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総務委員会(危機管理部関係)議事録(平成23年12月14日)

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○鈴木(智)委員
 民主党・ふじのくに県議団の鈴木智でございます。
 幾つか質問させていただきたいのですが、まず最初に吉田町の津波ハザードマップについてお伺いいたします。
 吉田町ではこのたび、1498年の明応地震の際に発生した大津波を千年に一度の津波として、同規模の地震津波が発生した場合を想定したハザードマップの作成をいたしました。これについては賛否両論あるようでございますが、私個人的には、吉田町による自助の努力ということで、前向きに評価をしております。御案内のとおり吉田町の田村町長は元自衛官でございまして、やはり自己完結能力のある自衛官出身の町長らしい――先日も和田副委員長が自衛官出身らしい質問をされましたが――同様に私はこういった自助努力は、市町もそうですし私たち県においても進めるべきだと考えております。これについて3点伺いたいのですが、県はこの吉田町のハザードマップを作成した取り組みですとか、その中身についてどのように評価するのかお尋ねします。
 次に、これから第4次被害想定を策定されるわけでございますが、その際この吉田町のハザードマップをどの程度参考にするのか、あるいは全くしないのか。

 さらには、これから吉田町はこのハザードマップに基づいて新たな津波対策等をしていくと思いますが、このハザードマップを根拠に地震対策ですとか津波対策の事業を行った場合、その事業は、従来と同様に県の大規模地震対策等総合支援事業費の対象となるのかどうか。この3点についてまずお伺いしたいと思います。

 次に、先日の私の一般質問における地震予知体制の強化に対する答弁について、確認の質問をしたいと思います。
 ただいま地震がございましたが、私個人的には、これはやはり予知をしないと大変なことになるぞという警戒だと改めて理解いたしましたので、ぜひ前向きに御答弁をいただきたいと思うんですが、先ほどこちらの総合計画の進捗評価案の御説明がございました。先ほど来、減災力の強化という話がございましたが、地震はとめることができないわけですから予知はまさに減災力の強化に必要なものだと。これは皆さん同感されると思いますが、残念ながら私が見た限りでは予知の「予」の字も出てない。ということは、これは簡単に言えば、やはり先日のときも私は正直そう思ったんですが、予知について基本的には国に任せっきりで県は投げてしまっているといったら言い過ぎかもしれませんが、そういう体制に私はどうしても見えてしまうわけでございます。
 ですから、私は改めて細かい質問をこれからしたいと思うのですが、先日、知事や小林危機管理監は、前兆ひずみ以外の電磁気学的な前兆現象等を観測することによる地震予知については、地震との因果関係が不明だったり、科学的裏づけが不十分だということで基礎研究の積み上げが必要であって、長期的に腰をすえて国家プロジェクトで取り組む必要があるという趣旨の御答弁をされたと思います。御案内のとおり東海地震は30年以内に87%という非常に高い確率で発生するとされている中、そういった御答弁をされるということは、私なりに理解すれば、ひずみ以外の前兆現象による予知の研究性や実用化の必要性は確かに認められていらっしゃいますが、残念ながら予想される東海地震には間に合いそうもないと考えているように聞こえるのですが、そういった理解でいいのかまず伺いたいと思います。

 逆に言えば、皆さんの対策の根拠となっている東海地震周期説、あるいは前兆ひずみの観測による予知の研究については、基礎研究は十分されていると。そして、科学的裏づけがあるから、現在、ひずみ計等々の観測をしていることだと思うんですが、前兆ひずみあるいは周期説についてどんな根拠があるのか具体的に説明してもらいたいと思います。
 と申しますのは、東海地震予知可能説というのは、私が理解する限りでは、1944年の東南海地震の発生の直前に前兆ひずみが観測されたことを根拠にしているのだろうと私は理解しておりますが、ただこれは一度の地震だけなんです。この地震だけをもとにした説がなぜ科学的裏づけが十分であると言えるのか、そこを素人にもわかりやすく説明していただきたいと思います。

 次に、これはこの間の一般質問だけではなく9月の総務委員会で御紹介いたしました上田教授の論文について、その後、皆さんも読まれたと思うのですが、もしできれば感想を伺いたいと思います。
 また、一般質問で同じく紹介したロバート・ゲラー東大教授は、実はこういった「日本人は知らない『地震予知』の正体」という本を書かれておりまして、これにつきましては、一般質問の前にいろいろ調整したときに私は既にロバート・ゲラー教授についても紹介することを言っていましたから、当然この本についても読まれていると思うのですが、その内容について、どのような感想または検証されたのか、教えていただきたいと思います。

 次に、今回、東日本大震災で前兆現象が観測できなかったのは、地震の震源域が東海地震とは違って沖のほうにあって、陸地の観測点から遠く離れていたからだと先日の答弁でおっしゃいまして、それはそのとおりだと思うんですが、現在の東海地震の観測網では、震源地がどの程度の距離まで観測可能だと考えているのか伺いたいと思います。

 次に、前兆ひずみの観測だけでは沖合で発生する地震を予知することがさらに困難であるということで、これは先ほどの東日本大震災でもそうなんですが、私はだからこそ電磁気学的な前兆現象の研究や観測をするのが必要だと考えております。先日の答弁では、先ほど申したとおり、東日本大震災ではひずみ等の前兆現象は観測されなかったとおっしゃいましたが、10月6日に開催されました文部科学省の地震火山部会観測研究計画推進委員会で配付されました「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」の実施状況等のレビュー草案――これはあくまでまだレビュー草案ですけれども――で東日本大震災における先行現象について述べている欄があります。そこにはこういった記述があります。総電子数――TECの地震前後の時系列を解析したところ、震源域の上空の電離圏で、本震――これはつまりは3月11日の東日本大震災のことをいうんですが――発生の約40分前から最大1割近くに達する総電子量――TECの正の異常が認められ、同じ解析を2004年のスマトラ―アンダマン地震――これは例のマグニチュード9.1のですね――や2010年のチリ地震――これはマグニチュード8.8の地震のことでございますが――に適用すると同様のTECの異常が認められるとあります。
 もちろんこういったTEC等の異常については、まだ裏づけが足らないからという話がその後されてはいるのですが、だから少なくとも政府の文書でもこの総電子数――TEC等は既にあったと、観測されているわけですから。本会議でも私が指摘しましたとおり、このTECというのは既にデータは収集されているわけです。ただ、残念ながらリアルタイムで監視されていないものですから、後になればこういうのがあったよとわかるわけです。それをリアルタイムで監視分析すれば予知も十分可能というのは先日紹介したとおり、東海大海洋学部の長尾教授らが言ってるわけでございます。
 ですから沖合で発生するこういった大地震も予知できる可能性がある研究については、何百億、何千億かかるというのであれば、県では無理だというのは十分わかりますが、長尾教授によれば、年間5000万円の予算で十分な効果が出られるというわけであります。私はそれこそ自助の精神で県単独でも十分可能な予算規模の研究でありますから、ぜひとも支援すべきと考えますが、これについて改めて見解を伺いたいと思います。

 次に、先日の答弁では地殻ひずみ以外の前兆現象に関する予知研究の支援を国に強く訴えていくということでございましたが、強くというのは単なる言葉だけではしようがないわけです。具体的にどのように訴えていくのか、あるいは訴えてきたのか伺いたいと思います。と申しますのも、2001年10月3日――今から10年前ですね。当時の石川知事の答弁には、県といたしましても国に対し、地球電磁気学的な手法なども活用した新たな地震予知技術の研究も積極的に推進するよう常日ごろから要望してきているところでございますとあるわけですね。ということは、先日の答弁と変わってないわけですよ。いわば10年前から全く変わってないというわけでございますが、ですからあえてこれまでにどのような働きかけをしてきたのか、あるいはこれからどのような働きかけをしていくのか聞きたいのですが、例えば、現在、川勝知事は国の地震調査研究推進本部政策委員会の委員を務めていらっしゃいますが、これまでどのように働きかけてきたのか伺いたいと思います。

 次に、地震予知総合研究振興会という昭和56年に設立された財団法人がございます。これはその名のとおり、地震予知ですとか防災について総合的な研究や調査を、それこそ国等から委託を受けて年間約14億円の予算でやっておりますが、実はその基本財産の3億円のうち、1割の3000万円を出捐しているのは静岡県でございます。そして5名の非常勤の理事がいらっしゃるわけですが、そのうちの1人が小林危機管理監でございます。当然、この財団はその名のとおり、私はひずみ以外の前兆現象の研究をやるべきだと思いますし、そこはもう危機管理監が理事として強く訴えていただければ十分可能だと思うのですが、危機管理監はこれまで理事としてどのような働きかけや活動をしてきたのか伺いたいと思います。

 次に、先日の答弁がございました地震防災センターと防災学について伺います。
 先日の答弁の後の中日新聞の取材によりますと、県では地震防災センターの機能を見直し、研究育成の強化をしたいというお話でございました。今、紹介した2001年10月3日の当時の石川知事の答弁にも、県民から寄せられるいわゆる宏観異常現象につきましても、当時ございました県防災情報研究所は常日ごろから収集をし、これらの分析の結果により、異常と考えられる場合には気象庁に報告する体制をとっていると、かつてはあったわけなんです。今回これからまた地震防災センターを強化するわけですから、まさにひずみ以外の前兆現象の研究や観測についても行うべきと考えますが改めて見解を伺いたいと思います。

 あと、この間の答弁によりますと、地震防災センターを核として静岡地震防災フォーラムと連携して防災学を推進したいという趣旨の答弁がありましたが、防災学って何だかよくわかったようなわからないようなところがあるんです。そもそも防災学とは具体的にはどのようなものを指すのか改めて伺いたいと思います。

 そして最後に、先日、知事は天野議員の静岡総合研究機構に関する質問に対して、県立大学に危機管理や防災についても調査研究を行う研究センターを設立して、そこにその静岡総合研究機構の機能や業績等々を継承させるという趣旨の答弁をいたしました。これは具体的には危機管理の部分をつけ加えるということだったんですが、どのような検討になるのか伺いたいと思います。またこの新たに県立大学に設立する研究センターは、先ほど話をした強化された地震防災センターと随分機能と業務が重なってくるのかなと思うのですが、どのように役割分担していくのか伺いたいと思います。

○宮沢委員長
 質問が多岐にわたっておりますので、端的に答弁をお願いします。

○岩田危機報道監
 まず、吉田町のハザードマップでございます。今回、吉田町が先行してハザードマップをつくられました。県としてどう評価するかということですが、これはまさに地域のことを自分たちで考えていろいろ意見、検討していただいてつくられたということで、それぞれ役に立つことだと考えております。いろいろ市町も今回の調査に当たっておりまして、県も第4次被害想定の作業がこれから具体化してまいりますけれども、今現在、過去のいろんな記録資料も各市や町を通じて集めてございます。そういった中にぜひ反映して成果として発表させていただきたいと思っております。

 吉田町の今回のハザードマップに伴う事業が大規模地震対策等総合支援事業費補助金の対象なのかということですが、当然、各市町がそれぞれ取り組む防災対策事業でありますので、県の事業の対象とすることは当然でございます。

 2つ目の地震予知の関係でございます。電磁気学的な予知ということについて、いろいろ議員のほうから御議論がございました。長期的には国が行うということで私どもの答弁をさせていただきましたけれども、現時点でこれらの電磁気学的な前兆現象について、確かに過去いろいろな方が報告してくださいました。特に内陸で起きた阪神・淡路大震災のときには、直前に発光現象であるとか、航空機の中での異常現象であるとかいろんな報告がございます。
 ただ1つ、地震予知という側面で議論をした場合に、一種の予測ではなくて予知とするためにはある程度、確定的な決定論的な手法というものが必要になってまいります。そういった意味で今現在、ひずみというものが気象庁のほうではとらえられている。
 確かに1944年の東南海地震は12月7日の前日から地殻変動らしきものが観測され、当時の水準測量の中にその異常が検出されたということが後になって報告されました。それとか、御前崎の測候所に強振計という大きな地震計がございまして、それも前日あたりから少しずつレベルが傾いてきたという報告が。そういった確かに事例としては少ないものでございますけれども、それを地面の中のプレート境界に置きかえたときに、物理現象としてそれをきちんとトレースできる、シミュレーションできるということもあって、今現在、気象庁は1つの指標として、ひずみの変化というものを地震予知の一種の確定論的な地震予知の前兆現象として観測しようとしております。
 そういった意味で、今は非常に限定的でありますけども、ひずみというものにかなり主眼を置いてございます。気象庁も実はこのひずみ以外に電磁気学的な変化と、それから地下水の変化とそういったものも監視対象というテレメーターの中に項目として入れています。そういったものも1つの参考にしながら判定というものを行っていると伺っております。

 上田教授それからロバート・ゲラー教授の論文、著書につきましては、私も少し読ませていただきました。上田教授とはもうそれこそ30年来のおつき合いをさせていただきまして、いろいろふだんからも議論もさせていただきまして、その中でも長尾先生と一緒に東海大学地震予知研究センターをつくられたときにも、静岡県もその議論の中に一緒に参加させていただきながら、電磁気学的なその手法について、やはりある意味では定性的な議論ではなくて、きちっとシミュレーションにのる定量的な解析が必要だろうということで、いろんな事例を集めながら、そのもととなる現象が一体どこから発生してきているのか、地面の中であろうと皆さん推測しているわけですけれど、それ以外にもたくさんそういったものをちゃんときちんと経常的に分析をして解析をすることを積み重ねないと。例えば、いわゆる宏観異常現象といわれる、世の中に電波が異常なシグナルを出したとか、ネズミが騒いだとか、ナマズが騒いだとか、そういった現象と一緒になってしまう。まずそこの基礎研究が必要だろうということで、東海大学の地震予知研究センターがつくられたと私どもは理解をしております。
 そういったものに対して、ロバート・ゲラーさんは、地殻の破壊というものは不規則なランダムな現象であって、こういったものに、例えば国家予算をつけて監視をするということは、ある意味では科学の冒涜みたいなものではないかと発言の中ではされている。この前の10月に静岡でありました日本地震学会の秋季大会の中でも、ロバート・ゲラーさんからそんな地震予知全体を否定するような発言がございました。
 ただ、これについては、それぞれ研究者の考え方ということで私も理解しておりますし、東海地震を控える静岡県としましては、真下で起きる震源域に対して、きちんとやはり定量的な確定論的な指標ということを目指していかないと役に立たないと考えています。そういった意味で、ちょっとロバート・ゲラーさんとは私も意見が違うのではないかなと考えております。

 大きく4つ目のところで、東日本大震災の前兆という点でございます。確かに東海の沖合で前兆現象らしき地殻変動がもしあらわれた場合には、なかなか監視体制に乗らないのではないかということで、以前から私どもは、海域における観測体制の強化ということを機会あるごとに国にお話をしてお願いをしてきてございます。
 その1つの結果として、今、東海――直接駿河湾の中ではございませんけれども――熊野灘でDONET――ドゥーネットという監視体制が今既に観測を始めております。十数点の傾斜計と地震計を高密度にネットワークをして海域での監視というものが始まって、これは東海の沖合も一部カバーしながらやっていて、ぜひこれが実用化することを期待しているところでございます。

 沖合での観測が困難であれば、電磁気学的な観測、確かにそういった要素が、電磁気学の中にはあると私も理解しておりますし、これについては、後でも述べさせていただきますけれども、やはり少しそこについて、県単独というよりも、やはり国としてきちんとこういったことに対して取り組むということで、できましたら東海大学と一緒になって国に文部科学省等の予算をきちんと要求していく。これは今現在、静岡大学がアクロスという監視体制を東濃地科学センターと気象庁と一緒になってやっております。これについても、直接、県ではないですけれども、私どもも一緒になって文部科学省に働きかけをさせていただいて、予算、人員をとって、そういった監視体制をつくっております。そういった意味ではこういった電磁気学的な観測、監視の点についてもぜひ検討していただければと考えております。
 政府の地震予知のレビューで電磁気の異常がレポートされているということで、今、それに対して長尾先生たちのグループがいろいろ働きかけをされていることも承知しております。本会議でも5000万円でということでございましたけれども、やはりここは、主体的に大学の研究機関を後押しする形で支援をさせていただきたいと思います。

 国に訴えていくという、国に対してどんな働きかけをしていくかということで、国に対しての要望書の中にはこういった地震予知監視体制の強化ということを継続的にずっとお願いしてございます。機会あるごとにというのは、私どもも知事は確かに国の地震調査研究推進本部の政策委員をしてございます。それから地震予知総合研究振興会の非常勤理事を小林危機管理監がしております。そういった機会にぜひ話をすべきであるということでございますので、そこについては知事それから小林危機管理監の出席のときに、ぜひそういった話をさせていただきたいと考えます。

 防災学につきまして、地震防災センターの機能強化、それからその中で前兆の監視体制について、宏観異常現象については地震防災センターでの報告があれば気象庁のほうに報告をするということで取り組んでおります。なかなかふだんでありますとそういった報告が非常に少ないということで、気象庁にまだまとまった形で報告した事例はございません。こういったことも含めて、地震防災センターの今後のあり方については、これからまたいろいろ検討していきたいと考えております。

 特に、今年度から防災学の構築ということで、今現在、進めてございます。防災学そのものについては確かにわかりにくいということで今、学問として防災学というものがあるわけではありません。これについては、静岡県も三十数年いろいろ基礎的な調査、これは地震そのものというよりも、むしろ防災対策、地震対策を進めるための事前の予防対策でありますとか、事後の発災時の危機管理体制、それから事後の復旧対策に対して、これまでいろんな調査、それから実学といいますか実際に取り組んできた経験、実績がございます。そういったものをぜひ、1つの体系化にできないかと考えております。
 これは学問というよりも学として1つの体系化をすることによって、ぜひこれは静岡県だけではなくて、全国のいろいろ取り組みの中に資料といいますか、静岡県の成果をぜひ全国の先進事例として取り組んでいただくモデルとしたい。そのためにやっぱり一種の学として体系化が必要であるのではないかなと考えております。そういった取り組みをしていきたいということで、地震防災センターそのものの機能の中にも今現在、啓発とか人材育成というものがございます。
 それと、もう1つ、県内の大学研究機関との防災コンソーシアムという連携機構の中心的な役割もしておりまして、これまで四十数回土曜セミナーという形で県内の研究者の方々にいろいろ研究成果の報告をしてもらっております。そういったものを集大成することが防災センターの1つの大きな使命ではないかなと考えています。

 最後に御質問がありました、静岡総合研究機構の件につきましては、私も直接まだ御相談を受けておりませんので、何一つ承知をしておりません。

○小林危機管理監兼危機管理部長
 岩田危機報道監のほうから先ほど少し答弁がありましたけれども、地震予知連絡会の理事となっていますが、実はこの地震予知連絡会で予知そのものに対する理事会での議論というのは今までございません。むしろ、今連絡会の公益法人のあり方が問題になっていましたので、どうして公益法人の資格が取れるかとか、そういったことを協議した覚えはありますが、予知の内容そのものについて理事会で今まで取り上げられたことはございません。

○宮沢委員長
 地震予知総合研究振興会の活動についての答弁はいいですか。

○鈴木(智)委員
 基本的に前回の答弁とあまり変わらない答弁をいただいたんですが、今ちょっと答弁漏れがありました地震予知総合研究振興会にはもう静岡県が1割出捐しているわけでございますし、小林危機管理監は5名の非常勤の理事のうちのお一方でございますので、先ほどの予知連絡会の理事以上の活動というか、働きができるものだと思いますが、それについて改めて御答弁をお願いしたいと思います。

 前回の答弁とほとんど変わらない御答弁をいただいたんですが、少し生意気なことを言わせていただきますけれど、先ほどちょっと地震がありました。1つ問いかけをしたいのですが、危機管理担当の皆様、例えば来年、再来年に東海地震が発生した場合、現在の対策において後悔しないと言えるのでしょうか。今でもなく地震対策というのは県民、つまりは私たちの隣人、知人、親戚、友達、家族、そして私たち自身の生命に直接かかわる重要な問題でありますから、地震発生後に万策尽くしたからしようがないとは言えないかもしれませんが、やるだけのことをやったからしようがないみたいなことを言えるのかどうか。あるいは現在、地震に関して万策尽くしていると断言できるのでしょうか。私にはそうは思えないんです。
 なぜかといいますと、先日一般質問で紹介しましたが、阪神・淡路大震災後に科学技術庁は――これはぜひ有馬先生からいろいろお話を聞いていただきたいんですが――平成8年度から12年度までの5年間、地震総合フロンティア計画というものを推進して、その中で今長尾教授がやられているような地電流ですとか、電磁界等の前兆現象の観測による予知研究の研究を行ったんです。ある程度成果はあったし、政府からもらった資料にも成果はあったと書いてあるんですが、ただ残念ながら長尾教授によれば、一部の官僚の反対のために研究は5年間でストップしてしまったわけです。それから、この研究というのは平成8年から12年度までですから、その12年後にこの間の東日本大震災が発生したわけです。もしもこの地震総合フロンティア計画が継続されて研究されていたら、先ほど申しておりましたTEC――総電子数というのが観測されているわけですから、もしかすると予知ができたかもしれないですね。予知ができていれば、40分前から出てたというわけですから、すぐには解析不可能かもしれませんが、それを解析して、二、三十分前には予知ができたかもしれない。ということは、今回行方不明も含めて2万人近い方が亡くなられて、9割の方が津波で亡くなったというわけですから、当然9割の人だって当然助かったわけですし、残りの1割の方についても助かった可能性があるわけでございます。先ほど来TEC等々はまだまだ基礎研究が必要だということなんですが、ただ逆に言えば、これまで前兆ひずみの研究活動ばっかりやってきたから、ほかの前兆現象の研究がおろそかになって、ましてや地震総合フロンティア計画がとまってしまった、だから今回東日本大震災を防げなかったということも言えるんじゃないかと思うんです。ですから、私も含めまして我々にも少なからず今回予知できなかった責任があるんじゃないかと思うんですが、その点について、もしお答えできればお答えしていただきたいと思います。

 これからお金の話をするんですが、今回の補正予算を加えた本年度の一般会計、1兆1626億8300万円でございます。また今回経営管理部のほうで補助金の見直しをしていますが、これは総額351億円です。今回の議会で提出されている第156号議案は、宝くじの販売限度額を定めるものですが、平成22年度の宝くじ売上額は194億円、その中で県に配分された収益金は61億円ございます。この収益金というのは、大規模な地震等の対策や予防のための事業にも使えるようになっておりまして、実際平成22年度には11億9400万円が大規模地震対策等総合支援事業に使われていまして、あと追加で4700万円が県民防災啓発強化事業費として使われています。
 もちろん、財政が厳しいのは重々承知しているんですが、5000万円にこだわって申しわけないんですけれども、頑張ればそういった予算というのは補助金とか宝くじからも捻出できると思うんですが、それこそ難しいのかお尋ねしたいと思います。

 そして、前回の質疑の中で、私は、関西サイエンス・フォーラムを御紹介いたしました。県税はどうしても、もうびた一文出せないと言うのであれば、それこそ関西サイエンス・フォーラムのように県内にもそれこそ地震予知に関して関心のある民間企業がたくさんあるはずでございますから協力を求めていいはずなんですね。
 例えば、これから御答弁いただく地震予知総合研究振興会の評議員の中にも、関西電力、中部電力、東京ガスといった大企業の役員の方々がいらっしゃるわけですから、これは理事としてぜひそういった企業に財政的な支援もお願いできれば、5000万円等々の研究もかなうと思うんですが、そうした選択肢が本当に無理なのかどうか御答弁いただきたいと思います。

 もう1つ言いたいのは、静岡県地震対策推進条例というのがございます。その第4条に県は地震に関する資料の収集及び分析並びに地震に関する調査及び研究を科学的かつ総合的に行い、その成果を公表するものとするとありますが、これまでそこから逃げてるんじゃないかと思うんですが、となるとこれ条例違反じゃないかと思うんです。それについてお伺いしたいと思います。

○小林危機管理監兼危機管理部長
 済みません、先ほどの地震予知連絡会ではなくて、地震予知総合研究振興会の理事です。それで先ほども申し上げましたように、そこの理事会に出席していますけれども、残念ながら地震予知そのものに関するものが議題になって、協議をしたことはございません。またいま一度、私自身もその研究会の中を研究させてもらって、ぜひそういうところで委員が言われるような地震予知の振興に役立つようなことができるのであれば積極的に発言をしていきたいと思っています。

 委員にぜひおわかりいただきたいのは、我々は決して委員の言われる予知のことを無駄だとは言っていません。我々もむしろベストミックスは何かということで、今まで気象庁が一生懸命やっているのは、確かにひずみ計頼りです。ですから、我々はそのひずみ計頼りではなくて、もっと委員の言われたTECの異常現象の話も私も聞いていますけれども、確かにそういう後追いで結果論としてわかるところはあるのですが、ただそれが学問的に予知というレベルに上げていくためには、それなりの基礎的な研究というのを私は積み重ねていかないと、現実問題としてはなかなか難しいものですね。
 ですから、そういった意味で、ただ県が別にやらないというわけではなくて、県としてはぜひもうちょっとベストミックスを考えていただいて、いろんな研究者の方の幅広い知見を集めて国が国家プロジェクトとして取り組んでもらって、その中に県もその一員として東海地震を抱えていますので、当然その一員として参加できるようなそういう仕組みをつくっていただけるのが、私としては一番いいと思っています。ですからぜひまた今度、三・一一が起こって、予知というものがもう一回必ず主要なテーマとして上がってくると思いますので、それに向けてぜひそういった国家プロジェクトとしての新しい予知への取り組みについて国に積極的に働きかけていって、ぜひその中に静岡県も参加させていただくという方法が私は一番いいと思っています。
 ただ単に8番委員が言われる長尾先生だけに支援していってもなかなかそれがベストミックスにつながっていくわけではないので、もう少し体系的に国家プロジェクト的な位置づけをもって予知というものは取り組んでいかないと、なかなか静岡県だけ幾ら頑張っても当然おのずと限界があると思います。ぜひそういった取り組みができるように、今後これから第4次被害想定等のそういう三連動地震に対する新たな取り組み対応というのが必要になってきますので、その中で予知というものにどう取り組んでいくのかということをまた国とも協議しながら新しい対応が図れるようになればいいなとそう思っています。
 いずれにしても、我々は決して委員の言われるいろんな予知の方法を否定しているわけではなくて、ぜひそれがどうやってやったらベストミックスになっていくのかということをぜひ検討する。そのためにはやっぱり国家プロジェクト的なものにしていただかないと、なかなか静岡県だけで頑張ってそういった取り組みをやっていっても現実問題としては難しいかなとそういう印象を持っています。決してあきらめているわけではありませんが、一応そういうのが私の基本的な考えです。

○近藤危機情報課長
 先ほどのうち、宝くじのお金を使えないかという御質問につきましては、危機管理監から申しましたように、国との連携の中で考えていくということで、そのうちそういったお金が全体的なものとして使えるようなものがあると、それは視野に入っていくと思います。

 次に、関西サイエンス・フォーラムのような協力を求められないかということでございますけれども、これもやはり危機管理監と同様でございますけれども、国を含めての全体的なそういう取り組みの中で考えていくものだと考えております。

 県地震対策推進条例の4条につきましては、県自身も国、気象庁等と協力しまして、みずからも震度計等をもちまして観測体制を担っております。そういった点で観測予知についても県のほうも関与しております。

○鈴木(智)委員
 御答弁ありがとうございます。
 では、あと1点だけお願いというか質問したいんですが、先ほど危機管理監のほうから、今度の地震予知総合研究振興会の理事会があれば、そこでしっかりと予知のあり方についても議論していただくということでございますが、まさに個人的な話で恐縮ですが、私は議員になって以来、担当外の質問をこれまで散々してきましたが、それにもかかわらずしっかりと御答弁いただきまして、尊敬申し上げているわけです。危機管理監も御年59歳と伺っていますから、普通に考えれば間もなく定年退職ということだと思うのですが、ぜひ退職される前にそこは、やるだけやったと、俺が道をつけたと言っていただけるようにしっかりとやっていただきたいと。

 あと、先ほど質問するのを忘れたんですが、吉田町のハザードマップについて、第4次被害想定の参考にするという話でございましたが、第4次想定のほうの想定が低くなった場合にどうお考えになるのか、それはやっぱり第4次被害想定をあわせるのか、あるいは吉田町からこちらにあわせるのか、その点だけ1点お尋ねします。ありがとうございました。

○小林危機管理監兼危機管理部長
 最初の8番委員の発言についてですが、私としても残りあとわずかです。その中で、三・一一という日本で今までの歴史上最悪の被害を被って、これに対して我々は部を挙げて今までも取り組んでまいりました。なかなか地震対策というのは、私も6年になりますが、何をやっても絶対的な対策は残念ながらないんですね。ですから、日々、試行錯誤しながらよりベターな方向へ頑張っていくしかありませんので、そういった意味で今まで培ってきた積み重ねをこれからも積み重ねていって、いざ発災したときにやはり三十数年が無駄ではなかった、やっぱり静岡県は全国に先駆けて地震対策に真剣に取り組んでくれてよかったと言われるように少しでも、そういった評価ができるように、これから我々後に続くものたちにもぜひ頑張っていただきたいなと思っています。

 それから、お尋ねのハザードマップの件ですが、これはいろいろ今市町において自分たちでの取り組みがありますので、それを第4次被害想定にどうやって生かしていくかということは、それはお互いにそこは調整の話し合いをして、我々は基本的には市町の考え方を尊重してそれでやっていくというのが、やはり首長は首長でそれぞれの自分の地域に対して責任を負う方ですので、その方がそれでいきたいということであれば、上乗せするような形で調整を図っていくしかないのかなと。そこら辺は、県が想定をつくっていく中で当然調整が必要になってくることだと思っていますので、そこら辺はよく担当の市町と話し合って調整をしていきたいと考えています。

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