○鈴木(智)委員
一問一答方式で2つについてお尋ねしたいと思います。
まず、先日、平成28年度外郭団体等点検評価表をいただいたものですから、その中で経済産業部の所管でございます一般社団法人静岡県労働福祉事業協会について、特におおとり荘の運営事業についてお尋ねしたいと思います。
初めに、宿泊者数の話でございますけれども、平成25年度が2万11人、平成26年度が1万9924人、そして昨年度が1万4893人。これはちょうどことしの2月――昨年度末ですね、リニューアルのための休業が1カ月弱あったことで少なかったということでございますけれども、いずれにしましても減少傾向にございます。それに対しまして、今年度は2万2000人の目標を掲げています。既に半年たちましたが、状況はいかがでしょうか。
○松島労働政策課長
おおとり荘の状況についてお答えします。
平成28年8月末現在でありますが、宿泊人数は対前年で104.6%になっております。宿泊以外にもおおとり荘の場合には、休憩及び会議室だけでの利用もありまして、会議室につきましては、対前年で98.1%の状況にあります。
○鈴木(智)委員
では、8月末現在104.6%ということは、このままいきますと、2万2000人は達成しそうだということでよろしいですか。
○松島労働政策課長
今年度、リニューアル工事をしまして、かなり顧客の呼び込み、広報活動に力を入れていますので、2万2000人を目標に現在職員一同頑張っているところでございますので、今後の推移を見たいと思います。
○鈴木(智)委員
前年度が1万4893人ですから、単純に1.04倍しても届かないということで、厳しい状況かなと思うんですけれど、いずれにしましてもこの施設は基本的には県内、特に県内中小企業の従業員とその家族に対する保養のためにつくられた施設でございます。最近では大体1万5000人から2万人弱の方が利用されていますが、そのうちの県内の勤労者、あるいは中小企業の従業員とその家族の割合はどれぐらいなんでしょうか。
○松島労働政策課長
利用者の内訳につきましては、財団にも確認をしましたが、残念ながらその区分については分析していないと回答をいただいております。
○鈴木(智)委員
ここはぜひ分析する必要があると思うんですね。というのは、これはあくまでも繰り返し申し上げますけれど、県が22億円出捐をして、正直、今県の出捐金を食い潰して何とか維持できている施設なわけです。ですからそれをやる以上は、もちろん全員が全員県内である必要はないと思いますし、実際、楽天とかじゃらんとか、私見ましたけれども、当然公募というか、宣伝をしています。当然県外からの方も来ていただきたいと思うんですが、ただ県外の方がほとんどではないとは思いますけれども、100%であると、じゃあこの施設の意味は何なのかということになりますので、そこはぜひ把握していただきたい。
あと、今の施設は平成6年に建て直されたということでございますけれど、最初につくられたのは昭和39年だと伺っています。まさに高度成長時代ですよね。あくまでも推測でございますけれど、当事はまだ伊豆半島ってそんなに保養所やホテルみたいなのがなかったのかもしれません。大企業はつくったかもしれませんけれど、中小企業独自にこういった保養施設をつくるのはなかなか難しいのは重々理解しますので、当時はこういったことをやる意義はあったんだろうと思います。
ただ、御案内のとおり、今、観光客がふえていますから、もしかすると回転率が非常に上がっているかもしれませんけれど、基本的には伊豆半島にも十分施設があるわけですよね。その中で、県が22億円を出捐して、しかも2万2000人いったとしても残念ながら回転率も47.5%ですから半分いってないわけですね。大変厳しい状況の中で、しかも毎年毎年3000万円の基本金を取り崩しながら、しかも剰余金が累計でマイナス2億円以上。簡単に言えば県民の税金をつぎ込んでやっている施設なわけです。ですから、そこをまず把握していただくのが必要だと思います。
例えば、県内の方の割合がどれぐらい高いかというのはなかなか一概に言えないかもしれませんけれども、そこが低くとなると正直言って、この施設の意義は終わりなんじゃないかと思うんですけれど、その辺もう一度御答弁お願いします。
○松島労働政策課長
10番委員おっしゃるとおり、税金で建てた施設ですので、その利用状況について詳細に把握するように努めます。
○鈴木(智)委員
これは当然、チェックインするときですね、住所を書くと思うんですね。だからぜひ一度、もちろんすぐにとは言いませんので、把握していただきたいのが1点。
あとこの評価表の資料によりますと、土地を借りていて、その土地の賃貸の期限が平成35年に終わることで、平成35年をもって営業を終了するということでございます。ただこれは平成6年につくられた建物ですので、平成35年まで営業したとしても、29年しかたっていませんから、しかもことしの2月末にリニューアルしていますので、――私まだ行ったことないので、ぜひ一度行ってみたいと思うんですが――かなりきれいな状況ですし、平成35年までやったとしても、きれいな状況なのかなと思うんですね。
ですから、まずお聞きしたいのは、平成35年で営業が終わったとして、まだまだ使える施設をもう取り壊して更地にして返すのか、あるいはやはりどこかが土地も契約更新をして、どこかの企業かどうかわかりませんけれども、丸々売却する形で引き継いでもらうと。どのように平成35年を終えると考えているのか教えてください。
○松島労働政策課長
おおとり荘及びそれを運営しています協会のあり方につきましては、県の行財政改革推進委員会の外郭団体の見直しの中でも、勤労者の福祉増進に寄与する事業の実施、あと企業の福利厚生ニーズの変化を踏まえ、施設の売却や廃止の検討、財務内容健全化という意見をいただいております。
平成35年3月末で土地の賃貸期限は切れます。そのときの経営状況として赤字が累積しているようでは、経営終了を判断せざるを得ないのかなとは思っていますが、今回リニューアル工事をいたしまして、営業努力をしていますので、その様子を見てからまた判断したいと思います。
○鈴木(智)委員
ということは、営業成績がかなり上がらないと厳しいと思うんですけれど、例えば平成35年以降も賃貸契約も更新して、引き続きやる可能性があるということですか。あとその見込みも十分あるということですか。
○松島労働政策課長
その見込みにつきましては、施設を運営している事業協会の判断になると思いますので、その法人と調整して確認したいと思います。今現在では、やめるやめないという判断は県単独ではできないと思います。
○鈴木(智)委員
これ平成35年ですから、オリンピックもパラリンピックも終わっちゃってるわけですよね。ただ報道によると、2025年に大阪万博があるかもしれないって話がありますけれど、大阪の話ですから、実現したとしてもなかなかその波及効果が伊豆まで及ぶのは考えにくい。
ですので私が思うのは、先ほど言ったとおり、もしかするとこの宿の意義は終わっているかもしれない。私は終わっていると思っているんですけれど、せっかくリニューアルしたわけです。今の状況ですと、結局毎年毎年3000万円食い潰しているわけですから、今でしたらまだオリンピックもあるわけですし、これから少なくともオリンピックが始まるまではいい状況と考えられるのかなと。
ですから今のうちに、例えば売却を考えれば、まだ建物も8億円ぐらいの価値があるということでございまして、ちょうどベロドロームで自転車競技も行われるわけですから、十分効果が期待できるわけですから、今から売却を検討してもいいのかなと思うんです。県が関与する話じゃないかもしれませんけれど。県が出捐している以上、当然そういった意見を言うことはできると思うんですけれど、その点いかがでしょうか。
○松島労働政策課長
おおとり荘の今後につきましては、評議委員になっています労働団体、あるいは地元伊豆の国市の方々の意見も聞きながら、将来を考えていきたいと思います。
○鈴木(智)委員
ぜひ、先延ばしじゃなくて、私は早急な結論を出す必要があるかと思いますので、よろしくお願いします。
次に、委員会資料27ページにございます中小企業・小規模企業振興基本条例(仮称)についてお尋ねします。
具体的な条例の中身は出てきていませんけれども、それは次の議会で出てくるだろうと思いますが、2番の基本方針の中で、商工会議所や商工会など多くの団体等から制定の要望が出されていると書いてありますが、実は先日行政書士会といろいろ意見交換させていただいた中で、この条例の話が出てきました。行政書士会から出てきたのは、この基本条例の中の県が行う基本的な施策に、知的資産の活用支援の追加もお願いしたいという意見が出されました。恐らく県にもその意見を出されたのかなと思うんですけれど、これについてはどうでしょうか。
○野村経営支援課長
中小企業基本条例につきまして、行政書士会から意見をいただいております。知的資産の項目を条例に入れてほしいという内容でございます。
○鈴木(智)委員
それも検討していただけるということでよろしいんでしょうか。実際に入れるかどうかは別ですけれど、少なくとも検討はしてると。
○野村経営支援課長
現在、その項目をどうするかについては検討しているところでございます。
○鈴木(智)委員
私は、この知的資産というのは非常に大事な話だと思っていまして、というのは中小企業だとどうしても数字上の話ばっかりになってしまいますと、なかなか大企業に太刀打ちができないわけです。ただ、この知的資産はどちらかというと、数字にあらわしにくい部分ですよね。要はそのノウハウだとか、人脈だとか、あるいはその経営者と労働者の関係だとか、そういった数字にあらわせない部分を出していただいて、それを企業の強みにしていこうという話ですから、中小企業がこれから生き残っていくためには、こういったものをそれぞれ自己評価――どこかにお願いするのかもしれませんけれど――をしていただいて、それを企業の強みとして売り込んでいくことは、県内の中小企業を振興させるには非常に重要だと思ってますので、ぜひ前向きに検討していただきたいのが1点。
あと、これで最後にしますけれども、これは先日、労働組合の連合静岡がフォーラムをされました。そのときに、伊藤就業支援局長にもパネリストとして参加していただいて、そのとき出てきた話が、伊藤就業支援局長はよく御存じなんですけれども、企業の人に優しい、あるいは働きやすいという指標を、ぜひ県としても企業を評価するものとしてつくっていただいて、それを場合によっては、認証制度みたいなものをやったほうがいいんじゃないかという話が出ました。
私も全くそのとおりだと思っておりまして、その1つが知的資産について、ちゃんと評価しているかどうかみたいなところが入ってくると思うんですけれど、そこでぜひ参考にしていただきたいのが、皆さん御存じの法政大学の坂本光司先生。この方は大切にしたい会社ということで本をいっぱい出されてまして、ちょうど朝日新書から「『日本で一番大切にしたい会社』がわかる100の指標」ということで、いろんな指標が出てます。例えば、過去5年以上社員数が維持増加している、過去5年以上リストラしないだとか、こういう話が出てますので、こういった指標をぜひ参考にしていただいて、それに基づいて、県がこの会社は社員に優しい、社会にも優しいと。つまりは社会にとってもいろいろ経済的な効果を生んでいるし、社員も非常に働きやすいと。これからはそういう会社を育てていくことが大事なのかなと思います。
ですから、県が積極的に県内の会社についてお墨つきを与えれば、わざわざ東京までいって就職するんではなくて、地元にこれだけすばらしい会社があると。地球にとっても非常に優しいし、あるいは自分が一生働けるような会社が地元にあるんだということわかっていただければ、地元の企業の振興にもつながりますし、あるいは若者が県外へ出ていくのを防ぐことができるかもしれない。坂本先生は静岡県出身の方でありまして、以前は文芸大の教授でもあったわけですから、地元の先生が非常に頑張っていらっしゃるので、皆さん既に御参考にされていると思いますけれど、ぜひそういった認証制度みたいなものをつくっていただくのが、振興にも重要なのかなと思うんですけれど、その点御意見お願いします。
○伊藤就業支援局長
先日はありがとうございました。
当日のフォーラムの内容につきましては、地域の活性化につながる働き方の見直しという中で、働きやすい県になるにはどうしたらいいかという話題があったかと思います。私どもとしても、いろんな施策の中で、働きやすい環境づくりの企業を支援していますし、その中で、国が認証するえるぼしとか、くるみんとかいろんな制度もございます。そういうものを活用しながら、今度は産業人材確保・育成プランの中で、どういう形で企業が働き方改革をしていって、人が働きたいという企業になっていただくか。そういうことも含めて、PRをしていきたいと。頑張っている企業がいっぱいございます。県内だけじゃなくて、県外の企業も坂本先生の本の事例にもありますので、県内の企業に参考にしていただくような形で、やっていきたいと考えています。
もう1つは、優良事業者につきまして、毎年表彰をしておりますので、そういう働き方改革をしてくださる表彰した企業を情報公開して、積極的にPRしてまいりたいと考えてます。
○鈴木(智)委員
これで最後にしますけれど、既に紹介されている事例もございます。実際この間、伊藤就業支援局長と一緒にパネリストとして参加された沢根スプリング株式会社も、見ましたら県のホームページでも紹介されております。紹介されているのは重々承知していますけれど、ただ紹介でして、せいぜい毎年10社とか20社とか、数は限られてしまうんですね。この取り組みは当然進めていただきますけれど、一方で企業はいっぱいあるわけですから、そのほかの企業も何か客観的に、ミシュランの3つ星じゃないですけれど、そういったことをすることがやはり、より少ない星の人は頑張る。つまりはそういったことをやることによって、やる気を持ってどんどん伸びていきますし、悪い企業は淘汰されるか、あるいはよくなるよう頑張ると。
そうしますと、先ほど労働委員会からもあっせんの話が出ていました。多分、これはごく一部だと思うんですよね。いわゆるブラック企業だとかいろいろ出てますので、多分まだまだ労働環境が悪いのは、中小になればなるほど多いのかもしれませんけれど、そういった企業を減らすことも大事だと思いますのでぜひそういった支援を積極的にやっていただくことお願いして、終わります。ありがとうございました。