出されておるんですけれども、いよいよ国のほうで、南海トラフ特措法案の中にそういった移転を進めていくことも入っているわけです。繰り返しになりますが、既に県議会の特別委員会ではこのような提言をしておられるわけですから、何らかの対応を検討していくことが必要だと思うんですが、もし担当がわからなければ、部長、最後によろしくお願いします。

○長島交通基盤部長
 そちらの集団移転のほうですけれども、私も今、申しわけありませんが、全体の動きの状況を把握しているところではございませんけれども、まず全体の状況を見ながら、必要であれば検討もしていくことになるかとは思います。以上でございます。

○鈴木(智)委員
 これについては、この場で結論が出るとは当然思っていませんので、今後とも引き続き議論したいと思いますので、よろしくお願いします。以上です。ありがとうございました。

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